特定受益証券発行信託に係る譲渡損益の計算方法

2025年10月19日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「特定受益証券発行信託に係る譲渡損益の計算方法」をお伝えさせていただきます!
令和7年度税制改正では、信託を利用した投資商品に関する課税ルールが見直されました。
これまでは、受益証券発行信託において「利益分配」と「元本払戻し」の区別が曖昧で、損益の扱いに不明確さがありました。今回の改正では、元本の払戻しがあった場合にどのように譲渡損益を計算するかが明確化され、法人や個人がより適正な課税処理を行えるようになります。
静岡・浜松の企業でも、不動産信託やETFなどを通じた資産運用が増えており、この改正は実務に直接関わるテーマです。今後は「元本減少割合」に基づいた新しい計算方法を理解しておくことが重要です。

【№2 結論】

今回の改正のポイントは、「外国子会社合算税制(CFC税制)」における合算時期の変更です。
従来は「外国関係会社の事業年度終了後2か月以内」に、その課税対象金額を日本本社の所得に合算する必要がありました。
しかし、令和7年度改正により、この期間が「4か月以内」へと延長されます。

これにより、海外子会社の財務諸表確定・翻訳・税額計算に要する時間が確保され、
日本法人側の申告事務負担を軽減できるようになりました。

さらに、経過措置として、令和6年12月~令和7年1月に終了する外国関係会社の事業年度については、
内国法人の判断で新ルール(4か月ルール)を先行適用できます。
つまり、必要に応じて「令和8年3月期に合算」を選択できる柔軟な対応が可能となっています。

【№3 やさしい解説】

まず、「受益証券発行信託(じゅえきしょうけんはっこうしんたく)」とは、株式や不動産、金などの資産を信託財産として預け、
その受益権を証券化して投資家に発行する仕組みのことをいいます。
信託銀行などが受託者となり、投資家はその証券(受益権)を保有することで、
信託財産の運用から生まれる収益を受け取ることができます。
代表的な例としては、
海外株式を日本市場で取引可能にした「日本型預託証券(JDR)」
金やプラチナなどの商品に連動する「商品ETF」
不動産を小口化した「不動産セキュリティ・トークン(ST)」
などがあります。
このような信託商品では、投資家に分配されるお金の中に「利益」と「元本の払戻し」が混在します。
つまり、ある部分は投資による利益ですが、別の部分は投資した元本の一部が戻ってくるだけということです。
これまでの税制では、この「払戻し部分」がどのように扱われるか明確でなかったため、
企業や個人によって処理が異なっていました。
例えば、ある会社は利益として課税処理し、別の会社は元本の回収として非課税扱いにするなど、
実務上のばらつきが問題視されていました。
そこで令和7年度税制改正では、元本の払戻しを明確に定義したうえで、
譲渡損益の計算方法を政令で定めることになりました。
改正のポイントは次の3つです。
① 元本払戻しを明確に位置づけ
 信託財産の減価償却や資産売却によって支払われる金額のうち、利益ではない部分を「元本の払戻し」として整理しました。
② 損益計算の基準を統一
 所有受益権の帳簿価額に「元本減少割合」を乗じて譲渡原価を算出し、払戻金との差額を益金または損金とします。
③ 元本減少割合の通知義務化
 この割合は信託銀行(受託者)が計算し、受益者に通知することが義務づけられました。
これにより、受益者側では通知に基づいて損益を正確に計算でき、税務処理の統一が図られます。
たとえば、帳簿価額100万円の受益権に対して10万円の払戻しがあった場合、
信託銀行から「元本減少割合10%」と通知されれば、
帳簿価額を10万円減額し、その金額との差額を益金または損金に算入する、という流れになります。
この新ルールは、令和8年4月1日以後の払戻しから適用されます。
静岡・浜松地域のように、不動産やETFを活用する法人が多いエリアでは、
受益権の管理台帳を見直し、通知書を正確に保存することが重要です。
今後は、会計上も税務上も「元本の払戻しか、それとも利益か」を明確に仕分けることが、
企業の信頼性を左右する時代になるといえるでしょう。

【№4 具体例】

以下では、CFC税制(外国子会社合算税制)の改正内容を理解しやすくするために、代表的な10の事例を紹介します。
★重要:どのケースも、改正後は「4か月ルール」と経過措置の選択がポイントです。

