適格合併による繰越欠損金の引継ぎと切捨て

2026年3月31日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!

私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「適格合併による繰越欠損金の引継ぎと切捨て」をお伝えさせていただきます!

「赤字の会社を合併して、その赤字(繰越欠損金)で自社の税金を安くしたい」というご相談を、静岡・浜松の経営者さまからよくいただきます。
確かに、グループ内の組織再編では、赤字を引き継げる場合があります。

しかし、ルールを知らずに合併してしまうと、引き継げるはずの赤字が「切捨て」られてしまい、一円も節税にならないどころか、思わぬ課税リスクを背負うこともあります。
本日は、組織再編税制の中でも特に関心の高い「赤字の引継ぎルール」を、ゼロから分かりやすく解説します!

【№2 結論】

適格合併(税金が繰り延べられる合併)であれば、原則として被合併法人の繰越欠損金(赤字)を合併法人に引き継ぐことができます。

★重要:ただし、支配関係(50%超の資本関係)がある法人間の合併では、一定の制限がかかります。
特定の要件を満たさない限り、合併する側・される側、両方の「過去の赤字」が切り捨てられる仕組みになっています。

★注意:これは、税金を安くするためだけに「赤字会社を買収して合併する」という租税回避を防ぐための強力なルールです。
静岡・浜松の中小企業さまがグループ内再編を行う際は、事前にこの「引継制限」に該当しないか、綿密な判定が必要です。

【№3 やさしい解説】

1. 「繰越欠損金の引継ぎ」ってなに?
会社が赤字を出したとき、その赤字は翌年以降の利益と相殺して税金を安くできます(これを繰越欠損金といいます)。
合併して会社が一つになるとき、消滅する会社の赤字を、生き残る会社がバトンタッチして受け取れるのが「引継ぎ」です。

2. 「適格合併」が絶対条件
赤字を引き継げるのは「適格合併」の場合だけです。
「非適格合併(資産を時価で売買したとみなされる合併)」では、赤字は一切引き継げず、消滅してしまいます。

3. なぜ「切捨て」があるの?
もし自由に赤字を引き継げたら、利益が出ている会社がわざと大赤字の会社を買って合併し、税金をゼロにできてしまいます。
これを防ぐため、一定の期間(およそ5年以上)一緒にグループだったか、あるいは事業に一体性がある場合を除き、赤字の使用を制限しています。

4. 「合併する側」の赤字も消える!?
ここが一番の落とし穴です。
「うちは合併する側(生き残る側)だから、自分の赤字は大丈夫」と思われがちですが、ルール違反の合併をすると、自分たちが元々持っていた赤字まで使えなくなる(使用制限)場合があります。

5. 「50%超」の支配関係がキーワード
この厳しい制限がかかるのは、資本関係が50%を超える法人同士の合併です。
100%親子、100%兄弟会社といった、静岡・浜松でもよくある同族グループ内の合併では、この検討が必須となります。

