国際最低課税額に対する法人税における調整後対象租税額の実務上の留意
2026年9月11日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「国際最低課税額に対する法人税における調整後対象租税額の実務上の留意点」をお伝えさせていただきます!
【この記事で得られること】
グローバルに展開する企業が直面する国際最低課税制度において、国別実効税率を算出する際の「調整後対象租税額」の仕組みが分かります。
対象租税の範囲や、我が国の法人税・地方税における具体的な区分、さらにプッシュダウン調整の基本的な考え方が理解できます。
過去の税額修正やリキャスト調整(税率の引き直し調整)など、実務で迷いやすい複雑な調整規定のポイントが明確になります。
「海外子会社を持つグループ企業において、国際最低課税の計算に必要な調整後対象租税額の範囲を正確に把握したい」
「我が国の各種税金のうち、どれが対象租税に含まれて、どれが対象外になるのかを分かりやすく整理しておきたい」
「過去の税額変更や税効果会計の調整における留意点を実務目線で知っておきたい」
そんな疑問や不安を抱えている経営者の方や経理ご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
国際的な税務ルールやグループ通算・最低課税の仕組みは非常に専門性が高く難解ですが、企業の財務戦略にとって欠かせないテーマです。
今回は、国際最低課税額に対する法人税の解説連載より、調整後対象租税額に焦点を当てて、やさしい言葉で順を追って分かりやすく紐解いていきます。
【№2 結論】
国際最低課税制度における国別実効税率の算出では、分子となる調整後対象租税額を正確に計算することが極めて重要です。
1. 対象租税には、法人税や所得に対する税のほか、収入金額や純資産を課税標準とする一定の税が含まれる一方で、均等割や付加価値割などは対象外となること。
2. 当期対象租税額や繰延対象租税額の計算においては、恒久的施設等への配分(プッシュダウン)や過去年度の税額増加に関する加算調整が規定されていること。
3. 繰延税金資産・負債の計算におけるリキャスト調整の適用判定など、複雑な実務上のルールを正しく理解して対応することが不可欠であること。
正確な規定に基づいた適正な税額計算を行うことで、グローバル展開における予期せぬ税務リスクを確実に防ぐことができます。
【№3 やさしい解説】
国際最低課税制度とは、巨大な多国籍企業グループを対象として、どの国においてもおおむね15パーセント以上の最低限の税負担を確実に求める新しい国際的な税務ルールです。
この制度では、国ごとに「国別実効税率」を計算し、それが15パーセント未満である場合に不足分の税金を上乗せして徴収することになっています。
国別実効税率を計算する際、分母にはグループ全体の所得を置き、分子にはその国で実際に支払った税金の額を置きますが、この分子の金額の基礎となるのが「調整後対象租税額」です。
単にその国で払った税金をそのまま入れるのではなく、様々な法律上の規定に基づいて多くの調整を加えた上で算出されるため、非常に複雑な仕組みとなっています。
★重要:知らないと損するポイント
「外国の現地法人で支払った税金や、日本本社が納める法人税関係のものはすべて対象租税になるだろう」と安易に考えてしまうのは大きな落とし穴です。
たとえば、我が国の税金であっても、法人住民税の均等割や法人事業税の付加価値割などは、対象租税に含まれないものとして明確に除外されています。
どの税金が対象になり、どの税金が対象にならないのかを正確に区別できていないと、実効税率の計算が大きく狂ってしまうため注意が必要です。
★注意:よくある誤解
「過去の事業年度で見つかった税金の修正や追加徴収について、すでに今年の費用として処理していれば、調整後対象租税額の計算では何もしなくてよい」と誤解されることがあります。
過去対象会計年度の税額が過少であったことが判明し、当期において追加の税額が生じた場合などには、一定の加算調整を行うルールが細かく定められています。
