合同会社が事前確定届出給与を支給する場合の注意点と実務のポイント
2026年6月22日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けた「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「合同会社が事前確定届出給与を支給する場合の注意点と実務のポイント」をお伝えさせていただきます!
■ 合同会社を経営する中でこのようなケースはありませんか?
静岡市や浜松市などの地域でも、新しくビジネスを立ち上げる際に合同会社を選択する経営者さまが非常に増えています。
設立費用が安く抑えられることや、意思決定のスピードが早いことが大きな魅力です。
しかし、いざ経営が軌道に乗ってきて「役員報酬(会社の経営陣に支払う給料)」の金額を増やそう、あるいはボーナス(賞与)を支給しようと考えたときに、多くの経営者さまが税金という大きな壁にぶつかります。
■ 役員のボーナスと税金の不思議な関係
一般的なサラリーマン(従業員)であれば、夏や冬のボーナスを支払った場合、その金額はすべて会社の経費(損金)にすることができます。
しかし、会社の社長や役員に対するボーナスは、原則として会社の経費にすることが認められていません。
「自分が一生懸命働いて得た利益なのに、ボーナスを出すと会社の経費にならず、税金が余分にかかってしまうなんて納得がいかない」
そのようにお感じになるのは当然のことです。
実は、この役員へのボーナスを合法的に会社の経費にするための「事前確定届出給与(じぜんかくていとどけできゅうよ)」という仕組みが存在します。
あらかじめ税務署に「この日に、この金額をボーナスとして支払います」と約束の手紙を出しておくことで、経費にできるという大変お得な制度です。
■ 合同会社ならではの落とし穴
多くの経営者さまや、一般的な税務の本では「株式会社も合同会社も、税金のルールは同じだから同じように手続きすれば大丈夫」と考えがちです。
確かに、大きな枠組みとしては同じ普通法人として扱われます。
しかし、合同会社がこの事前確定届出給与を使おうとした場合、株式会社では絶対にあり得ない「大失敗の落とし穴」があることが、最近の国税庁の発表で明らかになりました。
このルールを知らないままでいると、せっかく税務署に書類を出していたとしても、後からの税務調査で「このボーナスは経費として認められません」と一蹴され、多額の追徴課税(ペナルティの税金)を支払う羽目になってしまいます。
この記事では、難しい専門用語を徹底的に噛み砕き、新入社員の方や初めて起業された方でも直感的に理解できるように、実務のポイントをどこよりも分かりやすく解説します。
静岡や浜松の合同会社さまが、役員報酬の設計で絶対に損をしないための必須知識をお届けします。
【この記事で得られること】
合同会社が役員にボーナスを支払う際、会社の経費(損金)として認めてもらうための正しい手続きが分かります。
株式会社とのルールの違いを理解し、税務調査で指摘を受けないための定款(会社の根本規則)の書き方が明確になります。
役員報酬の変更登記の手間や、具体的なスケジュール管理の手順が分かり、会社のキャッシュを最大化できます。
【№2 結論】
まず、合同会社が事前確定届出給与を支給する際に関する、最も重要な結論から先にお伝えします。
合同会社が業務を執行する社員(役員)に対して事前確定届出給与を支給し、それを会社の経費(損金)にするためには、その職務を行う期間の「スタートの日(職務の執行の開始の日)」を客観的な証拠で明らかにしなければなりません。
■ 最重要ポイントの要約
合同会社には、株式会社のような「定時株主総会」を開催する法律上の義務が原則としてありません。
税務署へ提出する届出書には「職務の執行の開始の日」を記載する必要がありますが、定款(ていかん)に適切な定めがないと、この日付の正当性を証明できなくなります。
令和7年2月に公表された東京国税局の文書回答事例により、合同会社がこの制度を安全に使うための「一連の状況(モデルケース)」が明確に示されました。
つまり、日本の税法では「あらかじめ決めた日に決めた金額を支払えば経費にしてよい」とされていますが、合同会社の場合は「その支払いの根拠となる職務期間がいつから始まったのか」を、定款や総会の議事録で裏付けできなければ、要件を満たさないと判定されてしまうのです。
このメリットを確実に受けるためには、単に税務署へ書類を出すだけでなく、自社の定款に「社員総会(しゃいんそうかい)」の設置や「役員の任期(にんき)」に関する規定があるかどうかを事前に確認し、必要であれば定款の内容を修正(定款変更)しなければなりません。
静岡の顧問税理士による適正なアドバイスや、浜松の会社設立支援などを活用して強固な経営体制を整えるためには、この「機関設計(会社の仕組み作り)」を前提とした事前準備が極めて重要になります。
