給与所得の源泉徴収票に係るみなし提出特例の適用関係と中途退職者の実務対応

2026年7月6日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!

私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!

本日は、「給与所得の源泉徴収票に係るみなし提出特例の適用関係と中途退職者の実務対応」をお伝えさせていただきます!

【この記事で得られること】
令和8年分の年末調整(令和9年1月提出)から始まる、源泉徴収票の税務署への提出を不要にする新しい特例の仕組みが分かります。

これまで税務署と市区町村のそれぞれに別々に提出していた、同じような書類の手間を劇的に削減するポイントが明確になります。

年の中途で会社を辞めてしまった退職者の源泉徴収票について、どのように処理すればこの特例を漏れなく適用できるかが理解できます。

【№2 結論】

税制改正(令和5年度改正)により、令和8年分(令和9年1月1日以後提出分)の給与所得の源泉徴収票から、「源泉徴収票のみなし提出の特例」が本格的にスタートします。

この新しい特例は、事業者が従業員の住民税を計算するために各市区町村へ提出する「給与支払報告書(きゅうよしはらいほうこくしょ)」を正しく提出していれば、税務署へ提出すべき「給与所得の源泉徴収票」を別途提出したとみなす制度です。

これにより、事業者はこれまでのように税務署と市区町村という2つの異なる行政機関に対して、それぞれ個別に書類を送り届ける必要がなくなります。

対象となるのは、令和8年1月1日から12月31日までの間に支払いが確定した給与に係る書類で、令和9年1月以降に行う提出実務からこの恩恵を受けることができます。

実務において特に議論を呼んでいたのが、「年の途中で会社を退職してしまった元従業員(中途退職者)」の源泉徴収票の扱いです。

所得税法の原則的な規定(所得税法226条1項)を厳密に当てはめると、中途退職者の源泉徴収票は退職日から1か月以内に税務署へ提出しなければならないこととされています。そのため、この中途退職者分についてはみなし提出特例の対象から外れてしまうのではないかという懸念がありました。

結論から申し上げますと、運用上の取り扱いに従って、中途退職者の源泉徴収票についても翌年の1月末(令和9年1月末)までに他の従業員の分とまとめて市区町村に提出すれば、問題なくみなし提出特例の対象とすることができます。

つまり、退職時期にかかわらず、令和9年1月1日以後に給与支払報告書として市区町村へ一本化して提出を行えば、税務署への提出は一切不要となります。

ただし、この特例はあくまで「国(税務署)への提出用」を不要とするだけです。従業員や退職者本人に対して手渡す(または電子交付する)「受給者交付用」の源泉徴収票については、これまで通りすべての対象者に対して作成し、交付しなければならない点に強い注意が必要です。

静岡市や浜松市で多くの従業員を雇用し、毎年の年末調整や中途退職者の手続きに追われている中小企業の社長さまや経理担当者さまにとって、この法改正はバックオフィスのペーパーレス化とIT導入を前進させる絶好の機会となります。

【№3 やさしい解説】

■ これまで中小企業を苦しめていた「同じ内容の書類を2回出す」無駄

毎年の年末年始になると、日本全国の中小企業の経理担当者さまや経営者さまは、1年間の給料の集計と税金の精算(年末調整)という非常に重い事務作業に追われます。

この年末調整が終わった後の1月に、国や地方自治体に対して「うちの会社は、誰に、いくらの給料を支払い、いくらの税金を預かりました」という報告書を提出しなければなりません。

実はこれまで、この報告作業において、非常に効率の悪い二度手間が発生していました。

会社は、税務署(国)に対して「給与所得の源泉徴収票」を提出し、それとほぼ同じタイミングで、従業員が住んでいるそれぞれの市区町村(地方自治体)に対して「給与支払報告書」という書類を提出していたのです。

この2つの書類は、呼び名こそ違いますが、中に書き込む内容は従業員の氏名、住所、1年間の給与総額、控除の金額など、およそ90%以上がまったく同じものです。

そのため実務では、1枚目が税務署用、2枚目が本人交付用、3枚目が市区町村用というように、複写式の用紙を使ったり、会計ソフトから同じデータを2つの異なる様式で印刷して、それぞれの役所に郵送や持参をしていました。

特に書面や光ディスク(CDやDVDなど)を使って提出している会社にとっては、宛先を分けて別々に梱包して発送しなければならず、大変な事務負担と郵送コストがかかっていたのです。

一言まとめ:これまでは、同じ内容の書類を税務署と市区町村へ別々に送る二度手間がありました。

■ 令和8年分から始まる「みなし提出特例」で事務作業が一本化!

