限定承認とみなし譲渡

2025年11月16日

【№1 はじめに】

こんにちは!
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私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「限定承認とみなし譲渡」についてお伝えさせていただきます!
相続が発生した際、相続人は「財産をすべて引き継ぐ」「すべて放棄する」「一部のみを責任の範囲で引き継ぐ」という3つの選択肢を持っています。
このうち「限定承認」は、相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務を承継する制度で、万一のマイナス財産が多い場合に、相続人が自分の財産まで失うことを防ぐ仕組みです。
ただし、税法上はこの限定承認に伴い「みなし譲渡所得」が発生する可能性があるため、手続を誤ると想定外の課税が生じることがあります。
実際に静岡や浜松でも、土地や建物を多く所有する高齢者の相続時に、負債や担保付き不動産が絡むケースが増えています。
こうした場面では、相続放棄ではなく「限定承認」を選ぶことが、相続人のリスク管理として現実的な選択肢となることも少なくありません。
しかし、税務上の扱いを正しく理解していないと、申述や公告の時点ではなく「相続開始時」に譲渡所得が発生してしまう点を見落とし、後から思わぬ税負担に直面することがあります。
本稿では、民法上の限定承認と、所得税法上の「みなし譲渡」の関係を整理しつつ、静岡・浜松地域の実務で注意すべき論点を、初心者でもわかるようにやさしく解説していきます。

【№2 結論】

限定承認を行った場合、相続税法や民法上の「相続開始の承認手続」とは別に、所得税法上の「みなし譲渡所得」が発生します。
そして、その課税のタイミングは「限定承認の申述をした日」ではなく、「相続の開始があった日」とされています。
これは、所得税法第59条第1項第1号が「相続(限定承認に係るものに限る)」を“譲渡とみなす事由”と定めており、この「相続」という語が相続開始そのものを指すと解釈されているためです。
つまり、限定承認という手続自体が“譲渡の原因”なのではなく、相続という包括承継行為が“資産の移転”に該当する、という考え方に立っています。
したがって、相続財産に土地や建物、株式などの資産が含まれている場合には、たとえ現金化していなくても、その時点で譲渡所得が生じたものとして課税計算を行う必要があります。
この点を誤解して「限定承認の申述後に譲渡扱いになる」と判断してしまうと、課税期間や申告時期を誤り、税務調査などで追徴課税の対象となるリスクが生じます。
★重要
限定承認による課税関係は、「手続の完了時」ではなく「相続の開始時」に一括して生じる点が最大のポイントです。
また、みなし譲渡の対象となるのは、被相続人の資産のうち「時価と取得費の差額が生じるもの」です。
したがって、現金や預金などの評価差がない資産には譲渡所得は発生せず、不動産や有価証券などの資産のみが対象となります。
さらに、限定承認を行うことで負債を引き継ぐ場合でも、その債務の範囲を超える課税が生じることはありません。
これは、民法第922条により「プラスの財産を限度にマイナスの財産を相続する」という限定承認の本質に合わせた税務上の整合性を取るためです。
静岡や浜松では、地元の不動産を複数所有している家族経営の方が多く、評価額の変動によって譲渡所得が発生しやすい傾向があります。
相続財産の評価を早めに行い、みなし譲渡所得がどの程度発生するかを事前に試算しておくことが、スムーズな申述と申告の鍵となります。

