新リース税制と“資産の賃貸借”の範囲
2025年10月23日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「新リース税制と“資産の賃貸借”の範囲」についてお伝えさせていただきます!
2025年7月、国税庁は改正法人税基本通達を公表し、新リース会計基準と税務上の「資産の賃貸借」との関係を整理しました。
この改正により、形式的にリース契約でなくても、実質的に資産の使用権を移転する契約は「資産の賃貸借」とみなされることが明確に。
つまり、実質リース(隠れリース)も税務上のリース取引として扱われる可能性が高まります。
★重要:今回の改正は「契約の形」より「経済的実質」で判断する点が最大のポイントです。
企業は、会計上リースと識別された契約が税務上もリース取引に該当するかを確認し、
ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを正確に区分する必要があります。
静岡・浜松の中小企業でも、設備リースやシステム利用契約の税務判断に影響するため、
契約内容の見直しと処理の整合性確認が今後の実務で重要になります。
【№2 結論】
★重要
新リース会計基準の適用により、「実質リース」も法人税法上のリース取引として扱うことが明確になりました。
新基準では、「特定資産を一定期間、対価と交換に使用する権利を移転する契約」はすべて「リース」と定義。
国税庁の改正法人税基本通達(法基通12の5-1-1、12の5-3-1)で、
「資産の賃貸借」には新リース会計基準における“リース”が含まれると明文化。
これにより、これまで「役務提供」「レンタル契約」として処理していた取引も、
内容によっては法人税上のリース取引に該当する可能性が高まります。
★注意
会計上は「すべてオンバランス処理(資産計上)」となりますが、法人税法上は従来どおり**ファイナンス・リース取引(FL)**と**オペレーティング・リース取引(OL)**の区分に応じて課税計算を行います。
すなわち、
FL(ファイナンス・リース取引)=所有リスク・経済的利益を実質的に移転
OL(オペレーティング・リース取引)=単なる使用貸借(短期貸付など)
という区別は、依然として有効です。
これにより、企業は「新基準下でリースと識別された契約」が
法人税法上どちらのリースに該当するかを改めて判定する必要があります。
この「リース識別」「資産の賃貸借」判定のズレが、税務調査における指摘ポイントになりやすいため、実務対応は慎重に進めることが重要です。
【№3 やさしい解説】
今回の改正では、「会計上のリース」と「税務上のリース」のズレを埋める点が大きな目的です。
これまで、会計では“実質で判断”、税務では“形式で判断”されるケースが多く、同じ契約でも処理が異なる問題がありました。
新リース会計基準では、契約の名称に関わらず、「特定の資産の使用を一定期間、対価を払って行う取引」はすべてリースとみなされます。
つまり、設備利用契約やITシステムの使用契約でも、内容によってはリースに該当します。
これに対して、法人税法上の「資産の賃貸借」は、これまで明確な定義がありませんでした。
今回の改正法人税基本通達では、「資産の賃貸借」には民法上の賃貸借契約だけでなく、「資産を使用する権利を一定期間、対価と交換に移転する行為」も含まれることが明示されました。
★重要:つまり、リース契約の“形”に関係なく、「実質的に資産の使用権を移転する」場合は、税務上もリースとみなされるということです。
実務では、契約期間・解約条件・残価設定などを確認し、「経済的実質」に基づいて判断する必要があります。
静岡・浜松の企業でも、システム利用契約や設備の長期貸与など、リース該当性の見直しが求められる場面が増えるでしょう。
特に中小企業では、リース資産の会計処理と税務処理を一致させることが、決算効率化の第一歩になります。
【№4 具体例】
以下では、新リース税制の適用が想定される具体例を10件挙げます。
各ケースを通じて、「実質リース」と判断されるポイントを確認しましょう。
① 工場設備を5年間固定で使用し、解約不可の契約を結んだケース
→ 実質的に所有権移転を伴うため、ファイナンス・リースの可能性が高い。
② 医療機関が検査機器を月額使用料で契約しているケース
→ 機器が特定され、使用期間中は入れ替え不可なら、リース該当の可能性。
③ ITシステム利用契約(クラウド型でないオンプレミス型)