このような事業者側の無駄な手間を減らし、行政全体のデジタル化を進めてコストを削減するために作られたのが、今回の「源泉徴収票のみなし提出の特例(所得税法226条6項)」です。

新しいルールでは、非常にシンプルな仕組みに変わります。
会社は、従業員が住んでいる市区町村(静岡市や浜松市など)に対して「給与支払報告書」をきっちり期限までに提出しさえすれば、それで仕事は完了です。

市区町村へ書類が届いた時点で、税務署にも自動的に「源泉徴収票が提出されたもの」とみなしてくれるようになります。

つまり、税務署用の書類をわざわざ別で用意して、税務署の窓口へ持っていったり、郵送したりする必要が完全になくなるのです。
提出先が市区町村の1箇所だけに一本化されるため、発送の手間やおよそ半分の郵送代を削減することができます。

一言まとめ:市区町村に書類を出せば、税務署への提出は自動的に免除されます。

■ 「本人に渡す源泉徴収票」だけは、これまで通り絶対に必要!

この画期的な簡素化ルールですが、実務の現場で絶対に勘違いしてはいけない超重要なポイントがあります。

それは、「不要になるのは、あくまで税務署(国)へ提出する分の書類だけ」ということです。

源泉徴収票には、もう1つ非常に大切な役割があります。それは、給料を受け取った従業員本人に対する「支払いの証明書」としての役割です。
従業員が転職するときや、住宅ローンを組むとき、あるいは個人で確定申告をするときに、会社から発行された源泉徴収票が必ず必要になります。

そのため、税務署への提出が免除されたからといって、源泉徴収票そのものを一切作らなくてよくなったわけではありません。
従業員や退職した人に手渡すための「受給者交付用(じゅきゅうしゃこうふよう)」の源泉徴収票は、これまでと何一つ変わらず、全員分を確実に作成して配らなければなりません。

一言まとめ:従業員本人へ手渡すための源泉徴収票の作成と交付は、今後も必須です。

■ 会社を途中で辞めた「中途退職者」の書類はどうなるの?

年末調整の時期に在籍している従業員だけでなく、年の中途で会社を辞めてしまった人(中途退職者)についても、会社は源泉徴収票を発行する義務があります。

法律の本来の文言をそのまま読むと、「従業員が退職した場合は、退職した日から1か月以内に税務署へ源泉徴収票を出さなければならない」という決まり(所得税法226条1項)になっています。

そのため、「1か月以内という期限があるなら、翌年の1月まで待って市区町村に提出するみなし提出特例は使えないのではないか」という疑問が湧いてきます。

しかし、実際の税務の現場では、中途退職者が発生するたびに毎回1枚ずつ税務署へ書類を出すのは会社にとっても税務署にとっても非常に煩雑です。
そのため昔から、「退職者の分も、翌年の1月末までに他のみんなの分とまとめて一緒に提出していいですよ」という、実務上の柔軟な「運用のルール」が認められてきました。

今回の新しい特例でも、この優しい運用ルールがそのまま引き継がれます。
令和8年の途中で退職した人がいたとしても、その人のデータを大切に保管しておき、令和9年の1月中に他の従業員の給与支払報告書と一緒にまとめて市区町村(静岡市や浜松市など)に提出すれば、中途退職者の分もしっかりと「みなし提出」の対象に含めることができます。

わざわざ退職のたびに個別に税務署へ書類を郵送する必要はありません。

一言まとめ:中途退職者の書類も、翌年1月にまとめて市区町村に出せば税務署への提出は不要です。

★重要:知らないと損するポイント
今回の改正に合わせる形で、税務署へ源泉徴収票を提出しなければならない人の「範囲(基準)」そのものが、市区町村へ給与支払報告書を出さなければならない人の範囲と「同じ」になるよう見直しが行われました。
これまでは「給料が年間500万円を超える人だけ税務署へ出す」といった、金額による複雑な区別がありましたが、これからは市区町村の基準に統一されます。
これにより、「この人は税務署に出す人だっけ?」といちいち悩む必要がなくなり、経理の頭の痛いチェック作業が1つ消滅することになります。