会計上の処理と税法上の調整規定がどのように連動しているのかを正しく押さえておくことが欠かせません。
一言でまとめると、「調整後対象租税額の計算では、対象租税の範囲を正しく見極めるとともに、プッシュダウン調整や過去年度の修正といった複雑な調整規定を一つずつ丁寧に適用していくことが求められる」ということです。
【№4 具体例】
実務の現場で想定される具体的なケースを12個挙げます。
① 静岡市内に本社を置くグローバル展開企業が、海外子会社の所得に対する外国税額の計算において、対象租税の範囲を確認するケース。
② 浜松市内の製造業グループが、日本国内で課される各事業年度の所得に対する法人税や地方法人税を対象租税として集計するケース。
③ 法人住民税の法人税割や法人事業税の所得割が対象租税に含まれる一方で、均等割や付加価値割は対象外として除外処理を行うケース。
④ 源泉徴収される所得税や復興特別所得税、および法人事業税の収入割や資本割が、それぞれどの区分に該当するかを判定するケース。
⑤ 恒久的施設等における当期純損益金額に対応する対象租税を適切に配分するため、プッシュダウン調整の計算を実施するケース。
⑥ 所在地国の法令や合理的な方法に基づき、所得の金額に比例させて対象租税の額を按分計算するケース。
⑦ 外国税額控除の適用において一括限度額方式を採用している地域で、控除限度額等の計算を行うケース。
⑧ 過去の対象会計年度における対象租税の額が過少であったことが判明し、当期の調整後対象租税額に加算調整を行うケース。
⑨ 会計上の誤謬の訂正や追徴税額の発生に伴い、過去年度の税額修正額を当期の損益または調整計算に反映させるケース。
⑩ 繰延税金資産や繰延税金負債の計算において、基準税率を上回る適用税率がある場合にリキャスト調整を適用するケース。
⑪ 複数の税率が混在する一時差異について、双方の税率を合計した総合的な税率に基づいてリキャスト調整の適用判定を行うケース。
⑫ 静岡や浜松の税理士法人が、多国籍企業グループの顧問先から国際最低課税制度や調整後対象租税額の算出に関する相談を受けるケース。
【№5 手順】
国際最低課税制度における調整後対象租税額を正確に算出し、適正な国別実効税率を導き出すための具体的なステップを解説します。
STEP① 構成会社等が所在する国ごとに、グループ内のすべての法人を正確に洗い出し、対象会計年度の範囲を明確にする。
STEP② 各法人が国内外で納付した各種の税金について、法令で定められた対象租税の要件に該当するかを一つずつ精査する。
STEP③ 我が国の税制における法人税や事業税の所得割のように、対象租税に含まれるものを確実に対象としてリストアップする。
STEP④ 住民税の均等割や事業税の付加価値割など、対象外とされる税金を正確に除外して混同を防ぐ。
STEP⑤ 当期対象租税額の計算において、恒久的施設等がある場合の被配分当期対象租税額(プッシュダウン)の配分計算を行う。
STEP⑥ 過去対象会計年度における対象租税の額に過少な部分や修正が生じている場合、当期の加算調整規定に該当するか検証する。
STEP⑦ 繰延対象租税額の計算に関し、法人税等調整額の算出および必要な加算・減算調整を適切に行う。
STEP⑧ 繰延税金資産等に基準税率を超える税率が使われている場合、リキャスト調整の要件を満たしているか判定して数値を修正する。
STEP⑨ 算出した調整後対象租税額の合計を、国別グループ純所得の金額で除して、国別実効税率が15パーセント以上か判定する。
STEP⑩ 静岡や浜松の税理士や国際税務の専門家と連携し、複雑な調整規定や計算プロセスに誤りがないか最終的な監査を受ける。
【№6 FAQ】
Q1. 静岡や浜松のグローバル企業にとって、調整後対象租税額の計算が重要な理由は何ですか?
A1. 国別実効税率の分子となる金額であり、15パーセントの最低税率を満たしているかを判定する基礎となるからです。
Q2. 対象租税の範囲には、具体的にどのような税金が含まれますか?
