ゼロからはじめる組織再編税制 第15回 繰越欠損金の帰属事業年度
2026年8月23日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「ゼロからはじめる組織再編税制 第15回 繰越欠損金の帰属事業年度」をお伝えさせていただきます!
【この記事で得られること】
適格合併によって被合併法人から引き継ぐ繰越欠損金が、合併法人においてどの事業年度の欠損金になるのかという基本的な仕組みがよく分かります。
事業年度が一致しないケースや、合併事業年度の開始日との関係といった例外的なルールの具体的な考え方について理解できます。
組織再編を行う企業の経営者や実務担当者が知っておくべき申告書別表の確認方法や注意点が明確になります。
「会社同士の合併を検討しているが、消滅する会社が抱えている過去の赤字(繰越欠損金)が新しい会社でどのように引き継がれるのか知りたい」
「合併する会社同士で決算期が異なっている場合や、合併のタイミングによって欠損金の帰属年度がどう変わるのか不安を感じている」
そんな疑問や不安を抱えている経営者の方や経理ご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業の合併や買収といった組織再編を行う際、税務上の繰越欠損金の引き継ぎは将来の法人税額を大きく左右する非常に大切なポイントです。
ルールを正しく理解していないと、引き継げると思っていた赤字が使えなくなってしまったり、思わぬ申告ミスを招いたりするおそれがあるため注意が必要です。
今回は、組織再編税制における繰越欠損金の帰属事業年度について、実務で役立つ知識をやさしく解説していきます。
【№2 結論】
適格合併により被合併法人(消滅する会社)から引き継いだ繰越欠損金は、原則としてその欠損金が生じた被合併法人の事業年度の開始日の属する合併法人(存続する会社)の事業年度の欠損金として引き継がれます。
ただし、被合併法人の欠損金発生事業年度の開始日が合併法人の合併事業年度の開始日以後である場合や、合併法人の設立前に生じた欠損金である場合などには、特例的な帰属のルールが適用されます。
実務においては、被合併法人の法人税申告書別表7(1)や合併法人の過年度の申告書を正確に確認し、合併日の変更などのスケジュール調整にも十分な注意を払うことが重要です。
【№3 やさしい解説】
会社経営を続けていると、過去の年度に赤字(税務上の欠損金額)が発生することがあります。
日本の法人税法では、この赤字を一定期間(現在は原則として10年間)にわたって繰り越し、将来発生した黒字の利益と相殺して税金を安く抑えることができる「繰越欠損金の控除」という仕組みが認められています。
会社同士が合併する「適格合併」のケースでは、消滅してしまう会社が持っていたこの繰越欠損金を、存続する会社がそのまま引き継いで利用することが法律上認められています。
★重要:知らないと損するポイント
多くの人が勘違いしやすい点として、「消滅する会社が持っていた赤字は、単純に合併したその期の赤字としてそのまま丸ごとプラスされるのだろう」という思い込みがあります。
実際には、引き継いだ欠損金が合併法人の「どの事業年度に発生したものとみなされるか」という帰属事業年度のルールが厳密に定められています。
原則的なルールとしては、「欠損金が生じた被合併法人の事業年度の開始の日が属する、合併法人の事業年度」で生じたものとして引き継がれることになっており、両社の決算期(事業年度)が一致しているかどうかによって帰属する年度が異なってきます。
★注意:よくある誤解
「合併する直前の事業年度に発生した赤字なのだから、当然に合併する期の直前の事業年度や当期の欠損金として引き継がれるはずだ」というのは大きな誤解です。
例えば、被合併法人の合併直前事業年度の開始日が、合併法人の合併事業年度の開始日以後であるようなケースでは、原則とは異なる例外的なルールが適用され、合併事業年度の前事業年度の欠損金として引き継がれることになります。
このような仕組みをよく知らずに処理してしまうと、実務の現場で大きな誤解や申告誤りにつながるおそれがあるため注意が必要です。
一言でまとめると、「引き継いだ繰越欠損金は単に当期の赤字になるのではなく、発生した期の日付をもとに合併法人のどの事業年度に帰属させるかという法律上のルールに従って正確に判定する必要がある」ということです。
【№4 具体例】