★注意:よくある誤解
「市区町村に紙で郵送すれば、それで全部自動的に解決する」と考え、古い手書きの業務をそのまま続けようとするのは少し注意が必要です。
市区町村へ提出する「給与支払報告書」は、従業員が1月1日時点で住んでいるそれぞれの街の役場(静岡市に住んでいる人なら静岡市役所、浜松市に住んでいる人なら浜松市役所)に分けて送らなければなりません。
従業員の住まいがバラバラな場合、手作業で郵送先を仕分けるのは大変な手間になります。

この問題を完璧にクリアするために推奨されているのが、「eLTAX(エルタックス)」という地方税の電子申告システムです。
クラウド会計ソフトや給与計算ITシステムを導入し、このeLTAXを使ってパソコンからデータを一括で送信すれば、システムが自動的にそれぞれの市区町村へデータを振り分けて届けてくれます。

日常例で例えるなら、これまでお中元やお歳暮を贈る際、東京の親戚には東京の郵便局から、大阪の親戚には大阪の郵便局からそれぞれ別々に手続きをしなければならなかったような不便な状態から、スマートフォンのアプリでボタンを1回押すだけで、全国の親戚へ一瞬で配送手配が完了するような劇的な変化です。
静岡・浜松の中小企業さまこそ、この令和8年分の改正をきっかけに、紙の手続きから卒業し、バックオフィスのIT化(業務生産性の爆上げ)へ舵を切るべきタイミングが来ているのです。

【№4 具体例】

令和8年分(令和9年1月提出)からスタートする「源泉徴収票のみなし提出の特例」について、実務の現場でどのような変化が起きるのか、また中途退職者が発生した際にどのように対応すべきか、11の具体的なケースに分けて詳しくご紹介します。

① 静岡市内の会社で、令和8年12月に全社員の年末調整を完了し、令和9年1月に提出するケース
静岡市駿河区にあるC社では、令和8年12月に全従業員15名の年末調整を行いました。これまでは、15名分の「給与支払報告書」を静岡市役所に郵送し、それとは別に一定の基準を超える社員の「源泉徴収票」を静岡税務署に郵送していました。
★重要:令和9年1月の提出からは、静岡市役所に「給与支払報告書」を提出(またはeLTAXで送信)しさえすれば、静岡税務署への源泉徴収票の提出は一切不要(みなし提出)となります。

② 浜松市内の製造業で、令和8年5月に従業員が中途退職したケース
浜松市中央区のD社(製造業)では、令和8年5月31日付で従業員が1名自己都合退職しました。
★注意:所得税法の原則では「退職から1か月以内(6月30日まで)」に税務署へ源泉徴収票を出すルールですが、これまでの運用通り、令和9年1月までデータを保管しておき、他のみんなの分とまとめて浜松市役所に「給与支払報告書」として提出すれば、この退職者分も税務署への提出が免除されます。

③ 中途退職した元従業員から「次の会社で使うから源泉徴収票をすぐ欲しい」と言われたケース
静岡市のE社で、令和8年8月に退職した社員から「転職先で年末調整をするから、源泉徴収票をすぐに発行してほしい」と頼まれました。
★重要:今回の特例で不要になるのは、あくまで「税務署(国)への提出」だけです。従業員本人に対する「受給者交付用」の源泉徴収票は、これまで通り退職から1か月以内に本人の自宅へ郵送するか、手渡し(またはPDF等での電子交付)しなければなりません。

④ 退職時に「受給者交付用」を渡し、翌年1月に市区町村へ「給与支払報告書」を提出したケース
浜松市のF社では、令和8年3月に退職したパート社員に対し、4月に「本人用の源泉徴収票」を交付しました。その後、令和9年1月にそのパート社員のデータを、浜松市役所へ提出する「給与支払報告書」のなかに含めて送信しました。
★重要:この手順を踏むことで、中途退職者についても税務署への個別提出が不要となり、完全に「みなし提出の特例」の対象として実務を完結させることができます。

⑤ 令和8年の中途退職者について、退職後1か月以内に税務署へ「紙」で先に出してしまったケース
静岡市のG社では、令和8年6月に退職した社員の源泉徴収票を、法面通りの原則に従って7月に静岡税務署へ紙で提出してしまいました。
★注意:先に税務署へ個別に提出してしまった場合は、その退職者分についてはすでに提出が完了しているため、翌年1月に市区町村へ出す「給与支払報告書」からその人のデータを二重で送る必要はありません(ただし、住民税の計算のために市区町村への報告自体は翌年1月に必要です)。二度手間を防ぐためにも、翌年1月に一括処理する運用をおすすめします。