【№3 やさしい解説】
それでは、合同会社における事前確定届出給与の仕組みと、注意すべきポイントについて、いくつかの項目に分けて分かりやすく解説していきましょう。
■ ① 事前確定届出給与とはどのようなものか
事前確定届出給与とは、一言で言えば「役員に対するボーナスを会社の経費にするための事前予約システム」です。
日本の法人税法では、会社の利益を操作して税金を不当に減らすことを防ぐため、役員へのボーナスは原則として経費(損金)にできないという厳しいルールがあります。
しかし、例外として「支給する時期(○月○日)」と「支給する金額(○円)」をあらかじめ決めておき、その内容を事前に税務署へ届け出て、さらに「その決めた通りに1円の狂いもなく支給した」場合に限り、特別に会社の経費にすることを認めています。
★一言まとめ:税務署へ事前に「日付と金額」をきっちり報告し、その通りに支払うことで役員のボーナスを経費にできる特別な制度です。
■ ② 株式会社と合同会社の「大きな違い」
株式会社の場合、通常は年に1回「定時株主総会(ていじかぶぬしそうかい)」という大きな会議が開かれます。
この会議の中で、次の1年間の役員報酬の金額や、役員の選任(新しく選ぶこと)が行われます。
税法では、この株主総会が開かれた日が、役員としての新しい「職務の執行の開始の日」であると一般的に解釈されています。
そのため、株式会社であれば「株主総会の日=スタートの日」として、ごく自然に税務署への届出書の日付を記入することができます。
ところが、合同会社にはこのような「株主総会」を開く義務が法律(会社法)で定められていません。
多くの合同会社では、定款(会社のルールブック)を見ても、総会を開くという決まり自体が載っていないことがほとんどです。ここが最大の落とし穴になります。
★一言まとめ:株式会社には「株主総会というスタート地点」が自動的にありますが、合同会社にはそれがないため、スタートの日を証明するのが非常に難しいのです。
■ ③ 東京国税局の文書回答事例が与えた衝撃
このような背景から、令和7年2月に東京国税局から「合同会社の社員に対して事前確定届出給与を支給する場合の税務上の取扱いについて」という公式な見解(文書回答事例)が公表されました。
これは、ある合同会社が「うちのような仕組みであれば、事前確定届出給与として経費に認めてもらえますか?」と国税局に質問し、国税局が「その状況であれば問題ありません」と答えた内容です。
この事例の中で、国税局は合同会社がボーナスを経費にするための「望ましい状況」として、いくつかの具体的な条件(一例)を挙げました。
その条件をクリアしていない合同会社が、適当に日付を決めて届出書を出していた場合、税務調査で一発アウトになるリスクが浮き彫りになったのです。
★一言まとめ:国税局が「合同会社でボーナスを経費にしたいなら、こういう会社の仕組みにしておきなさい」という具体的なお手本を示しました。
■ ④ 国税局が示した「認められるケース」の5つの条件
国税局の文書回答事例で紹介された、安全に事前確定届出給与が認められる合同会社の状況は、以下の5つの特徴を持っています。
① 会社の中に「社員総会」という会議の場をしっかりと設置している
② 業務を行う社員ごとに、明確な「任期(例:10年など)」を定めている
③ 決算(事業年度の終了)から3ヶ月以内に、必ず「定時社員総会」を開催している
④ その定時社員総会の場で、役員に支給する給与やボーナスの金額を決定している
⑤ 役員の職務期間のスタート(職務執行開始の日)を、その定時社員総会の開催日としている
これらは法律上の義務(要件)そのものではありませんが、これを真似して自社の仕組みを作っておくことが、税務署から文句を言われないための最も確実な防衛策となります。
★一言まとめ:定款を書き換えて「会議を開く決まり」と「役員の任期」をわざわざ作り、株式会社と同じようなカレンダーで運営することが推奨されています。
■ ⑤ 「業務執行社員の任期」に関する意外なルール
上記の条件の中に「業務執行社員(ぎょうむしっこうしゃいん=会社の経営を行う役員のこと)の任期を定める」というものがあります。
株式会社の取締役であれば、通常は2年などの任期があり、任期が切れるたびに法務局で「役員変更登記(重任の登記)」という手続きを行う必要があり、これには数万円の手数料(登録免許税)がかかります。
「合同会社でも任期を定めてしまうと、毎回法務局に登記に行かなければならず、お金も手間もかかって面倒なのではないか?」
そう心配される経営者さまも多いかと思います。
しかし、法務法制の過去の通知(平成20年11月21日・法務省民商3037号)によると、合同会社の場合は、業務を行うメンバーの構成自体に変化がない限り、任期が満了して同じ人がそのまま続ける場合であっても、法務局への「役員変更登記(重任の登記)」は不要であるとされています。