→ 専用サーバーを独占的に使用する場合、「使用権移転」として扱われる。
④ 建設会社がリース業者から重機を借り、長期使用しているケース
→ 使用実態・契約期間・残価設定を踏まえ、ファイナンス・リースに該当。
⑤ 飲食店が厨房機器を3年契約で利用、契約終了時に無償譲渡
→ 経済的に所有権移転と同等と判断される可能性がある。
⑥ 介護施設がベッド・リフトをリース導入し、途中解約不可契約
→ 「資産の賃貸借」に該当し、会計上・税務上ともにリース処理対象。
⑦ 小売店がPOSレジをメーカーから長期貸与される契約
→ 販売支援目的でも、契約形態・使用権の移転内容により課税上リース認定。
⑧ 建設現場で発電機や仮設資材を長期間専用利用するケース
→ 複数現場への転用がない場合、実質的なリースと判断される。
⑨ 広告代理店がデジタルサイネージ機材を設置・固定使用
→ 機材が特定され、契約期間中の自由な変更ができない場合はリース扱い。
⑩ 教育機関が学内ネットワーク機器をリース導入
→ 機器の特定性と契約内容次第で「資産の賃貸借」として処理される。
★注意
形式上「レンタル」「利用契約」としていても、実質的にリース条件(特定資産・使用権の独占・契約期間の固定)を満たせば、リースと判定される場合があります。
したがって、契約書の文言よりも、実際の使用形態と経済的実質が判断基準になります。
【№5 手順】
では、実務ではどのように対応すべきかを具体的に見ていきましょう。
新リース税制に対応するための基本的な流れは次の通りです。
① 契約内容を確認し、資産が特定されているかをチェック。
② 契約期間中に解約・代替ができない場合は、実質リースの可能性を検討。
③ 対価の総額が資産価値の大部分を占める場合、ファイナンス・リースの要件に該当。
④ 所有権移転や残価保証などの条項がある場合は、税務上もリース処理が必要。
⑤ 契約を一覧化し、会計・税務双方で「リースに含まれるもの」を分類。
⑥ リース該当契約について、会計上の識別結果を踏まえて所得計算を行う。
★重要:
税務上の「資産の賃貸借」に該当すると、償却資産税の扱いや損金算入時期に影響が出るため、経理部門と顧問税理士の連携が欠かせません。
また、企業規模を問わず、契約ごとにリース該当性をチェックする仕組みを整えることが今後の課題です。
特に静岡・浜松地域の中小企業では、クラウドシステムや業務機器など、契約形態が多様化しているため、「どの契約がリース扱いになるのか」を早期に明確化することが実務的なリスク回避につながります。
【№6 FAQ】
① Q:新リース会計基準は中小企業にも適用されますか?
A:原則として上場企業等が対象ですが、将来的に中小企業基準への反映が見込まれます。
リース取引の契約内容は同様の概念で整理しておくと、後の対応がスムーズです。
② Q:契約書に「リース」と書いていなければ関係ない?
A:いいえ。名称ではなく「実質内容」で判断します。
特定資産を一定期間独占利用する契約なら、形式がサブスクやレンタルでもリースに該当します。
③ Q:コピー機や社用車のリースはすべてファイナンス扱いですか?
A:多くはファイナンス・リース(解約不可・フルペイアウト)に該当しますが、
短期契約や返却前提のものはオペレーティング・リースです。
④ Q:税務と会計でリース処理が違うのはなぜ?
A:会計は「資産実態の反映」を重視し、税務は「課税の公平性」を優先しているためです。
税務では従来通り、リース区分ごとの処理を維持しています。
⑤ Q:クラウドサーバー契約もリースになりますか?
A:専有利用(他者が使えない領域の独占使用)であればリースに該当します。
共有型クラウド(他者と共用)の場合は通常リース外です。
⑥ Q:契約の判定はどのタイミングで行えばよいですか?
A:契約締結時に行います。
途中で条件変更がある場合は再判定が必要です。
⑦ Q:リース料は損金算入できますか?
A:オペレーティング・リースは全額損金。
ファイナンス・リースは資産計上後、減価償却・利息相当額として損金計上します。
⑧ Q:税務調査で見られるポイントは?
A:「実質リースなのに経費処理している契約」が指摘対象です。
特に、機械・車両・システム利用契約は注意が必要です。
⑨ Q:静岡・浜松の中小企業ではどんな契約が対象になりやすい?
A:医療機器、介護機器、POSレジ、業務用パソコンなど。
リース会社やベンダーとの契約が多い業種(医療・介護・製造・小売)は特に確認を。
⑩ Q:契約書が古く内容不明な場合は?
