関連者間取引に係る書類の整理保存の特例と青色申告取消しおよび推計課税のリスク

2026年7月5日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!

私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!

本日は、「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例と青色申告取消しおよび推計課税のリスク」をお伝えさせていただきます!

【この記事で得られること】
令和8年度税制改正で始まったグループ企業間の新しい書類保存ルールと、中小企業が受ける影響が分かります。

親会社や関連会社へ支払うお金の明細がない場合に、どのような書類を7年間残すべきかが明確になります。

万が一、書類を紛失した際に発生する「青色申告の取り消し」と「国税局による推計課税」の恐ろしい罠を防ぐ方法が理解できます。

【№2 結論】

令和8年度税制改正により、「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」という新しい制度がスタートしました。

この制度は、内国法人が親会社や子会社、グループ企業などの「関連者」と取引を行う際、契約書や領収書などの書類に「いくらで、どのような計算で取引したか」という具体的な明細が書かれていない場合に、それを補うための書類を別途作成・取得して保存することを義務付けるものです。

対象となるのは、令和8年4月1日以後に開始する事業年度に行われる、技術指導料の支払いや特許権の貸し借りなどの取引です。

この特例について、実務の現場では「親会社に支払った経営指導料などの損金算入(経費にすること)がすぐに否定されてしまうのではないか」という不安の声が多く上がっていました。

結論から申し上げますと、この新しい特例だけを直接の理由にして、税務署から経費の金額そのものを否定(否認)されることはありません。この制度の本来の目的は、グループ間で本当に取引があったのかどうか、その計算の根拠がどこにあるのかをクリアに把握することにあるからです。

しかし、ここには中小企業の経営にとって非常に恐ろしい、見落としがちな連鎖リスクが隠されています。

それは、税務調査の際にもしこの「特定事項記載書類(とくていじこうきさいしょるい)」と呼ばれる補足書類を保存していないことが発覚した場合、法人の「青色申告の承認」が取り消されてしまうという点です。

財務省令である法人税法施行規則59条の2に基づき、必要書類を適切に保存していないことは、法人税法127条に定める「帳簿書類の備付け・保存の不備」に該当することになります。

もし青色申告が取り消されてしまうと、会社は「白色申告法人(はくしょくしんこくほうじん)」へと強制的に格下げされてしまいます。

白色申告になると、税務署は会社の実際の帳簿を見ずに、同業他社の利益率などから税金を計算する「推計課税(すいけいかぜい)」を行うことができるようになります。これにより、会社は多額の追徴課税を課されるリスクに直面することになります。

静岡市や浜松市で親会社から技術的なサポートを受けている子会社さまや、グループ内で役務提供を行っている中小企業の経営者さまは、この新しい書類保存ルールを甘く見ず、クラウド会計やデジタル管理を活用して確実な防衛策を講じる必要があります。

【№3 やさしい解説】

■ なぜグループ企業間の取引に新しいルールができたの?

中小企業の経営において、親会社と子会社、あるいは社長が別に経営している兄弟会社の間で、仕事の発注や技術の指導を行うケースは珍しくありません。

例えば、「親会社から工場の運営方法について教えてもらったので、技術指導料として毎月50万円を支払う」といったケースです。

このような家族や身内のような関係にある会社同士の取引(関連者間取引)では、一般の他社との取引に比べて、契約書や請求書の中身が「どんぶり勘定」になりやすいという傾向があります。

「毎月の指導料は一律50万円とする」とだけ契約書に書かれていて、具体的にどのような計算で50万円になったのか、誰が何時間動いたのかといった明細が全く残されていないケースが多々あるのです。

国税庁や税務署としては、このような中身の見えない取引が、税金を減らすための利益調整(利益移転)に使われていないかを厳しくチェックしたいと考えています。

そこで今回の令和8年度税制改正により、「身内同士の取引については、他社との取引以上にしっかりとした計算の根拠となる書類を残しなさい」という厳しいルールが作られることになりました。

■ 「特定事項記載書類」ってなに? 何を保存すればいいの?

