ゼロからはじめる組織再編税制 株主構成が一致しているとは
2025年12月27日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「ゼロからはじめる組織再編税制 株主構成が一致しているとは」をお伝えさせていただきます!
組織再編は、大企業だけのものではなく、事業承継やグループ内再編を目的として、中小企業でも検討される場面が増えています。
その際に重要となるのが、合併が「適格」に該当するかどうかという税務上の判定です。
今回のテーマである「株主構成が一致しているか」は、無対価合併が認められるかどうかを判断するうえで、実務上とくに誤解が生じやすい論点です。
本コラムでは、この判断基準を、初めての方にも分かるよう、基本から整理していきます。
【№2 結論】
★重要
完全支配関係のある法人間で行う合併であっても、必ず無対価で適格合併になるわけではありません。
無対価で対価要件を満たすためには、法人税法令で定められた「株主構成が一致している」など、限られたパターンに該当する必要があります。
今回の結論を、実務目線で整理すると次のとおりです。
株主構成が一致しているかどうかは、自己株式を除いて判定します。
合併法人や被合併法人が自己株式を保有していても、それを除外した発行済株式等が、同一の株主に帰属していれば、株主構成は一致していると判断されます。
兄弟法人間の合併であっても、両社の株式が同一の親法人に100%直接保有されていれば、株主構成が一致しているものとして、無対価で対価要件を満たします。
合併法人と被合併法人の間に株式の持ち合いがある場合でも、その持ち合い部分を除いて判定するため、結果として株主構成が一致すると判断されるケースがあります。
一方で、100%グループ内の合併であっても、法令で定められた一致パターンに該当しない場合は、無対価では対価要件を満たさず、非適格合併となります。
★注意
「100%グループ内だから無対価で問題ない」という理解は誤りです。
組織再編税制では、感覚やイメージではなく、資本関係を法令どおりに確認することが不可欠です。
【№3 やさしい解説】
「株主構成が一致しているか」という論点は、無対価合併が適格となるかを判断するための、対価要件の一部です。
組織再編税制の基本的な考え方は、「会社の形が変わっても、経済的な実態が変わらなければ、直ちに課税しない」という点にあります。
完全支配関係のある法人間、例えば親会社と100%子会社、または同一の親会社が100%保有する兄弟会社同士の合併では、グループ全体で見た支配関係は変わりません。
このような場合にまで課税してしまうと、事業再編や組織の効率化を妨げることになるため、一定の要件を満たす場合には「適格合併」として課税が繰り延べられます。
適格合併の要件のうち、今回のテーマは「対価要件」です。
対価要件とは、合併の際に交付される対価が、株式など一定のものに限られているか、または、そもそも対価を交付しなくても問題ない関係にあるかを確認するための要件です。
株主構成が完全に一致していれば、対価を交付してもしなくても、株主の立場は実質的に変わりません。
そのため、法人税法令では、株主構成が一致している場合に限り、無対価合併であっても対価要件を満たすとしています。
ここで重要なのが、「株主構成が一致しているかどうか」は、形式的な株主名簿だけで判断しないという点です。
自己株式や株式の持ち合いなど、実態に影響しない要素を除外したうえで、最終的に誰が株式を保有しているかを、法令に従って確認する必要があります。
★重要
組織再編税制では、直感やイメージではなく、条文に定められた判定ルールに沿って資本関係を整理することが不可欠です。
【№4 具体例】
ここでは、実務でよく検討される資本関係を前提に、「株主構成が一致している」と判断できるかどうかを具体例で整理します。
いずれも合併時点の状況を前提としており、感覚ではなく法令上の判定ルールに基づいて考える点が重要です。
1. 親会社が兄弟法人を100%保有している場合
P社がA社とB社の株式を、それぞれ100%直接保有しています。A社を合併法人、B社を被合併法人として合併を行います。
この場合、A社とB社の株主はともにP社のみであり、株主構成は一致しています。したがって、無対価であっても対価要件を満たします。
2. 合併法人が自己株式を保有している場合
P社がA社とB社を100%保有していますが、A社が自己株式を一部保有しています。
株主構成の判定では、自己株式は除外します。自己株式を除いた発行済株式等がすべてP社に帰属していれば、株主構成は一致していると判断され、無対価合併が可能です。
3. 被合併法人が自己株式を保有している場合
P社がA社とB社を100%保有し、B社が自己株式を保有しています。
この場合も自己株式は判定から除外します。除外後の株式がすべてP社保有であれば、株主構成は一致していると判断されます。
4. 親会社が子会社を吸収合併する場合
