会計検査院が指摘した消費税の簡易課税制度の問題点
2026年2月1日
【№1 はじめに】
こんにちは!
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本日は、「会計検査院が指摘した消費税の簡易課税制度の問題点」についてお伝えします。
消費税の簡易課税制度は、
中小企業の事務負担を軽くするために設けられた制度です。
静岡市や浜松市の中小企業でも、
実務を簡素化する目的で選択されるケースは少なくありません。
しかし、令和6年度の会計検査院の検査報告において、
この簡易課税制度について、
「本来は対象とならない規模の法人にも適用されているのではないか」
という点が強く指摘されました。
特に、合併や会社分割を行った法人や、
設立間もない法人において、
制度の判定方法と実態との間にズレが生じている点が問題視されています。
本コラムでは、
会計検査院の指摘内容を整理しながら、
消費税の簡易課税制度について、
中小企業の経営者の方にも理解しやすい形で解説していきます。
【№2 結論】
今回の会計検査院の指摘から読み取れる結論は、
「消費税の簡易課税制度は、今後さらに厳しく見られる可能性が高い」
という点です。
簡易課税制度は、
基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることを前提に、
事業者の事務負担を軽減する目的で設けられています。
しかし実際には、
合併や分割を行った法人
実質的に大規模事業者に支配されている法人
設立から年数が浅く基準期間が存在しない法人
こうした法人が制度を適用した結果、
本則課税よりも消費税の納付額が大きく減少している事例が、
多数確認されました。
そのため、
制度そのものの見直しや、
適用要件の厳格化が検討される可能性があります。
中小企業としては、
「今は使えているから大丈夫」と考えるのではなく、
制度の趣旨や背景を理解したうえで、
将来の税務リスクを意識した対応が重要になります。
【№3 やさしい解説】
まず、消費税の簡易課税制度について、
基本的な仕組みを整理します。
簡易課税制度とは、
実際の仕入税額を細かく計算する代わりに、
業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って、
消費税額を計算する方法です。
この制度を使うことで、
請求書や領収書の管理が簡単になる
経理作業の負担が軽くなる
といったメリットがあります。
一方で、
課税売上高が大きい事業者が簡易課税を使うと、
本来よりも消費税の納付額が少なくなる場合があります。
そこで法律では、
「基準期間の課税売上高が5,000万円以下」という条件を設け、
一定規模以上の事業者は対象外としています。
今回、会計検査院が問題視したのは、
この「判定の仕組み」です。
新設分割と吸収合併などでは、
簡易課税の適用判定に使う基準が異なります。
その結果、
実態としては大きな売上規模があるにもかかわらず、
制度を使えてしまうケースが発生していました。
さらに、
基準期間が存在しない法人についても、
別の指標を使えば対象外となるはずなのに、
簡易課税が適用されている事例が多数確認されています。
このような状況を踏まえ、
会計検査院は、
「制度が公平に機能しているとは言い難い」
として、
財務省に対し制度設計の見直しを求めました。
【№4 具体例】
ここでは、会計検査院の指摘内容を踏まえ、
実務で注意が必要となる具体的なケースを整理します。
いずれも、消費税の簡易課税制度を「形式上は使えてしまうが、実態とズレが生じやすい例」です。
① 吸収合併後も簡易課税を継続している法人
被合併法人の売上規模が大きいにもかかわらず、
合併後の判定が基準期間のみで行われ、簡易課税を適用しているケース。
② 吸収分割で事業を引き継いだ法人
分割元の事業規模が大きいのに、承継法人が形式上5,000万円以下として簡易課税を選択している例。
③ 新設分割と吸収分割の違いを理解せずに制度選択した法人
分割方法の違いによって判定基準が変わる点を把握せず、
結果として簡易課税を使い続けているケース。
④ 親会社の売上規模が極めて大きい子会社
形式上は基準期間がなく簡易課税を適用しているが、
実態としては大規模グループに支配されている法人。
⑤ 設立初年度から簡易課税を選択した新設法人
基準期間が存在しないため適用可能と判断したが、
判定対象者の売上規模を考慮すると不適切となる例。
⑥ M&A直後の法人で消費税判定を見直していないケース
合併や分割後も、過去の届出内容をそのまま継続している例。
⑦ 課税売上高が1億円を超えているのに簡易課税を継続
