CFC税制(外国子会社合算税制)の改正と経過措置
2025年10月11日
【№1 はじめに】
こんにちは!
静岡市、浜松市から全国へ向けて「IT×税務会計×補助金=経営革新」を発信して、「日本一わかりやすい税理士事務所」を目指す最高のIT税理士法人です!
私たちは「私たちに関わる全ての人を幸せにする」という理念を元に、「最先端のIT技術を活用して中小企業の業務生産性を爆上げする最高の税理士法人」となるべく、日々精進しています!
本日は、「CFC税制(外国子会社合算税制)の改正と経過措置」をお伝えさせていただきます!
近年、グローバル展開を行う企業にとって、海外子会社の税務管理は非常に重要なテーマです。特にCFC税制は、日本本社と海外現地法人の利益をどのように合算し、日本で課税するかを定めた制度であり、実務に直結します。今回の改正では「合算時期の後ろ倒し」という一見シンプルな変更に見えて、実務負担や申告処理のタイミングに大きな影響があります。
【№2 結論】
今回のCFC税制(外国子会社合算税制)の改正の結論を一言でいえば、
「合算のタイミングが2か月から4か月に延びたことにより、
企業の申告負担が大幅に軽減される」という点です。
この改正の目的は、海外子会社の決算・監査完了までの時間を確保し、
日本本社が正確に課税対象金額を把握できるようにするためです。
具体的には、これまで「外国関係会社の決算日から2か月後に属する内国法人の事業年度」に
合算するルールでしたが、今後は「4か月後」に延長されます。
つまり、外国子会社の決算が12月末の場合、
従来は翌年3月期に合算していましたが、改正後は6月末(翌事業年度)まで余裕が持てます。
また、経過措置が設けられており、
令和6年12月1日から令和7年1月31日までに終了する外国子会社の事業年度については、
納税者の選択により改正法を先行適用できます。
★重要ポイント
・経過措置は「届出不要」で自動選択可能。
・令和7年3月期に課税所得がないと判断しても、
後に課税対象金額が判明した場合は、令和8年3月期に合算してOK。
・これは「経過措置の選択に明示的な意思表示を要しない」ため、
結果的に実務の柔軟性が高まったといえます。
この改正は、国際課税制度の整合性を保ちながら、
現実的な事務スケジュールに配慮した「実務的な前進」といえるでしょう。
【№3 やさしい解説】
ここでは、CFC税制の基本的な仕組みと、今回の改正内容を
中小企業や経理担当者でも理解できるようにやさしく説明します。
① CFC税制とは
CFC税制(Controlled Foreign Company:外国子会社合算税制)とは、
海外に設立した子会社などを通じて利益を留保し、日本での課税を逃れる行為を防ぐための制度です。
つまり、「海外に子会社を置いても、実質的に日本でコントロールしているなら、
その所得も日本の課税対象にします」という考え方です。
② どんな会社が対象?
・日本法人(親会社)が海外子会社の株式を50%超保有している場合。
・その子会社が「実体の乏しい会社(ペーパーカンパニー)」や 「低税率国(実効税率30%未満)」にある場合。
・または、現地で事業活動があっても、受動的所得(利子・配当・ロイヤリティなど)が多い場合。
③ 改正の背景
これまでは外国子会社の決算書が確定するまでに時間がかかり、
日本側での合算計算に間に合わないという問題がありました。
特に、海外監査が長引くケースや、海外税務が確定しないまま申告せざるを得ないケースが頻発していました。
こうした現場の混乱を受け、合算時期を2か月から4か月に延ばすことで、
より正確な数値に基づく申告を可能にしたのです。
④ 経過措置の意味
経過措置とは、改正法が完全に施行される前に、
特定の期間に該当する会社が先行して新制度を使えるようにする特例です。
今回の改正では、令和6年12月1日から令和7年1月31日までに終了する
外国子会社の決算が対象で、納税者が「改正法を使う」と判断すれば
自動的に令和8年3月期へ繰り延べ可能です。
⑤ 実務上の注意点
・社内で「経過措置を選択した」旨を記録(メモや稟議)しておく。
・外国子会社の決算期と日本本社の事業年度を一覧化する。
・外貨換算・外国税額控除の処理タイミングにずれが生じないよう確認する。
⑥ 中小企業にも関係する理由
CFC税制というと「大企業だけの話」と思われがちですが、
近年は海外販売会社や輸出取引がある中堅企業にも関係してきています。
たとえば静岡や浜松の製造業で、東南アジアに販売拠点を置くケースでは、
