高所得者に対する新しい所得税の特例(特定の基準所得金額の課税の特例)
2025年10月22日
【№1】はじめに
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「高所得者に対する新しい所得税の特例(特定の基準所得金額の課税の特例)」についてお伝えいたします!
令和5年度の税制改正で創設されたこの制度は、所得が非常に高い層(いわゆる超富裕層)に対して、一定の最低税負担を求める新たなルールです。
国税庁は令和7年分以降の所得税計算に使うため、「適用判定表兼税額計算書」を公表しました。
制度の対象はごく一部の高所得者に限られますが、所得税の計算構造に新しい考え方が導入される点で、今後の税制の方向性を示すものです。
税理士としても、経営者の報酬設計や資産運用方針に影響を与える可能性があるため、内容を理解しておく必要があります。
【№2】結論
この「特定の基準所得金額の課税の特例」は、
所得が3億3,000万円を超えた場合、その超過部分に22.5%の税率をかけた金額を基準とし、通常の所得税額との差額を追加納税する仕組みです。
言い換えると、
「超高所得者に対して、最低でも一定割合の税負担を確保する制度」です。
基準所得金額が3億3,000万円を超えなければ適用はありません。
一方で、超えた場合には、次の計算式で追加税額が算出されます。
(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5%-基準所得税額
ここで「基準所得税額」とは、確定申告不要制度を適用した上場株式等の配当所得を含めた、申告所得税額と源泉徴収税額の合計です。
つまり、株式配当などを含めた実質的な所得全体をもとに、一定の税負担水準を維持する仕組みといえます。
★重要
この特例は令和7年分以降の所得税に適用されます。
該当者が予定納税の減額申請を行う際には、国税庁の「適用判定表兼税額計算書」を使って申告を行います。
申請期間は、第1期が7月上旬、第2期が11月上旬です。
実務上、該当者はごく限られますが、所得構造が多様化する経営者層や資産家にとって、税率逆転の是正を意味する重要な措置です。
【№3】やさしい解説
この制度の背景には、「所得が大きいほど実効税率が低くなる」という課題があります。
特に、配当や株式譲渡などが多い場合、総合課税されずに源泉分離課税で済むため、実際の負担率が下がるケースが見られました。
そこで政府は、**高所得者に一定の最低負担を求める「負担の適正化措置」**を導入しました。
これが「特定の基準所得金額の課税の特例」です。
制度のポイントは次のとおりです。
適用開始:令和7年分以降の所得税
対象者:基準所得金額(株式配当などを含む)が3億3,000万円を超える人
税率:超過部分に22.5%を乗じ、基準所得税額との差を納税
計算式:(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5%-基準所得税額
控除対象:復興特別所得税を含む
該当者は予定納税の減額申請にもこの計算書を使用
★注意
基準所得金額の算定には、確定申告不要の所得(株式配当など)も含まれます。
したがって、確定申告書の所得金額だけで判断することはできません。
また、実務上の影響は限定的ですが、富裕層顧客を抱える税理士事務所や資産管理法人では、
「どの所得が基準所得金額に含まれるか」を事前に把握しておくことが求められます。
静岡・浜松の経営者さまの中にも、複数法人の役員報酬や配当を受け取る方がおり、
将来的に対象となる可能性があります。税務戦略上も、所得分散や役員報酬設計を見直す時期といえるでしょう。
【№4】具体例
この制度は、いわゆる「超高所得者層」に限定されますが、計算の考え方は誰でも共通です。
ここでは、想定される10パターンの具体例を示します。
① 役員報酬中心の経営者(浜松市)
年収3億円、配当3,000万円。合計3億3,000万円を超えないため特例なし。
→ 通常の所得税のみ。
② 株式配当が多い経営者(静岡市)
