法人税の欠損金(赤字)の繰越・繰戻し・引継ぎをやさしく解説
2025年12月10日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「法人税の欠損金(赤字)の繰越・繰戻し・引継ぎをやさしく解説」をお伝えさせていただきます!
「欠損金」は、法人税法上の“税務上の赤字”を意味します。
会計上の赤字とは必ずしも一致せず、税務独自のルールで計算される数字です。
静岡や浜松の中小企業の社長からは、
創業期の赤字はどこまで将来の節税に使えるのか
M&Aで引き継いだ会社の過去の赤字は使えるのか
グループ通算制度で子会社の赤字をどう扱うのか
といった相談がよく寄せられます。
本コラムでは、
欠損金の基本、繰越控除と繰戻し還付の違い、
他社の欠損金を引き継ぐ際の注意点、
グループ通算制度との関係を、
経営判断と資金繰りの観点から、できるだけ平易な言葉で整理していきます。
【№2 結論】
最初に、忙しい経営者の方向けに重要ポイントだけをまとめます。
欠損金とは、法人税法上の「税務上の赤字」のことであり、
青色申告をしていれば、原則として10年間繰り越して将来の黒字と相殺できます。e-Gov 法令検索+1
中小法人等(資本金1億円以下、一定の例外あり)は、
繰越欠損金を黒字所得の100%までぶつけることができます。
一方、資本金1億円超の大法人は、原則として所得の50%までしか控除できません。国税庁+1
青色申告書を提出している法人は、
当期が赤字・前期が黒字のときに「欠損金の繰戻し還付」を使って
前期に納めた法人税の一部または全部を取り戻せる場合があります。
ただし、対象は主に中小企業者等で、大法人は原則として停止されています。国税庁+1
他社で生じた欠損金の引継ぎは「原則NG」で、
例外として適格合併など一定の組織再編に限り認められます。
その場合も、事業継続性や支配関係、共同事業性などの厳しい要件と
使用制限(欠損等法人規制など)が張り巡らされています。国税庁+2
グループ通算制度では、グループ内で欠損金をある程度融通できる一方で、
制度開始時や加入時の欠損金の切捨てや、通算後の欠損金の使い方に
詳細なルールがあります。国税庁+2
静岡・浜松の中小企業の実務では、
①自社の繰越欠損金の残高と時効(10年)をきちんと把握すること、
②過去の組織再編や株主構成の変化を整理しておくこと、
③M&Aやグループ通算を検討するときは、専門家に早めに相談すること、
この3点がとくに重要です。
【№3 やさしい解説】
ここでは、社長や新人経理の方でもイメージしやすいように、
欠損金の基本だけをコンパクトに整理します。
1. 欠損金とは何か(税務上の赤字)
法人税法上の欠損金は、「損金の方が益金より多くなった分」です。
会計上の当期純損失と一致しないことが多いです。
減価償却方法の違いなどで、会計の赤字と税務上の欠損金がズレることもあります。
「税務のルールで見たときの赤字」と覚えておくとイメージしやすいです。
2. 青色申告と繰越欠損金(10年ルール)
青色申告をしていれば、赤字(欠損金)を原則10年間繰り越せます。
条件は「欠損が出た年度を青色で申告していること」「必要な明細を申告書に添付すること」などです。
過去の赤字を、将来の黒字と相殺できるため、長い目で見ると税負担を平準化できます。
3. 中小法人等と大法人の違い(100%と50%)
中小法人等(原則、資本金1億円以下)は、黒字所得の100%まで欠損金をぶつけられます。
一方で、大法人(資本金1億円超)は、原則として黒字所得の50%までしか控除できません。
同じ欠損金でも、「どのサイズの会社か」で節税効果が変わる点に注意が必要です。
4. 欠損金の繰戻し還付とは(前期へ戻して税金を返してもらう)
当期が赤字、前期が黒字のときに使える制度です。
当期の欠損金を前期に「さかのぼって」当てはめ、前期に納めた法人税の一部を返してもらいます。
中小企業者等が中心の制度で、大法人は原則として対象外です。
「将来の黒字で少しずつ使う(繰越)」か「前期に戻して早く現金を回収する(繰戻し)」かを選ぶイメージです。
5. 他社の欠損金は原則引き継げない(例外は組織再編)
原則、A社の欠損金をB社がそのまま使うことはできません。
例外として、一定要件を満たす「適格合併」などの組織再編では、欠損金の引継ぎが認められる場合があります。
