中小企業経営強化税制E類型(経営規模拡大設備等)
2025年10月27日
【№1】はじめに
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信し、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念のもと、ITと会計の力で中小企業の業務を効率化し、経営を強くする支援を行っています。
今回のテーマは、令和7年度改正で新設された「中小企業経営強化税制E類型(経営規模拡大設備等)」です。
この制度は、これまで対象外だった建物や附属設備への大型投資を税制優遇の対象にできる新しい仕組みで、
売上10億円超の中堅企業が「成長投資」と「賃上げ」を同時に実現することを目的としています。
静岡・浜松など製造業や物流業が多い地域では、工場や倉庫の新設・増設を行う企業に特に注目されています。
本稿では、制度の基本、手続き、具体例までをわかりやすく解説します。
将来の投資計画や事業拡大をお考えの経営者様は、ぜひ参考になさってください。
【№2】結論
E類型は、令和7年度に新しくできた「会社の成長を応援する税制」です。
これまで対象外だった建物や附属設備も、税金の優遇を受けられるようになりました。
対象は、売上が10億円を超えて90億円未満の中堅企業です。
そして、ただ設備を買うだけでなく、「売上を伸ばし、社員の給料を毎年少しずつ増やす計画」を立てることが条件です。
優遇内容は次のとおりです。
給与を2.5%以上上げると:特別償却15%または税額控除1%
給与を5%以上上げると:特別償却25%または税額控除2%
★注意
この制度を使うと、ほかの中小企業向けの特例とは一緒に使えません。
また、経産局への報告を忘れると優遇が受けられなくなります。
静岡や浜松の企業では、新しい工場や倉庫を建てるときに活用され始めています。
E類型は「次のステージを目指す会社」を後押しする新しい仕組みです。
【№3 やさしい解説】
E類型(経営規模拡大設備等)とは、経済産業大臣の確認を受けた「投資計画」に基づいて、
企業の売上拡大や生産性向上につながる大型投資を行う場合に、特別償却または税額控除を認める制度です。
他の類型(A~D類型)と違い、E類型は「より大規模な投資と成長目標」を求められます。
つまり、一般的な中小企業より一歩上の「中堅企業」層に焦点を当てています。
【対象企業】
前期の売上高が10億円を超え、90億円未満の中小企業
個人事業主は対象外
売上100億円超を目指し、事業・財務・組織基盤が整っていること
【対象設備】
建物および附属設備(取得価額1,000万円以上)
生産性向上に資する設備を設置するための新設・増設工事
投資額が1億円以上または前期売上高の5%以上のいずれか高い額
★注意
建物等の着工は、経営力向上計画の認定後でなければ特例を受けられません。
また、経営力向上計画に「E類型」を明示した場合、他の中小企業向け税制の重複適用は不可です。
【投資計画の主な要件】
① 売上高100億円超を目指す中期的なロードマップを策定
② 年平均投資利益率7%以上を見込むこと
③ 投資期間中、給与等支給額を毎年段階的に増加させること
④ 事前に「100億宣言」を行うこと
つまり、E類型は「事業拡大」と「賃上げ」を両立することが前提です。
形式的な投資だけでは認定されず、成長性・実現可能性を示す経営計画書が求められます。
【税制上の優遇措置】
設備取得後、次のいずれかを選択可能です。
特別償却(15%または25%)
税額控除(1%または2%)
この控除率は、「賃上げ率」に応じて決まります。
賃上げ率2.5%以上なら15%償却または1%控除、5.0%以上なら25%償却または2%控除です。
【報告義務のポイント】
E類型では、以下の2種類の報告書を経済産業局に提出します。
① 投資計画実施状況報告書(毎年)
② 給与増加割合報告書(供用年度ごと)
①は、投資利益率や給与支給実績を報告するもの。投資期間が続く限り、毎年提出が必要です。
②は、建物・附属設備の特別償却や税額控除を受けるための賃上げ証明書類にあたります。
どちらも税務申告書に添付が必要で、提出期限を過ぎると特例が受けられなくなるおそれがあります。
【№4】具体例
E類型は「売上拡大につながる大型投資」に使えます。