役員報酬2億円、株式配当1億8,000万円。合計3億8,000万円。
→ 超過額5,000万円×22.5%=1,125万円。
基準所得税額が800万円なら、差額325万円を追加納税。
③ 資産管理会社を持つ創業者
複数会社から配当を受け、合計所得が5億円。
→ 超過1億7,000万円×22.5%=3,825万円。
基準所得税額との差が課税対象。
④ 退職金を一括受け取るケース
退職所得2億円、株式譲渡益2億円で合計4億円。
→ 超過7,000万円×22.5%=1,575万円。
通常の所得税との差額を追加納税。
⑤ 不動産売却益を含む場合(静岡市)
給与1億円+不動産譲渡益3億円=4億円。
→ 超過7,000万円×22.5%=1,575万円課税。
⑥ 株式譲渡が中心の個人投資家
年間利益6億円。
→ 超過2億7,000万円×22.5%=6,075万円。
基準所得税額との差額を納税。
⑦ 医療法人理事長(浜松市)
理事長報酬2億円+法人株配当2億円=4億円。
→ 超過7,000万円×22.5%=1,575万円の税額比較を実施。
⑧ ベンチャー創業者の株式売却
株式売却益10億円。
→ 超過6億7,000万円×22.5%=1億5,075万円。
基準税額を下回る部分は追加納税対象。
⑨ 配偶者との所得合算が混同される例
特例は「個人単位」で判断されるため、配偶者の所得は合算しない。
本人の所得が3億3,000万円を超えるかで判断。
⑩ 静岡県内の資産家が複数年に分散して受取る例
1年目2億円、2年目5億円など、年度単位で判定する。
→ 年ごとに3億3,000万円を超えるかどうかを確認。
★ポイント
所得には株式配当や譲渡益など、確定申告不要分も含まれる。
控除や損失繰越を考慮しない「名目ベース」での判定。
該当者は、予定納税の際に「減額申請」への対応が必要な場合も。
静岡・浜松の経営者であっても、企業売却や大規模な資産譲渡を行う際には一時的に対象となる可能性があります。
【№5】手順
この特例は、所得税申告の中でも非常に限定的な手続きですが、国税庁が示す「適用判定表兼税額計算書」に沿って進める必要があります。
以下に、実務の流れをわかりやすくまとめます。
① 所得の集計
すべての所得を合計します。
給与、事業、不動産、株式配当、譲渡益などを含めた「基準所得金額」を算出します。
② 3億3,000万円との比較
基準所得金額が3億3,000万円を超えるかを確認します。
超過していなければ特例適用なし。
③ 税額計算
超過分に22.5%を乗じて、税額を仮計算します。
その結果と「基準所得税額」を比較します。
④ 判定
22.5%計算後の金額が通常の所得税額を上回る場合、その差額を追加納税。
上回らない場合は追加なし。
⑤ 判定表の記入
国税庁公表の「適用判定表兼税額計算書」に数値を記入し、確認します。
(予定納税の減額申請にも同書類を使用)
⑥ 予定納税への反映
該当する場合、第1期(7月)・第2期(11月)の予定納税額を再計算し、減額申請を行います。
⑦ 確定申告時の添付
翌年の確定申告書に、該当額を反映し納税します。
追加税額が生じる場合、確定申告書に添付して提出。
★注意
判定表は令和7年分以降に使用。
対象者は少数だが、所得の一部に「確定申告不要分」があると漏れやすい。
金融機関・証券会社の支払調書を含めて確認が必要。
静岡や浜松の経営者でも、株式譲渡や事業承継の際に一時的な大きな所得が発生するケースがあるため、
この手続の流れを知っておくことがリスク回避につながります。
【№6】FAQ(よくある質問)
① この特例はすべての高所得者に自動的に適用されますか?
→ いいえ。所得が3億3,000万円を超えた場合のみ判定が行われます。該当しない人には適用されません。
② 「基準所得金額」にはどんな所得が含まれますか?
→ 給与、事業、不動産、株式配当、譲渡益など、確定申告不要の所得も含まれます。
③ 3億3,000万円を少しでも超えたら課税されるのですか?
→ はい。超えた金額の22.5%を基準に追加課税を判定します。
④ 配偶者や子どもの所得は合算されますか?