A:まずコピーを顧問税理士に提示し、所有・利用の実態を確認してください。
契約内容不明のまま経理処理を続けると、税務リスクが高まります。
★重要ポイントまとめ
契約名称ではなく実質内容で判定
専有利用型の契約はリースに含まれる可能性
税務調査では「経費処理の妥当性」が焦点
静岡・浜松の中小企業も早めの契約整理が鍵
【№7 まとめ】
新リース会計基準の導入により、形式にかかわらず「実質的に特定資産を使用する契約」は
すべてリースとして扱われる方向に整理されました。
税務上も、改正法人税基本通達で「資産の賃貸借」の範囲が広がり、民法上の賃貸借に限らず、使用権を一定期間対価と交換に移転する契約もリースに該当することが明確化されました。
【中小企業が今行うべき対応】
① 契約の洗い出し
「リース」「レンタル」「サブスク」など、資産を使う契約をすべて一覧化します。
② 内容の確認
期間・解約・残価などを確認し、実質リースに該当するかを判断します。
③ 税務と会計の整合
会計は全リースを資産計上、税務は区分処理(ファイナンス/オペレーティング)を継続。
④ 顧問税理士との連携
契約段階から内容を共有し、処理区分を明確にしておきましょう。
【経営上のポイント】
★重要
リース範囲拡大により、貸借対照表上の資産・負債が増える企業もあります。
金融機関の与信や補助金審査に影響する可能性があるため、契約整理と情報共有が不可欠です。
静岡・浜松の中小企業でも、設備・車両・クラウド契約などが実質リースとなるケースが増えています。今後は「契約の中身」で判断する時代です。
【まとめの一文】
新リース税制の本質は「資産をどう使うか」の見直しです。
形式にとらわれず、実質に基づく判断と、顧問税理士との継続的な確認が鍵となります。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3860号(2025年7月21日)「新リース税制 新会計基準のリースと『資産の賃貸借』の範囲」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.5405 リース取引と税務上の取扱い」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法 第53条(賃貸借取引)」および「法人税法 第64条の2(リース取引)」 (参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税基本通達12の5-1-1」「12の5-3-1」(参照日:2025-10-08)
参考:企業会計基準委員会「企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準」(改正2024年版)
参考:厚生労働省「年金制度改革法(令和6年法律第38号)」附帯説明(関連背景)
【№9 該当条文の説明】
① 法人税法第53条(賃貸借取引)
法人が他者に資産を貸す場合の取扱いを定めた条文です。
「資産の賃貸借」としての性質を持つ取引は、リース契約に限らず、一定期間にわたり資産の使用を対価と交換に移転する行為全般を含みます。
この条文が、オペレーティング・リース取引の基本的な位置づけとなります。
② 法人税法第64条の2(リース取引)
ファイナンス・リース取引の取扱いを定める条文です。
中途解約禁止・フルペイアウト(全額回収)の要件を満たす場合、形式上は賃貸借でも、実質は売買に近いとみなして課税関係を整理します。
減価償却の帰属、利息相当部分の処理などが明確に区分されます。
③ 法人税基本通達12の5-1-1・12の5-3-1
改正により、「資産の賃貸借」の範囲を拡大した重要通達です。
これまで曖昧だったリース取引の境界線を整理し、民法上の賃貸借契約に限らず、「使用権の移転」も含むことを明文化しました。
これにより、新リース会計基準に基づく“実質リース”も課税対象に含まれることが明確化されました。
④ 企業会計基準第13号(リース取引に関する会計基準)
会計上の「リースの識別」を定めた基準です。
契約形態を問わず、特定資産の使用権が一定期間対価と交換で移転される場合、その契約をリースと認識します。
法人税法上の「資産の賃貸借」との整合を取るため、契約ごとの識別と税務区分が実務上の重要ポイントとなります。
⑤ 民法第601条(賃貸借)
賃貸借の基本的な定義を示す条文です。
物の使用・収益を目的とし、貸主が使用を認め、借主が賃料を払う契約を指します。
税務上はこの定義を超え、形式上賃貸借でなくても、実質的に同様の性質を持つ取引を「資産の賃貸借」とみなします。
【実務的要点】
★重要
会計と税務の定義がずれる部分は「通達」で補完されている。
形式よりも実質を優先するのが今回の改正の核心。
通達の理解が不十分だと、リース資産の区分ミスや損金計上時期の誤りが起こりやすい。
【条文と経営判断の関係】
中小企業においては、新リース会計基準の適用対象外であっても契約内容が「資産の賃貸借」に該当する可能性があるため、契約内容・使用実態・支払条件を丁寧に確認することが必要です。
静岡・浜松の企業でも、設備リースやクラウド利用契約など、「形式は役務提供だが実質はリース」とされるケースが少なくありません。
税務判断に迷う場合は、必ず顧問税理士と条文レベルでの確認を行いましょう。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、
静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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