証券口座の不正取引被害を受けた場合の所得税の取扱い

2026年4月19日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「証券口座の不正取引被害を受けた場合の所得税の取扱い」をお伝えさせていただきます!

なお、今回は特に「フィッシング詐欺などで勝手に株を売買された時」の税金にスポットを当てます。予期せぬトラブルで金銭的な不安を抱える中で、「税金はどうなるのか?」という疑問を抱えている静岡や浜松の投資家の皆様、ぜひ基本の仕組みから一緒に整理していきましょう!

【№2 結論】

フィッシング詐欺などによって自分の証券口座に不正アクセスされ、勝手に株式が売買されてしまった場合の所得税の取扱いは、「証券会社がどのような対応をしてくれたか」によって大きく二つに分かれます。

まず、証券会社が不正取引前の状態に口座を戻す「原状回復(げんじょうかいふく)」を行ってくれた場合、税務上は「取引そのものがなかった」とみなされます。そのため、利益に対する課税も、損失による控除も発生しません。

一方で、原状回復が行われず、不正な取引がそのまま確定してしまった場合は、通常の取引と同様に扱われます。つまり、勝手に行われた取引であっても、生じた損益について所得税の計算が必要になります。なお、いずれの場合も「雑損控除(ざっそんこうじょ)」を適用することはできないという点に注意が必要です。

【№3 やさしい解説】

最近、スマートフォンやパソコンを狙った巧妙な詐欺が増えています。特に「証券口座」を狙った不正アクセスは、自分の知らない間に勝手に株が買われたり売られたりするため、非常に恐怖を感じるものです。このような被害に遭った際、税理士の視点でポイントを整理します。

① 証券会社が「元通り」にしてくれた場合
実店舗があるような大手証券会社では、被害が判明した後に、「不正な売買が行われる前の状態」に口座の記録を巻き戻してくれることがあります。これを「原状回復」と言います。この場合、あなたのお財布には何の損益も残っていないため、確定申告の必要も、税金を払う必要もありません。

② 証券会社が「そのまま」にした場合
ネット証券などでは、一度約定(やくじょう)した取引を取り消さず、そのままにすることがあります。この場合、たとえ犯人が勝手にやったことであっても、あなたの名義で取引が成立しているため、原則として通常の株取引と同じ扱いになります。
★注意:もし「損失」が出た場合は、自分の他の利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりすることが可能です。

③ 補償金(ほしょうきん)をもらった場合
証券会社からお詫びや損害の補填としてお金が支払われることがあります。これは「受けた損害を埋めるためのお金」ですので、原則として所得税はかかりません(非課税となります)。

④ 「雑損控除」が使えない理由
「詐欺に遭ったのだから、雑損控除で税金を安くできるはずだ」と考える方が多いのですが、実は所得税法上の「雑損控除」は、「盗難、横領、災害」などに限定されています。残念ながら「詐欺」による損失は、これまでのルールでは雑損控除の対象に含まれないとされています。

静岡・浜松で投資をされている皆様も、まずはセキュリティ対策を万全にし、万が一の時はすぐに証券会社へ連絡することが、税務上の混乱を防ぐ第一歩となります。

【№4 具体例】

不正取引被害に遭った際の具体的な10個のケースを見てみましょう。
(金額はおよその目安です)

① 大手証券会社で原状回復されたケース
静岡市のAさんが1,000万円(およそ1,000万円)の不正取引被害に遭ったが、証券会社が取引を取り消し、元の株数に戻した。
結果:損益はゼロ。所得税の申告も不要です。

② ネット証券で損失が確定したケース
浜松市のBさんの口座で、勝手に株が売られ200万円(およそ200万円)の損失が出た。原状回復は行われなかった。
結果:通常の譲渡損失として、他の利益と相殺が可能です。

③ 不正取引で利益が出てしまったケース
犯人が株価を吊り上げるために勝手に買い、100万円(およそ100万円)の含み益が出た状態で放置された。
結果:売却して利益を確定させた場合、通常の譲渡所得として課税されます。

④ 証券会社から100万円の補償金を受けたケース
不正取引の損失補填として、証券会社から100万円(およそ100万円)振り込まれた。
結果:損害賠償金としての性格を持つため、非課税です。

⑤ 繰越控除を利用するケース
不正取引による損失が大きく、その年の利益を引いても300万円(およそ300万円)のマイナスが残った。
結果:翌年から3年間、損失を繰り越して節税に使えます。

⑥ 特定口座(源泉徴収あり)での被害
源泉徴収ありの特定口座で不正取引が行われ、税金が自動で引かれた。
結果:原状回復されない限り、その税金は還付されません。

⑦ 雑損控除を申告しようとしたケース
詐欺被害で失った500万円(およそ500万円)を雑損控除として確定申告した。
結果:税務署で「詐欺は対象外」として否認される可能性が極めて高いです。

⑧ NISA口座での不正取引
NISA口座内で勝手に売買が行われ、非課税枠が消費されてしまった。
結果:証券会社が原状回復しない限り、消費された枠は戻りません。

⑨ 配当金受領権への影響
不正に株が売られたことで、配当金を受け取る権利(権利付き最終日)を逃してしまった。
結果:証券会社がその分を補償金として支払えば、その金銭は非課税です。

