最近の文書回答事例にみる役員給与の税務処理のポイント
2025年10月17日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「最近の文書回答事例にみる役員給与の税務処理のポイント」をお伝えさせていただきます!
近年、税務当局が公表する「文書回答事例」は、実務の方向性を示す“準ガイドライン”のような存在になっています。特に、令和7年に東京国税局が示した2つの事例――
① 合同会社の社員に対する事前確定届出給与の取扱い、
② 非財務指標を組み込んだ業績連動給与の損金算入の可否――
は、実務家にとって見逃せない内容です。
どちらも一見、特殊なテーマに見えますが、実は中小企業や士業法人(税理士法人・社労士法人など)にも密接に関係します。
本稿では、それぞれの事例の要点をやさしく整理し、実務での注意点や定款整備のポイントを中心に解説します。
【№2 結論】
今回のCFC税制改正の最大のポイントは、「外国子会社の所得を日本本社で合算する時期」が1年後ろ倒しになることです。
つまり、従来は子会社の事業年度終了後すぐに合算計算が必要でしたが、今後は日本側での申告期限まで余裕をもって処理できます。
この変更により、以下のような実務上のメリットがあります。
決算期の異なる子会社の資料が揃いやすくなる
現地監査の完了後に最終損益を確定できる
税務申告書の添付資料の修正・差替リスクが減少
一方で注意点もあります。
合算時期が変わることで、一時的に二重課税やタイミングずれが発生する可能性あり
旧ルール・新ルールの併用期間(経過措置)に注意
グループ全体の税務スケジュールを再設計する必要
★重要
この改正は「申告時期の柔軟化」ではありますが、海外子会社の会計精度と情報管理体制が整っていることが前提です。
静岡・浜松の企業でも海外展開を行う場合は、早めに本社側の連結スキームを見直しておくと安心です。
【№3 やさしい解説】
CFC税制とは、「日本の企業が海外の子会社に利益をため込んで、日本での課税を逃れないようにする」ための仕組みです。
たとえば、日本の親会社がシンガポールに子会社を作り、そこに利益を移して法人税を回避するようなケースを防ぐ目的です。
今回の改正では、**「合算のタイミング」**が見直されました。
これまで:子会社の決算終了時点で即座に日本側で合算計算
今後:子会社の決算情報を確定後、日本側で翌年度に合算
簡単に言えば、「少し余裕を持って正確な数値を取り込めるようになった」という制度改正です。
★実務イメージ
従来:海外子会社の決算書が遅れると、日本の申告が間に合わず調整が困難
改正後:監査後の最終数値をもとに正確に申告可能
中小企業にとっても、海外取引が増えている現代では他人事ではありません。
特に、ASEAN地域や北米への進出を行う製造業・IT業ではこの改正が経理処理の安定化につながります。
【№4 具体例】
① パソコンの購入(20万円)
耐用年数4年の資産だが、特例を使えば初年度に全額損金。
IT導入補助金を併用すれば投資負担も軽減。
② 海外子会社の利益配当
改正後は日本での合算時期が翌年度へ。
二重課税防止の調整がスムーズに。
③ 外貨建て取引の決算修正
為替レート確定後に正しい損益を反映可能。
④ 海外子会社の監査完了後の合算
決算修正リスクが低下し、税務署からの照会も減る。
⑤ システム投資(クラウドERP導入)
海外拠点とデータ共有し、正確な連結損益計算を実現。
⑥ 海外進出企業の経理担当者教育
税務理解が不十分だとCFC対応で大きな遅れ。
本社で定期的に研修を実施。
⑦ 経過措置中の注意
旧ルールと新ルールが混在する期間は、誤計上しやすい。
⑧ 税務調査時の説明資料整備
「どの年度の所得をどの基準で合算したか」を明示することが重要。
⑨ 浜松の製造業A社の事例
海外現地法人の決算確定が遅れていたが、改正後は日本側処理に余裕。
⑩ 静岡市のIT企業B社の事例
海外子会社との会計連携をクラウド化し、CFC対応コストを削減。
【№5 手順】
★重要
事前確定届出給与や業績連動給与を正しく損金算入するためには、**「定款」「届出」「議事録」**の3点セットがそろっていることが必須です。以下に実務の流れを簡潔に整理します。