もし、既存の契約書や領収書の中に、取引金額の細かい明細や計算方法が書かれていない場合、その足りない部分を補うための書類を自社で作るか、相手から受け取って保管しなければなりません。

この書類のことを、法律では「特定事項記載書類(とくていじこうきさいしょるい)」と呼びます。

具体的には、以下のような内容が分かる書類を準備する必要があります。

誰がどのような作業を行ったのかが分かる業務の日報

時間あたりの単価や、具体的な計算式が記載された計算書

実際に技術指導やサービスの提供が行われたことを証明する報告書

これらの書類を、会社の決算が終わった後(事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日など)から、「7年間」にわたって大切に保存しておくことが法律(法人税法施行規則59条の2、67条の2)で義務付けられました。

一言まとめ:身内への支払いは、計算の根拠が分かる書類を7年間残す必要があります。

■ 「経費が認められないわけではない」という安心と、本当の恐怖

この制度が発表された当初、多くの中小企業の社長さまや経理担当者さまは、「書類が足りないと、親会社に支払った指導料などの経費(損金)がすべて無効にされてしまうのではないか」とパニックになりました。

しかし、そこは少し安心してください。
この特例の主な目的は、あくまで「本当にその取引が行われたのか」という事実関係と、「どのように金額を決めたのか」というプロセスを税務署が把握することにあります。

ですから、この書類が手元にないということだけで、即座に「経費の全額を認めない」と言われることはありません。

しかし、本当に怖いのはその先に待っているペナルティです。
日本のほとんどの中小企業は、税金面でたくさんの優遇を受けられる「青色申告(あおいろしんこく)」という制度を利用しています。

青色申告を利用するためには、税務署に対して「うちは法律通りに正しく帳簿をつけ、書類を保存します」という約束をしています。

今回の新しいルール(財務省令)で保存しなさいと言われた書類を保存していないということは、税務署との約束を破ったことになります。
その結果、税務署から「あなたたちの会社は正しい申告をする資格がない」と判断され、青色申告の権利を強制的に取り上げられてしまう(青色申告の承認の取消し)リスクがあるのです。

一言まとめ:経費は削られなくても、青色申告をする権利が奪われる可能性があります。

■ 青色申告が取り消されると、会社はどうなってしまうの?

青色申告の権利を失うと、会社は「白色申告法人(はくしょくしんこくほうじん)」というグループに落とされてしまいます。
白色申告になると、これまで当たり前に使えていた多くのメリットがすべて使えなくなります。

例えば、以下のような大打撃を受けます。

赤字(欠損金)が出ても、翌年以降の黒字と相殺して税金を安くすることができなくなる(欠損金の繰越控除の不適用)

30万円未満のパソコンや事務機器を一発で経費に落とせる特例(少額減価償却資産の特例)が使えなくなる

税務調査が入った際、税務署の判断だけで税金を決められる「推計課税(すいけいかぜい)」の対象になる

特に恐ろしいのが、3つ目の「推計課税」です。
通常の税務調査では、税務署は会社の帳簿を1つずつチェックして税金を計算します。

しかし推計課税では、税務署が「あなたの会社の同業他社は、だいたいこれくらいの利益率で儲かっているから、あなたの会社もこれくらいの税金を払いなさい」と、文字通り「推計(見積もり)」で税金を決めて、更正(こうせい)や決定という処分を下すことができるようになります。

これに対抗して「うちはそんなに儲かっていません」と言い返すことは非常に難しくなり、結果として目の飛び出るような大金の追徴課税(ついちょうかぜい)を命じられることになってしまうのです。

一言まとめ:白色申告に落とされると、税務署の見積もりで重い税金を課されます。

★重要:知らないと損するポイント
今回のルールは、中小企業の社長さまが「うちは大企業のような海外の親会社との取引(移転価格税制など)はないから関係ない」と油断しがちな点に最大の罠があります。
日本の国内にいる親会社や、社長が100%出資している別会社との間の、日本国内の取引であっても、この「関連者間取引」にばっちり該当します。
静岡・浜松の地域密着で頑張っている地元の企業さまであっても、グループ会社が存在する場合は全員が当事者になるのです。

★注意:よくある誤解
「契約書があるから大丈夫」という思い込みは非常に危険です。
今回の改正では、たとえ立派な契約書が金庫に保管されていても、その契約書の中に「対価の額の明細や計算方法」が具体的に書かれていなければ、アウト(書類未保存の状態)とみなされます。
契約書の有無ではなく、その契約書の中に「内訳」が書かれているかどうかが判断の分かれ目となります。

