信託と小規模宅地等の特例の適用関係

2025年12月16日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「信託と小規模宅地等の特例の適用関係」をお伝えさせていただきます!
近年、いわゆる民事信託(家族信託)を活用して、ご自宅や賃貸アパートなどの管理を家族に任せるケースが増えています。
一方で「信託に入れた自宅でも、小規模宅地等の特例は使えるのか」「信託が終わったときに戻ってきた土地はどう扱うのか」といったご質問を、静岡や浜松の経営者・資産家の方から多くいただきます。
★重要
結論から言うと、信託を使っていても、一定の条件を満たせば小規模宅地等の特例(以下、小宅特例)は適用できます。
ただし「信託受益権を相続した場合」と「信託終了で残余財産として土地そのものを取得した場合」とで、条文上の考え方が少し違います。
本稿では、中小企業の社長やご家族にも分かるように
そもそも小宅特例とは何か
信託受益権を相続したときにどう考えるか
信託終了で残余財産として土地を取得したときにどう考えるか
実務で押さえるべきチェックポイント
を、具体例とともに整理していきます。

【№2 結論】

まず、大きな結論を先にまとめます。
① 被相続人が委託者兼受益者で、自宅や賃貸物件を信託財産としていた場合
相続発生後も信託が続き、相続人が「信託受益権」を取得したとき
→ 相続税法9条の2や租税特別措置法施行令40条の2第27号等の準用により、信託財産に属する自宅や賃貸物件を取得したものとみなして、小宅特例の適用が可能です。
② 相続開始と同時、またはその後に信託が終了し、土地建物そのものを「残余財産」として相続人が取得した場合
残余財産は「信託受益権」ではなく、元の不動産そのものに戻った形です。
→ 相続税法上は遺贈により取得したものとみなされるため、通常の相続財産として小宅特例の対象になり得ます。
③ いずれの場合も、小宅特例の一般的な要件(居住用か事業用か、面積要件、継続居住・継続事業など)を満たしていることが前提です。
★注意
「信託だから小宅特例は使えない」と早合点してしまうのは危険です。
一方で、信託だから自動的に有利になるわけでもありません。
契約内容、信託受益権や残余財産の取得者、相続人の居住状況などを、条文に照らして丁寧に確認する必要があります。

【№3 やさしい解説】

ここからは、できるだけ専門用語をかみ砕いて、全体像を整理します。
① 小規模宅地等の特例とは
相続した自宅や事業用・賃貸用の土地について
条件を満たせば、評価額を最大80%まで減額できる制度です。
例えば、特定居住用宅地等なら330㎡まで、評価額が80%減額されます。
相続税の負担を大きく下げる、とても重要な特例です。

② 信託とは
委託者(財産を預ける人)が、受託者(管理を任せる人)に財産を託し
受益者(利益を受ける人)が、そこから生じる利益を受け取る仕組みです。
民事信託では、親が委託者兼受益者になり、子が受託者になる形がよく使われます。

③ 相続が起きたときの二つのパターン
信託された自宅や賃貸物件について、相続後は次のどちらかになります。
パターンA:信託が継続し、子などが受益者になる
→ 相続人は「信託受益権」を相続したことになります。
相続税法9条の2は、「その信託財産に属する資産を取得したものとみなす」と定めています。
パターンB:相続などをきっかけに信託が終了し、財産そのものが残余財産として相続人に帰属する
→ 相続人は「残余財産」を遺贈により取得したものとみなされます。

④ なぜ信託でも小宅特例が使えるのか
パターンAでは
租税特別措置法施行令40条の2第27号や通達により、信託受益権を通じて、自宅や賃貸物件そのものを取得したものとみなして小宅特例を適用できると整理されています。
パターンBでは
信託が終わった後は、財産の形が「元の不動産」に戻っているため、あえて特別な準用規定がなくても、通常の相続財産として小宅特例の対象にできると解されています。

⑤ 実務でのポイント
どの土地が信託財産なのか
相続時点で信託が続いているか、終了しているか
誰が信託受益権や残余財産を取得したか
被相続人や相続人が、いつからその土地に住んでいたのか、どのように事業や賃貸に使っていたか
これらを整理した上で、小宅特例の要件(居住用、事業用、貸付事業用など)にあてはめていくことが大切です。
静岡市や浜松市でも、親の認知症対策として家族信託を組成し、その後の相続税申告で小宅特例をどう扱うかというご相談が増えています。
地域の実情を踏まえながら、一件ずつスキームを確認することが重要です。

【№4 具体例】

信託と小規模宅地等の特例の関係をイメージしやすくするために、代表的な10パターンを、ごく簡潔にまとめます(実務では必ず個別確認が必要です)。
① 自宅信託+同居相続
父が自宅を信託し、死亡後も同居していた子が受益者として住み続けるケース(要件を満たせば特定居住用宅地等として小宅特例の対象)。

