未払賞与と社会保険料の損金算入時期の実務ポイント

2026年3月16日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「未払賞与と社会保険料の損金算入時期の実務ポイント」をお伝えさせていただきます!

決算前になると、「決算賞与は当期で損金にできますか」「社会保険料も同じ期で落とせますか」といったご相談をよくいただきます。静岡市や浜松市の中小企業でも、利益調整や従業員還元を目的として決算賞与を検討されるケースは少なくありません。

しかし、未払賞与と社会保険料は、損金算入のタイミングが同じではありません。ここを正しく理解していないと、想定していた利益や税額が変わる可能性があります。本記事では、その違いを実務目線で分かりやすく整理します。

【№2 結論】

結論からお伝えします。

未払賞与は、一定の要件を満たせば、通知日の属する事業年度で損金算入できます。しかし、その賞与に対応する社会保険料は、同じ期に損金算入することはできません。

この点が、実務で最も誤解されやすい部分です。

社会保険料は「計算対象月の末日」を基準に確定します。そのため、賞与を3月に通知していても、4月支給であれば、社会保険料は4月末基準で確定します。

★重要
賞与と社会保険料は、損金算入の基準が異なります。

例えば、3月決算会社が3月に決算賞与を通知し、4月に支払った場合、賞与本体は3月期で損金算入できます。一方、社会保険料は翌期での損金算入になります。

この期ズレを理解せずに処理すると、法人税額の見込みが変わる可能性があります。また、翌期の利益水準や資金繰りにも影響が出るため、単年度だけで判断するのは危険です。

決算対策として賞与を検討する場合は、必ず社会保険料まで含めて試算することが必要です。数字だけでなく、適用要件の確認まで含めて判断することが重要です。

【№3 やさしい解説】

まず、損金とは税務上の経費のことです。会計上の費用と税務上の損金は、必ずしも同じタイミングになるとは限りません。

賞与については、原則として「実際に支払った日の属する事業年度」で損金算入します。つまり、支払日基準が基本です。

しかし、決算直前に賞与額を決定する実務も多く存在します。そのため、一定の要件を満たした未払賞与については、通知日の属する事業年度で損金算入できる特例が設けられています。
この特例を使うためには、主に次の条件を満たす必要があります。
各人別に支給額を通知していること
同時期に支給を受ける全員へ通知していること
通知日の翌日から1か月以内に支払っていること
当期に損金経理していること

★重要
これらは形式要件です。1つでも欠けると適用できません。
一方で、社会保険料の考え方は異なります。会社が負担する健康保険料や厚生年金保険料は、「計算対象月の末日」を基準に確定します。
つまり、賞与を通知した日ではなく、実際に保険料計算の対象となる月末時点で債務が確定するのです。

税務は「債務確定主義」が原則です。金額と支払義務が確定していないものは、原則として損金算入できません。
このため、未払賞与は通知日基準で処理できても、社会保険料は月末基準で翌期にずれることになります。

この構造を理解しておくことが、決算賞与の実務では非常に重要です。

【№4 具体例】

実務でよくあるケースを整理します。

① 3月決算・3月通知・4月支払
賞与本体は3月期で損金算入できます。しかし、社会保険料は4月末基準で確定するため、翌期での損金算入になります。

② 3月決算・3月通知・5月支払
通知から1か月を超えると特例要件を満たしません。その場合、賞与も翌期損金となります。

③ 通知が口頭のみ
書面による証拠がない場合、特例適用が否認される可能性があります。通知日を客観的に証明できることが重要です。

④ 全員同時通知でない
部署ごとに通知日が異なると、要件を満たさない可能性があります。通知日は統一する必要があります。

⑤ 役員のみ支給
役員賞与は別の税務ルールが適用されます。未払賞与特例とは区別して考えます。
⑥ 通知額と支払額が違う
通知額と実際の支払額が一致しない場合、特例の適用は困難になります。

⑦ 退職者がいるケース
月末在職基準により、社会保険料の発生有無が変わります。退職日を必ず確認します。
⑧ 4月支給・4月末退職
4月末に在職していれば、社会保険料は発生します。月末基準が判断ポイントです。

