現物給与となる社宅家賃に係る所得税と社会保険の取扱いの違い
2026年1月16日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「現物給与となる社宅家賃に係る所得税と社会保険の取扱いの違い」をお伝えさせていただきます!
近年、人材確保や定着率向上を目的として、社宅制度を導入する企業が増えています。
特に静岡市や浜松市の中小企業では、住宅手当から社宅制度へ切り替える相談が目立ちます。
社宅制度は、従業員の可処分所得を高めやすく、福利厚生として有効です。
一方で、家賃設定を誤ると、思わぬ税金や社会保険料の負担が生じます。
多くの企業では、所得税基本通達に基づく「賃貸料相当額」を基準に家賃を決めています。
しかし、この方法だけで判断すると、社会保険の取扱いを見落としやすくなります。
所得税では問題がなくても、社会保険では「現物給与」として評価される場合があります。
その結果、従業員だけでなく、会社負担の社会保険料も増える可能性があります。
本コラムでは、社宅家賃について次の点をやさしく整理します。
1. 所得税における社宅家賃の考え方
2. 社会保険における現物給与の評価方法
3. 実務で失敗しやすい家賃設定の注意点
税務と社会保険の違いを正しく理解することで、制度を安心して運用できます。
【№2 結論】
結論からお伝えします。
社宅家賃の取扱いは、所得税と社会保険で評価基準が大きく異なります。
所得税では、所得税基本通達に基づく賃貸料相当額の50%以上を徴収していれば、
原則として従業員に給与課税は行われません。
このため、税務上は「かなり低い家賃設定」でも問題にならないケースがあります。
実際の支払家賃の1割から2割程度になることも珍しくありません。
しかし、社会保険では同じ考え方は通用しません。
社会保険では、厚生労働省告示に基づき、別の基準で現物給与を評価します。
多くの場合、床面積を畳数に換算し、都道府県別の基準額を乗じて計算します。
この金額は、所得税の賃貸料相当額より高くなる傾向があります。
その結果、所得税では非課税でも、社会保険では現物給与が発生します。
現物給与が発生すると、標準報酬月額が上がり、保険料負担が増えます。
★重要
社宅家賃の設定は、所得税だけで判断してはいけません。
必ず、社会保険の評価額も同時に確認する必要があります。
実務では、家主に支払う家賃の50%程度を従業員から徴収する方法が、
税務と社会保険のバランスを取りやすいケースも多く見られます。
ただし、企業の状況や物件内容によって最適解は異なります。
制度導入前に、税務と社会保険をセットで検討することが不可欠です。
【№3 やさしい解説】
ここでは、社宅家賃について
「なぜ所得税と社会保険で扱いが違うのか」を
できるだけかみ砕いて説明します。
まず押さえたい前提があります。
社宅は、会社が従業員に与える「金銭以外の利益」です。
このような利益は、税務・社会保険の世界では
「現物給与」と呼ばれます。
ただし、現物給与の評価方法は
税金と社会保険で、目的もルールも異なります。
1. 所得税における社宅家賃の考え方
所得税では、「従業員がどれだけ得をしたか」が基準です。
そのため、実際の家賃ではなく
国が定めた計算式で「経済的利益」を算出します。
この計算の根拠が、
所得税基本通達36-41などの通達です。
通達では、次のような考え方をします。
建物の固定資産税の課税標準額
建物の構造や規模
一定の算式
これらを使って「賃貸料相当額」を計算します。
そして、従業員から
この賃貸料相当額の50%以上を徴収していれば、
従業員に経済的利益はないものと扱われます。
★ポイント
所得税では「通達の算式」が絶対基準です。
実際の家賃がいくらかは、基本的に関係ありません。
2. 社会保険における社宅家賃の考え方
一方、社会保険は発想がまったく異なります。
社会保険では、「生活の対価として受けている価値」を
できるだけ実態に近く評価しようとします。
そのため、税務の通達は使いません。
厚生労働省告示に基づく独自ルールを使います。