静岡・浜松では、工場・倉庫・研究施設などへの投資が中心です。
① 製造業(浜松市)
金属加工会社が新工場を建設。ロボット溶接ライン導入で生産力アップ。投資3億円、給与5%増。特別償却25%を適用。
② 食品製造業(静岡市)
冷凍倉庫を新設し、全国出荷体制を強化。投資1.8億円。給与を毎年4%増やす計画で認定。
③ 物流業(袋井市)
仕分けロボットと温度管理設備を導入。投資2.5億円。売上20%増を計画しE類型を申請。
④ 医療機器販売業(静岡市葵区)
研究開発施設を新設。滅菌設備を整備し、研究職を増員。投資1.2億円。給与増加率4%で税額控除2%。
⑤ 精密部品製造業(浜松市北区)
老朽工場を建て替え。新本社工場に最新設備を導入。投資4.5億円。経営力向上計画認定後に着工。
⑥ 建設業(島田市)
資材倉庫を新設。保管効率化で利益率向上を目指す。投資1.3億円。投資利益率8%で認定。
⑦ 農産物加工業(藤枝市)
新加工施設を建設し、観光体験エリアを併設。売上倍増を目標。投資1億円超でE類型を利用。
⑧ 医療法人(浜松市中区)
リハビリ特化施設を新設。建物と附属設備で1.6億円。給与5%増を計画して申請。
⑨ 卸売業(静岡市清水区)
新配送センターを整備。冷蔵設備・自動ラックを導入。投資2億円。特別償却15%適用。
⑩ IT関連業(浜松駅前)
データセンター機能を備えたオフィス新築。サーバー冷却装置を設置。給与3.5%増計画で適用。
★まとめ
製造・物流・医療・ITなど幅広い業種で使えます。
共通点は「売上拡大」「人材投資」「事前計画」。
静岡・浜松の中堅企業にとって、次の成長を支える税制です。
【№5】手順
E類型を適用するには、次の流れで進めます。
他の制度よりも「認定と報告」が大切です。
① 投資計画を作成
売上100億円超を目指す中期計画と、給与増加のロードマップを策定。投資利益率7%以上が目安。
② 「100億宣言」
E類型専用の意思表示。経営拡大の意思を示す書面を提出。
③ 経営力向上計画の申請
経産局へ申請し、E類型の記載を明示。認定前に着工すると対象外なので注意。
④ 建物・設備の取得
認定後に建設・設置を行い、供用を開始。ここから特例がスタート。
⑤ 実施状況報告書
期末から4か月以内に提出。投資利益率と給与支給実績を報告。投資期間中は毎年提出。
⑥ 給与増加割合報告書
供用年度終了後20日以内に提出。経産局印付き写しを税務申告に添付。
⑦ 税務申告
特別償却または税額控除を適用。賃上げ率によって控除率が変わる。
★注意
期限遅延は無効になる場合あり。
建設スケジュール管理が重要。
認定前発注は対象外。
静岡や浜松では、工事前に税理士・行政書士と連携することが失敗を防ぐポイントです。
E類型は、計画・認定・報告の3点を正しく行えば、投資負担を大きく減らせる有効な制度です。
【№6 よくある質問(FAQ)】
E類型の制度は新しく、実務でも多くの質問が寄せられています。
ここでは、現場で特に多い疑問を整理して回答します。
① Q:E類型と他のA~D類型の違いは?
A:E類型は「建物・附属設備」を含む大規模投資が対象で、売上10億円超の中堅企業向けです。
他類型は中小企業全般を対象とした比較的規模の小さい投資です。
② Q:個人事業主は利用できますか?
A:できません。法人のみが対象です。中小企業者の定義に該当しても、個人事業主は適用外です。
③ Q:建物の増改築でも対象になりますか?
A:はい、増設・新設・改修のいずれも、経営規模拡大に資する内容であれば対象になり得ます。
ただし、単なる修繕・美観改善などは対象外です。
④ Q:申請前に建設を始めてしまった場合はどうなりますか?
A:経営力向上計画の認定前に着工したものは対象外です。
必ず認定書を取得してから契約・着工してください。
⑤ Q:報告書はいつまで提出すればいいですか?
A:「投資計画実施状況報告書」は毎年、事業年度終了後4か月以内に提出します。
「給与増加割合報告書」は供用年度終了後20日以内です。
⑥ Q:賃上げ率の計算方法を教えてください。
A:投資計画に記載した従業員給与等支給額を基準に、事業供用年度の実績額と比較して算出します。
単年度比較ではなく、計画全体で段階的増加を確認されます。
⑦ Q:E類型を使うと中小企業投資促進税制が使えなくなる?