日常例で例えるなら、奥さんから「今月の生活費として10万円ちょうだい」と言われて渡した際、後から「何にいくら使ったのかレシートを見せて」と言ったのに、「10万円は10万円だよ」と言われてレシート(明細)を一切見せてもらえないような状態です。
家族間なら許されるかもしれませんが、ビジネスの世界、特に税金の世界では、そのレシート(特定事項記載書類)がないと、税務署という厳しい監査役から一発でレッドカードを出されてしまう時代になったのです。

【№4 具体例】

新しい「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」が適用された後、どのような場面で「特定事項記載書類」が必要になり、どのようなペナルティが発生するのか、実務でよくある11の具体的なケースをまとめました。自社のグループ内取引に当てはまるものがないか確認してみましょう。

① 静岡市内の子会社が東京の親会社へ「経営指導料」を支払うケース
静岡市のA社(子会社)は、東京にある親会社から経営サポートを受け、毎月50万円(年間600万円)の「経営指導料」を支払っています。契約書には「指導料は一律月額50万円」としか書かれていません。
★重要:金額の明細や計算根拠が契約書にないため、A社は親会社から「どの役員が何時間指導し、どのように50万円と算出したか」が分かるタイムシートや計算書(特定事項記載書類)を取得し、7年間保存しなければなりません。

② 浜松市内の製造業がグループ内の別会社から「技術指導」を受けるケース
浜松市のB社(製造業)は、社長の親族が経営する兄弟会社から工場のライン稼働に関する「技術指導」を受け、年間300万円を支払っています。
★注意:身内同士の取引だからと口頭の約束だけで済ませていたり、請求書に「技術指導料一式 3,000,000円」とだけ記載されている場合は完全にアウトです。作業日報などの明細書類を自社で作成・整理する必要があります。

③ 静岡市内のIT企業が親会社の「特許権(工業所有権)」を借りるケース
静岡市のC社(システム開発業)は、親会社が保有するソフトウェアの特許権を借りてビジネスを行い、毎月売上の5%をロイヤリティとして支払っています。
★重要:契約書に「売上の5%」という計算方法が明記されていれば、それ自体が計算根拠となるため基本的にはクリアですが、毎月の売上データの推移や、実際の請求額の計算内訳が分かる書類を決算後7年間セットで残しておく必要があります。

④ 浜松市内の建設会社がグループ会社へ「出向社員の人件費」を精算するケース
浜松市のD社(建設業)は、人手不足を補うためにグループ会社から職人の派遣(役務提供)を受け、その人件費として毎月100万円を支払っています。
★重要:単に「応援代 1,000,000円」という領収書だけでは足りません。「誰が、どの現場に、何日間入り、基本給や諸手当の何%を負担したのか」という人件費精算の内訳書(特定事項記載書類)を作成し、保管する義務があります。

⑤ 税務調査で「特定事項記載書類」の未保存を指摘されたが、経費自体は実在するケース
静岡市のE社は、兄弟会社へのデザイン外注費の明細書類(特定事項記載書類)を作っていませんでした。税務調査が入り、調査官から書類の不備を指摘されましたが、実際にデザインされたパンフレットなどは手元に現物として存在しています。
★重要:今回の特例(法人税施行規則59条の2)を理由に、外注費そのものの損金算入(経費にすること)が直接否定されることはありません。取引の実態があるため、金額の妥当性まではこの特例では問われないからです。

⑥ 書類未保存が原因で「青色申告の承認」を取り消されてしまったケース
浜松市のF社は、数年前からグループ間取引の明細書類をまったく保存しておらず、過去の税務調査でも再三注意を受けていました。今回の調査で「改善が見られない」として、法人税法127条に基づき、青色申告の承認をさかのぼって取り消されてしまいました。
★注意:これによりF社は「白色申告法人」へ強制的に格下げとなり、過去にさかのぼって青色申告の数々の税制優遇(特典)をすべて剥奪されるという大打撃を受けます。