A2. 国や地域の法令における所得に対する法人税のほか、適格分配時課税や純資産に対して課される一定の税が含まれます。
Q3. 我が国の法人住民税(均等割)は対象租税に含まれますか?
A3. 資本金等の額や従業者数に応じて課される均等割は、対象租税のいずれにも該当しないため含まれません。
Q4. 法人事業税の付加価値割は対象租税として認められますか?
A4. 付加価値額を課税標準として課されるものであり、所得に対する税等ではないため対象租税には含まれません。
Q5. 被配分当期対象租税額(プッシュダウン)とはどのような仕組みですか?
A5. 恒久的施設等がある場合に、各種の当期純損益金額に対応する対象租税を合理的な方法で適切に配分する仕組みです。
Q6. 過去の事業年度における税額に増加があった場合、どのように扱われますか?
A6. 当期対象租税額の計算における加算調整として、過少であった部分の金額を当期の調整後対象租税額に含めることになります。
Q7. 繰延対象租税額の計算におけるリキャスト調整とは何ですか?
A7. 基準税率(15%)を超える適用税率で計上された繰延税金資産等を、基準税率により算出されたものとみなす調整です。
Q8. 複数の税率がある場合のリキャスト調整の適用判定はどう行われますか?
A8. その一時差異に係る効果が複数の税に及ぶ場合、それらの合計税率に基づいて適用判定を行うこととなります。
Q9. 国際最低課税制度の適用において、すべての外国税がそのまま対象になるわけではないのですか?
A9. モデルルールに基づくIIRやUTPRなどの税は、計算の循環を防止する観点から対象租税から除外されています。
Q10. 静岡や浜松の企業が国際課税や複雑な租税額の計算に直面した際、どこに相談すれば安心ですか?
A10. 国際税務やグループ通算制度に詳しい地域の税理士法人に相談し、正確な計算サポートを受けるのが一番です。
【№7 まとめ】
国際最低課税額に対する法人税および調整後対象租税額に関する重要ポイントです。
1. 国別実効税率の分子となる調整後対象租税額の算出には、対象租税の範囲を正しく見極めることが不可欠であること。
2. プッシュダウン調整や過去年度の税額修正、さらにリキャスト調整など多くの複雑な規定を正確に適用すること。
3. 静岡・浜松の企業さまも、国際税務の専門家とともに綿密な計算と検証を行い、適正な申告準備を進めること。
高度で複雑な国際課税のルールを正しく理解し、グループ全体の税務管理体制をしっかりと構築していきましょう。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3906号(2026年06月29日)「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に係る実務上の留意点 第3回 調整後対象租税額」西村泰利
参考:国税庁タックスアンサー「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存場所」(参照日:2026-08-03)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第82条の2および法人税法施行令第155条の34の規定」(参照日:2026-08-03)
【№9 該当条文の説明】
法人税法第82条の2および法人税法施行令第155条の34等では、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税における国別実効税率の算定方法および調整後対象租税額について詳細に規定されています。
具体的には、所在地国を同一とする構成会社等の調整後対象租税額の合計額を国別グループ純所得の金額で除して実効税率を算出することとされており、対象租税の範囲として法人所得に対する税や純資産に対して課される税等が定められています。
また、施行規則等において当期対象租税額や繰延対象租税額の具体的な計算方法、プッシュダウンやリキャスト調整などの各種調整規定が緻密に整備されており、適正な国際課税の執行が図られる仕組みとなっています。
参考:e-Gov法令検索「法人税法第82条の2および法人税法施行令第155条の34の規定」の内容解説(参照日:2026-08-03)
【結論(重要ポイントまとめ)】
1. 調整後対象租税額の算出では、対象租税の範囲を正しく把握し、除外される税金を正確に区別しましょう。
2. プッシュダウンや過去年度の税額増加に伴う加算調整、リキャスト調整などの複雑な規定を丁寧に適用しましょう。
3. 静岡・浜松の企業さまは、専門家のサポートを受けながら国際最低課税制度に対応した万全の計算体制を整えましょう。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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