ただし、赤字会社を買って節税だけを狙う行為を防ぐため、「欠損等法人規制」など厳しい制限がかかっています。
6. グループ通算制度と欠損金(グループ全体で見る仕組み)
グループ通算制度では、通算グループ全体で所得と欠損金をならして計算します。
その代わり、制度開始時・加入時の欠損金には「持ち込みの制限」や、「使い方のルール」が細かく決められています。
単体の会社で考える欠損金とはイメージが違うため、グループで制度を使う場合は、専用の管理表やシミュレーションが必須です。
この【やさしい解説】のパートでは、細かい歴史や例外は一度横に置き、
「何ができて」「どこに大きな違いがあるか」だけを押さえるイメージで整理しました。
【№4 具体例】
① 創業期の赤字をあとで使う
第1・2期で▲400万円の欠損金、第3期で黒字500万円。
→ 400万円まで相殺でき、課税対象は100万円。
② 中小法人等で黒字をゼロにできる
中小法人等、黒字800万円、欠損金▲1,000万円。
→ 800万円を全額相殺し、税額0円。残り▲200万円は翌期へ。
③ 大法人は50%までしか使えない
大法人、黒字1億円、欠損金▲3億円。
→ 5,000万円までしか控除できず、5,000万円に課税。
④ 繰戻し還付で前期税金が戻る
前期黒字1,000万円で税額約300万円、当期欠損▲800万円。
→ 前期へ戻して再計算し、約100万円が還付されるイメージ。
⑤ 10年で欠損金が期限切れになる
第1期▲1,000万円、第9期黒字700万円、第10期黒字600万円。
→ 第10期までに1,000万円を使い切れればセーフ。第11期以降は第1期分は使えない。
⑥ 赤字会社を買っても欠損金が使えない場合
欠損▲5億円のE社を買収し、短期間で事業を大きく変更。
→ 欠損等法人規制に該当し、欠損金繰越が認められない可能性。
⑦ 適格合併で子会社の欠損金を引き継ぐ
親F社(黒字)が、欠損▲2億円の子G社を適格合併。
→ 要件を満たせば、F社がG社の欠損金を引き継いで使用可能。
⑧ グループ通算制度でグループ全体を通算
親H社黒字1億円、子I社▲4,000万円、子J社▲2,000万円。
→ グループ全体で4,000万円に課税されるイメージ。
⑨ 清算時に期限切れ欠損金を使えることも
清算中のK社に期限切れ欠損金が残っている。
→ 残余財産がないなどの条件で、損金算入が認められる場合がある。
⑩ 補助金付き設備投資で欠損金が増える
設備投資1,000万円、補助金400万円、結果として欠損▲200万円。
→ 補助金収入があっても、欠損金として将来の節税に使える。
⑪ ITツールで欠損金の見える化
過去10年分の欠損金の発生額・使用額・期限を一覧化。
→ 「どの赤字をいつまで使えるか」を簡単に共有でき、経営判断に活かせる。
【№5 手順】
ここでは、実務で最低限おさえておきたい「やること」を、
ポイントだけにしぼって整理します。
1. 自社の繰越欠損金を確認・管理する
① 過去の申告書を確認
過去10年分の別表四・別表七をそろえる。
② 一覧にまとめる
年度ごとに「発生額・使用額・残高・期限」を簡単な表にする。
中小法人等か大法人かもメモしておく。
③ 毎期決算でチェック
決算のたびに表を更新し、
「どの欠損金がいつ切れるか」を確認する。
合併・株主変更などがあった年は、税理士に使用制限を必ず確認する。
2. 繰戻し還付を使うか検討する
① 条件を確認
当期が赤字、前期が黒字か。
中小企業者等で青色申告か。
② 繰戻しと繰越を比べる
資金繰りを見ながら、
「今すぐ還付を受けたいか」「将来の黒字で使うか」を検討する。
③ 申告時に手続き
顧問税理士と相談し、
還付請求書を作成して確定申告と一緒に提出する。
3. 他社の欠損金・グループ通算を検討するとき
① 情報を揃える
買収候補や子会社の決算書・申告書から、欠損金と期限を一覧にする。
株主構成や支配関係の変化も整理する。
② 制度を当てはめる
適格合併・適格分割に当たるか、欠損等法人規制に引っかからないかを確認する。
グループ通算制度を使う場合は、開始時の欠損金の持込み制限をチェックする。
③ シンプルな試算をする
単体課税の場合と、組織再編・グループ通算を使った場合の税額をざっくり比較する。
「欠損金の有無」だけでなく、「事業としての魅力」を優先して判断する。
【№6 FAQ(よくある質問 10問以上)】
Q1 欠損金は、必ず全部使い切った方がよいですか?
