資金繰りの改善策としてファクタリングを検討する際、最も気になるのが「手数料」ではないでしょうか。しかし、ファクタリングの手数料は業者やプランによって大きく異なり、「安さに惹かれて申し込んだら、結局手元に少ししか残らなかった」という失敗も少なくありません。
本記事では、ファクタリング手数料の適正な相場や仕組み、諸経費を含めた内訳までを徹底解説します。自社にとって適正なコストを正確に把握し、安全な資金調達を実現しましょう。
ファクタリング手数料の相場は?
ファクタリングの手数料相場は「1%〜20%程度」と幅広く設定されています。
相場に開きがある理由は、ファクタリング会社が負う「売掛金が回収できないリスク」の大きさによって変動するためです。
【業者の手数料例】
このリスクを決定づけ、手数料に最も大きな影響を与えるのが「契約形態(2社間・3社間)」の違いです。
【契約形態別】ファクタリングの手数料

ファクタリングの手数料を適正に見極めるためには、まず「2社間」と「3社間」という2つの契約形態の違いを理解する必要があります。それぞれの相場は以下の通りです。
2社間ファクタリングの手数料相場(目安:5%~20%)
2社間ファクタリングの手数料相場は5%~20%です。
2社間ファクタリングとは、「自社」と「ファクタリング会社」の2社のみで完結する契約です。取引先に債権譲渡の事実を知られないため、今後の取引関係に悪影響を及ぼさずに資金調達できるのが最大のメリットです。
ただし、ファクタリング会社が背負う「未回収リスク」が非常に高いため、手数料は割高になります。
2社間契約では、売掛金は一度「自社の口座」に振り込まれ、それを自社からファクタリング会社へ送金します。ファクタリング会社にとっては、「取引先からの未入金リスク」だけでなく、「利用者が受け取ったお金を他の支払いに使い込んでしまうリスク(流用リスク)」も抱えることになります。この二重のリスクに備えるため、手数料が高く設定されているのです。
金額やリスクの度合いによって手数料が変わるのはユーザーに分かりにくいため、ラボルやペイトナーなどの2社間ファクタリング会社では一律10%の手数料を設定しています。5%に比べると割高な印象があるかもしれませんが、手数料の相場と比べると実は安いと考えられます。
3社間ファクタリングの手数料相場(目安:1%~9%)
3社間ファクタリングの手数料相場は1%~9%です。
当サイトが調査した範囲では、3社間ファクタリングだとセゾンファンデックスが最低1%(1億円利用時)の手数料から6%(300万円利用時)の範囲で対応していました。
3社間ファクタリングとは「自社」「ファクタリング会社」に「取引先(売掛先)」を加えた3社間で契約を結ぶ方法です。取引先への通知と承諾が必要になるというハードルはありますが、その分、2社間と比べて手数料を大幅に安く抑えられます。
手数料が安くなる最大の理由は、ファクタリング会社のリスクが極めて低い確実な仕組みだからです。
3社間契約では、期日になると取引先からファクタリング会社の口座へ直接売掛金が振り込まれます。自社の口座を経由しないため、2社間で懸念された「使い込み・流用リスク」が完全に排除されます。純粋に「取引先が倒産しないか」だけを審査すれば良いため、結果として手数料を低く設定できる仕組みです。
【2社間と3社間の違い】
| 2社間 | 3社間 | |
| 手数料 | 5%~20% | 1%~9% |
| 審査の期間 | 短い(即日~) | 長い(数日~数週間) |
| 取引先への承諾 | 不要 | 必要 |
手数料が高くても早めに資金が必要、あるいは取引先へ知られたくない場合は2社間を選び、期間が長くても良いからとにかく手数料が安いところを選びたい場合は3社間を選ぶと良いでしょう。業者によって、両方利用できる場合と片方のみの場合とあります。
ファクタリング手数料の内訳
「手数料10%」と提示された場合でも、それだけで計算を終わらせてはいけません。実際に手元に残る金額を正確に把握するためには、手数料の内訳と諸経費の存在を知っておく必要があります。
基本となる「買取手数料」
これが、前述した「リスクの度合い」に応じて設定されるメインの手数料です。ファクタリング会社の利益および、貸し倒れリスクに備えるための保険料のような性質を持っています。
手数料以外にかかる「諸経費」
悪質な業者でなくても、基本の買取手数料とは別に以下のような諸経費(実費)が引かれるケースがあります。
- 債権譲渡登記費用
- 印紙代
- 振込手数料