① 定款の確認
合同会社・士業法人では、まず定款に次の3点を明記しているか確認します。
1. 業務執行社員の任期
2. 報酬決定の方法
3. 定時社員総会の開催規定
記載がなければ、事前確定届出給与を利用できません。
② 定時社員総会(または同等会議体)の開催
決算後3か月以内に開催し、役員給与・賞与の金額・支給日を決定。
議事録には決議内容と全員の同意を明記しておくこと。
③ 届出書の提出
「職務執行開始日」から1か月以内に税務署へ提出。
一日でも遅れると損金算入できません。
金額・支給日・対象者を正確に記載することが重要です。
④ 業績連動給与の設計
損金算入の対象は、客観的な業績指標に基づく部分のみ。
ESGなど非財務指標を入れる場合は、割合を明確に区分(例:業績80%・ESG20%)しておく必要があります。
⑤ 会計処理と保管
実際の支給が届出内容と一致しているか確認。
届出書・議事録・定款は少なくとも7年間保存します。
★静岡・浜松の中小企業さまへ
最近は合同会社・士業法人の設立が増えており、「任期や総会の記載がない定款」のままでは届出が無効になるケースも見られます。
顧問税理士とともに、毎年の報酬決定と届出手続を必ずセットで確認しましょう。
【№6 よくある質問(FAQ)】
① 改正はいつから適用?
→ 令和7年4月以降開始の事業年度から。
② 経過措置は?
→ 令和6年度中の子会社決算は旧ルールと新ルールの選択可。
③ どんな企業が対象?
→ 海外子会社を持つ全ての日本法人。中小企業も対象。
④ 届出や申告書は変更ある?
→ 別紙の様式は同じだが、合算年度の注記が必要。
⑤ 税務リスクは?
→ 合算時期のずれによる利益重複や抜け漏れ。
⑥ 経理ソフトで対応できる?
→ クラウド会計(例:マネーフォワード・freee)は対応更新予定。
⑦ 海外法人が赤字の場合は?
→ 合算対象外。ただし、持株比率や実質支配関係に注意。
⑧ 顧問税理士に依頼すべき?
→ はい。特に海外税務は条文解釈が複雑。
⑨ 静岡・浜松の企業も影響ある?
→ 海外展開中の製造業や輸出業では実務負担軽減に直結。
⑩ 改正後のポイントは?
→ 合算時期の明確化と情報精度の向上。
【№7 まとめ】
今回の文書回答事例では、「合同会社における事前確定届出給与」と「業績連動給与の一部損金算入」という、2つの大きなテーマが示されました。どちらも一見、限定的なケースに見えますが、実務への影響は非常に広範です。
まず、**合同会社における役員賞与(事前確定届出給与)**について。
これは、会社法上の「社員総会」や「任期」などの制度設計が、税務処理の根拠と直結するという点で、極めて重要な論点です。特に合同会社は「社員=出資者」であるため、株式会社のように自動的に報酬制度が成立するわけではありません。定款に「任期」「総会」「報酬決定方法」を定めなければ、損金算入の対象とならないのです。
また、今回の事例が示すように、職務執行開始日=定時社員総会の開催日として届出期限をカウントする点も、実務上の肝となります。これを誤ると、届出が遅れた扱いとなり、全額が損金不算入となるため注意が必要です。
一方、業績連動給与に関する事例では、非財務指標(ESG対応など)を含んだ場合でも、客観的に業績連動部分を算出できる限り、その部分のみを損金算入できるとされた点が革新的です。
従来は「非財務指標が含まれる=全額否認」という理解が一般的でしたが、部分認定を認めた今回の見解は、今後の報酬設計の幅を大きく広げる可能性があります。
★重要
合同会社の報酬制度は「定款設計」がすべての前提。
職務執行開始日と届出期限の関係を誤ると損金算入できない。
業績連動給与は「業績指標部分」と「非財務指標部分」を明確に区分。
書面・届出・議事録の整備を徹底し、税務調査にも対応できる体制を構築する。
今後、静岡・浜松エリアでも合同会社化・士業法人化が増加する中で、報酬制度や届出書類の整備は「経営リスク対策」としての意味も持ちます。制度理解を深め、適正な税務処理を行うことが、企業の信頼性を高める第一歩となります。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3859号(2025年7月14日)「最近の文書回答事例のうち役員給与関連の2題について」大阪勉強会グループ(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)