⑥ 従業員の住まいが静岡市、浜松市、富士市などバラバラなケース
静岡市にあるH社には、浜松市や富士市から新幹線や車で通勤している従業員がいます。令和9年1月に給与支払報告書を提出する際、それぞれの住んでいる市役所に書類をバラバラに送らなければなりません。
★重要:このようなケースこそ、クラウド会計や給与ITシステムから「eLTAX(エルタックス)」を利用すべきです。パソコンからデータを一括送信するだけで、システムが自動的に静岡市、浜松市、富士市へとデータを振り分けてくれるため、発送の手間が完全にゼロになります。

⑦ 年の途中で「役員」が退任し、多額の役員報酬を支払っていたケース
浜松市のI社で、令和8年7月に取締役が退任しました。その役員には、1月から7月までに合計800万円の役員報酬が支払われていました。
★注意:高額な報酬を得ていた役員や従業員であっても、扱いは一般の従業員と同じです。令和9年1月に浜松市役所へ給与支払報告書を提出すれば、税務署への源泉徴収票の提出は自動的に免除されます。

⑧ 年末調整の対象とならない、年収2,000万円を超える高額所得者がいるケース
静岡市のJ社には、年収が2,500万円あるため会社での年末調整の対象から外れ、自分で確定申告を行う義務がある役員がいます。
★重要:年末調整をしない人であっても、会社が給料を支払った事実には変わりがないため、市区町村への「給与支払報告書」の提出は必須です。これを令和9年1月に提出すれば、この高額所得者の源泉徴収票も税務署へ出す必要はなくなります。

⑨ 乙欄(他の会社が主たる勤務先)で働いている掛け持ちのアルバイトがいるケース
浜松市のK社では、夜間だけダブルワーク(掛け持ち)で働いているアルバイトが数名おり、一律「乙欄(おつらん)」として源泉徴収を行っています。
★重要:乙欄の従業員についても、令和8年度の税制改正によって源泉徴収票の提出範囲が見直され、給与支払報告書と同じ範囲に統一されました。そのため、翌年1月に市区町村へ給与支払報告書を提出すれば、税務署への別送は不要となります。

⑩ 公的年金等を支払っている法人が、年金受給者の報告をするケース
静岡市で、従業員への給与だけでなく、企業年金などの「公的年金等」を退職者に支払っている基金や法人(L社)のケースです。
★重要:今回の「みなし提出の特例」は、給与だけでなく「公的年金等の源泉徴収票」についても同様に適用されます。令和9年1月以降、市区町村に「公的年金等支払報告書」を提出すれば、税務署への年金の源泉徴収票の提出は不要になります。

⑪ クラウド会計・電子申告を導入したことで、マイナポータルとの連携が実現したケース
浜松市のM社では、今回の法改正を機に、紙での書類作成をすべて廃止し、最高のIT税理士法人のサポートのもとでクラウド給与システムとeLTAXを連携させました。
★重要:eLTAXを通じて給与支払報告書を一括提出したことにより、従業員側も自分の「マイナポータル」から、会社が報告した給与データや源泉徴収票の情報を自動で確認・連携できるようになり、社内のデジタル化が一気に進みました。

【№5 手順】

令和8年分(令和9年1月提出)からの「源泉徴収票のみなし提出の特例」に完全対応し、中途退職者の手続きも含めて、社内の事務負担を最小限に抑えるための具体的な実務手順をステップ形式で解説します。

■ STEP①:令和8年中に発生した「中途退職者」の給与データを安全に保管する

年の途中で退職者が発生した際、その時点までの給与支給額や源泉徴収税額を正しく計算し、給与計算システムやクラウド上にデータを確実にロックして保管します。

退職者本人への「受給者交付用」の源泉徴収票は、退職から1か月以内に確実に発行して手渡すか郵送します。この際、税務署への個別郵送は行わず、翌年1月までデータとしてストックしておきます。