サイト内に詳細な諸経費について記載されていないケースもあるため、一度見積もりを取り、諸経費が掛かるかを確認しておきましょう。
債権譲渡登記費用(相場:1万円〜10万円程度)
2社間ファクタリングで二重譲渡を防ぐために法務局へ登記する費用です。内訳は以下の通りです。
- 登録免許税(7,500円〜)
- 司法書士への報酬:数万円~10万円程度
従来はこの登記費用が掛かるケースが多かったものの、最近は登記手続きを省略する業者も増えており、その場合は0円になります。
なお、3社間ファクタリングの場合は、取引先へ直接通知して内容証明郵便などで債権譲渡の承諾を得る仕組みになっているため、基本的に法務局での登記手続きは発生しません。
印紙代(相場:200円〜4,000円程度)
紙の契約書を取り交わす際に必要な収入印紙の代金です。クラウドサインなどの電子契約を利用した場合は非課税となるため、0円で済みます。
振込手数料(相場:数百円程度)
買取代金がファクタリング会社から自社の口座に振り込まれる際にかかる、一般的な銀行の振込手数料(実費)です。
ファクタリング手数料の計算方法
具体的な計算方法を、例を交えて見てみましょう。
- 売掛金額:100万円
- 契約形態:2社間ファクタリング
- 買取手数料:10%
- 債権譲渡登記:なし(諸経費は振込手数料などのみと仮定)
- 手数料の計算:100万円 × 10% = 10万円
- 手元資金の計算:100万円 - 10万円 = 90万円(※ここから数百円の振込手数料等が引かれます)
自社の状況に当てはめてパッと見で把握できるよう、売掛金額と手数料率を掛け合わせた「実際に手元に残る資金」の早見表を作成しました。相見積もりを取る際などの基準としてご活用ください。
【手数料シミュレーション】
| 売掛金額 | 手数料 1% | 手数料 10% | 手数料 20% |
| 50万円 | 手数料:5,000円 手元:49万5,000円 | 手数料:5万円 手元:45万円 | 手数料:10万円 手元:40万円 |
| 100万円 | 手数料:1万円 手元:99万円 | 手数料:10万円 手元:90万円 | 手数料:20万円 手元:80万円 |
| 300万円 | 手数料:3万円 手元:297万円 | 手数料:30万円 手元:270万円 | 手数料:60万円 手元:240万円 |
| 500万円 | 手数料:5万円 手元:495万円 | 手数料:50万円 手元:450万円 | 手数料:100万円 手元:400万円 |
※買取手数料のみの計算です。ここから振込手数料や印紙代など別途諸経費が引かれます
ファクタリングの手数料が会社やプランにより異なる理由
契約形態(2社間・3社間)を決めた後でも、実際に提示される手数料のパーセンテージには幅があります。ファクタリング会社がどのような基準で手数料(リスク)を審査しているのか、その理由を解説します。
売掛先(取引先)の信用力が影響する
ファクタリングの審査において最も重視されるのは、利用者(自社)の業績ではなく「売掛金支払い元(取引先)の信用力」です。
ファクタリング会社にとっての最大のリスクは、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなることです。そのため、取引先が上場企業や公的機関など、社会的信用力が高く倒産リスクが低い企業であれば、手数料は安くなる傾向にあります。反対に、倒産や支払い遅延の確率が高いほど手数料は上がりやすいです。
ここで手数料に大きく影響するのが、取引先が「法人」か「個人事業主」かという点です。
多くの業者は未回収リスクを避けるべく「売掛先が法人の債権」のみを買取対象としています。もし売掛先が個人事業主の場合、そもそも買取不可となるケースが多く、対応している業者を見つけたとしても「回収リスクが極めて高い」と判断されるため、手数料は相場の上限(20%前後)に設定される可能性が高いでしょう。
なお、利用者が個人か法人かは手数料には基本的に影響せず、あくまでも取引先の信用力に左右されます。
売掛金の支払い期日までの期間の長さ
売掛金が発生してから、実際に支払いが行われるまでの期間(支払いサイト)も手数料に影響します。
支払い期日が1ヶ月後の売掛金よりも、3ヶ月後の売掛金の方が「その間に取引先が倒産するリスク」が高まります。したがって、入金までの期間が長いほど、ファクタリングの手数料は高く設定されやすくなります。
利用金額(買取額)によっても異なる