つまり、手間やコストを増やすことなく、税務上のメリット(スタートの日の証明)だけを受け取ることができるという、非常に好都合なルールになっているのです。
★一言まとめ:合同会社で役員の任期を決めても、メンバーが変わらない限り、面倒な登記手続きや登記費用は一切発生しません。
■ ⑥ なぜ「任期」が職務執行開始日の裏付けになるのか
合同会社における役員の任期は、法律上「他の社員(経営に参加しない出資者)の業務執行権を制限する期間」という意味を持っています。
合同会社は、原則として出資した人全員が経営権を持つのが基本ルールです。しかし、定款で「Aさんだけが経営を行います(BさんとCさんは経営しません)」と決めることができます。
このとき、任期を10年と定めておくと、「BさんとCさんの経営権を10年間制限します」という意味になります。
そして、10年が経過したあとの定時社員総会で、再び「次の期間もAさんが経営を行います」と決定することは、経営権の制限をさらに延長することを意味します。
この会議での決定こそが、新しい職務期間の明確な「区切り」となり、その総会の日が「職務の執行の開始の日」であるという強力な客観的証拠になるのです。
★一言まとめ:任期があることで、会議の日が「古い期間の終わり」と「新しい期間の始まり」の正確な境目であると証明できるようになります。
■ ⑦ 税務署への届出期限という「絶対の壁」
事前確定届出給与を利用するためには、書類を提出する「期限」が非常に厳しく決まっています。
原則として、以下のいずれか「早い方の日」までに、税務署へ書類を出さなければなりません。
① 役員報酬やボーナスを決定した決議の日(社員総会の日など)から1ヶ月を経過する日
② その事業年度が始まってから、4ヶ月を経過する日
合同会社で「定時社員総会」の仕組みを作っていない場合、いつの時点で役員報酬を決めたのかが曖昧になり、気がついたときにはこの提出期限を過ぎてしまっているというトラブルが多発しています。1日でも遅れると、その期のボーナスは一切経費にできなくなります。
★一言まとめ:書類の提出期限は非常に短いため、いつ会議を開いて決定したのかの日付管理が会社の命運を分けます。
【№4 具体例】
イメージをより具体的にするため、静岡や浜松に実在しそうな合同会社の中小企業や個人事業主の場面を想定した10個の具体例を見ていきましょう。
■ ① 浜松市内で定款に総会の定めがなくボーナスが否認されたケース
浜松市内でITシステム開発を行っている合同会社の事例です。社長のAさんは、会社の利益が順調に出たため、自分へのボーナスとしておよそ300万円(約3,000,000円)を支給しようと考えました。
税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出し、記載した通りの期日に300万円を支給しました。しかし、同社の定款には「社員総会」や「任期」の定めが一切なく、社長一人の判断で日付を決めていました。
後日の税務調査で、調査官から「この届出書に書かれた職務執行開始日の根拠となる手続きが会社法上存在しないため、事前確定の要件を満たしていません」と指摘され、300万円の経費算入がすべて取り消され(否認され)、約100万円(およそ1,000,000円)の法人税等の追徴課税を課されてしまいました。
■ ② 静岡市内で定款を正しく変更して満額を経費にできたケース
静岡市内で輸入雑貨の販売を行う合同会社さまの事例です。①のような失敗リスクを事前に防ぐため、静岡の顧問税理士に相談し、事前に定款を修正しました。定款に「年に1回、決算から3ヶ月以内に定時社員総会を開催する」「業務執行社員の任期は10年とする」という文言を追加したのです。
決算後の5月20日に定時社員総会を開催し、議事録に「本日を職務執行開始日とし、冬に200万円(約2,000,000円)の事前確定届出給与を支給する」と明記しました。
その翌月に税務署へ届出書を提出し、冬にきっちり200万円を支給したところ、税務調査でも「客観的な手続きが取られている」として、200万円全額が正真正銘の会社の経費として認められました。
■ ③ 浜松市内で任期満了後に同じ社長が継続したケース(登記なし)
浜松市内の製造業の合同会社さまで、定款に「業務執行社員の任期は2年」と定めて運用していました。設立から2年が経過し、社長のBさんの任期が満了するタイミングを迎えました。
株式会社の感覚であれば、法務局へ行って「重任の登記」を行い、登録免許税として1万円(およそ10,000円)を支払わなければならないと考えがちです。しかし、メンバーの構成(社長Bさん、非業務執行社員Cさん)に変更はなかったため、合同会社の法務ルールに従い、変更登記は行いませんでした。
