令和8年改正下請法(取適法)と振込手数料・インボイス対応の実務ポイント

2026年1月27日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「令和8年改正下請法(取適法)と振込手数料・インボイス対応の実務ポイント」をお伝えさせていただきます!
令和8年1月1日から、長年「下請法」と呼ばれてきた法律が大きく変わります。正式名称も「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、いわゆる「取適法」に変わり、対象となる取引も広がります。
その中でも、実務に直結するのが「振込手数料」の扱いです。これまでは、契約書で合意していれば、振込手数料を下請側の代金から差し引くことが多くの現場で行われてきました。しかし、改正後は「合意があっても」売手である中小事業者に振込手数料を負担させることができなくなります。
さらに、消費税のインボイス制度とも結び付いて、経理処理の方法や証憑の残し方も見直しが必要になります。静岡や浜松でも、製造業、運送業、IT業、建設業など、幅広い業種の中小企業が影響を受けると想定されます。
本コラムでは、難しい法律用語はできるだけかみ砕きながら、分かりやすく整理します。

【№2 結論】

令和8年1月からの改正により、振込手数料を売手に負担させる取扱いは、合意の有無を問わず禁止されます。代金から差し引く処理は取適法に抵触する可能性があり、契約内容や支払条件の見直しが必要になります。

経理処理面では、買手が手数料を負担する前提にそろえることで、仕訳やインボイス対応が整理され実務負担を軽減できます。売手負担を前提とした仕訳や値引処理は不要になり、買手側で課税仕入に計上する形が標準的な対応になります。

実務への影響は、契約・経理・インボイス保存方法が一体で変わる点にあります。取引先が複数ある企業ほど影響が大きく、年内に運用を統一することで、法令違反リスクや処理のばらつきを防ぎやすくなります。特に「従業員基準」により対象範囲が拡大するため、今まで対象外だった取引も確認が必要です。

結論として、単に負担者を変更するだけでは不十分で、契約条項・勘定科目・インボイス保存の3点を同時に調整することが安全であり、結果的に実務のシンプル化にもつながります。

もしこの結論に「次の行動案」を一行追加するなら、以下が最も自然です。

→ 年内に「対象取引の洗い出し・契約文言・経理処理」の3点を最小単位で見直すことが現実的な対応となります。

【№3 やさしい解説】

ここからは、できるだけ専門用語を減らしながら、改正の中身を順に説明します。

1. 取適法とは何か
これまでの「下請法」は、大企業などが中小の下請事業者に対して不利な取引条件を押し付けることを防ぐための法律でした。改正後の正式名称は少し長くなりますが、イメージとしては「中小の受託事業者を守るためのルール」である点は変わりません。
大きく変わる点は次の通りです。
用語が変わる
親事業者 → 委託事業者
下請事業者 → 中小受託事業者
対象の範囲が広がる
これまでは主に「資本金の大小」で対象を決めていましたが、新たに「従業員数の基準」が加わります。その結果、これまで対象外だった取引が、新たに規制の対象になることが見込まれています。

2. なぜ振込手数料が問題になるのか
従来、取引の現場では次のような流れが一般的でした。
売手の請求書に記載された金額が10,000円
買手は実際に振り込む際に、振込手数料440円を差し引いて9,560円だけを入金
契約書や覚書に「振込手数料は売手負担とする」といった文言がある
この場合、売手は名目上10,000円の売上ですが、手取りは9,560円になります。買手から見ると440円分のコストを売手に押し付けている状態です。
改正後は、「合意の有無」に関係なく、このような差し引きが禁止されます。理由はシンプルで、「中小受託事業者に不利なコストの押し付け」であり、実質的な値引きに近いと考えられるからです。

3. 資本金基準と従業員基準
どの取引が取適法の対象になるかは、主に次の二つの基準で決まります。
資本金基準
例として、製造委託の取引で、買手の資本金が3億円を超え、売手の資本金が3億円以下の場合、その取引は対象となります。
従業員基準
新たに導入された基準で、製造委託などの取引で、買手の従業員数が300人を超え、売手の従業員数が300人以下の場合、その取引は対象となります。
静岡市や浜松市にも、資本金ではそれほど大きくないが、従業員数が多い企業があります。こうした企業が他地域の中小企業に仕事を委託する場合、従業員基準により取適法の対象となる可能性が出てきます。

4. 違反した場合のリスク
取適法に違反した場合、すぐに刑事罰が科されるわけではありませんが、公正取引委員会から「勧告」を受け、その内容や社名が公表されることがあります。最近はコンプライアンスに対する社会の目も厳しくなっており、一度社名が公表されると取引先や金融機関からの信用に影響する可能性があります。
★注意
「現場では昔からこうやってきた」という慣行で続けてしまうと、気付かないうちに違反状態になっていることがあります。特に、会計担当や経理担当だけではなく、営業担当や購買担当も含めて、社内で共通認識を持つことが重要です。