買い取ってもらう売掛金の「金額規模」も重要なポイントです。
ファクタリング会社は、数万円の買取でも数百万円の買取でも、審査や契約手続きにかかる人件費などの固定コストはほぼ同じです。そのため、少額のファクタリング(例:数十万円)の場合は手数料率を高く設定しないと利益が出ません。逆に、高額なファクタリング(例:数百万円〜数千万円)になれば、スケールメリットが働き、手数料率は低くなる傾向があります。
ファクタリングの手数料表記に関する注意点
Webサイトなどで「手数料0.5%〜」「業界最安水準1.0%〜」といった魅力的な表記を見かけることがあります。実際にこの低水準の手数料でサービスを提供している優良な業者も存在し、条件が合えば調達コストを大幅に抑えることが可能です。
ただし、知っておくべきポイントは、この「最低手数料」が適用されるには一定の条件があるという点です。一般的に最低手数料が適用されやすいのは、以下のようなケースです。
- 「3社間ファクタリング」を利用する場合
- 取引先(売掛先)が国、自治体、上場企業など信用力が極めて高い場合
- 数千万円規模の大口の売掛金を買取に出す場合
一方で、一般的な中小企業や個人事業主が「2社間ファクタリング」で数十万円〜数百万円の利用をする場合は、未回収リスクの観点から、上限に近い手数料が適用されることも珍しくありません。
最低手数料の数字だけを見て「自社も0.5%で利用できる」と判断するのではなく、「自社の利用条件(2社間か3社間か、売掛先の信用力など)では最終的に何%になりそうか」という視点を持ち、実際の見積もりで提示される実質コストを確認することが大切です。
要注意!手数料が高すぎる・悪質な業者の見分け方
近年問題になっているのが、ファクタリング業者を装った「ヤミ金(偽装ファクタリング)」です。彼らは売掛金の買取りを装いながら、実質的には法外な金利での貸付を行っています。
以下のような特徴がある業者は、偽装ファクタリングの可能性が極めて高いため絶対に避けてください。
- 担保や保証人(代表者保証など)を求めてくる(本来のファクタリングは売買契約のため不要です)
- 契約書に「金銭消費貸借契約」や「利息」「遅延損害金」といった記載がある
- 売掛先が倒産した場合、自社に買い戻しを求めてくる(償還請求権がある)
- 手数料を年利に換算すると、利息制限法(年利15%〜20%)を大幅に超えている
いずれも、上記がイコール「違法」とはなりませんが、少しでも怪しいと感じたら、金融庁のホームページで注意喚起の情報を確認したり、弁護士などの専門家に相談したりすることをおすすめします。
ファクタリング手数料を適正な範囲に抑える4つの方法
悪徳業者を避けつつ、適正な範囲で少しでも手数料(コスト)を抑えるためには、自社から「リスクが低い」と証明するアプローチが必要です。実務で使える4つの正攻法をご紹介します。
1. 信用力の高い売掛債権(大手企業や国・自治体)を審査に出す
手元に複数の売掛金がある場合は、最も信用力の高い取引先(上場企業、歴史のある優良企業、官公庁、医療機関など)の売掛金を審査に出しましょう。未回収リスクが低く見積もられるため、手数料が下がりやすくなります。
2. 可能な限り「3社間ファクタリング」を利用する
取引先との関係性が良好で、資金繰りについて理解を得られるのであれば、「3社間ファクタリング」を選ぶのが最も確実なコスト削減方法です。2社間では5%〜20%かかる手数料が、1%〜9%程度まで大幅に抑えられます。
3. 複数社から相見積もりを取り、内訳を比較する
1社だけの見積もりで即決するのは危険です。必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。
この時、単純な「%(パーセンテージ)」だけでなく、「基本手数料」「登記費用」「事務手数料」などすべての内訳を出し、最終的に自社の口座に振り込まれる「手元資金の総額」で比較することが最大のポイントです。
4. 継続利用でファクタリング会社との信頼関係を築く
同じファクタリング会社を継続して利用し、「期日通りに必ず送金する」という実績を積むことで、自社に対する信用度が高まります。その結果、2回目、3回目の利用時から手数料が優遇されたり、審査がスムーズになったりするケースが多くあります。
ファクタリングの手数料に関するよくある質問
ファクタリングの手数料について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
手数料に消費税はかかりますか?