① 3月決算の日本法人・12月決算の海外子会社
★重要:経過措置を選択すれば、12月期分を翌期(令和8年3月期)に合算可能。

② 経過措置を選ばないケース
令和7年3月期で申告後に課税対象金額が判明しても、翌期に合算できる柔軟運用が可能。

③ 現地決算の確定が遅れる場合
★重要:合算期限が2か月→4か月に延長され、翻訳や監査対応が容易に。

④ 6月決算の日本法人・3月決算の海外子会社
決算ズレがあっても、改正後は合算タイミングを調整しやすい。

⑤ 複数国に子会社を持つ企業
★重要:各国の決算期が異なる場合でも、全体を統一的に管理しやすくなった。

⑥ 海外監査法人との調整が必要な場合
監査終了後の数値を反映でき、誤差や再申告リスクを低減。

⑦ 税務調査対応の観点
★重要:経過措置の適用記録を残しておけば、後日の指摘を防げる。

⑧ 利益留保型の子会社
現地利益を留保しても、合算漏れ防止が容易に。

⑨ 経過措置を適用し忘れたケース
★重要:後日修正申告で翌期反映すれば、正しい処理と認められる。

⑩ グループ再編やM&Aを予定している企業
合算期を調整することで、再編スケジュールと税務を整合できる。

【★重要ポイントまとめ】
合算期限が「2か月→4か月」に延長。
経過措置は事前申請不要で後から適用可能。
課税対象金額の判明が遅れても翌期で修正可。
記録を残せば税務調査時も安心。
静岡・浜松の海外展開企業は要確認。

【№5 手順】

実務上の対応は、次の流れで整理するのが分かりやすいです。
① 外国関係会社の決算期を確認
まずは海外子会社の決算月を把握します(例:12月決算など)。
② 合算対象期間を判定
外国子会社の決算終了日と、日本本社の事業年度の関係から、どの期に合算するかを判断します。
③ 経過措置の適用可否を確認
外国子会社が令和6年12月1日~令和7年1月31日に終了する事業年度に該当する場合、経過措置を選択可能です。
④ 申告書別表の反映
経過措置を選択した場合は、外国関係会社合算税額計算書を令和8年3月期に反映します。
選択にあたり、事前申請は不要で、適用は申告書上の処理のみで完結します。
⑤ 記録・証憑の保存
どの期に合算したか、またその根拠資料(決算報告書・翻訳・税額計算書等)を保存しておくことが重要です。

【№6 FAQ】

ここでは、CFC税制(外国子会社合算税制)の改正に関して、実務でよくある質問にお答えします。
★重要:実務負担を減らすには、制度の趣旨を正しく理解することが大切です。

① Q:合算期限が4か月になったのはいつからですか?
A:令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用です。

