青色専従者給与と必要経費の該当性

2025年10月24日

【№1】はじめに

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「青色専従者給与と必要経費の該当性」についてお伝えさせていただきます!
個人事業主が家族に給与を支払う場合、その給与は原則として必要経費にできません。
しかし、青色申告者で一定の届出と要件を満たす場合、「青色事業専従者給与」として経費算入が認められます。
これは小規模事業の多い静岡・浜松地域でもよくある論点であり、実務でも誤解が多い制度です。
本記事では、青色専従者給与の仕組み・変更時の注意点・税務調査での確認事項などを、わかりやすく整理します。

【№2】結論

★重要
青色専従者給与は、所定の「届出」と「労務の実態」が揃って初めて必要経費に算入できます。
支給額を変更する場合は「変更届出書」を提出しなければなりません。
そして、税務署は変更届出書を契機として、変更後の金額だけでなく、過去の届出分も含めて妥当性を再確認します。
つまり、一度認められた給与でも、
労務実態が不明確
支給額が不相当に高い
家族であっても業務分担が不明確
といった場合には、過去分を含めて必要経費から除外されるリスクがあるのです。
★結論を整理すると以下の通りです。
「届出+実態」が両立して初めて経費算入が可能。
変更届出書を出した際は、全期間が見直し対象となる。
事業規模・勤務時間・仕事内容に照らし「相当額」である必要がある。
たとえば、過去に103万円で届出していた専従者給与を160万円に変更する場合、
その差額(57万円)だけでなく、旧額103万円も含めて妥当性の審査対象となります。
このため、労働時間・仕事内容・事業収益などを客観的に説明できるよう、事前準備が欠かせません。

【№3】やさしい解説

青色専従者給与の制度は、「家族に支払う給与が経費にできない」という原則の特例です。
個人事業主が生計を同じくする配偶者や子どもなどに給与を支払っても、通常は経費にできません。
しかし、青色申告をしており、かつ一定の要件を満たせば、給与を必要経費に算入できる特例が認められます(所得税法第57条)。
【適用の4条件】
① 青色申告者であること。
② 同居親族(生計を一にする家族)であること。
③ その家族が事業に専ら従事していること(他に仕事を持たない)。
④ 「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限内に提出していること。
★注意
届出をしていない給与は、どれだけ実態があっても必要経費になりません。
また、届出したとしても、実際の労務提供が確認できなければ否認されます。
【届出書の提出時期】
原則:その年の3月15日まで。
ただし、新規開業年は開業日から2か月以内。
さらに、支給額を変更する場合には「変更届出書」の提出が必要です。
この届出は「増額・減額いずれの場合も」必要であり、届出を怠れば変更後の給与は経費算入できません。
税務署は、この変更届出書を受け取った段階で、
過去の支給額や勤務実態を含めた全体の妥当性を改めて審査します。
実際の調査では、「変更を機に前の給与も過大と判断され、過去分が否認される」ケースもあります。
★ポイント
静岡や浜松のように家族経営の個人事業が多い地域では、
家族間での給与支給は一般的ですが、届出を怠るミスがよく見られます。
「家族への支払いだから大丈夫」という認識は危険です。
届出書・勤務日報・タイムカード・業務日誌などを整備して、労務の実態を示すことが大切です。

【№4】具体例(10件)

① 妻に給与を支払う個人商店
→ 届出済で実際に経理・販売業務を行っていれば経費算入可能。
② 子どもが大学に通いながら手伝う場合
→ 「専ら従事」していないため、青色専従者には該当しない。
③ 配偶者がパート勤務を持つ場合
→ 他の職に従事しているため対象外。
④ 妻に給与を月13万円支給し届出を出していない
→ 実態があっても届出がなければ経費不算入。
⑤ 年途中で給与額を変更したが変更届を出していない
→ 変更後の額は経費にできない。
⑥ 税務署に届出を出したが支給が実際に行われていない
→ 架空計上のため否認対象。
⑦ 給与の支払い方法が現金で領収書なし
→ 実支払が立証できず経費と認められない。
⑧ 労務の内容があいまい(家事手伝い程度)
→ 事業への専従と認められず否認。
⑨ 前年分の届出を再利用し、金額変更を口頭で伝えたのみ
→ 書面届出がなければ変更無効。
⑩ 届出額を超えて支給している
→ 超過分は必要経費に算入できない。

