「太陽光発電の施工会社が倒産した」というニュースを目にすると、高額な契約だけに不安になりますよね。
結論から伝えると、業者の倒産リスクは実在しますが、太陽光発電の導入自体を諦める必要はありません。
倒産原因の多くは業界構造や経営体力によるものであり、適切なチェックポイントを押さえればリスクの低い会社を選べます。
この記事を読めば、万が一の倒産時の影響や適切な対処法、末永く付き合える信頼できる業者選びの基準が明確に分かります。
太陽光業者の倒産は多い?倒産件数の推移
太陽光関連会社の倒産件数は、過去のブーム終息期から現在に至るまで一定の規模で発生し続けています。
まずは実際の統計データをもとに、どのような規模や業態の会社が影響を受けているのか客観的な事実を確認しましょう。
太陽光関連業者の倒産件数の推移
帝国データバンク(TDB)や東京商工リサーチ(TSR)などの調査・報道によると、2006年から2020年までの累計で約540件超の関連業者が倒産しています。
特に2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降に参入が急増し、その後の買取価格引き下げに伴って倒産が本格化しました。
| 年 | 倒産件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2010年 | 9件 | |
| 2011年 | 18件 | |
| 2012年 | 27件 | FIT開始 |
| 2013〜2014年 | 28件前後 | |
| 2015年 | 54件 | 急増 |
| 2016年 | 65〜67件 | |
| 2017年 | 88件 | 前年比約3割増 |
| 2018年 | 95件 | 過去最多(当時) |
| 2019年 | 74件 | 減少 |
| 2020年 | 84件 | 再増加 |
※注:純粋な「販売会社」に限定した最新の包括的統計は少なく、太陽光関連業者全体(販売・設置工事・コンサルなど)や発電事業者のデータを含む場合が多いです
2018年には当時の過去最多となる95件を記録し、2021年上半期だけでも38件の大型倒産が発生するなど、厳しい淘汰の波が押し寄せています。
倒産の多くを中小規模の会社が占めている
倒産している太陽光業者の実態を見ると、負債規模5億円未満の中小規模企業が全体の約85%と大半を占めています。1
地域別では関東エリアでの倒産が最多となっており、激戦区で価格競争に巻き込まれた企業の体力が尽きている状況です。
資金調達力に乏しい小規模な販売店ほど、数件の受注キャンセルや未回収金が発生するだけで致命傷になりやすい特徴があります。
現在も太陽光関連会社の倒産・廃業は起きている
太陽光業界の淘汰は過去の話ではなく、近年(2024~2026年)も継続して個別事例が発生しています。
TDB調査によると、再エネ発電所運営などの発電事業者において、2024年度に倒産8件、休廃業・解散44件の合計52件が発生し過去最多となりました。
このうち太陽光発電関連の倒産は7件と過去5年で最も多く、直近の部材高騰や採算悪化が事業者に重くのしかかっていることが分かります。2
倒産件数=住宅用太陽光の販売会社の倒産件数ではない
報道で扱われる「太陽光関連業者の倒産」には、住宅用販売店以外の事業者が多数含まれている点に注意が必要です。
前述の統計データには、産業用の大規模架台メーカーや、自社発電事業を運営する投資会社なども合算されています。
数値だけを見て過度に恐れるのではなく、一般住宅向けに特化した販売・施工店の実情を正しく見極めることが重要です。
太陽光業者はなぜ倒産する?主な原因
業者の倒産は太陽光発電の仕組み自体に問題があるわけではなく、外部的な市場環境の変化と個別の経営不振が原因です。
倒産に至る典型的な5つのパターンを知ることで、危険な業者の特徴を事前につかめるようになります。
FIT開始後に参入企業が増えて競争が激化した
2012年の制度開始に伴い、建設業、電器店、不動産業など他業種からの新規参入が相次ぎました。