② 自宅信託+別居子が受益者
自宅を信託していたが、死亡後の受益者が遠方の別居子で誰も住まないケース(原則として居住要件を満たさず小宅特例の適用は困難)。

③ 賃貸アパート信託+賃貸継続
賃貸アパートを信託し、死亡後も子が受益者として賃貸経営を続けるケース(貸付事業用宅地等として小宅特例の検討対象)。

④ 自宅兼賃貸ビル信託
自宅兼賃貸ビルを信託し、死亡後も子が上階に居住し1階を賃貸するケース(土地を居住用部分と貸付部分に按分し、それぞれ小宅特例の可否を判定)。

⑤ 信託終了で自宅が残余財産として帰属
死亡により信託が終了し、自宅土地建物が残余財産として同居子に帰属するケース(通常の相続財産として特定居住用宅地等の小宅特例を検討)。

⑥ 残余財産として空き家取得
信託終了で自宅が残余財産として別居子に帰属し、誰も住まないケース(原則として小宅特例は難しいが、「家なき子」要件などを満たすか個別検討)。

⑦ 自宅受益権を兄弟で共有
自宅を信託し、死亡後に兄弟2人で受益権を共有するケース(実際に居住する側の持分に対応する宅地部分のみ、小宅特例の対象となり得る)。

⑧ 事業用地信託+事業継続
工場用地など事業用地を信託し、死亡後も子が受益者として同じ場所で事業を継続するケース(事業用宅地等として小宅特例の検討対象)。

⑨ 老人ホーム入居中の自宅信託
被相続人は老人ホーム入居中で、自宅は信託財産として空き家管理されていたケース(老人ホーム特例の扱い等を踏まえ、特定居住用宅地等の可否を個別判断)。

⑩ 多段階受益者(祖父→祖母→子)
自宅を信託し受益者を「祖父→祖母→子」と段階的に設定したケース(各相続のタイミングで、受益者の居住状況に応じて小宅特例の適用可否をその都度判定)。

【№5 手順】

信託と小規模宅地等の特例を検討するときの基本的な流れを、できるだけシンプルにまとめます。
1 現状整理
被相続人の家族構成、保有不動産(自宅・賃貸・事業用)と評価額の目安を整理します。

2 信託契約書の確認
誰が委託者・受託者・受益者か、信託終了事由、残余財産の帰属先を確認します。

3 相続時の取得形態を整理
相続発生後に、相続人が「信託受益権」を取得するのか、「残余財産(不動産そのもの)」を取得するのかを書き出します。

4 小規模宅地特例の対象候補を抽出
自宅用・事業用・賃貸用など、区分ごとに「誰が引き継ぐか」「どこに住み続けるか・事業継続するか」を候補ベースで整理します。

5 条文要件のチェック
措法69条の4、施行令40条の2、通達69の4-2などを参照し、各候補について適用可否をざっくり判定します。

6 シミュレーション
特例あり・なしの場合の相続税額を簡易試算し、どの相続人がどの宅地を取得するのが合理的かを比較します。

7 信託設計・遺言との整合
望ましい取得者・利用形態に合わせて、信託契約書や遺言・遺産分割の方針案をすり合わせます。

8 申告実務の準備
必要書類(信託契約書、登記事項証明書、住民票など)をリスト化し、相続税申告書・小規模宅地等の明細書の作成を進めます。
静岡・浜松エリアの経営者の方で、民事信託と小規模宅地特例を同時に検討される場合は、上記の流れを税理士と一緒に確認しながら進めると安心です。

【№6 FAQ】

信託と小規模宅地等の特例について、よくある質問をコンパクトにまとめます。
① 信託受益権でも小規模宅地等の特例は使えますか。
条件を満たせば、信託受益権を通じて自宅や賃貸物件の「宅地等」を取得したとみなされ、小宅特例の対象となる場合があります。

② 信託終了で自宅が残余財産として相続人に渡った場合はどうなりますか。
残余財産として自宅を取得したケースは、通常の相続・遺贈と同じ扱いとなり、要件を満たせば小宅特例の対象になり得ます。

③ 信託受益権を兄弟で共有した場合、特例はどう按分されますか。
実際に居住する人や事業を継続する人の持分に対応する部分について、要件を満たす範囲で小宅特例を適用する形が基本です。

④ 「信託受益権」と「残余財産」で、実務上の大きな違いは何ですか。
受益権は「信託が続いている状態」での取得、残余財産は「信託が終わって元の財産の形に戻った状態」での取得、という点が異なりますが、どちらも条件次第で小宅特例の対象となり得ます。

⑤ 被相続人が生前に老人ホームへ入居していた場合でも、小宅特例は使えますか。
一定の要件を満たせば、老人ホーム入居中であっても、自宅が小規模宅地等の特例の対象になることがあります。信託している場合も同様に個別検討が必要です。

⑥ 賃貸アパートを信託していた場合、小宅特例はどうなりますか。
相続後も賃貸事業を継続していれば、貸付事業用宅地等として、小宅特例の対象になり得ます。利用実態と面積要件の確認が重要です。

