カルネ通関に係る消費税の課税関係
2025年10月21日
【№1】はじめに
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「カルネ通関に係る消費税の課税関係」についてお伝えさせていただきます!
カルネ通関(ATAカルネ)は、国際的に認められた「一時輸入・再輸出」のための通関制度です。
展示会や演劇、撮影、スポーツ大会など、海外の機材や美術品を一時的に日本に持ち込む際に利用されます。
「消費税が課されるのか」「仕入税額控除はできるのか」など、実務で混乱しやすいポイントが多数存在します。
特に舞台装置、展示機材、撮影機器などを扱う企業にとって、課税・非課税の判断を誤ると、思わぬ追徴課税を受けるリスクがあります。
この記事では、国税庁・消費税法・通達の一次情報をもとに、カルネ通関に関する課税関係をわかりやすく整理します。
【№2】結論
★重要
カルネ通関による一時輸入は、「保税地域からの課税貨物の引取り」に該当しないため、
消費税法第4条第2項の課税要件を満たさず、原則として課税対象外です。
つまり、「免税」ではなく「課税原因が発生していない」状態にあります。
このため、輸入時点での消費税納付義務はありません。
また、税関で納税申告を行う必要もありません。
ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。
持ち込んだ物品を日本国内で販売・譲渡した場合
一時輸入の期間を超えて滞留させた場合
再輸出を行わずに国内で消費・使用した場合
これらはいずれも「輸入課税の対象」とみなされ、
その時点で消費税法上の「引取り」が発生したものとして課税されます。
さらに、輸入に付随する国際輸送費・保険料については、
国外区間が「輸出免税取引」にあたり非課税ですが、
日本国内での輸送や設営に関する費用は課税対象となる点に注意が必要です。
★まとめると
一時輸入(カルネ通関)=非課税(課税原因なし)
国内滞留・譲渡=課税発生
国際輸送費=非課税
国内輸送費=課税対象
仕入税額控除=対象外
このように、カルネ通関では「課税の発生有無」を判断するタイミングがポイントになります。
特に舞台装置や展示機材など、使用目的が一時的か継続的かで税務上の取扱いが変わるため、
契約書や返送証明書の保管が極めて重要です。
静岡・浜松のように国際的な展示会や舞台公演が多い地域では、
カルネ通関を利用する企業が多く、消費税の誤判定が発生しやすい分野です。
経理・会計担当者は、**「非課税ではなく非対象」**である点を社内で共有しておくと安心です。
【№3】やさしい解説
カルネ通関とは、「ATAカルネ」と呼ばれる国際的な通関制度で、
加盟国間で物品を一時的に輸出入する際、関税・消費税などの納付を免除する仕組みです。
正式には「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づいています。
この制度の目的は、文化・スポーツ・商取引などの国際交流を促進することにあります。
たとえば、海外のミュージカル公演で使用する舞台セットや照明機材、
海外企業が展示会で使う製品サンプル、報道取材用のカメラ機材などが典型的です。
★重要
カルネ通関を利用した場合、「一時輸入」として税関に登録されるため、
通常の輸入取引で発生する「保税地域からの課税貨物の引取り」(消費税法第4条第2項)に当たらず、
消費税の課税原因そのものが生じません。
つまり、「免税取引」ではなく「課税対象外取引」となります。
この違いは非常に重要です。
免税取引は課税のうえで免除される概念であるのに対し、
非対象取引は「そもそも課税の枠外」にあるため、申告や仕入控除の対象にもなりません。
【カルネ通関の基本的な流れ】
① 輸出国でATAカルネ手帳を発行(商工会議所などが窓口)
② 輸入国の税関でカルネを提示し、「一時輸入」として登録
③ 使用期間中は保税扱いで国内利用が可能
④ 使用後、同一物を再輸出し、税関で確認印を受ける
