企業グループ間の取引に係る書類保存の特例
2026年6月14日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」をお伝えさせていただきます!
【この記事で得られること】
この記事を読むことで、令和8年4月から導入される企業グループ間取引の書類保存に関する新しいルールが丸わかりになります。
海外の親会社や関連する会社との間で、どのような書類を保管しておかなければならないのかが明確になります。
難しい専門用語を使わずに解説しているため、新入社員の方や中小企業の社長さまでも実務の対応策が簡単に理解できます。
【№2 結論】
結論から申し上げますと、令和8年4月1日以降に始まる企業グループ間の特定の取引について、書類の保存義務が大きく厳しくなります。
もし、グループ企業との取引で「対価の額を算定するために必要な事項」を記載した書類が残っていない場合、大変なペナルティが科される可能性があります。
ただし、すでに移転価格税制における「ローカルファイル」と呼ばれる書類を作成して保管している企業であれば、新たな書類をわざわざ用意する必要はありません。
このようなケースはありませんか?
「海外にある親会社や関連会社と、毎月のように技術的な指導や特許のやり取りをしている」
「グループ会社の間だからという理由で、きちんとした見積もりや価格の根拠を書類に残していない」
今回のルール変更は、まさにこのような状況にある静岡や浜松の中小企業さまにとって、今すぐ確認しなければならない重要な税務のテーマとなります。
あらかじめ自社の取引状況を確認しておかないと、将来の税務調査で大変に不利な扱いを受けてしまう危険性があります。
まずは、どのような取引が対象になり、どのような書類が必要になるのかという全体像を順番に分かりやすく確認していきましょう。
【№3 やさしい解説】
そもそも、独立した別の会社同士であれば、何か商品を買ったりサービスを受けたりするときに、細かな見積書や契約書を取り交わすのが普通です。
しかし、親会社と子会社、あるいは同じグループ内の会社同士になると、どうしても取引のルールや価格の決め方が甘くなりがちです。
国税庁は、このようなグループ間の取引を使って、税金を不当に減らすような行為が行われないかを厳しくチェックしています。
これまでは、海外の関連会社との取引価格が妥当かどうかを証明するために「ローカルファイル(国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するための書類)」という非常に複雑な書類の作成が求められてきました。
今回の改正では、この仕組みとは別に、より広い範囲のグループ間取引を対象とした「書類保存の特例」という新しいルールが作られることになりました。
★重要:知らないと損するポイント
今回の新しいルールでは、グループ内の会社との間で「工業所有権(特許権や商標権など)の譲渡や貸付け」を行ったり、「技術指導などの役務提供(サービスの提供)」を受けたりした場合が対象となります。
これらの取引を行った際、契約書などの書類に「どうやってその金額を決めたのかという計算の根拠」が書かれていない場合は、それを補うための書類(補完書類)を別に作って保管しなければなりません。
★注意:よくある誤解
「うちは海外の親会社との取引金額が小さいから、ローカルファイルの作成義務が免除されている。だから今回の新しい書類保存ルールも関係ない」と思ってしまうのは大間違いです。
ローカルファイルには金額による免除の基準がありますが、今回の新しい書類保存の特例には「金額が小さいから免除する」という特例がありません。
日常の買い物で例えるなら、家族の間で高い買い物を頼むときに、レシートだけでなく「なぜその店でその値段で買ったのか」というメモを残しておくよう義務付けられるようなイメージです。
この「価格の決め方の根拠」を明らかにする書類が社内に残されていないと、税務署から「青色申告(税金面で様々な優遇が受けられる申告制度)」の承認を取り消されてしまうという、非常に重いペナルティが科される予定になっています。
ただし、すでに法律に則って「ローカルファイル」を完璧に作成している企業さまであれば、そのローカルファイルの中に今回の新しいルールで求められる内容がすべて含まれているとみなされます。
そのため、ローカルファイルとは別に、同じような内容の書類を2重に作成して保管する必要はありません。
さらに、今回の新しい特例で求められる書類の細かさは、ローカルファイルほど専門的で難しい内容ではなく、取引の単価や期間といった基本的な内容が分かれば足りるとされています。