A1 原則として使えた方が有利ですが、金融機関への見せ方や将来の事業計画とのバランスも大事です。
Q2 会計上は黒字なのに、税務上は欠損金になることはありますか?
A2 あります。減価償却や税務上認められない経費などの違いでズレが出ます。
Q3 中小法人等と大法人で、欠損金の扱いはどう違いますか?
A3 中小法人等は黒字を100%まで相殺できますが、大法人は原則として50%までです。
Q4 繰戻し還付と繰越控除は、どちらを優先すべきですか?
A4 資金繰りを優先するなら繰戻し、将来の黒字が見込めるなら繰越も選択肢です。シミュレーションで比較します。
Q5 赤字会社を買えば、その欠損金で節税できますか?
A5 多くの場合できません。欠損等法人規制などで、節税目的の欠損金利用は厳しく制限されています。
Q6 グループ通算制度に入れば、どの会社の赤字でも自由に通算できますか?
A6 通算はできますが、開始時の持込み制限や配分ルールがあり、完全に自由というわけではありません。
Q7 繰越期間の10年を過ぎると、欠損金はどうなりますか?
A7 原則として時効となり、その後の黒字とは相殺できません。期限管理が重要です。
Q8 静岡・浜松の中小企業でも、欠損金の繰戻し還付は使えますか?
A8 中小企業者等で青色申告をしていれば、条件を満たす限り地域に関係なく活用できます。
Q9 補助金を受けると、欠損金には不利になりますか?
A9 一概には言えません。補助金は益金になりますが、対応する費用も増えるため、結果的に欠損金が増える場合もあります。
Q10 欠損金が多いと、税務調査で不利になりますか?
A10 欠損金そのものではなく、計算や証憑が適正かどうかがポイントです。資料が整っていれば、過度に心配する必要はありません。
Q11 会社設立直後から顧問税理士は必要ですか?
A11 欠損金の管理だけでなく、資本金や役員報酬の設計にも関わるため、創業初期から相談しておくと後のトラブルを防ぎやすくなります。
【№7 まとめ】
法人税の欠損金(税務上の赤字)は、うまく活用すれば中長期の税負担を大きく平準化できますが、制度は細かく複雑です。
静岡・浜松の中小企業の経営者として押さえておきたいポイントを、最後に整理しておきます。
欠損金とは、税務上の損金が益金を上回ったときの「超えた部分」であり、会計上の当期純損失とは一致しないことが多いです。
青色申告書を提出していれば、その事業年度に生じた欠損金を原則10年間にわたり繰り越して、将来の黒字と相殺できます。
中小法人等は、黒字所得の100%まで繰越欠損金で相殺できますが、資本金1億円超の大法人は、原則として所得の50%までという制限があります。
当期が赤字で前期が黒字のときには、「欠損金の繰戻し還付」によって前期に納めた法人税の一部または全部の還付を受けられる可能性があり、資金繰りの観点から重要な選択肢となります。
法人税の所得計算は法人ごとが原則であり、他社で生じた欠損金の引継ぎは、適格合併などの限られた場合を除き認められていません。
適格合併や適格分割などで他社の欠損金を引き継げるケースであっても、事業継続性や支配関係の状況に応じて厳しい使用制限が設けられており、「赤字会社を買えば簡単に節税できる」という発想は通用しません。
欠損等法人規制(欠損等法人に対する欠損金繰越控除の不適用)は、欠損金や含み損を抱えた会社を買収して、その赤字を別事業の利益とぶつけるような租税回避行為を防ぐための重要なブレーキとして機能しています。
グループ通算制度では、通算グループ内で所得と欠損金を通算できますが、開始時や加入時の欠損金の持込み制限や、通算後の欠損金の配分ルールなど、独自の複雑な仕組みがあり、単純な「赤字の共有」とは異なります。
解散・清算に至る場合には、期限切れ欠損金の一部を損金算入できる特例などもありますが、残余財産や債務状況との関係で判断が難しく、早い段階から専門家と一緒に清算計画を検討することが大切です。
実務上は、「どれだけ欠損金があるか」だけでなく、「いつ発生して、いつまで使えるか」「組織再編や株主構成の変化が影響しないか」「将来の事業計画と整合しているか」をセットで管理することが重要です。