【№4 具体例(ケーススタディ集)】

以下は「どの処理を選べばよいか」を判断しやすいよう、
代表的なケースを簡潔にまとめたものです。

① 売手が負担していた手数料を継続 → 改正後は不可
 書面合意があっても差引き禁止。契約変更が必要。

② 買手負担に切替 → 基本パターンとして最もシンプル
 買手は課税仕入として処理し、インボイス保存が前提。

③ 通帳+1件分インボイス保存での対応 → 実務上よく使われる簡便措置
 金融機関での発行書類を組み合わせれば仕入税額控除が可能。

④ 少額特例(1万円未満・要件あり) → 適用できれば帳簿保存のみで足りる
 買手の基準期間売上高が一定以内であることが条件。

⑤ ATM(自動販売機特例) → 帳簿保存のみで仕入税額控除可
 毎月の振込数が多い企業に現実的。

⑥ 契約更新のタイミングが1〜3月 → 処理混在のリスク
 支払日と発注日がずれるケースは要確認。

⑦ 子会社グループ内の再委託 → 対象範囲の誤認が発生しやすい
 資本金基準/従業員基準の両面チェックが必要。

⑧ SaaS開発など準委任契約 → 委託内容の認定が曖昧な場合、事前確認必須
 名称ではなく実態で判定する。

⑨ 実費精算・立替精算方式に切替 → 処理は可能だが、証憑管理の負担は増加
 原価計算やプロジェクト別採算が必要な業種は要留意。

⑩ 年内に売手負担が残存 → 最優先で見直し
 放置すると法令違反のまま年明けを迎えるリスク。

【№5 手順(実務フロー)】

ここからは、静岡や浜松の中小企業が実際にどのような順番で対応すればよいか、手順を整理します。

ステップ1 取引先の棚卸し
取引先一覧を出力し、主要な取引先について次の情報を確認します。
① 相手先の資本金
② 相手先の従業員数
③ 取引の内容(製造委託、運送、情報処理、ソフトウェア開発など)
自社が「委託事業者」側になる取引と、「中小受託事業者」側になる取引を分けて整理します。

ステップ2 振込手数料の現状把握
現在の支払フローを確認し、次の項目をチェックします。
① どの取引で振込手数料を差し引いているか
② 契約書や注文書に振込手数料についての記載があるか
③ 実務上の運用と契約書の内容が一致しているか
経理担当だけでなく、営業や購買の担当者にもヒアリングし、現場での慣行を洗い出します。

ステップ3 契約書・発注書の見直し
勝手に振込手数料を差し引いていた場合は、即時に是正します。
契約書に「振込手数料は下請側負担」といった条項がある場合は、改正後は無効となるため、ひな形ごと削除または修正します。
新たな条文例としては、次のようなものが考えられます。
「代金の支払に係る振込手数料は、原則として委託事業者の負担とする。」

ステップ4 経理処理マニュアルの改定
買手として振込手数料を負担する場合の仕訳を統一します。
例:
仕入 100,000円
支払手数料 440円
普通預金 100,440円
売手側では、請求額と入金額が一致する前提で、売上値引きや立替金処理を見直します。

ステップ5 インボイス保存フローの整備
金融機関から発行される振込手数料のインボイスの扱いを決めます。
① 1件ごとのインボイスを受け取るのか
② 通帳や入出金明細と、任意の1件分のインボイスを組み合わせて保存するのか
少額特例の対象となるか、自動販売機特例(ATM振込など)が使えるかも確認し、社内ルールとして文書化します。

ステップ6 社内研修と取引先への説明
経理担当だけではなく、営業、購買、現場責任者も含めて簡易な説明会を行います。
必要に応じて、主要な取引先に対して「法律改正に伴う振込手数料の取扱い変更のお知らせ」を発行し、円滑な移行を図ります。
★注意
手順を整える際は、一度に完璧を目指すよりも、「まずは対象取引の洗い出し」と「明らかな違反の是正」から始めることが現実的です。そのうえで、静岡市や浜松市の顧問税理士など専門家と相談しながら、契約や経理マニュアルの細部を詰めていくとスムーズです。

