アパートの空室期間と小規模宅地等の貸付事業用宅地等の判定

2025年12月5日

【№1 はじめに】

こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「アパートの空室期間と小規模宅地等の貸付事業用宅地等の判定」をお伝えさせていただきます!
相続税の小規模宅地等の特例は、賃貸アパートをお持ちのオーナーにとって、とても影響が大きい制度です。
その中でも、相続時点でアパートに空室があったときに「貸付事業用宅地等」といえるかどうかは、実務でよく相談を受けるポイントです。
特に、
空室期間が数か月〜1年と長くなっている
募集は続けていたが、なかなか入居が決まらなかった
といった場合、税務上「一時的な空室」と認められるかどうかで、特例の可否が変わってきます。
本コラムでは、静岡・浜松の賃貸オーナーや中小企業の経営者の方にも分かるように、
空室がある場合の貸付事業用宅地等の考え方を、結論・基本ルール・具体例・手順・FAQの順で整理していきます。

【№2 結論】

1. 小規模宅地等の特例は「相続開始直前に貸付事業に使っていた土地」が前提です。
アパートなら、原則として「実際に賃貸していた住戸に対応する敷地」が対象になります。
2. ただし、もともと継続して貸していた部屋が、相続前後にたまたま短期間だけ空室だった場合には、「一時的な空室」として、その部屋の敷地も貸付事業用宅地等に含められる余地があります。
3. 一方で、空室期間が数か月〜1年と長くなると、「社会通念上、一時的とは言いにくい」という方向の判断が多く、募集を続けていても特例の対象外とされるリスクが高まります。
4. 「不動産会社に任せて募集していたから大丈夫」という感覚だけでは不十分で、賃料設定、内覧状況、修繕の有無など、実際に貸し出す努力をしていたことが客観的に説明できるかどうかが重視されます。
5. 静岡市・浜松市の賃貸オーナーの方は、「空室期間をできるだけ短くする経営」と「募集や修繕の記録を残しておくこと」の両方を意識しておくと、小規模宅地等の特例を検討しやすくなります。

【№3 やさしい解説】

1 小規模宅地等の特例と貸付事業用宅地等
小規模宅地等の特例は、自宅や事業用・貸付用の土地について、一定面積まで相続税評価額を大幅に減らせる制度です。
貸付事業用宅地等は、その中でもアパートや貸駐車場など、賃貸用として使っていた土地が対象になります。
2 相続前3年以内の新規貸付に対する制限
相続対策のために直前にアパートを建てるケースが多かったため、相続開始前3年以内に新たに始めた貸付については、原則として特例の対象外とするルールも設けられています(一定の例外あり)。
「いつから貸し始めたのか」という時間軸も、実務では重要です。
3 「一時的な空室」とは何か
通達上は、「相続開始の時に一時的に賃貸されていなかった部分」も、貸付事業の用に供されていた宅地に含まれるとされています。
つまり、もともと賃貸していた部屋が、相続のタイミングでたまたま短く空いていたような場合は、直ちに対象外とはされないという考え方です。
4 一時的かどうかを判断する主な要素
国税庁の質疑や評価通達では、
以前から継続して賃貸していたか
退去後すぐに新たな募集をしているか
空室期間中に他用途で使っていないか
空室期間がどの程度か(目安として「前後1か月程度」など)
相続後も通常の賃貸が続いているか
といった要素を総合的に見て判断するとされています。
5 裁決・裁判例が示す「期間感覚」
裁決や裁判例では、3か月〜数か月、あるいは1年以上続く空室について、「一時的」とは認められないとされた例が目立ちます。
特に、1年前後の空室が続いていると、他の事情があってもハードルはかなり高いと考えるのが安全です。
6 「募集していた」だけでは不十分な理由
オーナー側は「常に募集を依頼していた」と考えがちですが、税務側は賃料水準や物件の状態、周辺市場の実態まで見て、「本当に賃貸の見込みがあったのか」を判断します。
形式的な募集だけで実質が伴っていないと、「貸付事業の継続」とみなされにくい点に注意が必要です。
7 静岡・浜松の地域事情とのバランス
静岡市や浜松市の中でも、中心部と郊外では空室リスクや賃料水準が大きく異なります。
ただし、税法上の基準は全国共通ですので、「地域事情」を説明材料にしつつも、通達や裁決例のラインを意識した対応が欠かせません。