実務の現場で想定される具体的なケースを10個挙げます。
① 静岡市内の製造業A社と浜松市内の同業B社が適格合併を行い、B社が持っていた過去の繰越欠損金をA社が引き継ぐ手続きを行うケース。
② 合併法人と被合併法人の事業年度がともに12月期で完全に一致しており、過去の各事業年度の欠損金がそのまま対応する合併法人の同月期の欠損金として引き継がれるケース。
③ 存続する合併法人が3月決算であり、消滅する被合併法人が12月決算であるなど、両社の事業年度が一致していない状況で帰属事業年度を慎重に判定するケース。
④ 被合併法人の合併直前事業年度の開始日が、合併法人の合併事業年度の開始日以後であるため、例外規定に従って前事業年度の欠損金として処理されるケース。
⑤ 合併法人が設立から間もないため、被合併法人の古い事業年度に対応する期間の事業年度が合併法人側に存在せず、みなし事業年度の考え方を適用するケース。
⑥ 税理士事務所の担当者が、静岡・浜松の顧問企業に対して、被合併法人の法人税申告書別表7(1)を取り寄せて欠損金の発生日を丹念に確認するケース。
⑦ 組織再編成の計画が何らかの理由で延期された結果、当初予定していた繰越欠損金が合併前10年以内の期間から外れてしまい、引き継ぎ対象外となるリスクを回避するケース。
⑧ 複数の事業年度にわたって繰越欠損金が発生している被合併会社について、それぞれの金額と発生時期を一覧表にまとめて正確に管理するケース。
⑨ 経営者や経理担当者が、組織再編の諸条件にわずかな変更が生じた際にも、思い込みを捨てて税務上の影響を一から見直し直すケース。
⑩ 静岡・浜松の企業さまが、専門家のサポートを受けながら組織再編税制の複雑な規定をクリアし、安全かつ円滑な合併プロセスを完了させるケース。
【№5 手順】
適格合併における繰越欠損金の引き継ぎと帰属事業年度の確定に関して、実務上で行うべき具体的な手順を整理する。
STEP① 適格合併の計画が持ち上がった段階で、被合併法人の過去の法人税申告書別表7(1)を速やかに入手する。
STEP② 被合併法人の各事業年度において生じた繰越欠損金の金額と、それぞれの「事業年度の開始の日」を一覧に書き出す。
STEP③ 合併法人側の過去の事業年度の履歴を、過年度の申告書や定款等の資料によって正確に確認・把握する。
STEP④ 合併法人と被合併法人の決算期(事業年度)が一致しているか、あるいは異なっているかを比較してチェックする。
STEP⑤ 原則的な帰属ルールに照らし、被合併法人の各欠損金が合併法人のどの事業年度の欠損金として引き継がれるかを判定する。
STEP⑥ 被合併法人の欠損金発生事業年度の開始日が、合併法人の合併事業年度開始の日以後になっていないか例外規定を確認する。
STEP⑦ 合併法人の設立日と被合併法人の欠損金発生時期の関係から、みなし事業年度の適用が必要かどうかを検討する。
STEP⑧ 被合併法人の欠損金発生事業年度が、適格合併の日前10年以内(または9年以内)に開始しているかどうかを引き継ぎの分岐点として厳密に検証する。
STEP⑨ 組織再編のスケジュールに変更や遅延が生じた場合、繰越欠損金の引き継ぎ要件に影響が出ないかを必ず再点検する。
STEP⑩ 静岡・浜松の税理士などの専門家と綿密に打ち合わせを行い、組織再編税制の規定に基づいた正確な申告書を作成する。
【№6 FAQ】
Q1. 静岡や浜松の企業で適格合併を行う際、被合併法人から引き継いだ繰越欠損金が合併法人のどの事業年度に帰属するのか、原則的なルールを確認するポイントは何ですか?
A1. 原則として、その欠損金が生じた被合併法人の事業年度の開始の日の属する合併法人の事業年度において生じたものとして引き継がれます。静岡・浜松の当法人が組織再編税制や合併実務をサポートします。
Q2. 被合併法人の繰越欠損金がどの事業年度に生じたものかを把握するには、どの書類を確認すればよいですか?
A2. 被合併法人の法人税申告書別表7(1)を確認することで、欠損金が生じた事業年度の開始の日を正確に把握することができます。
Q3. 合併法人と被合併法人の事業年度が一致していない場合、帰属事業年度はどのように決まりますか?
A3. 被合併法人の欠損金発生事業年度の開始の日の属する、合併法人の事業年度において生じたものとして引き継がれます。
Q4. 例外的なケースとして、被合併法人の欠損金発生事業年度の開始日が合併法人の合併事業年度開始日以後である場合はどうなりますか?