静岡・浜松の中小企業の皆さまにとっては、クラウド会計やスプレッドシートなどITツールを活用しつつ、顧問税理士と協力して欠損金を見える化し、設備投資や人員計画、M&A戦略と連動させていくことが、将来の税負担と資金繰りを安定させる近道になります。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3869号(2025年9月29日)「新人経理マン・金児浩平の注釈書 第99回 消された過去?」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」(参照日:2025-11-27)
参考:国税庁タックスアンサー「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」(参照日:2025-11-27)
参考:国税庁タックスアンサー「No.5900 グループ通算制度の概要」(参照日:2025-11-27)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第22条第2項十九(欠損金額の定義)」(参照日:2025-11-27)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第57条(欠損金の繰越し)」 (参照日:2025-11-27)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第57条の2(欠損等法人の欠損金の繰越控除の不適用)」 (参照日:2025-11-27)
参考:e-Gov法令検索「法人税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付)」 (参照日:2025-11-27)
【№9 該当条文の説明】
ここでは、本稿で触れた主な条文だけを、ポイントに絞って整理します。
(正式な内容は必ずe-Govで原文をご確認ください。)
1. 法人税法第22条第2項十九(欠損金額の定義)
損金が益金を超えたとき、その超えた部分を「欠損金額」と定義する条文です。
「税務上の赤字とは何か」を決めており、会計上の損失とは一致しないことがあります。
2. 法人税法第57条(欠損金の繰越し)
青色申告法人が、各事業年度の欠損金を10年間繰り越して、将来の所得から控除できることを定めています。
中小法人等以外の法人には、所得の一定割合(原則50%など)までという控除限度が設けられています。
3. 法人税法第57条の2(欠損等法人の欠損金繰越控除の不適用)
欠損金や含み損を抱える会社(欠損等法人)について、支配関係の変化や事業内容・規模の大きな変更があるときに、過去の欠損金の繰越控除を認めないルールです。
赤字会社買収による節税スキームを防ぐための規定です。
4. 法人税法第59条(会社更生等・清算に関する欠損金)
会社更生などで債務免除を受けた場合や、解散・清算により残余財産がないと見込まれる場合に、期限切れ欠損金などを損金算入できる特例を定めています。
再建・清算場面での欠損金の扱いを整理する条文です。
5. 法人税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付)
当期に欠損金が出たときに、それを前1年以内に開始した事業年度へ「繰り戻し」、前期に納めた法人税の還付を請求できる制度を規定しています。
還付の対象となる税額や、請求の手続きについてもこの条文で定められています。
6. グループ通算制度関連条文(例:法人税法第64条の7 など)
通算グループ内での所得・欠損金の計算方法、特定欠損金の区分、各通算法人への配賦方法などを定めた条文群です。
制度開始時・加入時の欠損金の持込み制限も、57条との整合を意識しながら規定されています。
実務では、これらの条文をセットで押さえることで、
「自社の欠損金」「他社から引き継ぐ欠損金」「グループ全体の欠損金」
を一体的に考えやすくなります。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
※当事務所はDXを経営に活かすことを推進しており、当ブログはAIを活用して生成しています。実際の税制や政策、判例、事件、事象を元に作成していますが、正確な内容や最新の情報とは異なる場合がありますことをご了承くださいませ。
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