かかりません(非課税です)。ファクタリングによる売掛債権の譲渡は、消費税法上「非課税取引」に該当します。もし見積書や請求書に「手数料に対する消費税」が上乗せされていた場合、その業者は悪徳業者か、著しく知識が不足している業者のため契約を見送りましょう。
※ただし、振込手数料や債権譲渡登記にかかる司法書士への報酬などには別途消費税がかかります。
審査後に手数料を交渉することは可能ですか?
難易度は高いですが、交渉の余地はあります。複数社の相見積もりを提示して「他社は〇%だった」と交渉したり、取引先との継続的な取引実績を示す追加資料(過去の入金履歴がわかる通帳のコピーなど)を提出して未回収リスクの低さをアピールしたりすることで、手数料が引き下げられるケースもあります。
規程の期日に支払えなかった場合に遅延損害金などは発生しますか?
原則として発生しませんが、違約金がかかることがあります。ファクタリングは融資ではないため、遅延損害金という概念はありません。また、売掛先が倒産して支払われなかった場合も自社に支払い義務はありません(ノンリコース)。しかし、2社間取引で取引先から入金された売掛金を自社が使い込んでしまい、ファクタリング会社へ送金できなかった場合は、契約違反として損害賠償や高額な違約金を請求される可能性があります。
手数料が安いファクタリング会社はありますか?
手数料が安いファクタリング会社は、QuQuMo、日本中小企業金融サポート機構、アクセルファクターなどがあります。条件と照らし合わせながら選びましょう。
ファクタリングに金利はつきますか?
金利はつきません。ファクタリングは借入(融資)ではなく売掛債権の「売買契約」であるため、金利や利息というものは一切発生しません。もし契約書に「金利」「利息」「返済」といった言葉が記載されていたり、年利換算で手数料を説明されたりした場合は、ファクタリングを装った違法なヤミ金(偽装ファクタリング)の可能性が極めて高いため、絶対に契約しないでください。
適正な相場と内訳を理解して安全な資金調達を
この記事では、ファクタリングの手数料について、相場から内訳、コストを抑える方法までを解説しました。
- 2社間ファクタリングの相場は5%〜20%
- 3社間ファクタリングの相場は1%〜9%
- 手数料は「売掛先の信用力」や「契約形態」で決まる
- 「〇%〜」の安すぎる広告を鵜呑みにせず、諸経費を含めた「手元資金」で判断する
- 安全にコストを抑えるには、相見積もりと信用力の高い債権選びが鉄則
ファクタリングは、スピーディーに資金ショートを防げる有効な手段です。しかし、「とにかく安そうだから」「急いでいるから」と安易に業者を選んでしまうと、結果的に資金繰りをさらに悪化させることになりかねません。
自社にとって適正な相場と内訳をしっかりと理解し、複数の信頼できる業者を比較検討した上で、安全で確実な資金調達を実現してください。