A4. その繰越欠損金は、合併法人の合併事業年度の前事業年度の繰越欠損金として引き継がれることになります。
Q5. 合併法人が設立から間もないため、被合併法人の古い事業年度に対応する期間がない場合はどう処理しますか?
A5. 合併法人に、被合併法人の事業年度に対応する期間の事業年度があるものとみなして(みなし事業年度)処理します。
Q6. 被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐための期間制限(適格合併の日前何年以内か)はどのようになっていますか?
A6. 原則として適格合併の日前10年以内(平成30年4月1日前に開始した事業年度等については9年以内)に開始した事業年度が対象です。
Q7. 組織再編のスケジュールが延期された場合、繰越欠損金の引き継ぎにどのような影響が出ますか?
A7. 合併が延期されることで、引き継ぎ対象となる10年以内の期間から外れてしまい、欠損金が引き継げなくなるリスクがあります。
Q8. 複数の事業年度で欠損金が発生している場合、合併法人への引き継ぎ額の計算はどう扱われますか?
A8. 該当する事業年度ごとの金額やルールに則って合算し、指定された帰属事業年度の欠損金としてまとめて引き継ぎます。
Q9. 組織再編税制の実務において、経営者が最も注意すべき心構えは何ですか?
A9. 「このはずだ」という思い込みを捨て、諸条件に変更が生じたときは必ず専門家とともに一から検討し直すことです。
Q10. 合併法人の過去の事業年度を確認する際、どのような点に気をつけるべきですか?
A10. 過去に事業年度の変更が行われている可能性があるため、過年度の法人税申告書などの確実な資料で履歴を確認することが大切です。
【№7 まとめ】
組織再編税制における繰越欠損金の帰属事業年度に関する重要ポイントです。
1. 適格合併により引き継ぐ被合併法人の繰越欠損金は、原則として発生事業年度の開始日が属する合併法人の事業年度の欠損金として引き継がれる。
2. 事業年度の不一致や合併日との前後関係、合併法人の設立時期などに応じて、例外的な帰属ルールやみなし事業年度の適用がある。
3. 静岡・浜松の企業やご担当者さまは、別表7(1)や過年度申告書の確認を徹底し、スケジュール変更に伴う引き継ぎ要件の変化に十分注意しながら計画を進めることが重要である。
繰越欠損金の引き継ぎは、合併後の法人税負担を大きく左右する複雑な税務判断を伴います。静岡・浜松の事業者さまは、正確な法解釈と専門家のサポートのもとで慎重に対策を行っていきましょう。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3904号(2026年06月15日)「ゼロからはじめる組織再編税制 第15回 繰越欠損金の帰属事業年度」 佐々木みちよ
参考:国税庁タックスアンサー「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し等」(参照日:2026-08-03)
参考:e-Gov法令検索「法人税法(昭和40年法律第34号)第57条及び法人税法施行令(昭和40年政令第97号)」(参照日:2026-08-03)
【№9 該当条文の説明】
法人税法第57条第2項および関連する法人税法施行令の規定では、合併法人が適格合併により被合併法人から引き継ぐ欠損金額の計算や、その帰属する事業年度について詳細に定められています。
これらの規定は、組織再編が行われた際において、消滅会社の抱える欠損金を存続会社がどのような基準で引き継ぎ、将来の所得から控除できるかを定めた法人税制上の根拠となります。
実務においては、原則的な帰属事業年度の判定ルールに加え、発生事業年度の開始日と合併事業年度の開始日との関係に関する例外規定や、設立間もない合併法人におけるみなし事業年度の規定を正しく理解し、適法な申告を行うことが求められます。
参考:e-Gov法令検索「法人税法第57条および関連政省令」の内容解説(参照日:2026-08-03)
【結論(重要ポイントまとめ)】
1. 適格合併における繰越欠損金の原則的な帰属ルール(発生事業年度の開始日の属する合併法人の事業年度)を正しく理解しましょう。
2. 合併事業年度との前後関係や例外的な帰属規定、期間制限の分岐点に注意して引き継ぎ要件を確認しましょう。
3. 静岡・浜松の企業やオーナーさまは、専門家と連携しながら組織再編の諸条件の変更にも柔軟に対応し、正確な税務処理を行いましょう。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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