【№5】手順

青色専従者給与を経費にするための手順は次の通りです。
① 青色申告者として届出
→ まず青色申告承認申請書を提出。
② 「青色事業専従者給与に関する届出書」を作成
→ 受給者名・生年月日・従事内容・支給予定額を記入。
③ 提出期限を守る
→ その年の3月15日まで(新規開業年は開業後2か月以内)。
④ 実際に給与を支給する
→ 振込・現金いずれでも可だが、支払記録を必ず残す。
⑤ 記帳・証憑を整備
→ 帳簿、タイムカード、日報など労務実態の記録を保存。
⑥ 変更がある場合は「変更届出書」を提出
→ 提出を怠ると変更後の給与が否認される。
⑦ 税務調査時に提示できるよう資料保管
→ 特に「勤務日誌」「支給明細」「振込記録」を確実に残す。

【№6】FAQ(よくある質問10問)

① 青色専従者給与とは何ですか?
→ 青色申告者が、生計を一にする家族に対して支払う給与のうち、事業に専ら従事している者への給与を、一定の届出と条件のもとで必要経費に算入できる制度です。
② 専ら従事とはどのような状態ですか?
→ その年のほとんどの期間、他の仕事をせず、主にその事業のために働いている状態です。短時間の家事手伝いや副業がある場合は対象外となります。
③ 届出を忘れた場合はどうなりますか?
→ 届出がなければ、その年の専従者給与はすべて必要経費に算入できません。届出書の提出は絶対条件です。
④ 支給額を変更する場合はどうすればよいですか?
→ 「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を所轄税務署へ提出します。提出を怠ると変更後の給与は経費になりません。
⑤ 変更届を出すと過去の給与も見直されるのですか?
→ はい。税務署は変更届をきっかけに、過去の届出額も含めて妥当性を確認します。労務実態や金額の相当性が再審査されます。
⑥ 給与の支払いを現金で行ってもよいですか?
→ 可能ですが、支給日・金額・受領者の署名などを記録した領収書や明細書を保存しておく必要があります。
⑦ 給与の支給が実際に行われていない場合は?
→ 実際の支払がなければ経費とは認められません。帳簿上だけの記載は否認されます。
⑧ 静岡や浜松で家族経営をしている個人事業でも適用できますか?
→ もちろん可能です。地域差はありません。ただし、届出と実態が必要です。特に家族経営の飲食業・美容業・整骨院などでは誤りが多いので注意が必要です。
⑨ 年の途中で家族が従事をやめた場合、給与は全額経費にできますか?
→ 専ら従事していた期間に対応する部分だけが経費算入できます。年の一部だけの従事なら、期間按分が必要です。
⑩ 届出額より多く支払った場合、超過分は経費になりますか?
→ いいえ。届出額を超える部分は必要経費に算入できません。必ず変更届を出してから支給額を変えるようにしましょう。