その代わり、定時社員総会の議事録で「Bさんの経営権制限(任期)をさらに2年間延長する」旨を記録し、これを職務執行開始日の証拠として税務署への届出書に使用しました。無駄な登記費用をかけることなく、安全に役員ボーナスの経費化に成功した事例です。
■ ④ 静岡市内で新しく社員が加入したため変更登記が必要になったケース
静岡市内でWEBマーケティングを行う合同会社さまの事例です。定款で役員の任期を5年と定めており、社長のDさん1人が業務を行っていました。
任期の途中である3年目に、新しく外部から優秀な役員Eさんを「業務執行社員」として会社に迎え入れることになりました。これまでの「Dさん1人だけが経営する」という状況から、「DさんとEさんの2人で経営する」という業務執行権のメンバー構成に明確な変化が生じました。
この場合は、任期の途中であっても法務局へ行き、新役員Eさんの加入に伴う「業務執行社員の変更登記」の手続きを行い、登録免許税を納付しました。この手続きを行うことで、Eさんに対する事前確定届出給与の職務スタート日(登記された日、または総会で指定した日)も法律上完璧に証明できるようになりました。
■ ⑤ 浜松市内で届出書の支給日に「1日」遅れて支給してしまったケース
浜松市の会社設立支援を活用して急成長している合同会社さまの事例です。税務署へ「12月15日に役員ボーナスとして100万円(およそ1,000,000円)を支給する」という内容で、完璧な定款と議事録を揃えて事前確定の届出書を出していました。
しかし、12月中旬の資金繰りのバタバタの中で、経理担当者さまがうっかり振り込みを忘れ、実際の送金が「12月16日」と、予定より1日遅れてしまいました。
事前確定届出給与のルールは「1日でも、1円でも」ズレたらアウトという超厳格な制度です。結果として、この100万円は会社の経費として一切認められなくなり、全額に対して法人税が課されるという、スケジュール管理の甘さが招いた手痛い失敗例となりました。
■ ⑥ 静岡市内の店舗ビジネスで「利益が出たから」と金額を増やしたケース
静岡市内で飲食店を複数展開する合同会社さまの事例です。事前に税務署へ「社長へのボーナスを50万円(約500,000円)」と届け出ていました。ところが、年末に思いのほか大ヒット商品が出て利益が大量に余ったため、社長の判断で「せいぜい経費になるのだから、150万円(約1,500,000円)に増やして支払おう」と、100万円を上乗せして支給しました。
「届け出ていた50万円の分だけでも経費になるだろう」と思ったら大間違いです。ルール違反をした場合、届け出ていた50万円も含めた「150万円の全額」が経費から除外されます。利益が出たからといって、後から金額を勝手に変更することは絶対に許されないという典型例です。
■ ⑦ 浜松市内で資金繰りが悪化してボーナスを「減額」して支払ったケース
浜松市内で運送業を営む合同会社さまの事例です。事前に「役員ボーナス100万円」と税務署に届出をしていましたが、秋に大口の顧客との契約が終了し、会社のキャッシュ(手元資金)が急激に悪化してしまいました。
「100万円を支払うと会社の電気が止まってしまうが、全く払わないのも可愛そうだ」と考えた副社長が、なんとか工面した「30万円(約300,000円)」だけを支給しました。
これも⑥のケースと同様に、減らして支払った場合であっても、支給した30万円のすべてが経費として認められなくなります。資金が足りないからといって、中途半端な金額を支払うのが実務上最も損をする選択になってしまいます。
■ ⑧ 静岡市内で資金不足のためボーナスを「一円も支払わなかった」ケース
⑦の事例と似ていますが、静岡市内の建築デザインを行う合同会社さまで、事前に「役員ボーナス200万円(およそ2,000,000円)」と届け出ていたものの、決算直前に材料費の高騰で完全に資金がショートしてしまいました。
顧問税理士に相談したところ、「中途半端に支払うと、支払ったお金に法人税がかかるだけでなく、役員個人の所得税も取られてダブルパンチになります。資金がないなら、今回は『一円も支払わない(支給辞退)』という手続きを取りなさい」とアドバイスを受けました。
社長はボーナスの受け取りを完全に辞退し、会社からの支給をゼロにしました。この場合、当然経費は生まれませんが、無駄な追徴課税や個人の所得税の発生を未然に防ぐことができ、会社の傷口を最小限に抑えることができました。
■ ⑨ 浜松市内で事業年度の途中で「新しく役員になった人」に支給するケース
浜松市内で新しく法人化された合同会社さまで、期が始まってから3ヶ月目に、外部から重要なプログラマーを業務執行社員(役員)として迎え入れました。この新しい役員に対して、冬のボーナスを事前確定届出給与として支給したいと考えました。