【№4 具体例】
それでは、静岡や浜松の中小企業さまで実際に起こり得る場面を想定し、どのような書類保存が必要になり、どのような場合に免除されるのか、具体的な例を10個ご紹介します。
① 静岡市内の製造業が海外の親会社から技術指導を受ける場合(ローカルファイルあり)
取引内容:海外の親会社から工場のライン設置に関する技術指導(役務提供)を受け、毎月指導料を支払っている
書類状況:前年の取引額が大きいため、すでに法律に基いた「ローカルファイル」を毎年しっかりと作成して保管している
判定結果:ローカルファイルの中に取引の単価や根拠が網羅されているため、今回の特例のための「補完書類」を別途作成する必要はありません。
② 浜松市内のIT企業が海外の関連会社にシステム開発を委託する場合(ローカルファイルなし・金額小)
取引内容:海外の子会社にアプリの一部の開発を委託し、年間1,000万円の費用を支払っている
書類状況:取引金額が小さいためローカルファイルの作成義務は免除されているが、契約書には「一式1,000万円」としか書かれていない
判定結果:契約書に価格の算定根拠(人月単価や開発期間など)がないため、金額が小さくても今回の特例の対象となり、単価などを証明する「補完書類」の作成と保存が必要です。
③ 静岡市内の商社がグループ内の国内子会社から特許のライセンスを受ける場合
取引内容:日本国内にあるグループ会社から、自社製品に関する特許権の貸付けを受け、ロイヤリティを支払っている
書類状況:契約書の中に「売上高の3%をライセンス料とする」という明確な算定の基準が文面として記載されている
判定結果:最初から取引関連書類(契約書)に「対価の額を算定するために必要な事項」が明確に記載されているため、別に補完書類を作る必要はありません。
④ 浜松市内の部品メーカーが海外関連会社から無償で役務提供を受けている場合
取引内容:海外のグループ会社から経営コンサルティングのような支援を受けているが、グループ間なのでお金のやり取りはしていない(無償)
書類状況:お金を支払っていないため、契約書も見積書も何も存在しない
判定結果:無償の取引であっても、本来支払うべき対価の算定根拠や、なぜ無償なのかを説明できる書類を用意しておかないと、税務調査で厳しく指摘されるリスクがあります。
⑤ グループ内の取引について「実費精算」を行っている場合
取引内容:海外の関連会社が立て替えた出張旅費や通信費について、そのまま実費で精算して精算金を支払っている
書類状況:相手方から送られてきた請求書と、旅費の明細書(レシートの写しなど)をそのまま保管している
判定結果:実費の精算であれば、その明細書自体が「対価の額を算定するために必要な事項」を証明する書類となるため、それらを7年間しっかりと保存しておけば問題ありません。
⑥ 契約書に「別途協議の上決定する」とだけ書かれている失敗例
取引内容:グループ会社間でデザインの業務委託(役務提供)を行っている
書類状況:契約書には「対価は別途協議の上決定する」とだけ記載され、その後に決定した単価や計算のプロセスが書面として一切残されていない
判定結果:これでは対価の算定根拠が不明であるため、今回の特例のルール違反となり、大至急、具体的な単価や決定内容を記した補完書類(覚書や確定見積書など)を作成しなければなりません。
⑦ ローカルファイルの作成期限に間に合わなかった場合
取引内容:海外関連取引があり、ローカルファイルの作成義務がある企業
書類状況:毎年の確定申告書の提出期限までにローカルファイルの作成が間に合わず、後から作成しようと考えていた
判定結果:ローカルファイルは「申告書の提出期限」までに作っておかなければならないため、期限を過ぎている場合は、今回の特例における書類保存義務を果たしていないとみなされる恐れがあります。
⑧ 役務提供の「期間」や「従事した人のレベル」が書類にない場合
取引内容:グループ会社からITシステムの保守運用サービスを受けている
書類状況:請求書に「5月分保守料 50万円」とだけ記載されている
判定結果:どのような資格を持った人が、何時間稼働してその50万円になったのかという「算定に必要な事項」が足りないため、作業報告書などの補完書類をセットで保存する必要があります。
⑨ グループ会社間で建物の賃貸借(不動産の貸付け)を行っている場合
取引内容:親会社が所有するビルの一室を、子会社に事務所として貸し出している
書類状況:近隣の家賃相場を調べた書面を保管し、契約書に月額の家賃を明記している