P社がB社の発行済株式等を100%保有しています。P社を合併法人、B社を被合併法人として合併を行います。
このケースでは、B社が保有する自己株式を除いたうえで、P社が発行済株式等を100%保有していれば、無対価で対価要件を満たします。
5. 兄弟法人間で株式の持ち合いがある場合
P社がA社とB社を100%保有していますが、A社がB社株式の一部を、B社がA社株式の一部を保有しています。
株主構成の判定では、この持ち合い株式を除外します。除外後の株式がすべてP社に帰属していれば、株主構成は一致していると判断されます。
6. 兄弟法人だが親会社の持株比率が異なる場合
P社がA社を100%、B社を99%保有し、残り1%は第三者が保有しています。
この場合、株主構成は一致していません。100%一致が前提となるため、無対価では対価要件を満たしません。
7. グループ内に少数株主が存在する場合
P社がA社を100%、B社を95%保有し、B社の残り5%を第三者が保有しています。
完全支配関係が成立していないため、株主構成が一致しているかどうか以前に、無対価合併の前提を欠きます。
8. 同一人物が実質的に支配しているが法人が異なる場合
A社とB社の株主は同一人物ですが、形式上は別々の法人を通じて株式を保有しています。
法人税法上は、直接の株主が誰かで判定します。そのため、この場合は株主構成が一致しているとはいえません。
9. 持株会社を挟んだグループ内合併の場合
P社がH社を100%保有し、H社がA社とB社を100%保有しています。
A社とB社の直接の株主はいずれもH社であるため、株主構成は一致していると判断され、無対価合併が可能です。
10. 合併直前に自己株式を取得している場合
A社が合併直前に自己株式を取得し、その状態でB社と合併します。
判定は合併時点で行うため、自己株式を除外した結果、株主構成が一致していれば、無対価で対価要件を満たします。
11. 合併後に株主構成が変わる予定がある場合
合併後に第三者へ株式を譲渡する予定があるケースです。
株主構成の判定は合併時点で行うため、将来の予定があっても、合併時点で一致していれば無対価判定に影響はありません。
12. 感覚的には兄弟関係だが法令上は一致しない場合
同族関係にある個人が、それぞれA社とB社を保有しています。
実質的には同じグループに見えても、法人税法上は同一株主とは扱われず、株主構成は一致しません。
★重要
株主構成の一致は、「実質的に同じグループかどうか」では判断しません。
自己株式や持ち合い株式を除外したうえで、最終的に誰が株式を保有しているかを、法令どおりに確認することが不可欠です。
【№5 手順】
ここでは、無対価合併が可能かどうかを判断するための、実務上の確認手順を簡潔に整理します。
1 合併法人と被合併法人を確定する
まず、どの法人が合併法人で、どの法人が被合併法人になるのかを明確にします。
2 発行済株式数と株主を把握する
登記簿謄本、株主名簿、法人税申告書別表などを用いて、発行済株式数と株主構成を確認します。
3 自己株式の有無を確認する
合併法人または被合併法人が自己株式を保有していないかを確認し、判定ではこれを除外します。
4 株式の持ち合いを確認する
合併法人が被合併法人の株式を保有していないか、またはその逆がないかを確認し、該当分は除外します。
5 除外後の株式が誰に帰属しているか確認する
自己株式や持ち合い株式を除外した後、残った株式がすべて同一の株主に帰属しているかを確認します。
6 対価要件への該当性を判断する
株主構成が一致していれば無対価で対価要件を満たし、一致していなければ無対価合併は不可となります。
7 判定根拠を資料として保存する
確認に使用した資料は、将来の税務調査に備えて必ず保存しておきます。
【№6 FAQ(よくある質問)】
ここでは、「株主構成が一致しているか」の判定について、実務で特に質問の多いポイントをQ&A形式で整理します。
番号は付けず、読み進めやすさを重視してまとめます。
Q.100%グループ内の合併であれば、必ず無対価で適格合併になりますか。
A.いいえ。100%グループ内であっても、法人税法令で定められた「株主構成が一致している」などの要件を満たさなければ、無対価では対価要件を満たしません。
Q.兄弟会社同士の合併でも、無対価で問題ないケースはありますか。
A.あります。両社の株式が、同一の親法人により100%直接保有されている場合は、株主構成が一致しているものとして、無対価で対価要件を満たします。
Q.自己株式を保有しているだけで、株主構成は不一致になりますか。
A.なりません。株主構成の判定では、自己株式は除外して考えます。自己株式を除いた株式が同一の株主に帰属していれば、一致していると判断されます。
Q.合併法人と被合併法人のどちらが自己株式を持っていても取扱いは同じですか。
A.はい。同じです。合併法人側、被合併法人側のいずれであっても、自己株式は除外して判定します。
