非居住者との取引と消費税の注意点(輸出免税・電気通信役務・国外事業者課税)
2025年10月9日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「非居住者との取引と消費税の注意点(輸出免税・電気通信役務・国外事業者課税)」をお伝えさせていただきます!
海外との取引は売上拡大や事業展開に欠かせない一方で、税務処理に独特のルールがあり注意が必要です。特に「非居住者」との取引は、国内取引とは異なる判定基準や免税制度が関係します。理解不足のまま進めると、後から課税漏れを指摘され、多額の追徴税が発生する可能性があります。
今回のコラムでは、中小企業や経理担当者が押さえるべき「非居住者取引の消費税ルール」を、輸出免税・電気通信利用役務・国外事業者課税という3つの切り口から解説していきます。
【№2 結論】
★重要
非居住者との取引に関しては、以下の3点を必ず確認してください。
・輸出免税は「有形資産」と「無形資産・役務」で要件が違う。税関を通す場合と、相手が非居住者かどうかで判断基準が異なる。
・非居住者の定義は所得税法と外為法で異なる。輸出免税や免税店の取扱いでは「外為法の非居住者」を用いるため注意。
・国外事業者との電気通信役務は「リバースチャージ方式」や「プラットフォーム課税」が関わる。国内の通常取引と混同しないこと。
これらを整理し、契約段階から正しい判定を行うことで、課税漏れや不利益な追徴課税を防ぐことができます。
【№3 やさしい解説】
それでは、非居住者取引に関するルールをやさしい言葉で整理してみましょう。
① 輸出免税とは?
・海外にモノを輸出すると、国内消費税は免税になります。
・有形資産(商品)の場合は「輸出許可書」を7年間保存することが条件です。
・無形資産(特許権・著作権など)やサービス提供の場合は、相手が「非居住者」かどうかで判定します。
② 非居住者って誰のこと?
・所得税法では「日本に1年以上住んでいない人」が非居住者です。
・しかし、輸出免税や免税店の取扱いでは「外為法の非居住者」を基準にします。
・外為法では「外国籍で日本に6か月未満の滞在者」が非居住者とされます。
・この違いを理解していないと、誤って課税漏れを起こすリスクがあります。
③ 電気通信利用役務とは?
・インターネット回線を通じて行うサービス(クラウド利用料、動画配信、オンライン広告など)が該当します。
・国外事業者から事業者向けに受ける場合は「リバースチャージ方式」で、自社が消費税を申告する必要があります。
・消費者向けのサービスの場合は「プラットフォーム課税」により、国内のプラットフォーム事業者が納税義務を負う仕組みに変わります。
④ なぜ難しいのか?
・取引の「相手が非居住者か居住者か」だけでなく、
・「サービスの提供場所」「取引の目的」「法令上の非居住者の定義」など、複数の判定軸があるためです。
・間違えると、免税のはずが課税対象になったり、逆に課税すべき取引を免税処理してしまうリスクがあります。
【№4 具体例】
非居住者との取引は、一見すると単純に見えても、判定を誤ると課税漏れにつながることがあります。ここでは10件以上の事例を挙げて整理します。
① 海外の法人に製品を輸出した場合
・税関を通過し、輸出許可書を取得していれば輸出免税。
・許可書の7年間保存が必須。
② 海外の法人に日本国内でセミナーを実施した場合
・サービスの提供場所は「日本」なので課税取引。
・相手が非居住者であっても免税にはならない。
③ 外国の大学に研究ノウハウをライセンス提供した場合
・無形資産の提供は「相手が非居住者」なら輸出免税。
・ただし、ライセンス契約書や送金記録など証拠保存が必要。
④ 外国籍の個人が日本に6か月以上滞在して依頼してきた調査業務
・外為法では居住者とみなされるため、輸出免税は不可。
・国内取引として課税対象。
⑤ 海外法人から受けるクラウドサービス利用料
・電気通信利用役務に該当。
・リバースチャージ方式で日本の会社が消費税を申告する必要あり。
⑥ 海外法人が運営するプラットフォームで配信動画を購入した場合
・プラットフォーム課税の対象。
・日本国内の特定PF事業者がインボイスを発行し、仕入税額控除が可能。
⑦ 非居住者に向けて提供したWebデザイン業務
・国内で作業した場合は「国内取引」なので課税。
・免税にしたい場合は「国外での利用」であることを明確に示す必要がある。
⑧ 海外旅行者が日本の免税店で商品を購入した場合