⑦ 青色申告が取り消され、当期の「赤字(欠損金)」が切り捨てられたケース
静岡市のG社は、上記の書類不備で青色申告を取り消された事業年度において、コロナ禍の影響などにより500万円の赤字(欠損金)を出してしまいました。
★注意:青色申告であれば、この500万円の赤字を翌年以降に持ち越して(最長10年間)、将来の黒字と相殺して税金を安くできましたが、白色申告になったため500万円の赤字は1円も繰り越せず、完全に切り捨て(無効)となります。

⑧ 白色申告への格下げにより「30万円未満のパソコン」が一発で経費に落とせなくなったケース
浜松市のH社は、期末に社員用のパソコン10台(1台25万円、合計250万円)を一括で購入し、経費(損金)として処理していました。しかし、書類不備で青色申告が取り消されてしまいました。
★注意:30万円未満の資産を一発で経費にできる「少額減価償却資産の特例」は、青色申告法人だけの特例です。白色申告になったH社は一発で経費にできなくなり、4年や5年かけて毎年少しずつ減価償却(引き算)しなければならなくなり、当期の税金が跳ね上がりました。

⑨ 税務署から「推計課税」を適用され、法外な税金を請求されたケース
静岡市のI社は、関連会社との不透明な取引について明細書類(特定事項記載書類)を残していなかったため、青色申告を取り消され、法人税法131条に基づく「推計課税」の対象となりました。
★注意:税務署は、I社の実際の帳簿を無視し、「静岡市内の同業他社の平均利益率は〇%だから、お宅の売上ならこれくらいの利益が出ているはずだ」と見積もりで課税標準を計算し、多額の追徴課税を命じました。これに反論する証拠がないため、I社は受け入れるしかありませんでした。

⑩ グループ会社間で「無償」で技術サポートを行っていたケース
浜松市のJ社は、親会社から「無償」で工場の安全管理に関するノウハウを教えてもらっており、お金のやり取りは一切発生していません。
★重要:お金の支払いや対価の移動が発生していない(対価の額がない)ケースであっても、実質的に「役務の提供」を受けている場合は注意が必要です。今回の特例の適用対象(令和8年4月1日以後開始事業年度)となるため、「無償で行うこととした背景や理由」を記録した書面を残しておくことが、将来のトラブル防止に繋がります。

⑪ 社長が個人で所有するビルを、会社に「役員借入金の相殺」として貸し付けるケース
静岡市のK社の社長は、自分が個人で持っているオフィスビルを、自社(K社)に貸し付けています。家賃の支払いは行わず、過去に会社が社長から借りていたお金(役員借入金)の返済と毎月相殺する形にしています。
★注意:直接的な現金の動きがなくても、これは立派な「関連者間の役務提供(貸付け)」に該当します。相殺の根拠となる計算方法や明細を書類にして7年間残さなければ、K社の青色申告が取り消される引き金になり得ます。

【№5 手順】

令和8年度税制改正で導入された「関連者間取引の書類保存特例」に完全対応し、静岡・浜松の中小企業さまが青色申告取消しや推計課税の恐怖から会社を守るための具体的な実務手順をステップ形式で解説します。

■ STEP①:自社の「関連者(グループ会社・親族企業)」をすべて洗い出す

自社に対して50%以上の出資を行っている親会社や子会社だけでなく、社長個人やその親族が実質的に支配している別会社、兄弟会社をすべてリストアップします。

静岡・浜松の地元だけで完結している身内企業であっても、法律上の「関連者」に該当するため、例外なくチェック対象とします。

■ STEP②:関連者との間で交わされている「すべての契約・取引」を総点検する

リストアップしたグループ企業との間で、「経営指導」「技術サポート」「応援人員の派遣」「オフィスの貸し借り」「特許・ロゴの使用」などがないか確認します。

該当する取引について、現在保管されている契約書、請求書、領収書を金庫やファイルからすべて取り出します。

■ STEP③:書類の中に「金額の明細」や「計算方法」が書かれているか確認する

取り出した契約書等を見て、「月額〇円とする」「一式〇円」としか書かれていない取引を見つけ出します。

該当するものがあれば、今回の特例でいう「特定事項(対価の額の内訳や算定の根拠)」が不足している状態(イエローカード)であると認識します。

■ STEP④:足りない情報を補う「特定事項記載書類」を今すぐ作成・取得する

相手企業(親会社など)に依頼して、稼働時間のタイムシートや人件費の計算内訳書を発行してもらうか、自社で「〇年〇月分・技術指導内容報告書」といった明細書をインボイス(適格請求書)とセットで作成します。