【№3 やさしい解説】

限定承認とは、民法第915条・第922条に基づく「相続人の責任を相続財産の範囲内に限定する制度」です。
一般に相続では、被相続人の資産と負債をすべて引き継ぐ「単純承認」が行われますが、借金や連帯保証などの債務が多い場合、単純承認では相続人の生活資産まで失うリスクが生じます。
このため、民法では「限定承認」や「相続放棄」という救済策を設けています。
限定承認の最大の特徴は、相続財産の目録を家庭裁判所に提出して申述し、その範囲で債務を弁済する点です。
申述が受理されると、相続人は被相続人の債務について「相続財産の範囲でのみ」責任を負うことになります。
ただし、手続には共同相続人全員の合意が必要であり、1人でも反対すると成立しません。
では、なぜ税法上「みなし譲渡所得」が発生するのでしょうか。
これは、所得税法第59条が定める「資産の譲渡とみなす場合」に、限定承認による相続を明記しているためです。
条文上、「相続(限定承認に係るものに限る)」と規定されており、限定承認は“相続財産を債務弁済のために処分する”性質を持つことから、実質的に被相続人から相続人への資産移転が行われたと評価されます。
つまり、課税上は「相続財産を売却したのと同じ経済的効果」があるとみなされ、被相続人に譲渡所得が発生する構造です。
★注意
みなし譲渡が発生するのは“被相続人側”であり、相続人が納めるのはその所得税を引き継いだ形になります。
実際の納税者は相続人ですが、課税対象は「相続開始時点の被相続人の所得」として扱われる点を誤解しないようにしましょう。
また、みなし譲渡が生じる資産は時価で評価されます。
相続開始時点の市場価値が高い不動産などを保有していた場合、実際に売却していなくても時価との差額により譲渡所得が生じる可能性があります。
静岡市内では地価が上昇傾向にあるエリアもあり、評価額の上昇が課税リスクにつながるケースが多い点にも注意が必要です。
さらに、限定承認後は家庭裁判所の公告を経て債権者への弁済が行われますが、この公告や弁済完了の時期は課税時期とは無関係です。
課税上の「譲渡」は、あくまで相続開始の時点で成立するため、公告の遅延や弁済時期のずれによって課税時期が変わることはありません。
最後に、静岡・浜松地域の実務では、不動産・自社株・農地を含む相続財産が多く、税務と民法の手続を別々に考える必要があります。
相続財産の内容を早期に整理し、限定承認の可否と同時に「みなし譲渡所得の試算」を税理士と行うことが、相続税対策の第一歩です。

【№4 具体例】

ここでは、実際に静岡・浜松地域で想定される事例をもとに、限定承認とみなし譲渡の課税関係を10件紹介します。
① 不動産と借入金のバランス型
静岡市の個人事業主が亡くなり、土地2,000万円・借入金1,800万円を残したケース。相続人は限定承認を選択。時価評価で200万円の譲渡益が発生し、被相続人の所得税として課税。
② 自社株式を保有する中小企業オーナー
浜松市の製造業経営者が死亡。自社株評価が高く、債務超過ではないが、事業再生見込みのため限定承認を選択。株価上昇に伴い譲渡所得が1,000万円計上。
③ アパート経営と借入の同時存在
不動産収入を持つ被相続人。家賃収入は安定していたが、建物ローンが残存。相続人は負債把握困難のため限定承認を実施。不動産評価額3,000万円、残債2,800万円のため課税対象は差額200万円分。
④ 共有名義の土地がある場合
親子で所有する土地を父が亡くなり、子が限定承認。共有持分に対応する部分のみが課税対象。相続開始時の持分評価でみなし譲渡所得が確定。
⑤ 未上場株式の評価が不明な場合
浜松市の中小企業株式を相続。財務内容が未確定のため限定承認を選択。相続開始時点の純資産価額方式で算定した結果、時価との差額に基づき課税。
⑥ 農地と借入金の混在ケース
農業経営者が亡くなり、農地評価と補助金返還債務が同時に存在。限定承認により、評価差額部分だけがみなし譲渡対象に。
⑦ マンション2棟を保有する地主型
静岡市の地主が死亡。借入金4,000万円、資産時価5,000万円。1,000万円分が譲渡所得とされ、相続開始年分の所得税として課税。
⑧ 家庭裁判所で申述が遅れたケース
申述は相続開始後3か月を過ぎたが、事情説明で受理。税務上は相続開始時点で譲渡所得が生じているため、遅延しても課税タイミングは変わらず。
⑨ 相続放棄と誤解した事例
被相続人の債務額を過小認識し、限定承認と放棄の違いを誤認。結果として、限定承認を行い譲渡所得が発生。税務署から修正申告を指導された。
⑩ 相続人が複数いる場合の合意不成立
相続人の一人が反対し限定承認不成立。結果として単純承認となり、全財産を引き継ぐ形に。債務超過であっても、課税関係は通常の相続として処理。