代表的なのが、
「畳一畳あたり○円」という評価方法です。
協会けんぽの場合、
都道府県ごとに金額が定められています。
この金額は、毎年のように見直され、
近年は上昇傾向にあります。
計算の流れは次のとおりです。
居住用部分の床面積を算定
1.65㎡を1畳として畳数に換算
畳数×都道府県別の基準額
この金額が、
1か月あたりの「住宅の利益」とされます。
3. なぜ結果がズレやすいのか
ここで、ズレが生じます。
所得税の賃貸料相当額は、
実態家賃よりかなり低くなることが多いです。
一方、社会保険の評価額は、
居住面積が広いほど高くなりやすいです。
その結果、
所得税:非課税
社会保険:現物給与あり
という状態が発生します。
★注意
社会保険の現物給与は、
従業員負担だけでなく会社負担も増やします。
ここを見落とすと、制度導入後に
「こんなはずではなかった」となりがちです。
4. 実務で混乱しやすいポイント
実務で特に多い誤解は次の3つです。
1. 税務でOKなら社会保険もOKだと思い込む
2. 通達計算=安全だと考えてしまう
3. 家賃を低くすれば従業員が得だと考える
これらは、いずれも危険です。
社宅制度は、
「税務+社会保険」をセットで設計してこそ
本当のメリットが出ます。
【№4 具体例】
ここでは、社宅家賃をめぐる実務で本当によくあるケースを整理します。
所得税と社会保険のズレが、どこで生じるのかに注目してください。
1 静岡市のA社が、家主へ月10万円で賃貸した物件を社宅として提供しました。
所得税通達で算定した賃貸料相当額は月2万円でした。
A社は従業員から月1万円を徴収しました。
→ 所得税では非課税ですが、社会保険では現物給与が発生しました。
2 浜松市のB社では、家主家賃の50%である月5万円を社宅家賃としました。
所得税では問題ありませんでした。
社会保険の畳換算額も5万円以下でした。
→ 所得税・社会保険ともに現物給与は発生しませんでした。
3 役員社宅として高級マンションを借り上げました。
所得税の賃貸料相当額は低額でした。
しかし居住面積が広く、社会保険評価額が高額になりました。
→ 社会保険のみ現物給与が発生しました。
4 従業員から徴収する家賃を0円にしました。
→ 所得税・社会保険ともに全額が現物給与となりました。
5 固定資産税評価額が低い古い建物を社宅にしました。
所得税の賃貸料相当額は極端に低くなりました。
→ 所得税は非課税でも、社会保険は課税対象になりました。
6 床面積に玄関・廊下・トイレを含めて畳換算しました。
→ 社会保険の算定誤りとなり、後日修正を求められました。
7 洋室のみの物件を「畳がないから計算不要」と判断しました。
→ 1.65㎡=1畳換算が必要で、社会保険で指摘されました。
8 所得税のみを考慮して社宅家賃を決定しました。
→ 社会保険料の会社負担が想定以上に増加しました。
9 社宅制度を導入後、給与を減額しました。
→ 社会保険の標準報酬月額はすぐに下がらず、効果が限定的でした。
10 住宅手当から社宅制度へ切り替えました。
→ 所得税負担は軽減しましたが、社会保険の差額が残りました。
11 社宅家賃を毎年見直していませんでした。
→ 社会保険の基準額改定に気づかず、評価不足となりました。
【№5 手順】
社宅制度を安全に導入するための、基本的な流れです。
1. 物件情報を整理する
家主家賃
居住用床面積
固定資産税評価額
2. 所得税の賃貸料相当額を計算する
所得税基本通達36-41に基づく算式を使用します。
3. 社会保険の現物給与額を計算する
床面積を畳換算します。
都道府県別の基準額を確認します。
4. 両者を比較する
所得税だけで判断しないことが重要です。
5. 従業員から徴収する家賃額を決定する
税務と社会保険のバランスを考えます。
6. 制度導入後も定期的に見直す
社会保険の基準額は毎年変わります。
★重要
導入前に一度シミュレーションすることで、
後からの修正リスクを大きく減らせます。
【№6 FAQ】
Q1. 所得税で非課税なら社会保険も非課税ですか?