⑦ 静岡や浜松の不動産を家族信託している場合でも、手続きは同じですか。
原則として全国共通の税制が適用されるため、静岡市・浜松市の物件でも考え方は同じです。地価や利用計画など地域の事情を踏まえつつ、条文の要件を確認します。

⑧ 信託財産に現金や有価証券も含まれていますが、小宅特例に影響しますか。
小宅特例の対象はあくまで「宅地等」です。信託財産に他の資産があっても、対象となる土地部分について要件を満たせば特例を検討できます。

⑨ 将来の受益者を何段階か指定している信託でも、小宅特例は使えますか。
祖父→祖母→子といった多段階の受益者設計でも、各相続時点ごとに「その時点の受益者と利用状況」を基に要件を満たせば、小宅特例の検討が可能です。

⑩ 税務調査で、信託と小規模宅地特例についてどんな点を聞かれやすいですか。
信託契約の内容、実際の居住・事業実態、面積按分の根拠、条文・通達の適用判断の理由などが確認されやすいため、資料とメモを整理しておくと安心です。

【№7 まとめ】

信託と小規模宅地等の特例のポイントを、最後に整理します。
信託を使っていても、小規模宅地等の特例は「使えなくなる」のではありません。
相続時に取得するものが「信託受益権」か「残余財産」かで、法律の条文の読み方が少し変わるだけです。
信託受益権を相続したときは、相続税法9条の2と措置法令40条の2第27号により、「信託財産に属する自宅等を取得したもの」とみなされます。
その結果、自宅等に対応する宅地について、通常の場合と同じように措置法69条の4の小規模宅地等の特例を検討できます。
一方、信託が終了して「残余財産」として自宅等を相続したときは、信託の『受益権』ではなく、もとの不動産そのものを遺贈により取得したとみなされます。
この場合も、小規模宅地等の特例は、信託をしていないケースと同じ発想で、条文の要件を満たす限り適用可能と整理されています。
いずれのケースでも、「誰が」「どの宅地について」「どの特例区分(自宅・事業・貸付など)で」適用を受けようとしているのかを、相続開始前から設計しておくことが大切です。
静岡市や浜松市で民事信託(家族信託)を活用しながら事業承継や資産承継をお考えの経営者の方は、信託契約の設計段階から相続税・小規模宅地特例との関係を確認しておくと安心です。
特に、自宅と賃貸物件が混在しているケースや、二次相続まで見据えた信託スキームでは、誰がどのタイミングで受益権・残余財産を取得するのかが争点になりやすく、専門家の関与が重要になります。
信託のメリット(認知症対策・管理の一元化など)と、小規模宅地等の特例による相続税圧縮効果は、正しく組み合わせれば強力なツールになりますが、誤った設計をすると想定外の税負担が生じることもあります。
以上を押さえたうえで、信託と小規模宅地等の特例をセットで検討することが、これからの資産承継・事業承継では非常に重要になります。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3870号(2025年10月6日)「信託と小規模宅地特例の適用関係」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(参照日:2025-12-02)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)」(参照日:2025-12-02)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令第40条の2(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例に関する政令)」 (参照日:2025-12-02)
参考:e-Gov法令検索「相続税法第9条の2(信託に関する相続税の課税等)」(参照日:2025-12-02)

【№9 該当条文の説明】

信託と小規模宅地等の特例に関係する主な条文を、要点だけ押さえます。
① 相続税法第9条の2(信託に関する相続税の課税等)
信託受益権を相続・遺贈により取得した人は、その受益権に対応する信託財産(自宅や賃貸物件など)を取得したとみなす条文です。
また、信託が終了して残余財産として自宅等を取得した場合は、その残余財産を遺贈により取得したとみなすと定めています。
信託を使っていても、相続税の課税関係を「通常の相続・遺贈」に近い形で整理できる根拠になります。

② 租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等の特例)
一定の親族が自宅や事業用などの宅地を相続・遺贈で取得した場合に、その評価額を大幅に減額できる特例の根拠条文です。
対象となる宅地の種類、面積上限、減額割合、同居要件や事業継続要件などが、この条文と関連規定で定められています。

③ 租税特別措置法施行令第40条の2(特例の詳細ルール)
措法69条の4を具体的に運用するための政令で、対象宅地の範囲や面積の考え方などを定めています。
第27号では、「信託受益権を通じて実質的に宅地を取得した場合」にも、小規模宅地等の特例を準用できることが示されています。

④ 措置通達69の4-2(信託受益権に係る取扱い)
実務担当者向けに、「信託財産に属する自宅等」をどう読み替えて特例を適用するかを説明した通達です。
受益者の居住・事業の実態や、相続後も利用を続けるかどうかなど、要件判断の方向性が整理されています。
これらの条文・通達を押さえることで、「信託を使っても、小規模宅地等の特例の射程にきちんと乗せる」ための設計とチェックがしやすくなります。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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