「期が始まってから4ヶ月」という通常の提出期限は過ぎていましたが、税法には「新しく役員に就任した人の場合は、その就任した日から1ヶ月以内であれば届出書を出せる」という特例(職務地位変更等の事由)があります。
この会社さまは、就任したその日に社員総会を開いて職務開始日とボーナス額を決定し、2週間後に税務署へ書類を提出したため、期中の入社であっても安全にボーナスを経費にすることができました。
■ ⑩ 静岡市内で複数の役員に「異なる時期」にボーナスを設定したケース
静岡市内で介護事業を運営する合同会社さまで、社長、専務、常務の3人の業務執行社員がいます。会社の資金繰りの波を平ら(タイラ)にするため、社長には7月、専務には10月、常務には1月に、それぞれ50万円(約500,000円)ずつの事前確定届出給与を支給する計画を立てました。
このような「人によって支給する月がバラバラ」という変則的なスケジュールであっても、5月の定時社員総会で全員分の「支給日と金額」を1枚の議事録に完全に明記し、期限内に税務署へまとめて届け出ておけば、何ら問題はありません。
それぞれの指定日に1円の狂いもなく支給を行うことで、3人分合計150万円(およそ1,500,000円)のボーナスがすべて綺麗に会社の経費として処理されました。
【№5 手順】
合同会社が事前確定届出給与のメリットを安全に受けるための、具体的な実務手順をステップ形式で解説します。
■ STEP①:自社の「定款(ていかん)」の内容を確認し、必要なら変更する
会社の金庫やパソコンに保管されている定款の原本を必ず確認します。チェックするポイントは「社員総会(または最高意思決定機関となる会議)」に関する定めがあるか、および「業務執行社員の任期」に関する規定があるかどうかの2点です。
もし、一般的な合同会社のテンプレート通りで、これらの定めが一切ない場合は、そのままでは職務開始日を証明できません。まずは社員全員の同意(または定款で定めた変更手続き)によって、定款に「定時社員総会の設置」と「役員の任期」を書き加える定款変更の手続きを最初に行います。
■ STEP②:決算後、3ヶ月以内に「定時社員総会」を開催する
事業年度が終了(決算)したら、定款で定めたスケジュール(通常は決算から3ヶ月以内)に従って、経営メンバーや出資者が集まる「定時社員総会」を実際に開催します。
この会議の場で、次の1年間(または任期中)の通常の役員報酬(定期同額給与)の金額を決めると同時に、今回のテーマである「事前確定届出給与(役員ボーナス)」を支給するかどうか、支払う場合は「誰に、何月何日に、何円支払うか」を全員で話し合って決定します。
■ STEP③:会議の証拠として「社員総会議事録」を作成する
会議が終わったら、話し合った内容を証明するための「合同会社社員総会議事録(または総意決定書)」をA4の用紙できっちりと作成します。
議事録の中には、会議を行った日付、出席者名、そして「本日(○月○日)を職務の執行の開始の日とする」という文言を必ず盛り込みます。さらに、支給対象者の氏名、具体的な支給日(例:令和○年12月10日)、正確な支給金額(例:1,000,000円)を1文字の曖昧さもなく記載し、議長や出席社員が署名・捺印を行います。
■ STEP④:期限までに税務署へ「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する
国税庁のウェブサイトから「事前確定届出給与に関する届出書(付表を含む)」の書類をダウンロードするか、e-Tax(電子申告)の画面を開きます。
議事録に記載した「職務の執行の開始の日(総会の日)」や「支給予定日」「支給金額」を、1マスの間違いもないように正確に転記します。そして、「総会の日から1ヶ月以内」または「事業年度のスタートから4ヶ月以内」の、いずれか早い方の期日までに、会社の管轄である税務署(静岡税務署や浜松税務署など)へ提出を完了させます。
■ STEP⑤:届出に書いた「その日、その金額」の通りに完全に支給する
カレンダーや経理のスケジュールソフトに、届け出た支給日を「絶対に忘れてはならない重要日」として登録します。
実際の支給日を迎えたら、銀行の窓口やネットバンキングを使い、届け出た金額(例:1,000,000円)から、通常の所得税の源泉徴収(社会保険料の計算等を含む)を差し引いた、正しい「手取り額」を正確に役員の個人口座へ振り込みます。1日でも前倒ししたり、後ろ倒ししたりせず、その指定日に着金するように処理をして、すべての実務が完了となります。
【№6 FAQ】
合同会社における事前確定届出給与の実務において、中小企業の社長さまからよく寄せられる10個の疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
■ Q1. 設立したばかりの1期目の合同会社ですが、最初の期から役員ボーナスを出すことはできますか?