【№4 具体例】

赤字の引継ぎや切捨てが問題になる10のケースをご紹介します。

① 浜松市の製造業A社が、3年前に買収したばかりの赤字子会社B社を吸収合併。5年ルールを満たさないため、B社の赤字が数千万円単位で切り捨てられた。

② 静岡市の建設会社が、休眠状態だった赤字会社と合併。事業の継続性がないと判断され、被合併法人の繰越欠損金がすべて無効になった。

③ 親会社が、赤字を抱えたままの自分自身と、利益の出ている子会社を合併(逆取得)。親会社の既存の赤字が「使用制限」にかかり、節税に使えなくなった。

④ 支配関係が発生した「前」から持っていた土地を、合併後に売却して損失を出した。この含み損由来の赤字(特定資産の譲渡損)が切捨て対象となった。

⑤ 100%兄弟会社間の合併で、議決権ベースで判定していたが、無議決権株式を考慮し忘れて支配関係の判定を誤り、税務調査で指摘を受けた。

⑥ 合併直前に、役員退職金を支給して大きな赤字を作った。これは「資産の譲渡損」ではないため、切捨てルールには触れずに引き継ぐことができた。

⑦ 創業時から100%子会社だった法人を合併。5年経っていなくても「設立時から継続」という例外ルールにより、赤字を全額引き継げた。

⑧ 帳簿価額が900万円の古い機械を売却して出した損失。1,000万円未満の資産は「特定資産」から除かれるため、切捨ての対象外となった。

⑨ A社がB社の株を間接的に保有(A→B→C)。掛け算計算(51%×51%=26%)をしてしまい、支配関係がないと誤認して合併を進めてしまった。

⑩ 合併法人に多額の含み損(土地)があったが、被合併法人が黒字だったため安心していた。しかし、合併法人の将来の欠損金に制限がかかるリスクを見落としていた。

★重要:具体例からわかる通り、合併の「タイミング」と「支配関係の期間」が運命を分けます。

【№5 手順】

適格合併を検討する際、繰越欠損金を無駄にしないための実務フローを詳細に解説します。静岡・浜松で多角化経営を行っている企業さまにとって、この手順の順守が節税効果を左右します。

STEP①:合併の「適格性」を判定する
まずは、その合併が「適格」か「非適格」かを判定します。資本関係(100%か50%超か)や、事業継続、従業員の引継ぎなどの要件をチェックします。非適格であれば、その時点で赤字の引継ぎは100%不可能です。

STEP②:支配関係の「発生時期」を特定する
合併法人と被合併法人の間に、いつから50%超の資本関係が成立したかを、株主名簿や過去の株式譲渡契約書を遡って確認します。「およそ5年前(5年継続)」というラインが引継制限の大きな分岐点となります。

STEP③:「5年継続」または「設立時継続」の判定
支配関係が5年前から継続しているか、あるいは一方が設立された時から継続しているかを確認します。これに該当すれば、後述する複雑な制限(引継制限・使用制限)をパスして、原則通り赤字を引き継げます。

STEP④:未充足の場合の「みなし共同事業要件」のチェック
5年継続を満たさない場合でも、あきらめるのはまだ早いです。両社の事業が関連しているか、規模が極端に違わないか、役員が継続するかといった「みなし共同事業要件」を判定します。

STEP⑤:切り捨てられる欠損金の計算(特定資産の洗い出し)
制限がかかる場合、支配関係発生時にあった赤字に加え、その時点で持っていた含み損資産(特定資産)のリストを作成します。将来的にその資産を売った時に出る赤字も切捨ての対象になるため、精緻なシミュレーションが必要です。

STEP⑥:合併契約書の作成と公告
税務上の判定が終われば、会社法に基づき合併契約を締結し、債権者保護の手続き(官報公告など)を進めます。この際、税務上の繰越欠損金の承継についても、税務署への届出準備を並行して行います。

STEP⑦:合併後の法人税申告
合併後最初の確定申告において、引き継いだ繰越欠損金の明細を添付します。税務当局は、特に大きな赤字を引き継いだケースを重点的にチェックするため、ここまでの判定プロセスを記載した稟議書や証拠書類を保管しておくことが重要です。

【№6 FAQ】

①Q. 100%子会社を合併するなら、必ず赤字は引き継げますか?
A. いいえ、そうとは限りません。100%子会社であっても、その子会社を買収してから5年経過していない場合は、制限がかかる可能性があります。

②Q. 静岡市で長年経営している親会社が、新しく作った子会社を合併する場合は?
A. 子会社の設立時から100%の支配関係が継続していれば、5年経っていなくても「設立時継続」として赤字の引継ぎが認められるケースが多いです。

③Q. 議決権がない株式を持っている場合、支配関係はどう判定しますか?
A. 法人税法上の支配関係は「発行済株式の総数」で判定します。議決権の有無にかかわらず、持っている株数の割合でおよそ50%を超えているかどうかを確認してください。

④Q. 切捨ての対象になる「特定資産」とは具体的に何ですか?
A. 主に土地、有価証券、1,000万円以上の機械装置などが該当します。棚卸資産(商品)や少額の資産は除外されます。

⑤Q. 合併する側の会社(合併法人)の赤字も消えるというのは本当ですか?
A. 本当です。被合併法人だけでなく、合併法人側も同様の条件(5年継続など)を満たさないと、元々持っていた赤字が使えなくなる「使用制限」があります。

⑥Q. 役員の退職金を払って赤字が出た場合、その赤字も切捨て対象ですか?
A. いいえ。役員退職金による欠損金は「資産の譲渡」によるものではないため、支配関係発生後の赤字であれば、原則として切捨ての対象にはなりません。