→ いいえ。個人単位で判定します。世帯合算ではありません。
⑤ 確定申告不要の株式配当も入れる理由は?
→ 高所得層の実効税率が下がる原因がここにあるため、包括的に計算されます。
⑥ 浜松や静岡の中小企業経営者にも関係ありますか?
→ ほとんどの方は対象外ですが、事業売却や株式譲渡などで一時的に3億円を超えると該当する場合があります。
⑦ この特例による税率は一律22.5%ですか?
→ はい。超過部分に一律22.5%がかけられます。基準所得税額との差で最終税額が決まります。
⑧ 予定納税の減額申請は誰がすべきですか?
→ 所得が大きく変動する見込みがある高所得者(役員・投資家など)が対象です。税理士の助言が必須です。
⑨ 申請期限を過ぎたらどうなりますか?
→ 減額申請は認められません。翌年の確定申告で調整します。
⑩ 静岡・浜松の税理士に相談するメリットは?
→ 地元の税理士は資産背景を理解しており、事業承継・譲渡益などを含めた総合的な節税提案が可能です。
【№7】まとめ
「特定の基準所得金額の課税の特例」は、
いわば“超高所得者への最低負担ルール”です。
3億3,000万円という明確な基準を設けることで、所得構造が複雑な富裕層にも一定の税負担を求めています。
ただし、ほとんどの中小企業経営者には直接影響はありません。
一方で、会社売却、株式譲渡、退職金の一括受取などにより一時的に所得が急増する場合は要注意です。
特に静岡や浜松の事業承継・M&A案件では、想定外に対象となるケースもあり得ます。
★まとめポイント
所得3億3,000万円超で判定
超過分に22.5%を乗じて再計算
所得税額が少なければ差額を追加納税
令和7年分以降に適用
減額申請は7月・11月に対応
税制は「公平な負担」を目的に、今後も高所得層を中心に改正が続く見通しです。
経営者・資産家の方は、報酬や配当のバランスを早めに見直しておくと安心です。
【№8】出典
出典:『税務通信』第3860号(2025年07月21日)「国税庁 高水準所得に対する負担の適正化措置に関する適用判定表を公表」
参考:国税庁タックスアンサー「No.2260 所得税の予定納税」(参照日:2025-10-14)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法第41条の19」(参照日:2025-10-14)
【№9】該当条文の説明
この特例の根拠は、**租税特別措置法第41条の19「特定の基準所得金額の課税の特例」**です。
令和5年度税制改正で新設され、令和7年分以降の所得税に適用されます。
目的は、極めて高い所得を得る人に対しても、一定の税負担を確保し、税の公平性を保つことです。
条文の基本的な流れは次の3段階です。
① 「基準所得金額」を計算する
給与・事業・不動産所得に加え、確定申告不要の株式配当や譲渡益も含みます。
つまり、実際の経済的所得をすべて合算するイメージです。
② 「基準所得税額」を求める
確定申告書上の所得税額に、確定申告不要分の源泉徴収税額(復興特別所得税含む)を加えます。
③ 「(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5%」から基準所得税額を差し引き、残額を追加納税します。
ゼロ以下の場合は課税なしです。
★背景
この仕組みは、株式配当や譲渡益が多いほど税率が低下する「実効税率の逆転」を防ぐために導入されました。
高所得者が分離課税を多用することで、年収数億円でも負担率が低くなる現象を是正する狙いがあります。
★実務上のポイント
判定は「個人単位」で行われ、配偶者の所得は合算しません。
各種控除を差し引く前の所得総額で比較します。
令和7年分以降の所得税計算・予定納税減額申請で利用されます。
所得が集中する株式売却・退職金受取・M&Aの際は注意が必要です。
静岡・浜松などのオーナー経営者層では、事業承継や資産売却で一時的に対象となるケースが想定されます。
そのため、税理士と連携し、所得の分散や受取時期の調整を検討することが有効です。
この条文は、いわば「日本版のミニマム課税制度」であり、
所得税の構造に“最低負担のライン”を設けた新しい考え方といえます。
【№10】おわりに
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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