A1. はい、会社を設立したばかりの第1期目の合同会社さまであっても、最初の年から事前確定届出給与を利用することは十分に可能です。新しく会社を設立した場合の提出期限は、通常の「4ヶ月以内」ではなく、「会社を設立した日(設立登記の日)から3ヶ月以内」という特別な期限が設けられています。設立してすぐに定款の機関設計を整え、この3ヶ月の期限内に税務署へ届出書を出しておけば、1年目の決算の手前で役員にボーナスを支払い、それを経費にすることができます。
■ Q2. 届出書に記載する「職務の執行の開始の日」を、適当に「4月1日(期首)」と書いて提出したらどうなりますか?
A2. 実務上、非常に多くの方がやってしまいがちな大失敗のパターンです。客観的な会議(社員総会など)を開いて決めた日ではない、キリの良い日付(期首など)を勝手に書いて提出した場合、税務調査で「なぜこの日が職務の開始日なのですか?根拠となる手続きの議事録を見せてください」と言われたときに何も提出できなくなります。会社法上の正当な手続きの裏付けがない日付は、税務上「無効(要件を満たしていない)」と判定され、せっかく支払ったボーナスの経費算入がすべて否認されてしまいます。
■ Q3. 浜松市内でクラウド会計システムを使っていますが、事前確定届出給与の帳簿付け(仕訳)で注意することはありますか?
A3. 浜松のクラウド会計導入などを進めている企業さまからもよくいただくご質問です。仕訳自体は通常の「役員報酬」や「役員賞与」の勘定科目を使って、実際に支給した日付で入力をすれば問題ありません。ただし、クラウド会計の自動同期機能などで、実際の振込日が届出書の「指定日」と完全に一致しているかどうかを、預金出納帳の画面で厳格にチェックしてください。銀行の休業日(土日祝日)の関係で振込日がズレる可能性がある場合は、あらかじめその休業日を考慮した日付で税務署に届け出ておくなどの工夫が、IT経理の実務において非常に重要になります。
■ Q4. 国税局の文書回答事例にある「任期10年」というのは、必ず10年にしなければいけないのでしょうか?
A4. いいえ、必ずしも「10年」にする必要はありません。任期の長さは、1年であっても、2年であっても、あるいは5年であっても、会社の都合に合わせて自由に定款で決めていただいて構いません。国税局の事例で10年とされていたのは、合同会社において「任期を長く設定しておけば、変更登記の手間を極限まで減らしつつ、税務上の職務期間の区切り(大義名分)を作ることができる」という、実務上のメリットを分かりやすく示すための「一例」に過ぎないからです。
■ Q5. 支給日に会社の口座にお金がなくて振り込めない場合、役員個人のクレジットカードで会社にお金を貸して(社長借入金)支給してもセーフですか?
A5. 結論から言うと、会社がお金をどこから調達してきたかは問われませんので、社長個人から会社がお金を借りて、その借りたお金を原資として指定日に役員の口座へ振り込みを行えば、税務上は「セーフ(経費として認められる)」となります。ただし、手元の現金が足りないからといって「帳簿上だけで支払ったことにする(未払金として処理する)」のは完全にアウトです。必ず、指定された日に「実際に会社の口座から個人の口座へお金が移動した」という銀行の履歴(通帳の印字)を残す必要があります。
■ Q6. 届出書を出した後に、どうしても支給日や支給金額を変更したくなった場合、変更の手続きはありますか?