【№6 FAQ(よくある質問 10問以上)】

Q1. 書面で合意していれば振込手数料を差し引いても良いですか?
A1. いいえ。改正後は合意の有無に関係なく差し引き禁止です。契約変更が必要です。

Q2. 施行後すぐに処理を変える必要がありますか?
A2. はい。令和8年1月以降の発注分から適用されるため、支払条件を早期に見直してください。

Q3. 振込手数料は買手負担に変えると経理はどうなりますか?
A3. 買手が課税仕入で処理し、インボイス保存が前提です。売手側の追加処理は不要になります。

Q4. インボイスは毎回発行が必要ですか?
A4. 原則必要ですが、1件分のインボイス+通帳や入出金明細の保存で代替可能な弾力措置があります。

Q5. 1万円未満の支払いは帳簿保存のみで良いのですか?
A5. 要件を満たせば少額特例で可能です。買手の基準期間売上高が一定以下であることが条件です。

Q6. ATM振込の場合はどう扱いますか?
A6. 自動販売機特例により、帳簿保存のみで仕入税額控除が適用できるケースがあります。

Q7. グループ会社間の取引も対象ですか?
A7. 原則対象です。資本金基準・従業員基準の両面から該当可否を判断します。

Q8. SaaS開発や保守契約も対象になりますか?
A8. 契約名称ではなく実態で判定します。準委任でも対象となる場合があります。

Q9. 既に売手負担で運用している場合は?
A9. 年内に契約と支払条件を変更してください。放置すると施行後に違反リスクが生じます。

Q10. いつまでに見直すと安全ですか?
A10. 年内の契約改定が望ましいです。施行後は支払日と発注日のズレで処理が複雑化します。

【№7 まとめ】

改正下請法、いわゆる取適法は、法律名が変わるだけでなく、振込手数料の扱いや対象範囲など、実務に大きな影響を与える内容を含んでいます。
特に重要なポイントを改めて整理すると、次の通りです。
取適法の対象となる取引では、振込手数料を代金から差し引くことが禁止される
資本金基準に加えて従業員基準が導入され、対象取引が拡大する
買手側は振込手数料を自社負担として課税仕入れに計上し、インボイス保存を前提に仕入税額控除を行う
売手側では、これまで行ってきた振込手数料相当額の売上値引きや立替金処理を見直す必要がある
令和8年1月以降の発注分から新ルールが適用されるため、年内に契約と経理処理の見直しを行うことが望ましい
静岡や浜松の中小企業にとっても、取適法は決して遠い世界の話ではありません。むしろ、長年の取引慣行が見直されることで、適正な対価を受け取りやすくなるというポジティブな側面もあります。
★重要
「法律改正への対応」というと構えてしまいがちですが、やるべきことを分解すると、次の三つに集約できます。
自社の取引が取適法の対象になるかを確認する
振込手数料の負担関係と経理処理を見直す
インボイス制度と整合する証憑保存のルールを整える
これらを一つずつ進めていけば、決して難しい対応ではありません。静岡市、浜松市の中小企業さまが、今回の改正をきっかけに取引の透明性と公正さを高め、より強い経営基盤を作っていくお手伝いができれば幸いです。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3875号(2025年11月10日)「R8年1月の改正下請法の施行に伴い経理処理やインボイス対応に影響も」税務通信編集部
参考:国税庁タックスアンサー「インボイス制度に関するQ&A(金融機関の入出金手数料や振込手数料に係る適格請求書の保存方法)」ほか(参照日:2025-12-25)
参考:国税庁「インボイス制度に関するQ&A(問29 売手が負担する振込手数料相当額)」等(参照日:2025-12-25)
参考:e-Gov法令検索「下請代金支払遅延等防止法」(改正後名称「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)(参照日:2025-12-25)
参考:e-Gov法令検索「消費税法」(特に第30条 仕入税額控除関連規定)(参照日:2025-12-25)

【№9 該当条文の説明】

改正後の振込手数料に関する根拠は、主に「取適法5条」とその運用基準に規定されています。従来は書面での合意があれば代金から手数料を控除できましたが、改正後は「合意の有無を問わず禁止」という点が最大の変更点です。
まず、取適法5条1項三号により、中小受託事業者の責に帰さない費用(振込手数料等)を支払代金から差し引く行為が禁止されます。また、取適法の運用基準でも同様の趣旨が示されており、以前のように書面合意を根拠とした控除は認められなくなります。
さらに、従来の下請法に存在した「資本金基準」に加え、改正後は「従業員基準」が追加され、対象範囲が拡大します。これにより、これまでは対象外だった取引でも規制対象となり得る点が実務上の注意点となります。
違反した場合、公正取引委員会の勧告や事業者名の公表が行われる可能性があり、コンプライアンス面でのリスクが増しています。「支払方法の指定」「代金額の減額」「手数料負担の強制」といった行為は、契約内容にかかわらず慎重な見直しが必要です。
このため、経理処理だけでなく、契約書の表現・支払条件の管理・インボイス保存方法まで一体的に確認することが求められます。条文は単独で解釈するのではなく、運用基準・実務通達とあわせて読むことで誤解を防げます。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
無料相談をご希望の方は、最高のIT税理士法人へお気軽にお問い合わせくださいませ。
https://toc-tax.jp/contact/