⑨ 社会保険料を未払計上した場合
会計上は未払処理できますが、税務上は当期損金になりません。

⑩ 利益調整目的の決算賞与
形式要件を満たしていなければ、税務否認のリスクがあります。事前確認が不可欠です。

【№5 手順】

決算賞与を実施する場合は、手順を誤らないことが重要です。特に未払賞与の特例を適用する場合は、形式要件の確認が最優先になります。

① 利益予測の確認
まずは決算見込みを把握します。試算表をもとに、法人税額への影響まで試算します。

② 支給対象者の確定
使用人か役員かを明確に区分します。未払賞与特例は使用人が対象です。

③ 各人別金額の決定
個別に金額を確定させます。曖昧な表現は避け、具体的な金額を決定します。

④ 書面通知の作成
通知日は非常に重要です。通知日が客観的に確認できる書面を作成します。

⑤ 全員への同時通知
同時期に支給する全員へ、同一日に通知します。通知日の統一が必要です。

⑥ 通知記録の保存
税務調査を想定し、通知書やメール記録を保存します。証拠保全が重要です。

⑦ 1か月以内の支払
通知日の翌日から1か月以内に必ず支払います。遅延は特例適用不可となります。

⑧ 未払賞与の仕訳処理
当期に未払賞与として損金経理します。金額と通知額が一致しているか確認します。

⑨ 社会保険料の試算
翌期に発生する社会保険料を事前に見積もります。資金繰りも考慮します。

⑩ 法人税への影響確認
賞与本体と保険料の期ズレを踏まえ、翌期利益も含めて総合的に判断します。

★重要
社会保険料は通知期に損金になりません。必ず別管理で考えます。

【№6 FAQ】

Q1. 未払賞与は一部の従業員だけでも可能ですか?
A1. 同時期に支給する全員へ通知する必要があります。対象範囲の整理が必要です。

Q2. 通知はメールでも有効ですか?
A2. 証拠として保存できる形式であれば可能ですが、日付確認が重要です。

Q3. 1か月を1日でも超えたらどうなりますか?
A3. 原則として特例の適用はできません。支払期での損金になります。

Q4. 社会保険料も未払計上できますか?
A4. 会計上は可能ですが、税務上は当期損金にはなりません。

Q5. 役員賞与も同じ扱いですか?
A5. 役員賞与は別の税務規定が適用されます。未払賞与特例とは異なります。

Q6. 月末退職者の社会保険料はどうなりますか?
A6. 月末在職しているかどうかで判断されます。退職日が重要です。

Q7. 静岡市や浜松市の企業でも同じルールですか?
A7. 全国共通の法人税法ルールです。地域による差はありません。

Q8. 利益調整目的でも問題ありませんか?
A8. 要件を満たせば可能ですが、形式要件を厳守する必要があります。

Q9. 税務調査ではどこを確認されますか?
A9. 通知日、支払日、通知方法、金額一致が重点確認事項です。

Q10. 通知日が決算翌日ではどうなりますか?
A10. 通知日の属する事業年度での損金算入はできません。

Q11. 社会保険料はなぜ翌期になるのですか?
A11. 月末在職基準で債務が確定するため、通知日とは無関係です。

Q12. 決算賞与を出す際の最大の注意点は何ですか?
A12. 通知日と支払期限の管理です。形式要件を1つでも欠かないことが重要です。

【№7 まとめ】(再整形版)

未払賞与と社会保険料は、似ているようで損金算入の基準がまったく異なります。この違いを理解しているかどうかが、決算対策の成否を分けます。
未払賞与は、一定の形式要件を満たせば通知日の属する事業年度で損金算入できます。しかし社会保険料は、計算対象月の末日に債務が確定するため、同じ期での損金算入はできません。

★重要
賞与と社会保険料は、別々のルールで判断します。
決算賞与を活用する企業では、利益圧縮効果ばかりに目が向きがちです。しかし実際には、翌期に社会保険料が発生し、利益や法人税額に影響します。
そのため、
当期の法人税
翌期の利益水準
資金繰りへの影響
金融機関への説明
まで含めた総合判断が必要です。

また、未払賞与の特例は形式要件が厳格です。通知日、支払期限、金額一致など、客観的証拠が残る処理が求められます。
形式を軽視すると、税務調査で否認される可能性があります。実務では「やったつもり」ではなく、「証明できるか」が重要です。
決算賞与を検討する場合は、必ず社会保険料まで含めて事前シミュレーションを行いましょう。それが最も安全な決算対策です。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3882号(2026年01月05日)「未払賞与に係る社会保険料の損金算入時期」税務研究会
参考:e-Gov法令検索「法人税法施行令第72条の3」(参照日:2026-02-27)
参考:e-Gov法令検索「法人税基本通達9-3-2」(参照日:2026-02-27)
参考:国税庁タックスアンサー「社会保険料の損金算入時期に関する解説」(参照日:2026-02-27)

【№9 該当条文の説明】

■ 法人税法施行令第72条の3(二)
この規定は、未払賞与の損金算入時期を定めています。原則として賞与は「支払日の属する事業年度」で損金算入します。しかし、一定の要件を満たす場合に限り、「通知日の属する事業年度」で損金算入できる特例を認めています。
要件の中心は次の3点です。
各人別に支給額を通知していること
同時期に支給する全員へ通知していること
通知日の翌日から1か月以内に支払っていること
さらに、その事業年度に損金経理していることも必要です。
★重要
これは実質判断ではなく、形式要件です。
金額が確定していること、通知日が客観的に証明できることが前提です。通知日が曖昧な場合や、支払期限を超えた場合は、特例は適用できません。
この特例は、決算直前に賞与額を確定させる企業実務を踏まえた制度です。ただし、利益調整目的であっても、要件を厳密に満たすことが求められます。

■ 法人税基本通達9-3-2
この通達は、法人が負担する社会保険料の損金算入時期を示しています。社会保険料は「計算対象月の末日の属する事業年度」で損金算入するのが原則です。
社会保険制度では、被保険者が月末に在職しているかどうかで保険料が確定します。そのため、賞与を通知した時点では、社会保険料の債務は確定していません。
税務の基本原則は「債務確定主義」です。金額と支払義務が確定した時点で、初めて損金算入が認められます。
★重要
社会保険料は通知日基準ではなく、月末基準です。
その結果、未払賞与は当期損金になっても、社会保険料は翌期損金になるという期ズレが発生します。

■ 債務確定主義との関係
法人税法上、損金算入の基本は「債務が確定していること」です。
金額が確定している
支払義務が発生している
発生原因が確定している
この3要素が必要とされます。
未払賞与は、通知という行為により金額と支払義務が確定します。一方、社会保険料は月末在職という法律上の基準によって初めて確定します。
この法的構造の違いが、処理時期の違いを生んでいます。

■ 実務への影響
この条文と通達の関係により、
賞与本体は当期損金
社会保険料は翌期損金
という処理が必要になります。
ここを誤ると、税務調査で否認される可能性があります。特に未払賞与の特例は、形式要件の確認が重点的に行われます。
★重要
通知基準と月末基準は別ルールです。
この2つを混同しないことが、実務上の最大のポイントです。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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