■ STEP②:12月の「年末調整」で在職中の全従業員のデータを確定させる

12月の給与計算とともに、在職している全スタッフの年末調整業務を行います。

保険料控除申告書やマイナンバーなどの情報を正しくシステムに入力し、1年間の最終的な税額を確定させます。

■ STEP③:中途退職者のデータと、年末調整済みのデータをシステム上で合流させる

令和9年1月になったら、STEP①で保管しておいた「中途退職者の過去の給与データ」と、STEP②で確定した「現職スタッフの年末調整データ」を1つの送信パッケージにまとめます。

改正により提出範囲が市区町村(給与支払報告書)の基準に統一されたため、全員分を例外なく1つのリストとして扱います。

■ STEP④:eLTAX(エルタックス)を利用して、市区町村へ一括送信する

クラウド給与ソフトなどのITツールを使い、インターネット経由で「eLTAX」にデータをアップロードします。

従業員や退職者が住んでいる住所(静岡市、浜松市など)がバラバラであっても、システムが自動的に各自治体へ振り分けて一瞬で提出が完了します。

■ STEP⑤:税務署への提出が「免除(みなし提出)」されたことを確認して業務完了

eLTAXの送信完了通知(受付通知)を確認し、正しく市区町村に給与支払報告書が受理されたことを確認します。

これにより、所得税法226条6項の規定が適用され、税務署への個別の源泉徴収票の提出(紙やディスクの郵送など)は一切行う必要がなくなり、1月の大規模な事務作業がこれだけで完了します。

【№6 FAQ】

源泉徴収票の税務署提出が不要になる「みなし提出の特例」や、中途退職者の扱いについて、静岡・浜松の社長さまや経理初心者さまからよくいただく10の質問にQ&A形式でお答えします。

■ Q1. 静岡市に会社があります。これまでは給料の金額が低いパートさんの源泉徴収票は税務署に出していませんでしたが、これからは全員分を市区町村に出せばいいのですか?

A1. はい、その通りです。これまでは「年間150万円以下の役員」や「年間500万円以下の従業員」など、税務署へ提出する範囲が細かく分かれていて非常に複雑でした。しかし令和8年分(令和9年1月提出)からは、税務署へ出すべき源泉徴収票の範囲が、市区町村へ出す給与支払報告書の範囲(原則として給与を支払った全員)と完全に統一されました。そのため、区別することなく全員のデータを市区町村へ提出すれば、それだけで税務署への義務も同時に果たしたことになります。

■ Q2. 令和8年の中途退職者の分について、翌年1月まで待って他の社員と一緒に市区町村に出す場合、本当に「退職から1か月以内に税務署へ出す」という法律違反で怒られたりしませんか?

A2. ご安心ください、怒られることはありません。所得税法の条文上は「1か月以内」と書かれていますが、税務当局の「運用上の取扱い(昔からの柔軟なルール)」により、翌年1月末までに他のみんなの分と取りまとめて一括で提出してよいことになっています。この記事(税務通信)で明記されている通り、令和9年1月1日以降にまとめて市区町村に給与支払報告書を出せば、中途退職者の分も合法的に「みなし提出特例」の対象になり、税務署への提出は不要となります。

■ Q3. 浜松市内で小規模な会社を経営しています。うちには「受給者交付用」の源泉徴収票を紙ではなくメール(PDF)で送っている従業員がいますが、これも今まで通り続けて大丈夫ですか?

A3. はい、あらかじめ従業員本人から「メールやクラウドでの受け取りを希望します」という同意(承諾)を電子的な方法等で得ていれば、源泉徴収票をPDFなどのデータで電子交付することは法律上まったく問題ありません。むしろ、紙の印刷代や手渡しの手間が省けるため、バックオフィスのIT化・生産性向上の観点から非常に推奨される実務の手法です。

■ Q4. 市区町村に「給与支払報告書」を提出するのをうっかり忘れてしまった場合、どうなってしまいますか?

A4. 大変危険です。この特例は、あくまで「市区町村へ給与支払報告書を正しく提出したこと」が絶対の条件(前提)となっています。そのため、提出を忘れてしまうと、税務署への源泉徴収票の提出義務も免除されず、結果として「市区町村への提出遅れ(地方税法違反)」と「税務署への源泉徴収票の未提出(所得税法違反)」という、2つの法律違反を同時に犯したことになってしまいます。期限(1月31日)の厳守は絶対です。

■ Q5. 従業員の中に、令和8年の途中で静岡市から浜松市へ引っ越した人がいます。令和9年1月に送る「給与支払報告書」は、どちらの市役所に送ればいいですか?