金額の決定プロセスを誰もが客観的に確認できる状態(エビデンスの確保)にします。

■ STEP⑤:クラウド会計やデジタルストレージを活用し、「7年間」の安全保存を自動化する

作成・取得した特定事項記載書類を、電子帳簿保存法のルールに準拠した形でクラウド上のセキュアなフォルダに保存します。

保存の起算日(決算が終わってから2か月を経過した日など)から「7年間」は絶対に削除できないようシステムでロックをかけ、次回の税務調査に備えます。

【№6 FAQ】

グループ企業間取引の新しい書類保存ルールと、青色申告取消し・推計課税のリスクについて、静岡・浜松の経営者さまからよくいただく10の質問にQ&A形式でお答えします。

■ Q1. 静岡市で複数の会社を経営しています。今回の「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」は、大企業向けのルールですか? 私たちのような地元の中小企業にも関係ありますか?

A1. はい、大企業・中小企業に関わらず「すべての法人」に完全に適用されます。世間一般の「移転価格税制(海外の子会社との取引ルール)」などとは異なり、今回の特例は「日本国内にあるグループ企業同士の身内取引」もすべて対象となります。静岡市や浜松市で、社長が複数の会社を経営して互いに仕事を融通し合っているような場合、すべてこの法律の網の目に引っかかりますので、中小企業にこそ最も関係が深い大改正です。

■ Q2. 契約書に「経営指導料は毎月一律30万円とする」と明記して、お互いに実印を押して保管しています。これでも「特定事項記載書類」を別に作らなければいけませんか?

A2. はい、別に作成するか取得する必要があります。今回のルール(法人税法施行規則59条の2)では、金額が固定されて契約書に書いてあっても、その「30万円の明細や具体的な計算方法(なぜ30万円なのかの内訳)」が書かれていなければ、記載不足とみなされます。したがって、その30万円の根拠となる「今月おこなった指導内容のレポート」や「動いた人の人件費単価×時間」といった補足書類(特定事項記載書類)が絶対に必要となります。

■ Q3. 浜松市内の子会社です。親会社から言われた通りの金額を支払っているだけなのですが、もし書類を保存していなくてペナルティを受けるとしたら、支払った自社(子会社)ですか? それとも受け取った親会社ですか?

A3. ペナルティ(青色申告の承認取消し・推計課税)のリスクに直面するのは、お金を支払って経費(損金)に落としている「内国法人(今回の場合、自社である子会社さま側)」です。もちろん、グループ全体の税務調査において親会社側もチェックされますが、財務省令で書類の保存義務を課されているのは、その取引を行った当事者である法人自身ですので、子会社さま側が自衛のために書類を確保しなければなりません。

■ Q4. 税務調査で「特定事項記載書類がない」と言われたら、親会社に支払った指導料などの経費(損金)は、その場ですべて全額カット(否認)されてしまうのですか?

A4. いいえ、この特例だけを理由に、経費の全額が即座に否定(損金不算入)されるわけではありません。記事内(税務通信)でも解説されている通り、この制度の目的は「取引が実際にあったかどうかの確認」と「計算プロセスの把握」です。金額が妥当であれば、書類がないことだけで経費そのものが削られるわけではありません。しかし、本当に恐ろしいのは経費のカットではなく、「青色申告そのものを取り消されること」です。

■ Q5. 青色申告の承認が取り消されると、会社の税金は具体的にどれくらい増えてしまうものですか?(静岡県・浜松市のケース)

A5. 会社の状況によりますが、大増税になる危険性が極めて高いです。青色申告が取り消されて白色申告になると、「過去の赤字(欠損金)を翌年以降の黒字から差し引く権利(繰越控除)」が使えなくなります。また、30万円未満の減価償却資産(パソコンなど)の一括経費算入もできなくなります。さらに、もっとも最悪なケースとして、税務署のさじ加減で税金を決められる「推計課税」が発動した場合、本来の利益の数倍にのぼる法人税・住民税・事業税を一方的に課されることになります。

■ Q6. 「推計課税」とは何ですか? 税務署はどうやって会社の税金を見積もるのですか?