A:はい。E類型を経営力向上計画に記載した場合は、同一設備について他の特例と併用できません。
⑧ Q:静岡県内で相談できる窓口は?
A:経済産業省中部経済産業局または静岡県産業振興財団が窓口です。
また、浜松市や静岡市の地元税理士法人(例:最高のIT税理士法人)でも申請支援を行っています。
⑨ Q:税務署への提出はどうなりますか?
A:税務申告時に、経産局受領印付きの報告書を添付する必要があります。
添付を忘れると控除が認められない場合があります。
⑩ Q:浜松市内の製造業でも対象になりますか?
A:もちろんです。売上規模・投資規模・成長計画が要件を満たせば、静岡・浜松どちらの企業でも利用可能です。
特に製造業・物流業・医療法人などが対象になりやすいです。
⑪ Q:給与を増やせない年があったらどうなる?
A:原則は要件不達成とみなされますが、経済情勢など合理的理由があれば経産局に説明を行い再確認を受けることが可能です。
⑫ Q:特別償却と税額控除、どちらを選ぶべき?
A:利益が多い年度は税額控除、利益が少ない年度は特別償却を選ぶと効果的です。
決算状況に応じて使い分けましょう。
【№7 まとめ】
E類型は、これからの中堅企業が「大きな投資で企業規模を拡大する」ための制度です。
これまで建物は対象外だった中小企業経営強化税制に、新たな扉を開いたといえます。
この制度の要点を整理します。
対象は前期売上10億~90億円の中堅企業
建物・附属設備(1,000万円以上)が対象
投資利益率7%以上、売上100億円超を目指す成長計画が必須
給与等支給額を段階的に増加させること
特別償却または税額控除(賃上げ率で変動)
経産局への報告書2種類(毎年+供用年度)提出が義務
他の中小企業投資促進税制との併用不可
★重要
書類の不備や提出遅延は特例適用を失うリスクがあります。
必ず税理士や行政書士の専門サポートを受け、計画・申請・報告を確実に進めましょう。
静岡市・浜松市では、製造・流通・医療・IT企業など、さまざまな業種がE類型を活用できる環境があります。
地域の産業力を支える中堅企業こそ、今後の投資計画の柱として検討すべき制度です。
【№8】出典
出典:『税務通信』第3860号(2025年07月21日)「中小企業経営強化税制 E類型は2つの報告書の提出が必要」
参考:国税庁タックスアンサー「No.5270 中小企業経営強化税制」(参照日:2025-10-14)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法第42条の6」(参照日:2025-10-14)
【№9】該当条文の説明
中小企業経営強化税制E類型は、令和7年度改正によって新たに創設された「成長型投資を支援する中堅企業向け税制」です。
対象は、前期売上10億円超90億円未満の法人に限定され、建物およびその附属設備といった大型投資が対象になります。
この制度の最大の特徴は、「成長」と「賃上げ」を一体で評価する点です。
単なる設備投資ではなく、経営規模の拡大と人への還元を前提としています。
経産局への毎年の実施報告と、給与増加割合報告という2つの書類提出が求められ、経営計画の実行と進捗管理が厳格にチェックされます。
静岡・浜松地域では、製造業・物流業・建設業を中心に、新工場や倉庫の建設、設備更新、IT化推進の際にこの制度を活用できる可能性が高まっています。
地域の産業構造に合った「経営規模拡大型」の税制であるため、静岡県のように製造拠点を多く持つ企業には非常に有効です。
★重要
E類型の最大の落とし穴は「認定前着工」と「報告書未提出」です。
どちらも一度発生すると特例が無効になります。
制度の適用を確実に行うためには、税理士・行政書士・経産局の三者連携が不可欠です。
E類型をうまく活用できれば、
・建物建設費の一部を税制優遇で回収できる
・賃上げにより人材定着率が上がる
・経営計画を通じて組織力が強化される
という3つの経営効果を同時に得ることができます。
静岡・浜松の中堅企業の皆さまも、次の10年を見据えた「成長投資」の選択肢として、E類型を積極的に検討してみてください。
【№10】おわりに
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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