この改正によって会計・税務調整のスケジュールにゆとりが生まれ、
決算精度の向上や税務リスクの低減につながります。
★注意:
・経過措置を選ばなかった企業でも、後日再選択しても差し支えない。
・ただし、二重合算や漏れがないよう、子会社ごとの管理を徹底すること。
・顧問税理士と連携し、外国関係会社台帳や管理ファイルを更新しておくと安心です。
【№4 具体例】
今回のCFC税制改正と経過措置を、実際の会社スケジュールに当てはめてみましょう。
理解を深めるために、10件のパターンで整理します。
① 3月決算の日本法人 × 12月決算の海外子会社
・改正前:外国子会社の12月期決算 → 翌年3月期に合算(2か月後ルール)
・改正後:同子会社の12月決算 → 翌々年3月期(4か月後ルール)に合算可能。
・結果:申告期限の余裕が2か月増し、監査報告書・税額確定の反映が容易。
② 経過措置を利用したケース
・令和6年12月期終了の外国子会社 → 改正後ルールを先行適用可。
・日本法人は令和8年3月期に合算でき、実務的な準備期間を確保可能。
③ 経過措置を利用しなかったケース
・改正前ルール適用 → 令和7年3月期に合算。
・後日、外国子会社の課税所得が判明 → 経過措置選択扱いで令和8年3月期に修正可。
④ 6月決算の日本法人
・外国子会社が3月決算 → 改正後は「7月末→9月末」まで合算可。
・グループ全体の税務スケジュール調整が容易に。
⑤ 複数子会社があるケース
・欧州・アジアなど異なる決算月を持つ場合でも、共通ルールで整理できる。
⑥ 外貨建決算の子会社
・為替換算レート確定まで時間を要する場合、4か月ルールは実務的に有効。
⑦ 税務調整が必要なケース
・過年度未処理損益を訂正する際、改正後の猶予で正確な修正が可能。
⑧ BEPS対応済み多国籍企業
・グローバルでの報告義務(CbCレポート等)と整合性を確保しやすい。
⑨ システム連携を行う企業
・ERP(統合会計システム)更新や連結パッケージの反映に十分な時間を確保。
⑩ 税理士・会計事務所のサポート活用
・顧問税理士が早期に外国関係会社の報告を受け、翌期での処理提案が容易。
★重要:
このように、単純な「期限延長」ではなく、グループ経営の透明性と正確性を高める効果があります。
特に静岡・浜松地域の中堅メーカー・商社など、海外拠点を持つ企業にとって、実務上の安心材料となります。
【№5 手順】
ここでは、今回の改正を踏まえた「実務上の処理手順」をステップ形式で整理します。
① 外国子会社の決算情報を確認
・決算期・決算日・監査完了日を一覧化。
・どの子会社が経過措置の対象か確認。
② 対象期間の確認
・「令和6年12月1日〜令和7年1月31日」までに決算が終了する子会社が経過措置対象。
③ 合算時期の判断
・原則:外国子会社の決算日翌日から2か月後を含む日本法人の事業年度
・改正後:4か月後を含む事業年度に変更可能。
④ 経過措置の選択有無を決定
・申請不要。内部文書または税務調整メモに明記することで意思表示可。
⑤ 日本法人の申告調整
・「合算対象金額等」を益金算入し、外国税額控除等を適用。
⑥ 外国子会社からの情報入手
・現地会計士または現地税務代理人から「課税対象金額等の確定報告書」を入手。
⑦ 為替換算処理
・外貨建て情報は決算日のTTMレートで円換算。
⑧ 会計仕訳の記録
・益金算入(借方:子会社勘定/貸方:外国子会社合算益金)。
⑨ 監査・レビュー対応
・経過措置を利用した旨を監査法人へ説明し、文書化。
⑩ 次年度への引継ぎ
・翌期の外国関係会社の処理時期と整合性をとる。
★注意:
経過措置は申請不要ですが、実務では「社内で選択した経緯」を残すことが重要です。
特に税務調査の際、「いつどのように選択したか」を説明できるよう、議事録や稟議書に一文残すことを推奨します。
【№6 よくある質問(FAQ)】
CFC税制改正と経過措置について、実務担当者や経理責任者から多く寄せられる質問をまとめました。
① 経過措置を使うために、申請や届出は必要ですか?
・不要です。経過措置は自動的に選択可能で、事前の届出も要りません。
・ただし、社内決裁書や税務メモで「経過措置を選択した」と記録しておくと安全です。
② 経過措置の対象期間はいつですか?
・外国関係会社の事業年度が「令和6年12月1日~令和7年1月31日」に終了する場合です。
③ 改正の適用開始はいつから?
・内国法人の「令和7年4月1日以後に開始する事業年度」からです。
④ 外国子会社が複数ある場合、それぞれで経過措置を選べますか?