A6. 推計課税(法人税法131条)とは、会社が正しい帳簿や書類を保存していない(青色申告が取り消された)場合に、税務署が直接的な証拠(帳簿)を見ずに、外側の間接的なデータから売上や利益を「推測」して税金を決定する恐ろしい仕組みです。具体的には、「静岡市内の同業他社、同じ売上規模の企業の平均利益率は〇%である」という統計データや、「仕入れた材料の量から計算すると、本当はこれくらいの製品を作って売っているはずだ」といった計算から、一方的に課税標準(税金の元になる数字)を決められてしまいます。

■ Q7. 関連者間取引の書類の保存期間は「7年間」とのことですが、この「7年」はいつから数え始めて(起算日)7年間なのですか?

A7. 法律(法人税法施行規則67条の2)において、保存期間の数え始め(起算日)は、「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」となります。実務上は、会社の決算日(事業年度終了の日)の翌日から「2か月を経過した日」が一般的な起算点です。例えば、3月31日決算の会社であれば、申告期限である5月31日の翌日(6月1日)から数えて丸7年間、その書類をいつでも税務調査で提示できるように安全に保管しておかなければなりません。

■ Q8. 令和8年度(2026年度)の税制改正とのことですが、具体的にいつの取引からこの書類保存の義務が発生するのですか?

A8. 法律の附則(改正法規附則8)により、「令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度」において行う関連者間取引から適用されます。例えば、毎年「10月1日〜翌年9月30日」を事業年度としている会社の場合、令和8年4月1日をまたいだ後の最初のスタートである「令和8年10月1日以降の事業年度」から、この特例の網がかかることになります。自社の決算期がいつから始まるのかを正確に把握し、準備を進める必要があります。

■ Q9. グループ会社間で、形だけの「特定事項記載書類(嘘の稼働時間などを書いた書類)」を適当に作って形だけ保存しておけば、税務調査はすり抜けられますか?

A9. 絶対にやってはいけません。万が一、税務調査で「書類の保存はあるが、その中身(稼働時間など)が実態と全く異なる偽造されたものである」と見破られた場合、単なる書類の未保存(青色申告取消し)にとどまらず、税金を意図的に隠した「隠蔽・仮装(いんぺい・かそう)」とみなされます。その場合、最も重い罰金である「重加算税(じゅうかさんぜい、最大40%)」が課されるだけでなく、悪質な脱税行為として一発で青色申告が取り消され、社会的な信用も完全に失墜します。

■ Q10. 最高のIT税理士法人は、静岡・浜松の中小企業がこの「関連者間書類保存特例」をクリアするために、どのようなITサポートをしてくれますか?

A10. 当法人では、グループ企業間の取引を安全に管理するため、最新の「クラウド会計ソフト」や「電子帳簿保存法対応のデジタルストレージ」の導入をトータルで支援します。契約書や請求書に明細が足りない場合のアラート機能を持たせ、必要な「特定事項記載書類」をデジタル上でテンプレート化して簡単に作成・共有・取得できる仕組みを構築します。これにより、日々の経理の負担を増やすことなく、税務調査で100%負けない「青色申告のディフェンス体制」を静岡・浜松の経営者さまへご提供いたします!

【№7 まとめ】

令和8年度税制改正で導入された「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」について、特に経営者が絶対に頭に入れておくべき最重要ポイントを整理しましょう。

【結論(重要ポイントまとめ)】
① 親会社やグループ企業との取引において、契約書等に取引金額の具体的な明細や計算方法がない場合、それを補う「特定事項記載書類」を作成・取得し、7年間保存することが義務化されました。

② この書類がないことだけで即座に経費が削られるわけではありませんが、書類未保存は「青色申告の承認取消事由」に直撃するため、会社の税務上の優遇措置がすべて消滅する危険があります。
③ 青色申告が取り消されて白色申告になると、税務署の見積もりだけで一方的に税額を決められる「推計課税」の対象となり、会社の存続を揺るがすほどの多額の追徴課税リスクに直面します。

