かつては「中小企業が最後に頼る資金調達」というイメージを持たれがちだったファクタリングですが、現在は「国が推奨する正当な経営手段」へとその立ち位置を劇的に変化させています。
世界市場ではすでに巨大な金融インフラとして定着しており、日本国内でもデジタルトランスフォーメーション(DX)や法的環境の変化により、急速に利用が拡大しています。
しかし、インターネット上には根拠の曖昧な情報も散見されます。そこで本記事では、国土交通省の公表資料や貸金業法などの一次情報(ファクト)に基づき、ファクタリング市場の実態と、国が普及を後押しする背景について解説します。
数字と事実で見るファクタリングの市場規模
ファクタリング市場を正しく理解するためには、「世界的な潮流」と「日本特有の事情」を区別して見る必要があります。
世界で普及するファクタリング
海外ではファクタリングは一般的な資金調達手段です。19世紀後半からアメリカで普及し始めましたが、欧米では保証や決済を主な役割とし、債権譲渡登記を通知する3社間ファクタリングを中心に普及しました。
日本では「あの会社は資金繰りが厳しい」と知られることを不安に思う経営者・事業主の方も多いため、取引先に通知をしない2社間ファクタリングが広まっています。
ファクタリングの歴史は以下の記事でまとめました。

世界市場は巨大インフラだが日本では拡大期
世界のファクタリング市場規模は好調に推移しており、2032年までに7兆ドルを突破すると言われています。特に、欧州のファクタリング市場は拡大しており、世界の6割以上を占めている状況です。

FCI(Factors Chain International)などの国際機関のデータによると、世界のファクタリング取扱高は年々増加傾向にあり、欧米では商取引における決済インフラとして完全に定着しています。日本は欧州に比べると市場規模はまだ小さいものの、それは裏を返せば「今後の成長余地が極めて大きい」ことを意味しています。
日本市場の現状
日本国内のファクタリング市場において、「買取型(2社間ファクタリング)」単体の正確な公的統計は存在しません。
これは、ファクタリングが貸金業のような登録制の業種ではなく、自由な商取引(債権売買)の一種とされているためです。しかし、実需が爆発的に増加していると考えられます。
- 参入事業者の増加: 既存の金融機関だけでなく、IT企業(Fintech)によるオンライン完結型サービスの参入が相次いでいます。
- 検索需要の拡大: 「資金調達」「請求書買取」などの検索ボリュームは年々増加しており、銀行融資以外の選択肢を求める経営者のニーズが浮き彫りになっています。
ファクタリングの市場規模が拡大する根拠
「ファクタリングは怪しいものではないか?」と不安に思う経営者にとって、最も強力な安心材料となるのが「国が予算を投じて債権の流動化・保全を支援している」という事実です。
国土交通省が実施している制度を例に、国のスタンスを解説します。
国土交通省による下請債権保全支援事業
国土交通省は、建設業界における資金繰りの安定化や連鎖倒産防止を目的として、「下請債権保全支援事業」を実施しています。
この制度は、下請建設企業等が元請企業に対して保有する債権(手形を含む)について、ファクタリング会社等が支払保証を行う仕組みです。特筆すべきは、この保証を受ける際にファクタリング会社へ支払う保証料の3分の2を、国が助成している点です。
参考:国土交通省|下請債権保全支援事業について~下請建設企業・資材業者のみなさんへ~
国がファクタリングを支援する理由
建設業は重層下請構造であり、元請企業の倒産リスクや支払遅延などの影響を受けやすい環境にあります。
国が支援制度を出してまでこの仕組みを推進している事実は、売掛債権を活用して資金を確保すること(債権の流動化)が、国策として認められた正当な経営判断であることの何よりの証明です。この建設業界での成功モデルが呼び水となり、他業界でもファクタリングの認知と利用が広がっています。
建設業とファクタリングの相性のよさについては以下の記事で詳しく解説しました。

民法改正による追い風
2020年4月の民法改正により、当事者間で「債権譲渡禁止特約」が結ばれていても、債権譲渡自体は原則として有効となりました。これにより、以前は契約書上の特約を理由に断念していた債権の資金化が法的に容易になり、市場拡大の一因となっています。
ただし、ファクタリングは貸金業法にて明確に「貸金業ではない」と区分されますが、現時点ではファクタリングと貸金業を混同している方も少なくありません。ファクタリングの広まりにおいて貸金業との区分は重要になるはずです。
ファクタリングの市場規模拡大の推移と予測
ファクタリング市場の拡大は、単なるブームではありません。「世界的な潮流」「国の助成制度による裏付け」「法改正による環境整備」という、強固な土台の上に成り立っています。
オンライン審査やAIによるレビューが普及しているため即日入金ができるようになったため、今まで以上にスピーディな資金調達手段としてファクタリングの存在が広まるはずです。
市場が成熟し、安全で便利なサービスが増えている今こそ、ファクタリングは「緊急時の策」ではなく、「戦略的な資金調達手段」として検討すべきフェーズに来ています。まずは、信頼できる優良業者で自社の債権がいくらで資金化できるか、無料診断から始めてみてはいかがでしょうか。