・はい。子会社ごとに選択が可能です。ただし、整合性を取るためグループ全体方針を定めておくのが望ましいです。
⑤ 経過措置を使わず申告した後、後日修正できますか?
・はい。後から課税対象金額が判明した場合でも、翌期(令和8年3月期)に合算して処理可能です。
⑥ 合算対象金額が後から判明した場合の会計処理は?
・修正申告や翌期益金算入で対応します。監査法人とも相談のうえ、正しいタイミングで調整しましょう。
⑦ 税務調査で経過措置の判断を問われる可能性はありますか?
・あります。特に「どの期に合算したのか」「経過措置の意図を説明できるか」が確認されます。
⑧ 静岡や浜松の企業で、この改正の影響を受けるのはどんな業種ですか?
・海外取引のある製造業、商社、輸出関連企業などが中心です。
・特に東南アジアや中国に子会社を持つ静岡・浜松の企業では、為替や監査遅延の関係で実務的メリットが大きいです。
⑨ 海外税額控除との関係は?
・CFC税制に基づく合算益金には、外国で納付した税額を一部控除できます。経過措置適用後も同様の取り扱いです。
⑩ 顧問税理士にはいつ相談すればよいですか?
・外国子会社の決算が終了したタイミング、または監査報告書入手時点での相談がベストです。
★重要:
CFC税制は国際課税の中でも難解な制度のひとつです。
専門家(税理士・会計士)と連携し、各子会社の決算月・申告スケジュールを明確にしておくことが、後のトラブル防止につながります。
【№7 まとめ】
最後に、今回のCFC税制改正(令和7年度)の要点を整理します。
・合算タイミングが「2か月」→「4か月」に延長。
・目的は、内国法人の事務負担軽減と正確な課税所得計算の確保。
・経過措置あり(令和6年12月1日~令和7年1月31日終了分が対象)。
・経過措置の選択に申請不要。
・後日判明した課税所得も、翌期(令和8年3月期)での合算処理が認められる。
★実務上のポイント
・外国子会社の決算期ごとに整理し、対象期間をリスト化。
・経過措置を使う場合は社内決裁書・税務メモで意思記録。
・外国関係会社との連携を密にし、監査・報告タイミングを確認。
・税務調査時には「合理的な判断である」と説明できるよう準備。
この改正により、外国子会社を持つ企業にとって、より柔軟で現実的なスケジュール管理が可能になります。
特に静岡・浜松エリアの企業にとっては、国際展開を支える制度整備として有意義な改正といえます。
【№8 出典】
出典:『税務通信』第3859号(2025年7月14日)「CFC税制 合算対象の課税対象金額等を把握した場合の対応」税務研究会
参考:国税庁タックスアンサー「No.9391 外国子会社合算税制(CFC税制)の概要」(参照日:2025-10-08)
参考:e-Gov法令検索「租税特別措置法 第66条の6(内国法人の外国子会社合算課税)」 (参照日:2025-10-08)
【№9 該当条文の説明】
ここでは、改正に関係する主な条文をやさしく解説します。
① 租税特別措置法 第66条の6(外国子会社合算税制)
・内国法人が保有する外国関係会社の所得のうち、一定の低税率国や実体の乏しい子会社で発生した所得は、日本国内の所得として合算する。
・目的は「国外留保による租税回避の防止」。
・「課税対象金額等」を益金算入することが義務付けられている。
② 租税特別措置法施行令 第39条の16
・合算対象となる外国子会社の範囲や要件(支配関係、実体基準、税率基準など)を定義。
・実体基準とは「現地での事業活動の実在性」を指し、単なるペーパーカンパニーは除外。
③ 改正法附則 第50条(経過措置)
・外国関係会社の令和6年12月1日〜令和7年1月31日終了分については、納税者の選択により改正法を先行適用できる。
・「事前申請不要」「事後選択可」と明文化されている。
④ 背景
・国際課税のBEPSプロジェクト(OECD勧告)に基づき、日本でも多国籍企業の所得移転を抑止する制度として整備。
・実務上、合算タイミングの短さが申告の誤りや調整漏れを生むとの指摘があり、今回の改正で2か月→4か月へ延長。
★重要:
法令の条文そのものは難解ですが、実務では「どの外国子会社の所得をいつ合算するか」が最大の焦点です。
特に経過措置の適用を判断する際には、上記附則第50条を中心に読み解くことが肝要です。
【№10 おわりに】
最後に、コラムの内容の詳細や、企業、個人の状況に応じたお悩みについては、静岡市、浜松市から全国の中小企業をサポートする最高のIT税理士法人にお気軽にご相談くださいませ!
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