制度上は適用できているが、本則課税との差額が大きくなっているケース。
⑧ 特定期間の課税売上高を確認していない法人
特定期間の売上高が5,000万円を超えているにもかかわらず、簡易課税を適用している例。
⑨ 消費税の納税額が不自然に少ない法人
売上規模に比べて消費税納付額が低く、税務署や検査院から問題視されやすいケース。
⑩ 税理士や社内担当者任せで制度判定を見直していない法人
制度選択の背景や根拠を把握しないまま、長年同じ処理を続けている例。
⑪ 組織再編を繰り返している法人
合併や分割を重ねる中で、消費税の適用判定が形骸化しているケース。
⑫ グループ全体の視点が欠けている法人
単体では中小規模でも、グループ全体では大規模事業者となっている例。
これらのケースに共通するのは、「制度の形式」と「事業の実態」が一致していない点です。
【№5 手順】
ここでは、簡易課税制度について
「うちは大丈夫だろう」と思っている法人ほどやってほしい
見直し手順をまとめます。
静岡市、浜松市の中小企業さまでも
組織再編やグループ化が進むと論点になりやすいです。
税理士に丸投げせず、社内でも確認できる形にします。
★重要
簡易課税は「選択できるかどうか」が最初の分かれ道です。
選択できない状態なら、届出が出ていてもリスクになります。
① まずは「簡易課税を使っているか」を確認する
「消費税簡易課税制度選択届出書」を出しているか
いつから適用しているか
取りやめ届出を出していないか
適用中の課税期間はいつか
② 対象期間を決める
直近だけでなく、過去2〜3期も候補に入れる
合併や分割があった年度は必ず対象にする
設立直後の年度も対象に入れる
③ 「基準期間の課税売上高」を把握する
原則は、2年前の課税期間の課税売上高を見る
その金額が5,000万円以下か確認する
ここで「超えている」なら原則アウトの可能性が高い
④ 基準期間がない法人は「基準期間がない理由」を確定する
設立から2年未満で基準期間が存在しない
合併や分割で、判定の前提が変わっている
ここを曖昧にすると、後から説明ができません
⑤ 組織再編の有無を棚卸しする
吸収合併をしたか
新設合併をしたか
吸収分割をしたか
新設分割をしたか
事業譲渡や会社分割の類似取引がないか
ポイントは、再編の種類で判定ロジックが変わり得る点です。
⑥ 「誰の売上で判定するのか」を整理する
自社の基準期間の課税売上高で見るのか
被合併法人や分割法人の数字が影響するのか
親会社など「支配している者」の数字が影響するのか
ここが、会計検査院が問題視した論点につながります。
⑦ 特定期間の課税売上高等もチェックする
事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間などが対象
課税売上高だけでなく、給与等の金額も絡むことがある
特定期間で基準を超えると、別ルートで納税義務が発生することがある
★注意
「基準期間はOKでも特定期間で引っかかる」ことがあります。
⑧ 簡易課税と本則課税の差をざっくり試算する
簡易課税の納付額
本則課税ならどうなりそうか
差が大きいほど、税務署側の関心が高まりやすい
ここは精密計算でなくても、方向性が分かれば十分です。
⑨ 根拠資料をファイル化する
課税売上高の集計表
組織再編の契約書や登記事項
届出書の控え
判定メモ
税務調査や社内引継ぎで、ここが効きます。
⑩ リスクが見えたら「対応方針」を決める
期限内なら修正申告や更正の請求の検討
次期以降の課税方式の見直し
契約やグループ構造の整理
取引スキームの再点検
静岡・浜松で顧問税理士と連携しながら進めるのが安全です。
【№6 FAQ】
ここでは、消費税の簡易課税制度について、
経営者・経理担当者から特に多い質問をQ&A形式で整理します。
Q1. 簡易課税は届出を出していれば必ず使えますか
A1. いいえ。届出があっても、適用要件を満たしていなければリスクがあります。
Q2. 課税売上高が5,000万円以下なら必ず簡易課税OKですか
A2. 原則はOKですが、組織再編や支配関係がある場合は別判定が必要です。
Q3. 吸収合併した場合も合併後は自社の売上だけ見ればいいですか
A3. ケースによっては被合併法人の売上が実質的に影響します。
Q4. 新設分割と吸収分割で扱いが違うのはなぜですか
A4. 法令上の判定ロジックが異なり、基準期間の考え方が変わるためです。
Q5. 基準期間がない法人は必ず簡易課税を選べますか
A5. いいえ。判定対象者の売上や特定期間の数字が影響する場合があります。
Q6. 親会社の売上はどの場面で問題になりますか
A6. 設立間もない法人や支配関係が強い場合に影響することがあります。