急激な市場拡大に対して過剰な数の業者が参入した結果、限られた需要をめぐって熾烈な顧客獲得合戦が勃発したのです。
営業人員を大量投入して無理な拡大路線を進めた会社ほど、市場が落ち着いた段階で人件費負担に耐えきれなくなりました。
FITの買取価格低下などで市場環境が変化した
再生可能エネルギーの固定買取価格(FIT単価)が年々引き下げられたことで、消費者の購買モチベーションが変化しました。
かつての「売電収入で儲かる」という営業トークのみに頼っていた会社は、提案力を失って一気に受注を落とすことになります。
自家消費型や蓄電池併用といった新しいニーズに対応できなかった業者が、市場から取り残されて淘汰されました。
資材費・工事費・人件費などのコストが上昇した
近年の世界的な物価高騰と物流費の上昇により、パネルやパワーコンディショナの仕入れ価格が跳ね上がっています。
さらに慢性的な電気工事士不足により現場の職人単価も高騰しており、一案件あたりの粗利益率は著しく低下しました。
値上げ分を顧客へ転嫁できず自社で吸収し続けた結果、施工するほど赤字が膨らむ悪循環に陥った会社も少なくありません。
販売不振や資金繰りの悪化で倒産するケースも多い
住宅用太陽光は高額商品であるため受注の波が大きく、月ごとの売上が安定しにくい特徴があります。
販売不振が2〜3ヶ月続くだけで、事務所賃料や人件費などの固定費支払いが窮迫し、資金繰りが一気に悪化します。
金融機関からの追加融資を受けられなくなった段階で手元資金が底をつき、事業継続を断念せざるを得なくなります。
コンプライアンスや訴訟など個別の経営問題もある
強引な訪問販売や事実と異なるシミュレーションの提示により、行政処分を受ける悪質な業者も存在しました。
不適切な施工による雨漏りトラブルや、近隣との騒音トラブルから損害賠償訴訟に発展するケースも報告されています。
法令違反による信頼失墜やコンプライアンスの欠如は、瞬時に資金ショートを引き起こす直接的な引き金となります。
太陽光業者が倒産したらどうなる?
契約した会社がなくなった場合でも、屋根に設置した太陽光パネルが突然動かなくなるわけではありません。
ただし、保証の手厚さやアフターフォローの体制には直接的な影響が出るため、具体的な変化を把握しておきましょう。
設置済みの太陽光発電が使えなくなるわけではない
業者が倒産しても、すでに自宅へ施工された太陽光パネルやパワーコンディショナはそのまま発電を継続します。
電力会社との電力受給契約や売電口座が解除されることもないため、日常の暮らしや売電収入への即座の影響はありません。
設備自体は独立して稼働を続けるため「倒産=即停電・故障」ではないことを知っておけば過度な焦りは不要です。
販売店・施工店独自の保証やアフターサービスが受けられなくなる可能性がある
設置業者が独自で提供していた無料定期点検や、自社独自の施工保証(雨漏り保証など)は効力を失います。
法人が消滅すると契約上の責任追及や無償修理の請求ができなくなるため、自己負担が発生するリスクが高まります。
特に「15年無料点検」といった販売店独自の長期サービスを売りにしていた場合、その恩恵はすべて無効化されます。
メーカー保証は販売・施工会社が倒産しても利用できる場合がある
機器の出力保証や製品保証は製造メーカーが発行しているため、施工店が倒産してもメーカー保証自体は継続します。
メーカーの認定施工基準に従って正しく設置されている保証書があれば、機器故障時の部品交換などは保証対象です。
ただし正規ルート以外の施工や、メーカーへのユーザー登録・保証申請が未完了だった場合は対象外となるため注意が必要です。
修理やメンテナンスは別の業者に依頼できる
元の会社がなくなった後でも、他社で施工された太陽光設備のメンテナンスを引き受ける専門業者は多数存在します。
点検費用や修理作業費は有償となりますが、地域密着型の施工店やメンテナンス専門会社へ管理を切り替え可能です。
困った際はメーカーのサポート窓口に相談すれば、近隣にある信頼できる提携施工店を紹介してもらえるケースもあります。
工事前・工事途中に倒産した場合は注意が必要
最も深刻な被害が出るのは、着工前に代金を全額先払いしている場合や、着工途中で倒産したケースです。