A6. 事前確定届出給与の変更は、原則として「会社の都合(利益が出たから増やしたい、減らしたいなど)」では一切認められません。例外として変更ができるのは、①役員の地位が大幅に変わった場合(例:平の役員から社長に昇格したなど=職務地位変更事由)、または②会社の経営が深刻に悪化して倒産の危機にある場合(例:主要な取引先が民事再生を申請したなど=経営悪化事由)の2つの深刻なケースに限られます。これらのやむを得ない事情が生じた場合に限り、事情が発生してから一定期間内に「変更届出書」を出すことで変更が認められます。
■ Q7. 業務を執行しない「雇われ社長(代表社員だが、出資は1円もしていない人)」に対しても、このボーナスは使えますか?
A7. はい、合同会社の社員には「出資をしている社員」だけでなく、定款の定めによって経営の実務だけを任されている役員(業務執行社員・代表社員)も存在します。出資の有無にかかわらず、会社の経営陣(法人税法上の役員)に該当する人であれば、全員がこの事前確定届出給与の対象者となります。手続きの手順や定款の確認ポイント、提出期限なども、出資している生え抜きの経営者さまと全く同じルールで進めることができます。
■ Q8. 静岡市内で確定申告を行う際、事前確定届出給与で支払った役員のボーナスから源泉徴収する所得税の計算はどうなりますか?
A8. 静岡での確定申告や毎月の給与計算の際にも見落とせないポイントです。事前確定届出給与は、会社の法人税の計算上は「特別なボーナス」として扱われますが、役員個人の所得税の計算上は、通常の「賞与(ボーナス)」として扱われます。そのため、支給する際には、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出方法の表」を使い、その役員の直前の月の給料の金額と扶養親族の数に応じて、正しい所得税(およそ10%〜40%など)を天引きしなければなりません。これを忘れると、会社が源泉徴収漏れのペナルティを受けます。
■ Q9. 届出をした金額が「100万円」で、源泉徴収税を引いた「85万円」を個人口座に振り込みました。これは「金額が違う」として否認されますか?
A9. いいえ、全く問題ありません(否認されません)。税務署に届け出ている「支給金額」とは、税金を引く前の「総支給額(グロス金額)」のことです。日本の法律上、給料やボーナスを支払う際には必ず所得税や社会保険料を天引き(源泉徴収)して国に納める義務があるため、実際に個人の口座に振り込まれる金額が「手取り額(ネット金額)」になるのは当然のことだからです。税務署の調査官も、総支給額が届出書と一致しているかを会社の賃金台帳や仕訳帳で確認しますので安心してください。
■ Q10. 1つの事業年度の間に、夏(7月)と冬(12月)の「年2回」、役員ボーナスを分けて支給するように届け出ることは可能ですか?
A10. はい、年に2回、あるいはそれ以上の回数に分けて事前確定届出給与を支給するように届け出ることは完全に合法であり、実務上もよく使われる手法です。提出する届出書の用紙には、支給期日と金額を記入する欄が複数行用意されています。例えば「7月10日に50万円、12月10日に100万円」といったように、1枚の届出書にそれぞれの正確な日付と金額を並べて記入し、期限内に一括して税務署へ提出しておけば、年2回のボーナスのすべてを安全に会社の経費にすることができます。
【№7 まとめ】
ここまで、合同会社が役員に対して事前確定届出給与(役員ボーナス)を支給する際における、株式会社との仕組みの違いや、定款変更の重要性、そして具体的な実務の手順について詳しく見てきました。
事前確定届出給与は、これまで「経費にできない」と思い込まれていた役員のボーナスを、合法的に100%会社の経費に変えることができる非常に強力な「節税の武器」です。
これを知っているか知らないか、そして「会社のルールブックである定款」を国税局の最新の見解に合わせて正しくアップデートできているかどうかだけで、会社が支払う税金の負担は数十万円から数百万円単位で大きく変わってきます。
■ 仕組みを正しく運用するための防衛策
しかし、今回のコラムで解説した通り、合同会社の事前確定届出給与の実務は、単に「税務署へ書類を1枚出して終わり」という簡単なものではありません。
株式会社とは異なり、法律上の義務がない「社員総会」や「役員の任期」という仕組みを、自社の定款にあえて自ら作り込み、職務期間のスタートの日を客観的に証明できる「証拠のバトン」を綺麗に繋いでいかなければ、せっかく支払った大金が税務調査の席で一瞬にして無駄になってしまうという、恐ろしいリスクと隣り合わせになっています。