【№4 具体例】

① 空室1か月・すぐ入居が決まったケース
相続2週間前に退去し、相続の翌月には新入居者が決定。
退去直後から募集し、空室中も他用途に使っていない。
→ 一般的には「一時的な空室」と評価される可能性が高いパターンです。
② 空室約2か月・需要が高いエリアのケース
相続3か月前に退去、相続1か月後に成約。
賃料も周辺相場並みで、内覧も継続してあった。
→ 全体事情から、一時的空室として扱える余地が比較的大きいといえます。
③ 空室5か月で内覧も少ないケース
半年前に退去後、5か月空室のまま。
賃料が高めで、募集条件の見直しも遅れた。
→ 裁判例では5か月前後でも一時的とは認められないことがあり、注意が必要なゾーンです。
④ 空室1年・募集は続けたが決まらないケース
相続の約1年前から空室で、成約実績なし。
募集条件の修正も乏しく、内覧もほとんどない。
→ 社会通念上「一時的」とみなすのは難しく、特例対象外とされる可能性が高いと考えられます。
⑤ 空室1年だが大規模修繕中だったケース
老朽化に伴う工事で、長期間入居募集ができなかった。
工事完了後は速やかに募集し、相続申告期限までに入居が決定。
→ 工事計画などで説明できれば、単なる長期空室と比べ、一時的と主張できる余地が広がります。
⑥ 新築後ずっと入居ゼロのケース
新築から相続まで1年以上、一度も貸せていない。
募集はしていたが、賃貸実績が全くない。
→ 「継続して貸していた」の前提がないため、貸付事業用宅地等と主張するのは非常に難しくなります。
⑦ 10室中1室だけ長期空室のケース
9室は稼働しているが、1室のみ1年以上空室。
問題の部屋だけ設備が古く、賃料も割高。
→ 建物全体は貸付事業でも、その1室と敷地部分は一時的空室と言いにくい可能性があります。
⑧ 親族が住んでいた後の空室ケース
孫が大学在学中だけ住み、賃料は取っていなかった。
卒業後に空室となり、募集もしていない。
→ ここは貸付というより親族居住用であり、貸付事業用宅地等ではなく別区分の検討が必要になります。
⑨ 相続後すぐ売却したが、相続時は賃貸中だったケース
相続時点では満室に近い状態で賃貸継続。
その後、納税資金のために半年以内に売却。
→ 判定は相続時の状況で行うため、相続時に貸付事業が継続していれば、貸付事業用宅地等の対象になり得ます。
⑩ 静岡市中心部で半年空室が続いたケース
駅近だが供給が多く、半年空室。
家賃を相場より少し高めに設定していた。
→ 地域事情は説明材料になりますが、半年という長さは一時的と主張するには慎重さが必要です。
⑪ 浜松市郊外でオーナーが募集を止めたケース
高齢のため管理負担が重く、数室の募集を意図的に停止。
相続時も再開する予定はなく、そのまま。
→ 実質的にはその部分で貸付事業をやめている状態であり、貸付事業用宅地等と扱うことは難しいケースといえます。

【№5 手順】

1. 相続時に空室がある場合の基本ステップ
① 各部屋の状況を一覧にする
過去2~3年の入退去日と相続日を並べ、空室期間を把握します。
② 募集の実態を資料で残す
不動産会社への依頼書、広告内容、内覧記録などをまとめます。
③ 空室が長引いた理由を書き出す
高すぎる賃料、修繕予定、地域事情など、客観的に説明できる理由があるか整理します。
④ 税理士と一緒に「一時的」と言えるか検討
空室期間と事情を踏まえ、どこまで貸付事業用宅地等として主張するか方針を決めます。

2. 生前からの対策としてできること
① 空室を放置しない運営
賃料や条件の見直し、リフォームを計画的に行い、長期空室を避けます。
② 募集・修繕の記録を習慣化
家賃変更日や工事内容をエクセルやクラウドで記録し、あとで説明できるようにします。
③ 相続対策と賃貸経営をセットで検討
小規模宅地等だけでなく、相続税の総額や借入、キャッシュフローも含めて設計します。

3. 税務署対応に備える整理の仕方
① 主張する範囲を明確にする
どの部屋・どの敷地を貸付事業用宅地等と考えるかを図や表にします。
② 説明資料をパッケージ化
申告書の明細書に加え、「賃貸状況の概要」「募集・修繕の状況」を簡単な書面にまとめておきます。
③ 地域事情は補足として位置づける
静岡・浜松の空室率や相場感などは補足資料にとどめ、基本は通達・裁決例に沿って説明できる形にします。

【№6 FAQ】

Q1 相続時に空室があっても、小規模宅地等の特例は使えますか?
A1 継続して貸していた部屋が、相続前後にたまたま短く空いただけなら、条件次第で貸付事業用宅地等として認められる余地があります。

Q2 空室期間はどのくらいまでなら「一時的」と思ってよいですか?
A2 通達上の目安として「前後1か月程度」といった水準が示されており、それより長くなるほど慎重な検討が必要です。

Q3 募集広告を出していれば、長期空室でも問題ありませんか?
A3 いいえ。募集の有無だけでなく、賃料水準や内覧状況、修繕の有無などの実態を総合的に見られます。

Q4 静岡市のアパートで1室が1年空室でした。特例は諦めるべきですか?
A4 1年程度の空室は一時的と主張するハードルが高く、他の事情が相当しっかりしていなければ認められにくいと考えた方が安全です。