支払った手付金や工事代金が戻ってくる可能性は極めて低く、途中で放置された工事の引き継ぎにも多額費用がかかります。
未着工段階での全額前払いを要求するような業者との契約は絶対に避け、支払いは完工後の後払いを徹底すべきです。

着工前の倒産は資金回収が極めて難しくなります。支払い条件が「着工前全額振込」になっていないか、契約前の確認が必須ですよ。
契約した太陽光業者が倒産したときの対処法
万が一契約した施工店が倒産してしまった場合でも、正しく手順を踏めば設備の保護や保証の継続が可能です。
パニックにならず、手元の書類確認から順番に必要なアクションを進めていきましょう。
まずは手元にある保管書類を取り出し、「メーカー製品保証書」「自然災害補償の証書」「契約約款」があるか確認します。特にメーカー保証書に型番や施工日、発行印が押されているかが運命を分けるポイントです。
保証書の存在を確認したら、機器メーカーのアフターサポート窓口へ直接電話連絡を入れます。施工店が倒産した旨を伝え、自社のユーザー登録状況や、故障時の連絡先として引き継ぎ可能な指定販売店を案内してもらいます。
今後の定期点検や急な不具合に対応してもらうため、「他社施工案件の保守引き継ぎ」に対応している地元の施工店を探します。対応範囲や出張費・点検費用を事前に見積もりで比較し、セカンドオピニオンとして確保しておきます。
施工中の倒産であれば、支払い済みの領収書、発注済み資材の現場納品状況、未完成部分の工程を正確に整理します。破産管財人からの通知を確認した上で、弁護士や消費生活センターなどの専門機関へ至急相談してください。
倒産リスクの低い太陽光業者を見極める7つのポイント
100%倒産しない企業を事前予測することは不可能ですが、健全な経営を行っている会社を選ぶ選択眼は磨けます。
契約前にチェックしておくべき7つの基準を頭に入れ、比較検討に役立ててください。
会社の設立年数や施工実績を確認する
設立から10年以上継続して営業しており、地域で千件以上の豊富な施工実績を持つ会社は経営基盤が安定しています。
FITブームの参入ラッシュや需要の落ち込み期を乗り越えてきた実績自体が、堅実な経営体制の何よりの証明です。
会社概要ページで沿革や過去の施工件数を調べ、一時的な流行で出来たばかりの会社でないか必ず確認しましょう。
太陽光発電だけに依存した会社ではないか確認する
太陽光発電の販売施工一本で経営している単一事業会社は、市場の変動や法改正の影響をダイレクトに受けてしまいます。
住宅リフォーム、電気設備工事、蓄電池販売、新電力事業など、複数の収益軸を持っている会社の方が倒産抵抗力が高くなります。
本業である総合建設業や電気工事の柱がしっかりしている会社なら、太陽光需要が激減しても生き残る確率が上がります。
極端な値引きや契約を急かす会社には注意する
「今契約すれば100万円引き」「今日中に決めないとキャンペーンが終わる」といった営業手法をとる業者には注意が必要です。
大幅な値引きで無理に契約を急かす行為は、資金繰りが苦しい「自転車操業」の典型例です。
適正価格を提示し、家族でじっくり検討する時間を確保してくれる誠実な事業者を選ぶのが鉄則です。
自社施工・外注など施工体制を確認する
販売のみを行い施工をすべて外部の下請け業者に丸投げしている会社は、責任の擦り付け合いが起きやすい傾向にあります。
自社で施工IDを取得した自社職人を抱えている会社や、自社施工管理体制を確立している会社の方が施工品質が高く安心です。
自社施工を行える会社は現場の工事費用を適正にコントロールできるため、無駄な中間マージンによる倒産リスクも低く抑えられます。
メーカー保証と施工保証を分けて確認する
保証制度を確認する際は、「メーカーが約束する機器保証」と「販売・施工店が約束する独自の工事保証」を明確に区別しましょう。
施工店が倒産すると失われるのは施工保証側であるため、メーカー保証の発行手続きが漏れなく行われるかを事前確認します。
「15年保証がついているから安心」と一括りにせず、万が一の際にもメーカー保証が単独で成立するのかまで確認が必要です。