【№5 手順】

限定承認とそれに伴う税務申告は、次の順に進めるのが一般的です。
① 相続財産の調査
不動産・預金・債務などの全資産を洗い出し、目録を作成。静岡・浜松の地元金融機関や法務局での登記確認を忘れずに行う。
② 限定承認の申述
家庭裁判所へ「限定承認申述書」と「財産目録」を提出。相続開始を知ってから3か月以内が原則期限。
③ 家庭裁判所の受理と公告
受理後、官報で公告を行い、債権者・受遺者へ請求申出期間(2か月以上)を設定。
④ 債務の弁済
公告期間終了後、相続財産の範囲内で債務を弁済。弁済が完了しても課税時期には影響しない。
⑤ みなし譲渡所得の計算
相続開始時点の資産の時価を基に、取得費との差額を算出。所得税法第33条、第59条に準じて譲渡所得を計算。
⑥ 申告・納税
相続開始年の被相続人の確定申告書(準確定申告)にみなし譲渡所得を記載。提出期限は相続開始後4か月以内。
⑦ 税務署への相談
評価額が不明な場合は、静岡税務署・浜松西税務署など地域税務署に事前相談を行うと安心。

【№6 FAQ】

Q1. 限定承認をしても課税されないケースはありますか?
A. 評価差のない現金・預金のみの相続であれば譲渡所得は発生しません。
Q2. 静岡市内の不動産を相続する場合、どの時点の時価を使いますか?
A. 相続開始時(死亡時)の公示価格や路線価を参考に時価を算定します。
Q3. 相続税と所得税の両方が課税されるのですか?
A. みなし譲渡は所得税(被相続人分)、相続税は相続人分です。両方課税されますが性質は異なります。
Q4. 限定承認をすれば借金は免除されますか?
A. 相続財産の範囲内では支払いますが、それを超える負債は引き継ぎません。
Q5. 官報公告をしないとどうなりますか?
A. 法的に限定承認が無効になる可能性があります。税務上も通常相続扱いになるおそれがあります。
Q6. みなし譲渡所得が発生したときの税金は誰が払うのですか?
A. 被相続人の準確定申告で、相続人が代わりに納税します。
Q7. 限定承認後に不動産を売却した場合、再度課税されますか?
A. みなし譲渡で課税済みであれば、実際の売却時には差額分のみが課税対象となります。
Q8. 静岡・浜松の農地も対象ですか?
A. 農地も資産評価の対象です。評価額の上昇があると譲渡所得が発生します。
Q9. 相続人が複数いる場合、全員の合意が必要ですか?
A. はい。1人でも反対すると限定承認は成立しません。
Q10. 限定承認と相続放棄を間違えた場合の救済はありますか?
A. 原則取り消しはできませんが、やむを得ない事由があれば家庭裁判所で再申述の余地があります。

【№7 まとめ】

限定承認は、相続財産の範囲で債務を引き継ぐ制度。
所得税法上は「相続開始時」にみなし譲渡所得が発生。
不動産や株式など時価変動資産に課税が生じやすい。
申告は被相続人の準確定申告で4か月以内に行う。
相続人全員の同意と官報公告が必須。
静岡・浜松地域では不動産評価に注意が必要。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3863号(2025年8月18日)「限定承認とみなし譲渡」
参考:国税庁タックスアンサー「No.1460 相続があったときの準確定申告」(参照日:2025-10-22)
参考:e-Gov法令検索「所得税法第59条」(参照日:2025-10-22)
参考:e-Gov法令検索「民法第915条・第922条・第923条」(参照日:2025-10-22)

【№9 該当条文の説明】

● 所得税法第59条
限定承認により発生するみなし譲渡所得の根拠を規定。
相続(限定承認に係るものに限る)を譲渡とみなすことで、時価評価益を課税対象とする。
● 民法第915条
相続の承認・放棄は3か月以内に行う義務を定める。
● 民法第922条
限定承認の効果を定め、相続人が負う責任を相続財産の範囲に限定する。
● 民法第923条・第924条
限定承認の申述手続きおよび財産目録の提出を義務付ける。
● 民法第927条
公告義務を規定し、債権者・受遺者保護のための2か月以上の告知期間を定める。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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