Q7. 特定期間の課税売上高は必ず確認すべきですか
A7. はい。基準期間が問題なくても、特定期間でアウトになる例があります。
Q8. 簡易課税の方が納税額が少ないのは問題ですか
A8. 直ちに違法ではありませんが、差額が大きいと注目されやすくなります。
Q9. 会計検査院の指摘はすぐに税務調査につながりますか
A9. 直結するとは限りませんが、制度全体の見直し圧力は高まります。
Q10. 過去に簡易課税を使っていた場合、今から修正が必要ですか
A10. 状況次第です。リスクがあれば専門家と対応方針を検討すべきです。
Q11. 税理士に任せていれば問題ありませんか
A11. 任せきりは危険です。会社側でも前提条件の理解が重要です。
Q12. 静岡市や浜松市の中小企業でも対象になりますか
A12. はい。売上規模や再編内容次第で十分に対象となります。
【№7 まとめ】
今回の会計検査院の指摘は、
消費税の簡易課税制度が「形式的な数字」だけで運用されてきた点に、
強い問題意識が示されたものといえます。
ポイントは次のとおりです。
簡易課税制度は、売上規模の小さい事業者向けの制度であること
組織再編や支配関係がある法人では、実態と乖離した適用が起きやすいこと
吸収合併や分割では、被合併法人等の売上規模が実質的に無視されていること
基準期間がない法人でも、親会社や特定期間の売上が極端に大きい例があること
会計検査院の分析では、
簡易課税を選択した結果、本則課税より納税額が大きく減っていた法人が、
延べ185法人、推計差額は約29億円に上っています。
★重要
これは「脱税」を指摘したものではありません。
あくまで「制度設計が実態に追いついていない」という指摘です。
しかし、
制度の公平性が問題視された以上、
今後は次のような流れが想定されます。
財務省による制度見直しの検討
国税当局による適用状況の注視
税務調査での確認項目の増加
特に注意したいのは、
「今まで問題なかったから、これからも大丈夫」という考え方です。
静岡市や浜松市の中小企業でも、グループ化、分社化、M&Aが進む中で、
簡易課税の前提条件が崩れているケースは珍しくありません。
経営者としては、簡易課税を選択している理由と根拠を、
説明できる状態にしておくことが重要です。
【№8 出典】
出典:
『税務通信』第3876号(2025年11月17日)
「会計検査院 簡易課税制度の適切な制度設計を求める」
(媒体名:税務研究会)
参考:
国税庁 タックスアンサー
消費税の簡易課税制度の概要(参照日:2026-01-05)
消費税の納税義務の判定(基準期間・特定期間)(参照日:2026-01-05)
参考:
e-Gov法令検索
消費税法 第37条(簡易課税制度)
消費税法 第9条、第10条(納税義務の判定)
(参照日:2026-01-05)
【№9 該当条文の説明】
ここでは、今回の指摘と特に関係が深い条文を、実務目線で整理します。
まず、消費税法第37条です。
この条文が、いわゆる「簡易課税制度」の根拠規定です。
簡易課税制度は、
基準期間の課税売上高が5,000万円以下である事業者が、
届出を行うことで選択できる制度です。
本来の趣旨は、
仕入税額の計算を簡略化すること
小規模事業者の事務負担を軽減すること
にあります。
一方で、
「誰が小規模事業者なのか」という判定は、
原則として基準期間の課税売上高のみで行われます。
ここに問題があります。
新設分割承継法人については、
基準期間が存在しない、または実態を反映しないため、
別の指標(被支配法人等の売上)で判定する仕組みが設けられています。
しかし、
吸収合併や吸収分割では、
原則どおり「合併後法人自身の基準期間」だけで判定されます。
★注意
この差により、
実態としては大規模グループに属している法人であっても、
形式上は簡易課税を選択できる状態が生じています。
次に、消費税法第9条・第10条です。
これらは、
基準期間
特定期間
を用いた納税義務の判定ルールを定めています。
会計検査院は、
これらの「本来は納税義務判定に使われる指標」を、
簡易課税の適用可否にも用いた場合、
制度の公平性が高まるのではないかと指摘しています。
つまり、
形式より実態
法人単体より支配関係
一時的な売上より継続的な規模
を重視すべき、という方向性です。
今後、法改正や通達改正が行われた場合、
簡易課税の適用範囲が縮小される可能性は十分にあります。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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