万が一会社が倒産した場合の保証について確認する
業者によっては、自社が万が一倒産・廃業しても第三者機関が施工保証を引き継ぐ再保険制度に加入しています。
例えば「JHR(日本住宅保証検査機構)」や「JIO」などのリフォーム事業者保険に加入している場合、施工不備による損害が補償されます。3
第三者機関による二重の保証制度を用意している会社であれば、将来の倒産リスクに対する最善の備えと言えます。
複数の太陽光業者から見積もりを取って比較する
1社だけの提示額や接客態度で判断せず、必ず3社程度から相見積もりを取得して比較検討を行ってください。
複数社を比較することで相場価格が掴めるだけでなく、見積書の精査力や提案内容の誠実さの違いが明確に浮かび上がります。
他社の提案に対して客観的なアドバイスをくれるような、透明性の高い経営を行っている会社を見つけ出しましょう。



見積もり金額だけでなく、保証の範囲や自社施工かどうかも表にして比べると、経営スタイルの違いがはっきり見えてきますよ。
太陽光業者は価格の安さだけで選ばないことが大切
太陽光発電の導入において、見積もり金額の安さだけで施工店を決めてしまうのは最も危険なパターンです。
設置後20年以上にわたり運用する設備だからこそ、長期的なパートナーシップを見据えた選定基準を持ちましょう。
太陽光発電は設置後も長く使い続ける設備
太陽光パネルの寿命は25〜30年、パワーコンディショナの交換目安は10〜15年と、設置後も長い付き合いが続きます。4
初期費用を数万円〜数十万円安く抑えられたとしても、数年後に施工店が倒産してサポートを失えば結果的に大きな損となります。
設備投資の成功は「安く買った瞬間」ではなく「20年間トラブルなく発電し続けたかどうか」で決まることを念頭に置きましょう。
価格だけでなく施工品質・保証・アフターサービスも比較する
極端な安値を出せる会社は、施工を現場作業員へ丸投げして人件費を削ったり、アフターサポート費用をカットしている場合があります。
適切な工事用保険への加入、有資格者による丁寧な施工、定期点検の実施体制には必然的にコストがかかります。
単なる初期表示価格の比較ではなく、施工品質・保証の範囲・定期点検まで含めた総合評価で選ぶことが重要です。
長期的に付き合える会社か契約前に確認する
営業担当者の専門知識の深さはもちろん、問い合わせに対するレスポンスの速さや会社全体の対応態度を確認してください。
メリットばかりをアピールせず、設置に伴うリスクや将来のメンテナンス費用まで包み隠さず説明してくれるかが判断基準です。
「この会社なら10年後・20年後の点検も安心して任せられる」と納得できる会社と契約を結びましょう。
まとめ|太陽光業者の倒産リスクも考えて会社を選ぼう
最後に、太陽光業者の倒産リスクと後悔しない会社選びのポイントを整理します。
太陽光業者の倒産は紛れもない現実ですが、リスクの実態を正しく理解していれば恐れる必要はありません。
設置後のサポートまで見据え、安心できる経営体制を持った業者を選び、安全で快適な太陽光生活をスタートさせましょう。
- 太陽光関連業者の倒産のうち負債5億円未満の中小規模企業が占める割合(2006〜2017年累計で85.1%、地域別では関東が最多)について。 帝国データバンク「太陽光関連業者の倒産動向調査」 ↩
- 2024年度の発電事業者の倒産・休廃業解散動向(倒産8件、休廃業・解散44件の合計52件で過去最多、うち太陽光発電関連の倒産は過去5年で最多の7件)について。 帝国データバンク「発電所」の倒産・休廃業解散動向(2024年度) ↩
- リフォームかし保険は、施工業者が倒産・廃業した場合でも発注者がJIOへ直接保険金を請求でき、施工不備による損害が補償される仕組みであることについて。 日本住宅保証検査機構(JIO)「リフォームかし保険」 ↩
- 太陽光パネルの製品としての耐久性能は20〜30年発電可能とされ、パワーコンディショナはパネルより先に劣化が進みやすく製品寿命は10年超とされることについて。 京セラ「太陽光パネルの寿命は何年?」 ↩