A5. 給与支払報告書は、原則として「その年の翌年1月1日(今回でいえば令和9年1月1日)」時点で、その従業員が実際に住民票を置いている(または住んでいる)市区町村の長宛てに提出します。したがって、年の途中で引っ越しがあった場合は、令和9年1月1日時点で住んでいる「浜松市役所」に対して、1年間の給与データを送ることになります。

■ Q6. 最高のIT税理士法人さんにお願いすれば、手書きやExcelでやっている今の古い年末調整業務を、eLTAXを使った最新の自動化実務へ切り替えてもらえますか?

A6. もちろんです!当法人では、静岡市や浜松市の中小企業さまの「クラウド会計導入」や「ITツールを活用した業務効率化」を最も得意としています。手書きの用紙を配って回収する無駄な作業を無くし、スマホやパソコンから従業員が控除データを入力して、ボタン一つでeLTAXから各市役所へ一括送信できるストレスフリーな体制へ、スムーズに移行できるよう全力でサポートいたします。

■ Q7. 年の途中で会社が「解散」したり「廃業」したりした場合でも、この「みなし提出の特例」は使えますか?

A7. 会社の解散や廃業の場合には、少し注意が必要です。会社が完全に消滅する場合、通常の1月まで待って提出するという運用ができないケース(解散後速やかに清算確定申告を行う必要がある等)があります。その場合は、解散や廃業の日から1か月以内に、従来通り税務署へ直接「源泉徴収票」を紙や電子で単独で提出しなければならないことがあります。特殊なケースに該当する場合は、自己判断せず、事前に当法人までご相談ください。

■ Q8. 「源泉徴収票のみなし提出の特例」の対象になるのは、いつの給料からですか? 令和8年3月や4月に支払った給料も対象に含まれますか?

A8. はい、対象に含まれます。この特例は「令和9年1月1日以後に提出すべき、令和8年分以後の源泉徴収票」から適用されると法律の附則(令和5年改正法附則8)で定められています。したがって、令和8年1月1日から12月31日までの1年間に支払いが確定した給与のすべてが対象となります。令和8年の春先や夏場に支払った中途退職者の給料分も、令和9年1月に提出する形をとれば、すべてこの特例の枠の中に入ります。

■ Q9. 税務署への提出が不要(みなし提出)になった後、税務署長から「やっぱり確認したいから源泉徴収票を見せてくれ」と言われることはありますか?

A9. 法律上、税務署長は必要があると認める場合には、事業者に対してデータの照会をしたり、提出を求めたりする権限(質問検査権など)を持っています。しかし、通常の実務において、市区町村へ正しくデータが届いていれば、国と地方自治体の間でシステムを通じて情報が連携されるため、わざわざ税務署から二重で提出を求められることは原則としてありません。ただし、会社側の控えデータはいつでも提示できるようパソコン内に7年間保管しておく必要があります。

■ Q10. アルバイトで、1か月だけ働いて数万円だけ給料を支払い、その後連絡が取れなくなって住民税の控除対象(住民税非課税枠内など)にもならないような短期退職者のデータも、市区町村に出さなければいけませんか?

A10. はい、提出が必要です。地方税法の規定により、給与の支払いを行った事業者は、金額の多寡にかかわらず、すべての受給者の「給与支払報告書」を市区町村長に提出する義務があります(ただし、市区町村によっては独自の少額免除規定を設けている場合もありますが、実務上は一括で全員分を送信するのが最も漏れがなく安全です)。これらの短期退職者のデータも令和9年1月に漏れなく市区町村へ送信することで、税務署への源泉徴収票の提出義務も同時に、きれいにクリア(みなし提出)することができます。

【№7 まとめ】

令和8年分(令和9年1月提出)の年末調整業務から劇的な事務スリム化をもたらす「源泉徴収票のみなし提出の特例」について、重要なポイントを最後におさらいしましょう。

【結論(重要ポイントまとめ)】
① 令和9年1月以降の提出から、市区町村へ「給与支払報告書」を提出すれば、税務署への「源泉徴収票」の提出が自動的に不要(みなし提出)になります。

② 年の中途で辞めた退職者のデータであっても、翌年1月に他のみんなとまとめて市区町村に一括送信すれば、税務署への個別郵送は一切不要になります。

③ ただし、不要になるのは役所(税務署)への提出だけです。従業員や退職者本人への「受給者交付用」の源泉徴収票は、これまで通り必ず作成して手渡す(交付する)義務が残ります。