・外為法上の非居住者であれば免税可能。
・令和8年11月以降はリファンド方式に移行予定。
⑨ 海外法人にオンライン広告枠を販売した場合
・インターネットを介するサービスであり、相手が事業者ならリバースチャージ方式適用の可能性。
・課税関係を契約前に必ず確認。
⑩ 海外の出版社に電子書籍の配信権を提供した場合
・無形資産の提供であり、非居住者相手なら輸出免税。
・契約内容を明確に残すことが必要。
⑪ 外国法人が日本で子会社を設立し、そこに提供するコンサルティング
・相手は日本法人(居住者)となるため国内課税。
・「本社が海外だから」と免税にしてはいけない。
⑫ 海外法人からのオンライン英会話サービスを国内企業が社員教育に利用した場合
・国外事業者からの電気通信利用役務。
・リバースチャージ方式の対象。
★注意
上記のとおり、同じ「非居住者」との取引でも、取引内容や定義の違いで課税か免税かが変わります。特に「役務提供」「無形資産のライセンス」「クラウドやデジタルサービス」は誤解が多いため、契約前から税務処理を意識することが重要です。
【№5 手順】
非居住者との取引は、課税か免税か、またはリバースチャージ方式の対象かを早めに判断することが重要です。実務担当者が迷わないために、以下の手順で確認すると整理しやすくなります。
① 取引の内容を把握する
・有形資産か、無形資産か、役務提供かを確認。
・輸出か国内提供かを明確にする。
② 相手方の属性を確認する
・居住者か非居住者かを外為法や所得税法の基準で判定。
・個人か法人かも確認。
③ 取引の場所を判定する
・役務提供の場合は「提供場所」が原則。
・電気通信利用役務なら「利用者の所在地」で判断。
④ 輸出免税の要件を確認する
・税関の輸出許可書があるか。
・無形資産・役務なら「相手が非居住者」である証拠を残す。
⑤ インボイスの有無を確認する
・国内課税取引なら必ずインボイスを発行・保存。
・プラットフォーム課税対象ならPF事業者からのインボイスを確認。
⑥ リバースチャージの適用可否を判断する
・国外事業者からの電気通信利用役務は対象。
・国内の課税売上割合が95%以上かどうかも確認。
⑦ 契約書・証憑類を整理する
・輸出免税では契約書、送金記録、利用者情報などを保存。
・税務調査に備えて、相手が非居住者であることを説明できる資料を確保。
⑧ 社内でのチェック体制を構築する
・経理担当者だけでなく、営業・契約担当にもルールを周知。
・不明点は必ず税理士に相談。
⑨ 実務フローをマニュアル化する
・「相手の属性判定」→「取引内容判定」→「税務区分判定」→「証憑保存」の流れを社内マニュアルに。
・静岡市や浜松市の中小企業でも、クラウド会計と組み合わせることで効率化が可能。
⑩ 定期的に改正情報をアップデートする
・消費税やインボイス制度は改正が頻繁。
・国税庁のQ&Aや通達を定期確認する仕組みを作る。
★重要
特に「輸出免税の判定」「リバースチャージの適用」「プラットフォーム課税の有無」は、判断を誤ると消費税額が大きく変わります。必ず手順ごとに証憑を確認し、社内で複数人がチェックできる体制を作ることがポイントです。
【№6 FAQ】
① 非居住者への役務提供はすべて輸出免税になりますか?
→ いいえ。外為法上の「非居住者」に対する国内取引であることが要件です。日本に6か月以上滞在している場合などは居住者と判定され、免税になりません。
② 輸出免税を受けるために必要な書類は何ですか?
→ 有形資産は輸出許可書(7年保存)。無形資産・役務提供は非居住者との契約書や送金記録など、国外への提供を証明する資料が必要です。
③ インボイス制度では、非居住者からの請求書も保存すべきですか?
→ はい。仕入税額控除をするには適格請求書が必要です。ただし国外事業者からの電気通信利用役務の場合はリバースチャージ方式を用いるため、請求書保存は必須ではありませんが証憑は残すことが望ましいです。
④ リバースチャージ方式とは何ですか?
→ 国外事業者から事業者向けに提供される電気通信利用役務(クラウド利用料や広告配信など)について、受け手側が消費税を計算・申告する仕組みです。
⑤ プラットフォーム課税とはどう違いますか?
→ リバースチャージは受け手側に納税義務が移ります。プラットフォーム課税は、特定PF事業者(Amazon等が該当する場合あり)が納税義務者になります。取引に応じてインボイスの発行者が変わる点が特徴です。
⑥ 非居住者に委託して翻訳やデザインを依頼した場合はどうなりますか?