この流れを遵守すれば、関税も消費税も課されません。
一方、再輸出を怠ったり、物品を譲渡・販売した場合、
税関はその時点で通常輸入とみなし、課税処理を行います。
この「再輸出義務の履行」が制度の信頼性を支える根幹です。
また、輸送費の取扱いも重要です。
国外輸送(たとえば米国から日本への空輸)は「輸出免税取引」として非課税ですが、
日本国内での搬入・設営に伴う運送費や人件費は課税取引となります。
★たとえば
アメリカから舞台装置を持ち込み、日本公演後に持ち帰る:非課税
舞台装置を日本に残して再利用:課税
日本国内で別会場へ配送する際のトラック運賃:課税
さらに、仕入税額控除の可否にも注意が必要です。
カルネ通関では輸入時に消費税が課されないため、当然ながら控除対象外となります。
会計処理上は「課税仕入」ではなく「不課税取引」として区分し、
インボイス登録番号の記載義務もありません。
静岡や浜松で多く見られる国際イベントや展示会では、
海外企業と共同で機材を搬入するケースがあり、
カルネ通関と通常輸入が混在することも珍しくありません。
そのため、経理部門はどの機材がカルネ対象かを明確にし、
消費税の処理を誤らないようチェックリストを作成しておくと実務的です。
【№4】具体例
① 海外ミュージカル劇団の舞台装置
→ カルネ通関で一時輸入。日本での使用後、再輸出。課税されません。
② 海外展示会の美術品貸出
→ 展示目的で一時輸入。展示後返送するため非課税。販売した場合のみ課税。
③ スポーツ大会の機材
→ 海外チームが競技機材を持ち込む場合、カルネ通関なら課税されません。販売転用は課税。
④ 映画撮影機材
→ 撮影目的の短期持込。再輸出予定であれば非課税。撮影後に譲渡した場合は課税。
⑤ 楽器の一時輸入
→ コンサート目的での使用後、国外へ持ち帰るため非課税。残置すれば課税。
⑥ 展示会サンプル品
→ 展示のみの使用で販売なしなら非課税。販売した時点で輸入課税対象。
⑦ 試験・検査用装置
→ 一時的な貸与や性能確認目的なら非課税。継続利用・再販売で課税。
⑧ 海外イベントで使用した自社機材を再輸入
→ 保税地域からの再輸入では課税されない。改修後販売した場合は課税。
⑨ 芸能関係のステージ装飾品
→ ATAカルネに基づく持込で非課税。レンタル契約が「継続提供」に該当すれば注意。
⑩ 外国の大学が日本で学術展示を実施
→ 教育目的の展示で再輸出予定。非課税。ただし展示後の寄贈・販売は課税対象。
【№5】手順
カルネ通関を利用した輸入時には、以下の流れを理解しておくことが重要です。
① 事前確認
ATAカルネの発行国が条約加盟国か確認。
物品が一時輸入要件(販売目的でない)を満たすか確認。
② 通関手続
日本到着時、税関でカルネ手帳を提示。
輸入許可を受ける必要はなく、課税手続も不要。
③ 使用期間の管理
原則として1年以内(延長申請可)。
使用目的を超えた場合は、輸入課税が発生。
④ 再輸出手続
使用後、同じ状態で国外へ返送。
税関でカルネ記録に「再輸出済」と記載。
⑤ 会計処理上の注意
消費税の課税仕入れに該当しないため、仕入税額控除の対象外。
運送費・保険料も国外輸送分は非課税。
一部国内輸送がある場合、その部分のみ課税対象となることがあります。
★ポイント
静岡・浜松のように国際イベントや展示会が多い地域では、
カルネ通関の理解は経理・税務の信頼性を高めるうえで非常に重要です。
税務署への説明では、カルネ通関記録(税関押印付き書類)を必ず保管しておきましょう。
【№6】FAQ(よくある質問10問)
① カルネ通関とは何ですか?
→ 「ATAカルネ」と呼ばれる国際的な通関手帳制度で、展示会・演劇・スポーツ大会などで使用する物品を一時的に輸入する際、関税・消費税の納税手続きを省略できる仕組みです。
② カルネ通関を使えば、すべて非課税になるのですか?
→ 一時輸入であり、再輸出する前提であれば非課税です。ただし、販売・譲渡・長期使用など、一時輸入の範囲を超える場合は課税対象となります。
③ 輸送費は課税されますか?