Q5 浜松市郊外で半年空室が続いた場合はどうですか?
A5 家賃の見直しや募集努力をどこまでしていたかが問われます。期間だけ見るとリスクゾーンなので、資料で丁寧に説明できるかが鍵になります。

Q6 親族を住まわせていた部屋は貸付事業用宅地等になりますか?
A6 無償や低額で親族が住んでいた場合は、貸付より居住用の色合いが強くなり、貸付事業用宅地等ではなく別の区分で検討する必要があります。

Q7 相続後すぐにアパートを売却しても、相続時に特例は使えますか?
A7 判定は相続開始時点の状況で行うため、その時点で貸付事業が継続していれば、売却した事実だけで直ちに否定されるわけではありません。

Q8 貸家建付地で一時的空室と認められれば、小規模宅地等でも必ず同じ扱いですか?
A8 根拠通達は違いますが、実務上は大きく矛盾しないように判断されることが多く、両方で説明がつく形に整理しておくのが望ましいです。

Q9 静岡・浜松の賃貸オーナーは、いつから相続を意識すべきでしょうか?
A9 大規模修繕や建て替えを検討するタイミング、あるいは70歳前後などをきっかけに、空室リスクと相続税をセットで検討し始めると良いです。

Q10 3年以内貸付の制限と空室の問題は別物ですか?
A10 はい。3年以内貸付かどうかは「いつ始めたか」の問題であり、空室の議論は「相続時に事業に使っていたか」の問題です。両方を同時に確認する必要があります。

【№7 まとめ】

小規模宅地等の特例のうち、貸付事業用宅地等は、
賃貸アパートや駐車場などの土地について、
相続税評価額を大きく減らせる強力な制度です。
ただし、対象となるのは「相続開始の直前に貸付事業の用に供されていた宅地等」であり、
空室がある場合の取り扱いが実務上の大きな論点になります。
措置法通達69の4-24の2により、
「一時的に賃貸されていなかった部分」も対象に含まれますが、
その一時的かどうかの判断には、空室期間の長さが大きく影響します。
国税庁の質疑応答事例や裁決・裁判例を見ると、
数週間から1か月程度の空室は一時的と評価され得る一方、
半年〜1年程度の空室は、一時的と認められない方向の判断が目立ちます。
募集広告を出しているだけでは足りず、
家賃設定・内覧状況・修繕の有無など、
実際に賃貸する意思と行動があったかが問われます。
貸家建付地評価と小規模宅地等の判定は、
根拠となる通達は異なりますが、
実務上は「一時的空室」の考え方を大きく外さないように運用されています。
静岡・浜松の賃貸オーナーにとっては、
地域の需給や空室率も踏まえつつ、
空室期間を長期化させない経営と、
募集・修繕の記録を残すことが重要です。
相続直前に慌てて動くのではなく、
生前から空室リスクと相続税対策をセットで考え、
顧問税理士と一緒にシナリオを用意しておくことで、
小規模宅地等の特例を安全に活用できる可能性が高まります。

【№8 出典】

出典:『税務通信』第3869号(2025年9月29日)
「税務相談 資産税 アパートの空室期間の長短と貸付事業用宅地等の判定」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー
「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の計算の特例(小規模宅地等)」
「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲」
参考:国税庁情報
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例に係る相続税の申告書の記載例等について(情報・事例集)」
参考:e-Gov法令検索
「租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)」
「相続税法」および「財産評価基本通達26(貸家建付地の評価)」

【№9 該当条文の説明】

1. 租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等の特例)
小規模宅地等について相続税の課税価格を減額できる制度の根拠条文です。
事業用・居住用・貸付事業用など宅地の区分ごとに、減額割合や面積の上限が定められています。
貸付事業用宅地等については、一定の条件のもとで200㎡まで評価額の50%減額が認められます。
2. 租税特別措置法通達69の4-24の2(一時的に賃貸されていなかった部分)
被相続人の貸付事業用宅地等には、「相続開始の時において一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」も含まれるとした通達です。
これにより、相続直前にたまたま空室となったアパートの一室についても、条件を満たせば貸付事業用宅地等と認められる道が開かれています。
3. 財産評価基本通達26(貸家建付地の評価)
貸家建付地の評価方法を定めた通達で、賃貸されている部分の割合に応じて土地の評価額を減額する仕組みを示しています。
この中で「一時的に賃貸されていなかった部分」を、賃貸されている部分と同様に扱えることが示されており、小規模宅地等における「一時的空室」を理解するうえでも参考となる考え方です。
4. 3年以内貸付宅地等に関する改正(平成30年度税制改正)
相続開始前3年以内に新たに貸付事業に供した宅地等については、原則として小規模宅地等の特例の対象外とすることが定められました。
相続直前にアパートを建てるなどの節税目的の利用を抑制する趣旨であり、貸付事業用宅地等を検討する際は、「いつから貸しているか」と「空室が一時的かどうか」の両面を確認する必要があります。

【№10 おわりに】

最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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