【№7】まとめ

青色専従者給与は、個人事業主にとって節税効果の大きい制度ですが、届出・実態・金額の3点が揃わなければ認められません。
★重要
届出を忘れた給与は経費にならない。
変更届を出すと、過去分を含めて再審査される。
実際の労務提供と支払い記録がなければ否認される。
静岡や浜松では家族経営の事業者が多く、経理担当が家族であることも珍しくありません。
しかし、家族間の給与支払いは形式的に見られやすいため、
「労務の実態」と「証拠の整備」が最も重要です。
たとえば、
タイムカードや勤務日誌の作成
給与振込の記録(通帳コピー)
月次給与明細の保存
といった基本的な記録を残しておくだけで、税務署とのやり取りがスムーズになります。
また、税務調査では「専ら従事」かどうかを詳細に確認されることが多く、
パート勤務や他事業への兼務がある場合は慎重な判断が求められます。
制度の目的は「実際に事業を支えている家族の労務対価を経費化する」ことであり、
節税目的での形式的支給を排除するための仕組みでもあります。
したがって、制度を正しく理解し、透明な経理処理を行うことが、最も大切な実務対応です。

【№8】出典

出典:『税務通信』第3860号(2025年07月21日)「青色専従者給与と必要経費の該当性」
参考:国税庁タックスアンサー「No.2070 青色事業専従者給与」(参照日:2025-07-21)
参考:e-Gov法令検索「所得税法 第57条・第65条・所得税法施行令第164条」(参照日:2025-07-21)

【№9】該当条文の説明

● 所得税法第57条(青色事業専従者給与)
この条文は、青色申告者が生計を一にする親族に支払った給与を、一定の要件を満たす場合に限り必要経費として認めることを定めています。
通常、家族への給与は「所得の分散」を防ぐため必要経費にできませんが、青色申告者に限って例外を設けています。
そのため、適用を受けるには「専ら従事していること」「届出をしていること」「金額が労務の対価として相当であること」の三要件が不可欠です。
この条文の趣旨は、「実際に働く家族を正当に評価する」ことにあります。
実態がある労務提供に報いるものであり、形式的な名義給与は排除されます。
また、税務署が届出内容を確認できるよう、労務内容・従事期間・支給額を明確にする必要があります。
一度承認された届出額でも、変更届出を行えば再度審査の対象となるのはこの趣旨に基づいています。
● 所得税法施行令第164条(労務の従事期間・内容)
この施行令では、専ら従事しているかどうかの判定基準を細かく示しています。
単に手伝っているだけではなく、年間を通じて主たる仕事として従事していることが条件です。
「家事の合間に数時間手伝う」「繁忙期だけ出勤する」といった場合は、専従とはみなされません。
実務では、この「専ら従事」の判断が最も争点になりやすい部分です。
税務調査では、出勤簿・日報・給与振込記録などの裏付けを求められることが多く、
形式的な届出だけでは認められません。
静岡・浜松地域でも、家族経営の商店やサロン、整骨院などで、
「家族全員が働いているが勤務時間を明確にしていない」ケースが多く、
この条文に基づく否認事例が増えています。
● 所得税法第65条(青色申告者の特典)
青色申告を行う者に対して、正規の簿記に基づく記帳義務を課す代わりに、
専従者給与の経費算入や純損失の繰越など、複数の特典を認める条文です。
この制度は「正確な記帳と適正な申告を行う誠実な納税者」を優遇するための仕組みであり、
青色専従者給与もその信頼性を前提としています。
つまり、記帳がずさんであったり、帳簿上の支給記録が曖昧であれば、
青色申告特典そのものの取消しや、専従者給与の否認にもつながりかねません。
よって、帳簿管理・証憑保存・給与支払記録の整備が重要です。
★補足
これら3条文を総合すると、青色専従者給与の本質は「形式的節税ではなく、実質的労務の対価を認める仕組み」にあります。
制度の適用を受けるためには、
届出の適正(期限・内容・変更届の管理)
労務実態の裏付け(勤務表・支払記録)
記帳の整合性(青色帳簿との一致)
の三点をそろえることが必要です。
税務調査では、これらの条文を根拠に、
「専従実態」「相当額」「支給方法」「過去届出の継続性」などが重点的に確認されます。
たとえ金額が小さくても、証拠がなければ経費として否認されることもあるため、
平時からの書類整備と説明準備が、最良の防御策といえるでしょう。

【№10】おわりに

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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