② Q:経過措置を使うために事前申請は必要ですか?
A:不要です。申告後に適用を判断しても問題ありません。

③ Q:外国子会社の課税対象金額が後から分かった場合は?
A:経過措置を使い、翌期(令和8年3月期など)に合算可能です。

④ Q:経過措置を選ばなかった場合の不利益は?
A:原則の時期で申告していれば違反にはなりません。ただし税務調整が増えます。

⑤ Q:海外監査の遅れがあるときはどうなりますか?
A:4か月に延長されたことで、監査完了後の確定数値を反映しやすくなりました。

⑥ Q:経過措置を選んだことはどのように記録すべき?
A:社内稟議や決算資料などで判断根拠を残しておくと安心です。

⑦ Q:税務調査で確認されやすい点は?
A:合算時期と計算根拠の整合性、経過措置適用の経緯などが重点です。

⑧ Q:静岡・浜松の中小企業にも関係ありますか?
A:はい。海外取引や子会社を持つ企業なら規模を問わず影響があります。

⑨ Q:経過措置の適用を忘れたら修正できますか?
A:はい。修正申告で翌期合算に切り替えれば適正処理と認められます。

⑩ Q:今後どのような対応をすべきですか?
A:海外子会社の決算期・監査時期を整理し、税務スケジュールを一元管理しましょう。

【№7 まとめ】

今回の改正は、一見すると「元本の払戻しに関する会計処理の整備」に過ぎないように見えますが、実務的には非常に重要な意味を持っています。とくに特定受益証券発行信託(ETF・不動産ST・JDRなど)を利用している企業にとっては、課税区分を誤ることで法人税や申告調整に影響が出る可能性があります。
ポイントを整理すると、以下の3点に集約されます。
① 元本の払戻しと配当を混同しない
分配金の中には「利益による配当」と「元本返還」が混在しています。元本払戻し分を益金に入れてしまうと、二重課税のような結果になり、税務調査で指摘されるリスクがあります。
② 通知書を必ず確認し、帳簿価額を修正する
信託銀行から届く「元本減少割合通知書」は、正しい簿価を保つための唯一の資料です。処理を怠ると、将来の譲渡損益がずれてしまい、課税額の誤差が生じます。経理部門だけでなく、経営者自身も通知の有無を確認する習慣を持つことが大切です。
③ 改正内容を正確に理解し、翌年度の申告に反映する
令和8年4月1日以後に行われる払戻しから新ルールが適用されるため、実務上は「令和7年度分の決算」で準備を終えておくことが理想です。とくに複数の信託商品を保有している場合は、信託ごとの管理台帳を作成し、元本減少履歴を明確にしておくと安心です。
★重要
静岡・浜松の中小企業でも、資産運用・不動産信託・ETF投資を行う法人が増えています。こうした金融商品の税務処理は複雑化しているため、「どの分配が益金か」「どの部分が元本返還か」を毎年確認する仕組みを整えておくことが、今後の経営管理の安定につながります。
結論として、今回の改正は「税負担の軽減策」ではなく「正確な損益把握の仕組み化」が目的です。企業としては、通知書の確認・帳簿調整・信託別管理を徹底し、将来的な誤課税を防ぐ体制を築くことが求められます。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3859号(2025年7月14日)「特定受益証券発行信託 所有受益権に係る譲渡損益の計算方法」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.5900 信託の課税関係」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法 第61条の2(譲渡所得等の金額の計算)」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「法人税法施行令 第119条の9の2(元本減少割合の算出方法)」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「信託法 第185条(受益証券発行信託)」(参照日:2025-10-08)
参考:信託協会「受益証券発行信託計算規則 第40条の2」改正概要(2025年版)

【№9 該当条文の説明】

① 法人税法 第61条の2(譲渡所得等の金額の計算)
この条文は、法人が資産を譲渡した際に生じる利益(譲渡益)や損失(譲渡損)を、どのように益金・損金として扱うかを定めています。
今回の改正では、特定受益証券発行信託の所有受益権に係る「元本払戻し」を受けた場合における譲渡損益の扱いが明文化されました。
従来は、元本返還に該当する金銭交付をどのように損益計算に反映すべきか明確でなく、実務では処理に差異が生じていました。
② 法人税法施行令 第119条の9の2(元本減少割合の算出方法)
施行令では、譲渡原価を算定するための「元本減少割合」の計算方法を規定しています。
具体的には、払戻し直前の元本額のうち、払戻しによって減少した金額の割合をもとに算定します。
この割合を所有受益権の帳簿価額に乗じて、譲渡原価を計算する仕組みです。
信託銀行(受託者)はこの割合を受益者(投資法人・企業)に通知する義務を負うことになりました。
③ 信託法 第185条(受益証券発行信託)
この条文は、信託の受益権を証券化して投資家が自由に売買できる仕組みを定義しています。
「受益証券発行信託」とは、受益権を表示する証券を発行し、流通市場で取引可能とする信託を指します。
今回の改正では、このうち一定要件を満たす「特定受益証券発行信託」に限定して税務上の特例が適用されます。
④ 改正の背景
令和7年度税制改正では、受益証券発行信託に関する会計基準が見直され、元本払戻しを「利益の分配ではなく元本の減少」として扱う方針が示されました。
これにより、法人・個人いずれの受益者も、払戻しに伴う譲渡損益を明確に計算できるよう制度が整えられました。
結果として、帳簿処理の透明性が高まり、二重課税や税務上の誤りを防ぐ狙いがあります。
⑤ 実務への影響
静岡・浜松の企業でETFや不動産信託を保有するケースでは、分配金のうち元本返還を含むか否かで損益計上が大きく異なります。
また、帳簿価額の減額を怠ると、将来の売却時に過大な譲渡益が発生するため注意が必要です。
税務申告時には、信託銀行が通知する「元本減少割合通知書」を必ず確認し、仕訳や法人税申告書別表に正確に反映させる必要があります。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
無料相談をご希望の方は、最高のIT税理士法人へお気軽にお問い合わせくださいませ。
https://toc-tax.jp/contact/