静岡市や浜松市で、毎年の年末年始に従業員の大量の書類整理や、退職者が発生するたびの郵送業務に頭を悩ませていた中小企業の社長さまにとって、この法改正はバックオフィスの業務生産性を爆上げする最大のチャンスです。

「これを機に、手書きの書類を一切無くして完全ペーパーレス化したい」「eLTAXとクラウド給与システムを連携させて、1月1日現在の住所地への自動振り分け提出を取り入れたい」「中途退職者のデータを漏れなく管理して、令和9年1月の新しい特例に一発で完全対応したい」とお考えの経営者さまは、どうぞお気軽に最高のIT税理士法人へご相談ください。地元の税務・労務実務に精通した私たちの専門チームが、貴社の状況に合わせた最先端のIT導入とスムーズな税務運用の確立を、親身になって全力でサポートいたします!

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3897号(2026年04月20日)「給料所得の源泉徴収票 R8年中途退職分に係るみなし提出特例の適用関係」編集部
参考:国税庁HP タックスアンサー「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」「No.7400 法定調書の提出期限」(参照日:2026-06-25)
参考:e-Gov法令検索「所得税法第226条、地方税法第317条の6、所得税法施行規則第93条」(参照日:2026-06-25)

【№9 該当条文の説明】

参考:e-Gov法令検索「所得税法第226条(源泉徴収票)、地方税法第317条の6(給与支払報告書等の提出義務)等の内容解説」

■ 条文が作られた背景と改正経緯
日本の税制において、国税である「所得税」と、地方税である「住民税」は、それぞれ異なる法律(所得税法と地方税法)に基づいて運用されてきました。そのため、事業者は従業員に対して給与を支払った際、所得税の計算根拠として国(税務署)へ「源泉徴収票」を提出し、住民税の計算根拠として地方自治体(市区町村)へ「給与支払報告書」を提出するという、縦割り行政に起因する二重の報告義務を長年にわたって課されていました。
これらは書式や中身がほぼ同一であるため、事業者側の事務負担があまりにも大きいこと、そして政府が進める「税務行政のデジタル化・ワンスオンリー(一度提出した情報は再提出不要とする原則)」の推進において、最大の障壁の1つとなっていました。
このような背景から、令和5年度の税制改正において所得税法第226条に新たに「第6項(みなし提出の特例)」が創設され、令和9年1月1日以後に提出すべき令和8年分以後の書類から、市区町村への一本化が法的措置として認められることとなりました。これにより、事業者のバックオフィスコストを劇的に削減すると同時に、行政間(国と地方)のデータ連携をより緊密にするための基盤が整えられたのです。

■ 条文の具体的な内容と自社における意味
所得税法第226条第1項では、給与の支払者は、その年において支払の確定した給与等について「給与所得の源泉徴収票」を2通作成し、翌年1月31日までに1通を税務署長に提出し、もう1通を給与の支払を受ける者に交付しなければならないと定めています。また、同項の後半では、年の中途において退職した者については「退職の日以後1か月以内」にこれを提出・交付しなければならないと、厳しい期限を規定しています。
しかし、新設された同条第6項において、「給与所得の源泉徴収票に記載すべき事項が記載された地方税法第317条の6第1項に規定する給与支払報告書が市区町村長に提出された場合には、その提出された給与支払報告書に係る給与所得の源泉徴収票が所轄税務署長に提出されたものとみなす」という大特例が明文化されました。
静岡市や浜松市で地域に根ざしてビジネスを展開されている中小企業の社長さまにとって、この条文の改正が持つ意味は、「国のルールと地方のルールの壁が崩れ、経営者が最も嫌う『同じ作業を2度やる無駄』が法律によって正式に免除された」ということです。中途退職者の「1か月以内提出」という原則規定についても、実務上の翌年1月一括運用のままでこのみなし特例(第6項)が適用できることが確認されたため、会社側はなんのペナルティも恐れることなく、1月の一本化処理(eLTAX送信)へと業務をシフトすることができます。この条文改正を最大限に活かし、社内の給与計算や書類発送にかかる時間とコストを削減し、より生産性の高いコア業務へ経営資源を集中させることが、これからのスマートな企業経営において極めて重要なステップとなるのです。

【№10 おわりに】

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