Q.グループ内で株式の持ち合いがある場合は、無対価合併はできませんか。
A.必ずしもできないわけではありません。持ち合い株式は判定から除外し、除外後に株主構成が一致していれば、無対価で対価要件を満たします。
Q.親会社がA社を100%、B社を99%保有している場合でも兄弟会社といえますか。
A.形式上は兄弟会社に見えますが、株主構成は一致していません。この場合、無対価では対価要件を満たしません。
Q.実質的に同一人物が支配している場合でも、株主構成は一致しますか。
A.一致しません。法人税法では、誰が直接株式を保有しているかで判断します。実質的な支配関係だけでは足りません。
Q.合併後に第三者へ株式を譲渡する予定がある場合、無対価判定に影響しますか。
A.影響しません。株主構成の判定は、合併時点の状況で行います。将来の予定は考慮されません。
Q.合併直前に自己株式を取得した場合でも、無対価は認められますか。
A.合併時点で自己株式を除外した結果、株主構成が一致していれば認められます。ただし、取得の経緯や時期によっては、慎重な確認が必要です。
Q.株主構成の確認は、どのような資料を使うのが適切ですか。
A.登記簿謄本、株主名簿、法人税申告書別表二など、客観性と信頼性の高い資料を用いて確認することが重要です。
Q.税務調査では、どの点を特に確認されやすいですか。
A.自己株式や持ち合い株式を正しく除外しているか、また、その判定根拠となる資料を保存しているかが確認されやすいポイントです。
Q.静岡市や浜松市の中小企業でも、この論点は関係ありますか。
A.はい。グループ内再編や事業整理を行う中小企業でも関係します。特に「100%グループ内だから問題ない」と思い込んでしまうケースが多く、注意が必要です。
★重要
FAQ全体を通じて共通しているのは、「感覚的なグループ判断は通用しない」という点です。
株主構成の一致は、必ず法令に基づき、資料を確認しながら判断する必要があります。
【№7 まとめ】
「株主構成が一致しているかどうか」は、無対価合併が適格となるかを左右する重要なポイントです。
100%グループ内や兄弟会社同士であっても、感覚的な判断だけでは足りません。
株主構成の判定では、自己株式や持ち合い株式を除外したうえで、最終的に誰が直接株式を保有しているかを確認します。
実質的に同じグループに見えても、直接の株主が異なれば、株主構成が一致しているとは扱われません。
また、100%グループ内であっても、法令で定められた一致パターンに該当しなければ、無対価では対価要件を満たさず、非適格合併となります。
事前に登記簿謄本や株主名簿などの資料を確認し、条文に沿って判断することが、組織再編を安全に進めるための基本となります。
【№8 出典】
出典:
『税務通信』第3872号(2025年10月20日)
「ゼロからはじめる組織再編税制 第7回 株主構成が一致しているとは」
税務通信編集部
参考:
国税庁 質疑応答事例
「合併対価が交付されない合併(無対価合併)に係る適格判定について」
(参照日:2025-12-17)
e-Gov法令検索
「法人税法 第2条(定義)」
「法人税法施行令 第4条の3」
(参照日:2025-12-17)
【№9 該当条文の説明】
ここでは、本コラムの内容に直接関係する条文について、条文番号の位置づけと実務上の意味を、やさしく整理します。
逐条解説ではなく、「なぜこの条文が重要なのか」という視点でまとめます。
法人税法 第2条(定義関係)
法人税法第2条では、組織再編税制に関する基本的な用語が定義されています。
完全支配関係や、発行済株式等といった用語は、この定義を前提に読み解く必要があります。
株主構成の一致を判断する場面でも、「発行済株式等とは何を指すのか」「自己株式はどのように扱うのか」といった点は、この定義規定を基礎として考えます。
法人税法施行令 第4条の3(適格合併の対価要件)
法人税法施行令第4条の3は、適格合併に該当するための具体的な要件を定めた条文です。
この中で、「合併対価を交付しない場合でも対価要件を満たす関係」が、限定的に規定されています。
株主構成が一致している場合に無対価合併が認められるのは、この施行令に基づく取扱いです。
自己株式や株式の持ち合いを除外して判定するという考え方も、ここから導かれます。
条文構造から読み取れる実務上のポイント
これらの条文から分かるのは、無対価合併が認められるのは「例外的な取扱い」であるという点です。
そのため、条文で想定されていない資本関係に当てはめて解釈することはできません。
★重要
組織再編税制では、「100%グループ内だから問題ない」という発想ではなく、条文が想定している資本関係に該当するかを、一つずつ確認する姿勢が求められます。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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