また、会社の事業規模や毎月のキャッシュフローの波によっては、無理に役員ボーナスを設定するよりも、通常の毎月の給料(定期同額給与)の金額を最適なバランスで調整したり、将来を見据えて「浜松の会社設立支援」や「静岡の顧問税理士」による専門的な経営シミュレーションを組み合わせた方が、結果として会社の財務体質をより健全に保ち、手残りのキャッシュを最大化できるケースもあります。
税務のルールを正しく味方につけるということは、会社の利益を不当に隠すことではなく、国が認めた正当な権利を120%活用して、会社と従業員、そして経営者さまの生活を守るための「健全な経営革新」を達成することに他なりません。
静岡・浜松の中小企業さまへ向けて、これらの複雑な役員給与のトラブルを未然に防ぎ、一番会社にお金が残る安全な経営ルートを選択していくことが、これからのデジタルグローバル時代において会社を守り、持続的な成長を達成するための最も確実なステップとなります。
★重要:知らないと損するポイント
事前確定届出給与による税金の優遇を受けるためには、決算が終わった直後の短い猶予期間の間に、すべての定款確認や総会の開催、議事録の作成を終わらせなければなりません。
必ず「新しい事業年度が始まる前」や「決算の作業を行っている段階」から、次の期の役員報酬のプランをプロの目で確認し、提出期限の1日前にはすべての書類を税務署へ出し切る実務スケジュールを社内で徹底しましょう。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3895号(2026年04月06日)「タックスフントウ 第163回 合同会社が事前確定届出給与を支給する場合の注意点(法人税)」
参考:国税庁タックスアンサー「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給開始分)」(参照日:2026-06-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第34条(役員給与の損金不入)」(参照日:2026-06-08)
参考:東京国税局・令和7年2月「合同会社の社員に対して事前確定届出給与を支給する場合の税務上の取扱いについて(文書回答事例)」(参照日:2026-06-08)
参考:法務省民事局・平成20年11月21日「法務省民商3037号法務省民事局商事課長通知」(参照日:2026-06-08)
【№9 該当条文の説明】
今回の合同会社の役員給与と事前確定届出給与の実務において、すべての判断の根拠となる重要な法令とその位置づけについて分かりやすく解説します。
【法人税法第34条(役員給与の損金不入)】
■ 条文が作られた背景とこれまでの歴史
この法律は、会社が身内の役員に対して自由に高い給料やボーナスを支払い、会社の利益を意図的に減らして法人税から逃れるという行為を防止するために用意された、大変歴史が深くかつ厳格なルールです。
過去の大きな税制改正により、現在では役員に対する給与のうち、会社の経費(損金)にすることが認められているものは、毎月同じ金額を支払う「定期同額給与」、事前に税務署へ届け出る「事前確定届出給与」、そして上場企業などで導入される「業績連動給与」の3つのルートだけに完全に限定されています。
■ 条文の具体的な内容と合同会社における意味
法律の第1項第2号(事前確定届出給与の規定)では、その役員の「職務の執行の開始の日」など、国のルール(政令)で定める日までに、支給する時期と金額を記載した書面をあらかじめ税務署長に届け出ている場合において、その届け出た通りに支給される給与に限り、経費に算入することを例外的に認めています。
今回の国税局の発表でも注目された通り、合同会社であってもこの法人税法第34条の適用を全く同じように受けるため、条文内にある「職務の執行の開始の日」を会社法上の正当な手続き(定款の整備や社員総会の開催)によって客観的に証明することが、役員ボーナスを経費として認めてもらうための絶対的な必須条件となっています。
【法人税法基本通達9-2-16(事前確定届出給与の職務執行開始日)】
役員がその事業年度において新たに就任した場合や、定時総会の決議によって報酬が改定された場合における、税務署への「届出期限のスタート地点」を細かく定めている国税庁の現場向け基本ルールです。
この通達により、職務のスタート日がいつであるかによって届出の有効性が1日単位で厳しく判定されるため、合同会社であっても「なんとなく」で日付を決めず、定款で会議の日(区切りの日)を明確にしておくことが実務上強く求められます。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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