⑩ 外国株式の不正取引
米国株が勝手に売られ、現地で税金が引かれた。
結果:国内の課税関係は上記と同様ですが、外国税額控除の適用など複雑な計算が必要になります。

【№5 手順】

被害に遭った際の、税務・実務的な対応手順です。

① 証券会社への即時連絡
静岡・浜松の自宅からでも、まずは電話やオンラインで取引を停止させ、「原状回復」が可能か確認します。

② 警察への被害届提出
所得税の申告や補償金の受け取りにおいて、事件性を証明するために「被害届」の受理番号が必要です。

③ 証券会社からの「報告書」入手
どのような取引がいつ行われ、損益がいくらになったのか、証券会社から正式な書面を取り寄せます。

④ 補償金の契約内容確認
支払われる金銭が「損害賠償」の名目であることを確認します。これにより非課税枠の適用が明確になります。

⑤ 年末の損益通算シミュレーション
原状回復されなかった場合、その損失がいくらで、他の利益とどう相殺できるか、ITツールやエクセルで計算します。

⑥ 確定申告の準備
損失を繰り越す場合や、他の口座の利益とぶつける場合は、「申告分離課税」での確定申告が必要です。

⑦ 証拠書類の整理
ログイン履歴やフィッシングメールのコピーなど、税務署から問い合わせがあった際に説明できる資料を保存します。

⑧ セキュリティ設定の再強化
二要素認証(2FA)の導入やパスワード変更を行い、二度目の被害(税務トラブル)を防ぎます。

⑨ IT税理士への相談
静岡・浜松のIT事情に強い当法人のような税理士に、申告の要否や繰越控除の可否をチェックしてもらいます。

⑩ 申告期限内での手続き
損失が出た年の翌年3月15日までに、正しく申告を完了させます。

【№6 FAQ】

①Q.静岡市で投資をしていますが、フィッシング詐欺は「盗難」ではないのですか?
A.税法上、パスワードを盗まれて取引される行為は「詐欺」に分類されることが多く、「盗難」を対象とする雑損控除の適用は現状では困難です。

②Q.原状回復された場合、何もしなくていいのですか?
A.はい、税務上は「何もなかった」ことになるため、特段の手続きは不要です。

③Q.補償金を「利益」として申告してしまいました。
A.修正申告や更正の請求(こうせいのせいきゅう)により、税金を取り戻せる可能性があります。

④Q.浜松市の税務署に雑損控除を認めてもらうコツはありますか?
A.残念ながら、法律の条文で詐欺が除外されているため、担当者との交渉で認めてもらうことは原則不可能です。

⑤Q.不正取引でたまたま利益が出た場合、税金を払わずに済みますか?
A.原状回復されない限り、名義人であるあなたが納税義務を負います。

⑥Q.損失の繰越控除をする場合、毎年申告が必要ですか?
A.はい、損失を使い切るまで、毎年確定申告を続ける必要があります。

⑦Q.「源泉徴収ありの特定口座」なら、被害時も安心ですか?
A.税金の計算は自動ですが、不正取引で損をした場合に他の利益と相殺できるのは、その口座内だけです。

⑧Q.証券会社が倒産したわけではないので、投資者保護基金は使えませんか?
A.投資者保護基金は証券会社の倒産時が対象であり、個別の詐欺被害は対象外です。

⑨Q.ITを活用して被害を未然に防ぐ方法はありますか?
A.最新のウイルスソフト導入や、パスキー(Passkey)の活用が有効です。

⑩Q.静岡・浜松で不正取引の税務に詳しい税理士はいますか?
A.IT関連のトラブルに精通した当法人が、個別の状況に合わせて対応いたします。

【№7 まとめ】

証券口座の不正取引は、単なる金銭的被害だけでなく、その後の税務処理においても非常に複雑な問題を投げかけます。被害に遭った際に、証券会社が「原状回復」をしてくれるか、あるいは「損失として確定」してしまうかによって、私たちが取るべき確定申告の戦略は180度変わってきます。

特に、多くの人が期待しがちな「雑損控除」が詐欺被害では適用できないという事実は、納税者にとって非常に厳しい現実です。しかし、原状回復が行われなかった場合に発生した「譲渡損失」を、他の利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりする「譲渡損失の繰越控除」を活用することで、二次的な税負担を最小限に抑えることは可能です。

静岡・浜松で資産運用に励む皆様にとって、ITを活用した防御策を固めることはもちろん重要ですが、万が一の事態に「税務上の出口」を正しく理解しておくことは、冷静な対応を支える大きな力になります。私たち最高のIT税理士法人は、ITトラブルに伴う複雑な税務判断を、日本一わかりやすく、かつ誠実にサポートし、皆様の財産を守るお手伝いをさせていただきます。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3886号(2026年02月02日)「証券口座の不正取引被害を受けた場合の所得税の取扱いが判明」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」(参照日:2026-03-11)
参考:e-Gov法令検索「所得税法第九条(非課税所得)」(参照日:2026-03-11)
参考:e-Gov法令検索「所得税法第七十二条(雑損控除)」(参照日:2026-03-11)

【№9 該当条文の説明】

参考:e-Gov法令検索「所得税法・所得税法施行令」の内容解説

① 所得税法第9条第1項第17号(非課税所得)
心身に加えられた損害や資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の慰謝料、損害賠償金などは、所得税がかからない「非課税所得」とされています。証券会社から支払われる不正取引の補償金が、損害を埋める性質のものであれば、この規定により税金は発生しません。

② 所得税法第72条(雑損控除)
震災、風水害、火災などの「災害」や、「盗難」「横領」によって損害を受けた場合に、一定額を所得から差し引ける制度です。しかし、現在の解釈では「詐欺」はこの条文に含まれていないため、フィッシング詐欺等の被害は、この控除の対象外となります。

③ 租税特別措置法第37条の12の2(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)
上場株式等の売却で損失が出た場合、その年に控除しきれなかった金額を翌年以降3年間にわたって、株式等の利益から差し引くことができる規定です。不正取引が「取引」として確定した場合には、この規定を活用した節税対策が重要になります。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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