→ 提供場所が国外なら不課税取引、国内なら課税取引です。役務の内容と場所を確認してください。
⑦ 静岡や浜松の中小企業でもリバースチャージの対象になるケースはありますか?
→ はい。例えば、海外のクラウドサービス(会計ソフトやデータ保存システム)を事業者向けに契約した場合、リバースチャージの対象です。
⑧ 免税店で購入できる「非居住者」とは誰ですか?
→ 外為法上の非居住者です。日本に6か月以上滞在する場合は居住者扱いとなり免税購入はできません。
⑨ 課税売上割合が95%以上なら、国外サービスを受けてもリバースチャージは不要ですか?
→ 原則リバースチャージは必要ですが、95%以上の場合は申告上の処理で調整可能です。詳細は顧問税理士にご相談ください。
⑩ 外国法人が日本に新設法人を作った場合、免税事業者の判定はどうなりますか?
→ 改正により、すべて新設法人とみなされます。したがって免税の特例は原則使えません。
⑪ 非居住者への役務提供で「証明不足」の場合はどうなりますか?
→ 輸出免税が認められず、通常の国内課税取引とされます。契約書や送金記録の保存が極めて重要です。
⑫ 浜松の製造業が海外の販売代理店に技術ライセンスを提供した場合は免税ですか?
→ はい。国外の非居住者に対する無形資産の譲渡・貸付けは輸出免税の対象です。ただし証憑がなければ認められません。
⑬ Google広告やMeta広告を利用した場合は?
→ 海外事業者からの事業者向け役務提供にあたり、リバースチャージ方式での申告が必要です。
【№7 まとめ】
・非居住者との取引では、消費税法・外為法・所得税法などで「非居住者」の定義が異なるため、判定を誤らないことが重要です。
・輸出免税は、有形資産だけでなく無形資産や役務提供にも適用されますが、証明資料(契約書・送金記録など)がないと認められません。
・リバースチャージ方式は、海外のクラウドや広告サービス利用時に日本側で消費税を計算・申告する仕組みです。
・プラットフォーム課税により、特定のプラットフォーム事業者がインボイスを発行するケースも増えており、仕入税額控除の可否に直結します。
・国外事業者の税務ルールは改正が続いており、免税事業者の判定や簡易課税制度の利用に制限があります。
・特に静岡・浜松の中小企業さまでは、海外サービスの利用や取引が増える中、誤った取扱いによる追徴リスクが高まっています。
★重要
非居住者が関わる税務は「その場の判断」が後から修正できないことが多いため、契約段階から税務処理を確認し、証憑を残すことが最大の予防策となります。
【№8 出典】
・出典:『税務通信』第3858号(2025年7月7日)「会社の税務と非居住者の関係(5)…輸出免税と電気通信利用役務の提供に注意!」税理士 伴 忠彦
・参考:国税庁タックスアンサー「No.6501 輸出取引の免税」(参照日:2025-10-01)
・参考:国税庁タックスアンサー「No.6503 電気通信利用役務の提供に対する消費税の課税関係」(参照日:2025-10-01)
・参考:e-Gov法令検索「消費税法 第2条・第4条・第7条・第8条・第37条」(参照日:2025-10-01)
・参考:e-Gov法令検索「外国為替及び外国貿易法 第6条」(参照日:2025-10-01)
【№9 該当条文の説明】
以下は今回のテーマに関連する主要な条文の概要とポイントです。
① 消費税法第2条(定義)
・「国外事業者」「事業者向け電気通信利用役務」などの基本定義を規定。
・非居住者や国外事業者の位置づけを明確化。
② 消費税法第4条(内外判定基準)
・原則は「役務が提供された場所」で判定。
・電気通信利用役務については例外的に「サービスを受ける者の居住地」で判定。
③ 消費税法第7条(輸出免税)
・有形資産の輸出に加え、無形資産や役務提供も一定要件で免税。
・要件として「非居住者への取引」であることが明記。
④ 消費税法第8条(輸出物品販売場=免税店)
・外為法の非居住者が対象。
・令和7年度改正で「リファンド方式」が導入され、出国時に消費税が還付される仕組みへ。
⑤ 消費税法第37条(簡易課税制度)
・課税売上に基づく簡易課税制度の適用範囲を規定。
・国外事業者は日本にPE(恒久的施設)がないと利用不可。
⑥ 外為法第6条(非居住者の定義)
・外国籍者は原則非居住者だが、入国後6か月以上滞在や日本勤務の場合は居住者と扱う。
・所得税法上の「非居住者」との違いが実務上の誤解につながりやすい。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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