参考:国税庁タックスアンサー「No.5210 役員給与が損金算入されるための要件」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第34条(役員給与の損金不算入)」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法施行令第69条(事前確定届出給与の届出期限)」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法施行令第71条(使用人兼務役員とされない役員)」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「会社法第575条(合同会社の定款の作成)」および「第590条(業務執行社員)」
参考:内閣府「ESG(環境・社会・ガバナンス)の概要」(令和2年度 障害者差別解消推進調査報告書)(参照日:2025-10-08)
【№9 該当条文の説明】
① 法人税法第34条(役員給与の損金不算入)
この条文は、「役員に対する給与のうち、どのようなものが損金にできるか」を定めています。
原則として、役員給与は損金(経費)にできませんが、以下の3つのいずれかに該当すれば損金算入が認められます。
定期同額給与(毎月同じ額の役員報酬)
事前確定届出給与(支給時期と金額をあらかじめ届け出た役員賞与)
業績連動給与(業績指標に基づいて算定される役員報酬)
★重要
一見シンプルですが、「届出期限」「算定方法」「定款の根拠」などを誤ると、全額損金不算入になるため、非常に実務リスクが高い条文です。
② 法人税法施行令第69条(事前確定届出給与の届出期限)
この施行令は、届出書の提出期限を「職務の執行開始日から1か月以内」と明確に定めています。
今回の文書回答事例でも、合同会社の「職務の執行開始日」=定時社員総会の開催日とされており、この日を基準に1か月以内に提出しなければ損金算入できません。
遅延は一切認められず、例外もないため、期日管理が非常に重要です。
③ 法人税法施行令第71条(使用人兼務役員とされない役員)
ここでは、「使用人ではない役員」の範囲を定義しています。
合同会社の「業務執行社員」はこの条文で「役員」とみなされるため、使用人給与ではなく役員給与の扱いになります。
つまり、定款や総会決議を伴わない報酬は、原則として損金にできないという解釈になります。
④ 会社法第575条・第590条(合同会社の定款と業務執行)
第575条:合同会社は、設立時に定款を作成しなければならない。
第590条:業務の執行は、原則としてすべての社員が行う。ただし、定款で「業務執行社員」を定めることができる。
このため、定款に「業務執行社員」「任期」「報酬決定方法」「社員総会の開催」などが明記されていなければ、税務上の前提が欠けることになります。
特に、事前確定届出給与を利用するには、会社法と税法の両方の整合性が必要です。
⑤ 内閣府「ESGの概要」
ESG(環境・社会・ガバナンス)は、企業が社会的責任や持続可能性を重視して経営を行うための指標です。
今回の事例では、「業績連動給与の一部にESG指標を組み込む」ケースが議論されました。
結果として、ESGのような非財務指標を組み入れても、業績連動部分を明確に区分すれば、その部分のみ損金算入可能という柔軟な見解が示されました。
★まとめ
「税法(法人税法)」と「会社法」の構造を理解していないと、報酬の損金算入を誤る。
合同会社・士業法人では、特に定款の条項整備が重要。
ESG指標を含む新しい報酬制度設計では、「区分計算」「根拠資料」「客観性」の3点を必ず担保する。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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