判定結果:今回の特例で特に指定されているのは「工業所有権等の譲渡・貸付け」や「技術指導などの一定の役務提供(特定取引)」です。通常の不動産の賃貸借であれば、今回の特例の直接の対象(特定取引)には該当しませんが、通常の税務調査対策として相場の書類は重要です。
⑩ 調査において書類の「即時提示」を求められた場合
取引内容:税務署による定期的な税務調査が会社に入った場面
書類状況:グループ間取引の補完書類をパソコンの奥深くや倉庫にしまい込んでおり、調査官から「見せてください」と言われたときにすぐに取り出せなかった
判定結果:今回の特例では、調査において書類の提示を求められた場合、ローカルファイルのような猶予期間がなく「その場での提示」が求められる予定です。すぐに取り出せるように整理しておく必要があります。
【№5 手順】
静岡や浜松の中小企業さまが、令和8年4月から始まる新しい書類保存の特例において実務上のエラーを起こさず、青色申告の取消しという最悪のペナルティを防ぐための実務手順をステップ形式で解説します。
ステップ①:グループ内取引(特定取引)の洗い出し
まずは、自社が「特殊の関係のあるもの(関連者)」との間で、どのような取引を行っているかをすべてリストアップします。特に、海外や国内のグループ会社から受けている「技術指導」「コンサルティング業務」「特許や商標の利用」がないかを細かく確認します。
ステップ②:既存の契約書や請求書のチェック
リストアップした取引について、現在交わしている契約書、見積書、請求書などの文面を1枚ずつ確認します。そこに「なぜその金額になったのか」という単価、計算式、役務提供の期間などの具体的な算定根拠が記載されているかどうかをチェックします。
ステップ③:補完書類の作成(必要な場合のみ)
ステップ②のチェックで、金額の算定根拠が書かれていない取引が見つかった場合は、大至急、その内容を補うための書類(補完書類)を作成します。具体的には、詳細な内訳が書かれた見積書、価格決定に関する役長会の議事録、単価や時間を定めた覚書などを書面として用意します。
ステップ④:書類の保存体制の整備とクラウド管理
作成した取引関連書類や補完書類は、事業年度の終了日の翌日から2か月以内(確定申告書の提出期限とほぼ同じ)までに揃え、そこから「7年間」確実に保存しなければなりません。静岡のクラウド会計などを導入している企業さまであれば、スキャナ保存の要件を満たした形でクラウド上に専用のフォルダを作り、いつでも検索して取り出せる状態にしておきます。
ステップ⑤:税務調査を想定したシミュレーションと目視チェック
実際に税務調査が入った場合を想定し、調査官から「〇〇会社との技術指導の価格根拠を見せてください」と言われたときに、その場で即座に提示できるかどうかの訓練を行います。書類がデータとして揃っているか、内容に漏れがないかを担当者が目視で最終チェックし、いつでも出せる状態を確認して実務の手順を完了とします。
【№6 FAQ】
Q1. 企業グループ間の取引に係る書類保存の特例は、いつからスタートしますか?
A1. 令和8年4月1日以後に適用される予定となっています。そのため、それ以降に始まる事業年度や取引に向けて、事前に書類の準備を進めておく必要があります。
Q2. この特例の対象となる「関連者」とは、具体的にどのような関係の会社ですか?
A2. 内国法人との間に、持株関係(親子関係)や実質的な支配関係、それらが連鎖するような特殊の関係がある会社が対象となる予定です。
Q3. 「対価の額を算定するために必要な事項」とは、具体的に何を書類に書けば良いのですか?
A3. 取引の単価や、役務提供(サービス)が行われた期間、従事した人数など、その金額がどのようにして計算されたのかが第三者から見て分かる基本的な事項です。
Q4. すでに移転価格税制の「ローカルファイル」を作っている場合も、別の書類が必要ですか?
A4. いいえ、ローカルファイルを作成・保存している場合は、今回の特例で必要な事項が網羅されているとみなされるため、別に補完書類を用意する必要はありません。
Q5. ローカルファイルと今回の特例の書類(補完書類)では、記載する内容の細かさに違いはありますか?
A5. はい、違いがあります。ローカルファイルではリスクの負担や比較対象取引の選定など非常に詳細な情報が必要ですが、今回の特例では単価や期間などの基本的な情報の記載で足ります。
Q6. 静岡市や浜松市にある中小企業ですが、国内のグループ会社同士の取引もこの特例の対象になりますか?