A1. いいえ。社会保険は独自基準で現物給与を評価します。
Q2. 社宅家賃はいくら徴収すれば安全ですか?
A2. 一律の正解はなく、両制度の評価額比較が必要です。
Q3. 役員社宅も同じ考え方ですか?
A3. 基本は同じですが、調査リスクは高くなります。
Q4. 家主家賃の50%が必ず安全ですか?
A4. 社会保険評価額次第では不足する場合もあります。
Q5. 固定資産税評価額は毎年確認すべきですか?
A5. はい。評価替えの影響を受けます。
Q6. 畳換算に含めない部分はどこですか?
A6. 玄関・台所・トイレなどの非居住部分です。
Q7. 社宅制度は節税になりますか?
A7. 税務と社会保険をセットで考えれば有効です。
Q8. 静岡市と浜松市で基準は違いますか?
A8. 都道府県単位で異なりますが、考え方は同じです。
Q9. 社宅を途中で解約した場合は?
A9. 月単位で現物給与の再計算が必要です。
Q10. 税務調査で見られやすい点は?
A10. 家賃設定の根拠と社会保険の算定過程です。
【№7 まとめ】
社宅制度は、従業員満足度を高めやすい福利厚生制度です。
一方で、税務と社会保険の考え方の違いを理解しないまま導入すると、
想定外の負担増につながる点には注意が必要です。
まず重要なのは、
**「所得税で非課税=社会保険でも非課税ではない」**という点です。
この誤解が、実務トラブルの出発点になることが多く見られます。
所得税では、
所得税基本通達に基づく「賃貸料相当額」を基準に判断します。
一方、社会保険では、
居住実態を重視した独自の評価方法が用いられます。
その結果、
税務上は問題がなくても、
社会保険上は現物給与が発生するケースが少なくありません。
さらに、社会保険では、
従業員負担だけでなく、会社負担分も同時に増加します。
この点は、経営者側のコスト管理としても見逃せないポイントです。
実務で特に意識すべき点は、次の3つです。
1. 社宅家賃は税務と社会保険の両方で検証すること
2. 導入時だけでなく、毎年見直しを行うこと
3. 基準額や評価方法の改正動向を把握すること
静岡市・浜松市の中小企業さまにおいても、
事前に簡単なシミュレーションを行うだけで、
制度の効果とリスクは大きく変わってきます。
社宅制度は「設計」がすべてです。
安易に金額を決めるのではなく、
中長期的な負担も見据えて運用していきましょう。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3874号(2025年11月3日)
「タックスフントウ 第158回 現物給与となる社宅家賃に係る所得税と社会保険の違い(所得税)」
参考:国税庁タックスアンサー
・No.1600 給与所得の課税関係(参照日:2025-11-20)
参考:e-Gov法令検索
・所得税法 第36条
・所得税基本通達36-41
【№9 該当条文の説明】
所得税法第36条では、
金銭で支給される給与だけでなく、
物やサービスによる経済的利益も給与に含めると定めています。
社宅制度において問題となるのが、
この「経済的利益」をどのように評価するかという点です。
この評価方法を具体的に示しているのが、
所得税基本通達36-41です。
所得税基本通達36-41では、
社宅を無償または低額で貸与した場合の経済的利益を、
固定資産税の課税標準額などを基に算定すると定めています。
この通達に基づき算定した
「賃貸料相当額」の50%以上を従業員から徴収していれば、
原則として給与課税は行われない扱いになります。
一方で、
社会保険における現物給与の評価は、
所得税法や所得税基本通達を根拠としていません。
社会保険では、
厚生労働省告示により、
住宅については床面積を基にした評価方法が採用されています。
そのため、税務とはまったく異なる金額になることがあります。
この違いは、
「課税所得を把握する税務」と、
「生活実態を反映する社会保険」という、
制度目的の違いから生じています。
したがって、
社宅制度を検討する際には、
どちらか一方の法令だけを見るのでは不十分です。
両制度の条文と趣旨を踏まえた判断が不可欠となります。
この点を理解しておくことが、
社宅制度を安全かつ効果的に運用するための土台となります。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、
静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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