⑦Q. 浜松市の会社が、海外の子会社を吸収合併する場合も同じルールですか?
A. 外国法人との合併は、日本の組織再編税制の「適格合併」に該当しない場合が多く、非常に複雑な検討が必要です。まずは国際税務に強い税理士へ相談してください。

⑧Q. 5年前の支配関係判定で、自己株式はどう扱いますか?
A. 発行済株式総数から自己株式を除いた数で計算します。これにより、保有割合が実態より高くなる(または低くなる)ことがあるので注意が必要です。

⑨Q. 合併直前に株主が変わった場合、支配関係はリセットされますか?
A. はい、基本的には「一の者(特定の個人や親会社)」との関係で判定するため、トップの株主が変われば継続期間が途切れる可能性が高いです。

⑩Q. 税務調査で「赤字目的の合併」と疑われないためには?
A. 合併の「ビジネス上の目的(コスト削減、営業力強化など)」を明記した事業計画書や、社内会議の議事録をしっかり残しておくことが最大の対策です。

【№7 まとめ】

赤字引継ぎは「適格合併」の特権
組織再編税制において、繰越欠損金の引継ぎは最大のメリットの一つです。しかし、これはあくまで「事業の継続」が前提の特例であることを忘れてはいけません。

「5年の壁」を常に意識する
グループ内の再編を考える際、買収から5年経っているかどうかが、税務上の「天国と地獄」を分けます。静岡・浜松でM&Aを検討する際は、出口戦略(合併時期)も見据えたスケジューリングが必要です。

合併法人の赤字こそ守るべき資産
意外と盲点なのが、生き残る側の赤字です。子会社を助けるつもりが、親会社の多額の赤字まで道連れに切捨てられてしまっては、本末転倒です。

「特定資産」の含み損に注意
支配関係が成立した時に持っていた土地などの含み損は、将来の赤字の「種」として厳しく管理されています。この「種」がいつ、どのような理由で発生したかを整理することが実務上のポイントです。

最高のIT税理士法人が再編をサポート
組織再編は、法律・会計・税務が複雑に絡み合う難易度の高い分野です。私たちは、ITを活用した迅速なシミュレーションにより、静岡・浜松の企業さまの最適な組織構造作りをお手伝いします。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3884号(2026年01月19日)「ゼロからはじめる組織再編税制 第10回 適格合併による繰越欠損金の引継ぎと切捨て」税理士 佐々木みちよ
参考:国税庁タックスアンサー「No.5714 適格合併による繰越欠損金の承継」(参照日:2026-03-09)
参考:e-Gov法令検索「法人税法 第57条第2項〜第4項、施行令第112条」(参照日:2026-03-09)

【№9 該当条文の説明】

法人税法 第57条第2項(適格合併による欠損金の引継ぎ)
適格合併が行われた場合、被合併法人の合併前10年以内に生じた繰越欠損金を、合併法人の欠損金とみなして引き継ぐことを認める規定です。これが組織再編による節税の根拠となる中心的な条文です。

法人税法 第57条第3項(被合併法人の欠損金の引継制限)
支配関係がある法人間の適格合併において、5年継続要件やみなし共同事業要件を満たさない場合に、被合併法人の「支配関係発生前」の赤字などを切り捨てることを定めた制限規定です。

法人税法 第57条第4項(合併法人の欠損金の使用制限)
第3項と同様の条件において、今度は「合併する側」の会社が持っていた赤字の使用を制限する規定です。これにより、赤字会社を「受け皿」にする租税回避を封じています。

法人税法施行令 第112条(欠損金の引継ぎ等の制限の細目)
法57条の具体的な計算方法や、「特定資産」の範囲、支配関係の継続期間の計算方法などを細かく定めた政令です。実務上は、この政令の細かな定義を確認することが不可欠です。

立法趣旨:租税回避の防止と経済的実態の尊重
これらの条文は、単なる「赤字の売買」を防ぐ一方で、長年苦楽を共にしてきたグループ内企業や、真にシナジーを目指す共同事業については、その経済的実態に合わせて赤字の引継ぎを認めるという、絶妙なバランスの上に成り立っています。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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