グループ会社を経営されている静岡市や浜松市の中小企業の社長さまが「次に何をすべきか」は明確です。

それは、今すぐ身内企業との間で交わされている契約書や請求書の記述を見直し、「月額〇円一式」という大雑把な表記を排除すること、そして足りない明細をクラウド等で安全に作成・保存する体制を整えることです。「うちのグループ間取引の契約書は今のままで大丈夫?」「推計課税の対象にならないよう、今のうちに正しい特定事項記載書類のひな形を作りたい」「静岡・浜松の地域密着で、ITを使ったバックオフィスの税務リスク防衛を徹底したい」とお考えであれば、中小企業のIT導入と健全な経営防衛を強力にサポートする最高のIT税理士法人へ、どうぞ今すぐお気軽にご相談ください。改正法に準拠した完璧なデジタル書類保存体制の構築を、私たちが最高のIT技術と確かな専門知識で徹底的にバックアップいたします!

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3897号(2026年04月20日)「関連者間書類保存特例 青色申告取消しの場合は推計課税の対象」編集部
参考:国税庁HP タックスアンサー「No.5402 青色申告法人の帳簿書類の保存期間等」(参照日:2026-06-25)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第126条、第127条、第131条、法人税法施行規則第59条の2、第67条の2」(参照日:2026-06-25)

【№9 該当条文の説明】

参考:e-Gov法令検索「法人税法第127条(青色申告の承認の取消し)、第131条(推計課税)、法人税法施行規則第59条の2(関連者間取引に係る特定事項記載書類の保存)」の内容解説

■ 条文が作られた背景と改正経緯
これらの条文は、日本の申告納税制度の根幹である「青色申告」の健全性を維持し、特に不透明な取引が行われやすいグループ企業間(関連者間)の取引実態を、税務当局が正確に把握できるようにするために整備・改正された規定です。
これまでは、資本関係のある親会社や兄弟会社との間で、実態の伴わない「経営指導料」や「コンサルティング料」を計上して利益を操作する行為が、一部の企業で見受けられました。しかし、通常の税務調査でその計算根拠を求めようとしても、「身内だから書類はない」「一括の契約だから明細はない」と言い逃れをされ、調査が長期化することが課題となっていました。
そこで、令和8年度の税制改正において、法人税法施行規則59条の2などの財務省令が新設され、明細のないグループ間取引に対する補足書類(特定事項記載書類)の保存が「青色申告を維持するための必須義務」として明確に定義されました。これにより、義務を果たさない悪質なケースに対しては、青色申告の取消し(法人税法127条)や推計課税(法人税法131条)という、非常に強力なペナルティを発動できる法的環境が整備されたのです。

■ 条文の具体的な内容と自社における意味
法人税法施行規則59条の2では、関連者との間で工業所有権の譲渡・貸付け、または役務の提供(サービスの提供)を行った内国法人が、その取引の対価の額の明細等の記載がない帳簿書類等を使っている場合、その「特定事項(足りない明細)」を明らかにする書類を取得・作成し、保存しなければならないと定めています。
そして、法人税法第127条第1項第3号では、帳簿書類の備付け・記録・保存がこの財務省令で定めるところに従って行われていないときは、税務署長はその事業年度にさかのぼって青色申告の承認を取り消すことができると規定しています。さらに、取り消された結果として適用される法人税法第131条(推計課税)では、税務署長が法人の財産や債務の増減状況、売上や仕入れの分量、同業他社の状況などから推計して、税金の更正や決定を行うことができると定めています。
静岡市や浜松市でグループ会社を運営されている経営者さまにとって、この条文群の意味は、日頃の書類管理の甘さが「会社全体の税務資格の剥奪」と「税務署の一方的な見積もりによる大増税」という、致命的な経営リスクに直結しているという厳しい現実そのものです。この特例のスタート(令和8年4月1日以後開始事業年度)に合わせて、グループ内のすべての取引について1円の明細・根拠までデジタルで即座に証明できる体制(ITインフラ)を構築することは、もはや単なる経理の作業ではなく、会社の資産と青色申告という貴重な権利を守り抜くための、最優先の「防衛戦略」としての意味を持っているのです。

【№10 おわりに】

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