A6. はい、この特例における関連者には国内のグループ会社も含まれる予定ですので、海外取引だけでなく国内のグループ間取引であっても書類の保存が必要です。
Q7. 取引金額が非常に少額な場合でも、書類の保存を怠るとペナルティを受けますか?
A7. はい、ローカルファイルと異なり、今回の書類保存の特例には金額による免除基準(免除の規定)が設けられていないため、少額であっても書類の保存が必要です。
Q8. 必要とされる書類(補完書類)を保存していなかった場合、どのような罰則がありますか?
A8. 税務調査において書類の保存がないことが発覚した場合、青色申告の承認の取消事由(青色申告の取り消し)などに該当する可能性があり、非常に重いペナルティとなります。
Q9. 税務調査で書類の提出を求められた場合、考える時間や猶予はもらえますか?
A9. ローカルファイルの場合は提出までに一定の猶予期間がありますが、今回の特例の書類については、調査において求められた日に「その場での提示や提出」が必要とされる方針です。
Q10. 書類はどのような形で、何年間保存しておけば良いでしょうか?
A10. 原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内に取得・作成し、その後「7年間」にわたって、紙または電子帳簿保存法のルールに準じたデータ形式で保存する必要があります。
【№7 まとめ】
ここまで、令和8年4月から新しく導入される予定の「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」と、従来のローカルファイルとの関係について詳しく解説してきました。
グループ会社間で行われる特許のやり取りや技術指導などの取引において、金額の算定根拠を明確にした書類の保存が義務付けられることになります。
万が一、これらの書類が適切に保存されていない場合には、青色申告の承認が取り消されてしまうといった、非常に厳しいペナルティが科されることになります。
★重要:知らないと損するポイント
すでに移転価格税制に基づいて「ローカルファイル」を正しく作成・保存している企業さまであれば、今回の新しい特例のために別途同じような書類を2重に作成する必要はありません。
★注意:よくある誤解
ローカルファイルの作成が免除されている規模の小さな取引であっても、今回の新しい書類保存の特例は免除されず、一律に適用される点に注意が必要です。
直前になって慌てることがないよう、今のうちからグループ内の取引内容をしっかりと見直し、必要な書類の準備やクラウド会計を活用した保存の体制を整えていきましょう。
【結論(重要ポイントまとめ)】
令和8年4月からグループ間の特定取引について、金額の計算根拠を記した書類の保存が必須化
ローカルファイルを作成済みの場合は書類の2重保存は不要だが、免除企業は新たな書類作成が必要
書類が不足していると青色申告の承認取消のリスクがあるため、静岡・浜松の企業は早期の体制整備が必要
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3894号(2026年03月30日)「グループ間取引の書類保存 移転価格税制のローカルファイルとの関係」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.5340 移転価格税制の概要」(参照日:2026-05-22)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法第66条の4、法人税法第121条、第122条」(参照日:2026-05-22)
【№9 該当条文の説明】
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法第66条の4、法人税法第121条、第122条」の内容解説
我が国の税法では、海外の関連会社との間で独立した第三者と異なる価格で取引を行い、国内の利益を海外に移転させる行為を防ぐため、租税特別措置法第66条の4において「移転価格税制」を定めています。この中で、一定規模以上の取引を行う法人に対し、独立企業間価格の算定根拠を記載した書類(ローカルファイル)の同時作成・保存を義務付けています。
一方で、令和8年度の税制改正で創設が予定されている「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」は、法人税法における青色申告の承認要件(法人税法第121条、第122条など)とも深く関係しています。
この新しい特例の背景には、移転価格税制の網にかからない比較的小規模なグループ間取引であっても、取引価格の決定プロセスが不透明なケースが多く、税務調査における事実関係の解明に多大な時間を要しているという税務当局側の課題認識があります。
そのため、逐条的な解説として、内国法人が持株関係などの特殊の関係のある者(関連者)から工業所有権等の譲渡や一定の役務提供を受けた場合には、その対価の額を算定するために必要な事項(単価や期間など)を記載した取引関連書類、またはそれを補完する書類を事業年度終了の翌日から2か月以内に取得・作成し、7年間保存することを求めています。
これに応じない場合、法人税法上の帳簿書類の保存義務違反として、青色申告の承認の取消しという極めて厳格な処分を行うことができるよう、法律の枠組みが一体的に整備されることとなりました。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
無料相談をご希望の方は、最高のIT税理士法人へお気軽にお問い合わせくださいませ。
https://toc-tax.jp/contact/