→ 国際輸送部分は「輸出免税」扱いとなり、課税されません(消費税法第7条第1項三号)。ただし、国内での配送や保管に関する費用は課税対象です。
④ カルネ通関で入れた機材を使って利益を得た場合は?
→ 使用自体は問題ありませんが、物品を国内に残したり譲渡した場合、その時点で輸入課税が生じます。
⑤ 仕入税額控除は受けられますか?
→ カルネ通関による一時輸入では、消費税自体が課されないため仕入税額控除の対象になりません。
⑥ 再輸出を忘れて期限を過ぎた場合は?
→ 税関で「みなし輸入」とされ、通常の輸入課税が発生します。延長申請が可能な場合もあるため、期限管理が重要です。
⑦ ATAカルネを使わずに通常輸入した場合は?
→ 通常輸入では、保税地域からの引取り時に消費税が課されます。後で返送しても還付されません。
⑧ 海外からの出演者に支払う出演料は?
→ 日本国内で行われる公演への出演料は「特定課税仕入れ」に該当し、消費税がかかります。カルネ通関とは別の論点です。
⑨ 静岡・浜松で行われる国際展示会でも同様ですか?
→ はい。同様に、展示目的の一時輸入であれば非課税です。静岡や浜松では、自治体主催の展示イベントでもカルネ通関を利用する例が増えています。
⑩ 税務署に提出する資料はありますか?
→ 通常の申告では不要ですが、税務調査や確認時に備えて、カルネ手帳の写し・税関印付きの通関記録・再輸出証明を保存しておきましょう。
【№7】まとめ
カルネ通関における最大のポイントは、「課税原因の有無」を正しく理解することです。
一時的に日本へ持ち込むだけで、販売・譲渡・消費に該当しない場合には、消費税の課税関係が生じません。
★重要
課税関係の発生タイミングは、「保税地域からの課税貨物の引取り」が行われた時点です(消費税法第4条第2項)。
カルネ通関ではこの「引取り」に該当しないため、課税対象外になります。
一方、契約上「貸与」や「譲渡」とみなされる場合、または再輸出を怠った場合は、通常輸入と同じ扱いになります。
そのため、物品の管理と再輸出の証明書類の保管が、経理担当者の重要な責任になります。
特に静岡・浜松のように国際イベントや展示会が多い地域では、
企業がカルネ通関を正しく理解しているかどうかが、税務署との信頼関係を左右する場合もあります。
国際的な舞台・展示・撮影のサポート業務を行う企業ほど、カルネ通関の正確な知識が求められる時代です。
【№8】出典
出典:『税務通信』第3860号(2025年07月21日)「税務相談 消費税 カルネ通関に係る消費税の課税関係」税理士 和氣 光
参考:国税庁タックスアンサー「No.6201 消費税の課税の対象」(参照日:2025-07-21)
参考:e-Gov法令検索「消費税法 第4条・第7条・第30条・第50条」(参照日:2025-07-21)
【№9】該当条文の説明
● 消費税法第4条(課税の対象)
国内における資産の譲渡、貸付け、役務の提供および保税地域からの課税貨物の引取りに対して、消費税が課されます。
ただし、カルネ通関による一時輸入は「課税貨物の引取り」に該当しないため、消費税は課されません。
● 消費税法第7条(輸出免税等)
国外輸送など国際取引に該当するものは、課税されない(輸出免税)とされます。
カルネ通関による国外輸送費もこの条文により非課税扱いです。
● 消費税法第30条(仕入税額控除)
課税仕入れに係る消費税は控除できますが、カルネ通関は課税対象外のため控除の対象外となります。
● 消費税法第50条(保税地域からの引取りに係る納付)
課税貨物を保税地域から引き取る際に消費税を納付します。
カルネ通関はこの条文上の「引取り」に該当しないため、納付不要です。
★まとめ
これらの条文は、カルネ通関が「課税の原因そのものが発生しない」取扱いであることを明確に示しています。
つまり、非課税ではなく「課税要件の欠如」による非対象取引である点が重要です。
【№10】おわりに
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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